ロシアの菜園付きセカンドハウス「ダーチャ」

ダーチャ協会訪問記

Хабаровский межрайонный союз садоводов
г. Хабаровск, ул. Запарина 2А

豊田 菜穂子
(『ロシアに学ぶ週末術~ダーチャのある暮らし(WAVE出版)』著者)


 ロシアには、全国各地に「ダーチャ協会」と呼ばれる組織があります。 その一例として、ハバロフスク・ダーチャ協会(正式名:ハバロフスク地方園芸家協会)を訪ね、 協会の歴史や活動をうかがってみました。

協会内の売店では農機具を販売 「ハバロフスクでダーチャの菜園用地が支給されるようになったのは、第二次世界大戦後。 こうしたダーチャを束ねる組織として、いくつかのダーチャ協会が誕生しました。 そのなかから、現在のハバロフスク・ダーチャ協会が代表組織として選ばれたのは、1967年。 来年でちょうど40周年を迎えることになります」

 そう語るのは、ハバロフスク・ダーチャ協会のユーリ・ウスチノフ会長(68歳)。 ダーチャ協会は、道路の建設や水道の敷設、ダーチャ村の警備など、ダーチャ暮らしを向上させるためのさまざまな活動を行っています。 現在、会員は100人以上。季節ごとに何度か集い、民芸品をつくったり、ダーチャの体験を話し合ったり、収穫期には野菜の展示会を開いたりするのだそう。 協会の建物(これがまた可愛らしい木造の家!)の一隅には、野菜や果物の種や苗、農具などを扱う売店があり、ダーチニキの交流の場ともなっていました。

ダーチャでとれた野菜の展示会  ハバロフスクでは22万世帯がダーチャをもち、休日になると人々は船やバス、電車で郊外のダーチャに向かいます。 ダーチャに通う人は、地方政府の援助によって公共交通機関の料金が割引になり、子どもは無料なのだとか。 こうした援助を得るためには、政治への参画も欠かせません。 現在のイシャーエフ・ハバロフスク地方知事、ソコロフ・ハバロフスク市長は、ともに選挙の際にダーチャ協会が支持した人物。 そのため援助が続いているといいますから、協会の運営は、政治とも密接なつながりをもっているのです。

「夏の暑さや蚊にも負けず、みんな一生懸命ダーチャで働きます。 働くことは健康にいいので、ダーチニキは長生きすると言われているんですよ」と語る会長さん。 ご自身もお年のわりには肌がツヤツヤ。これもダーチャ暮らしのなせるわざ!? 現在では外国人もダーチャを借り、協会に入会することができるそうなので、「日本の皆さんも一緒にダーチャで働きましょう!」とのことでした。

*2006年8月、神奈川県日本ユーラシア協会主催
「極東ハバロフスク・ダーチャ訪問の旅」より