東西冷戦下、鉄のカーテンを越えて日本へ届くモスクワ放送。謎めいた放送局では少なくない数の日本人が現場での業務を担っていた。彼らはどんな人物だったのか。知られざる日本人たちの人生模様を追った『МОСТ 「ソ連」を伝えたモスクワ放送の日本人』が今年の第21回開高健ノンフィクション賞を受賞。このたび書籍化を記念して、著者の青島顕さん(毎日新聞記者)とスペシャル・ゲストの西野肇さんをお迎えし、貴重なお話をうかがいます。
詳細はチラシ(PDF)をご覧ください。
とき:12月10日(日)14:00~16:30
ところ:横浜平和と労働会館4階会議室
参加費:会員800円、非会員1,000円
定員:先着25名(要事前予約)
講師:青島顕氏(毎日新聞記者)
※ご予約の際は参加者全員の氏名、一般・会員の区分、緊急連絡用電話番号をお知らせください。
今回は「ペリメニ」(ロシアの水餃子)を作ります。
小麦粉と水で皮から作る本格的なものではなく、市販の中華料理の餃子の皮を使い、手軽に作ります。中に入れる具は挽肉とセロリ。食べたことのない、新しい水餃子を楽しみましょう。
日時:2023年12月10日(日)12:00~ 10:00~12:00 ※開始時間が変更されました(2023.11.29)
会場:横浜平和と労働会館5階教室
参加費:会員600円、一般800円
今年は音楽映画の最高峰と言われる『シベリヤ物語』日本公開から85年となります。
日本中に戦争の傷跡である焼野原が残っていたころ、その傷を癒すかのように「うたごえ運動」が始まり、日本中に広まりました。それはこの『シベリヤ物語』がきっかけでした。85年経とうとも、全く色あせることのない音楽のすばらしさ、ロシアの雄大さを描いています。
今回は横浜平和と労働会館2Fの神奈川合唱団に「バイカル湖のほとり」の合唱依頼をしたところ、5名の団員が歌ってくださるとのことです。生の歌声を聞き、映画を鑑賞したいと思います。是非、ご参加ください。
日時:2023年11月26日(日)14時~
会場:横浜平和と労働会館5階教室
参加費 500円(黒パン・紅茶付き)
10月24日(火)、「ロシア語日本語交流会」ウリヤノフスク代表のリューバさんが横浜ロシア語センターに来られました。リューバさんはウリヤノフスクで合気道道場も開設しており、今回は合気道師範免許取得のために新宿にある合気道本部での研修のために来日されたとのことです。リューバさんの話では、ウリヤノフスクで合気道をしている人は千人ぐらい居て、リューバさんの道場にも30人が通って来るそうです。
迎える日本側の東京城東支部と横浜ロシア語センターとで、リューバさんを歓迎する会を開きました。城東支部からは、柴田さん、エレーナさん。横浜ロシア語センターからは、織田先生、野口先生、板垣さん、坂本さん、滝沢さん、塚本さん、木佐森が集いました。
リューバさんは、10月3日にウリヤノフスクから8時間かけて列車でモスクワに出て、中国航空に乗り北京経由で成田に着いたとのことです。10月27日には、その逆順でお帰りになります。
リューバさんからは、ウリヤノフスクのオクサーナさんやカーチャさんからの贈り物もいただきました。歓迎側からは、歓迎花束、漆塗りの菓子鉢、ネットで探した合気道開祖・植芝盛平翁の本、そして、ウリヤノフスクでの日本語教室用の教科書などをお渡ししました。
手荷物重量制限23キロを超えてしまう恐れが出てきましたが、城東支部の柴田さんが補填するとの大盤振る舞いになりました。
Zoomで何回も会っているので、和気あいあいの懇談が続きます。
その中で、「そうなんだ」と思ったのは、「夏休み」の過ごし方で、日本側からは「日本の小学校の夏休みは40日ぐらいしかない。ロシアは3か月もあるので、うらやましい」との話が出ました。しかし、エレーナさんリューバさんからは、「昔(ソビエト時代)はみんなサマーキャンプ(ピオネールキャンプ)に行くので、親も安心して自分たちの夏を楽しんでいたが、今はキャンプは有料になり、そうそう参加させられないので、小学生が一人で家にいる状況になっている。親はみんな困っている。」と、現在のロシアの夏が報告されました。
話は尽きなかったのですが、最後に、次の「ロシア語日本語交流会」を12月3日(日)18:00に開催することを決めて、リューバさんを送り出しました。
(木佐森)
第82回ロシア語能力検定試験が10月28日(土)と29日(日)に行われました。
横浜会場では28日は横浜平労会館4階・5階、29日は横浜市従会館4Fホールと分離実施となってしまいました。
欠席者については、前回第81回は4級では30%に上り心配されましたが、今回の欠席者は4級では14%5人でした。各級の欠席者も1級は1人、2級も1人、3級は少し多くて7人25%でした。まずは安心しました。
今回のアンケートでは、1級2級は相変わらずロシア語を「独習」する人が56%(2級)と多いのですが、3級になると「通学している学校」が40%、4級では52%が「通学している学校」大学でロシア語を学んでいると答えています。大学の第二外国語などでロシア語を選択できるようになったのでしょうか。
また逆に「横浜ロシア語センターを知っているか」の質問に、1級の人は83%が「知っている」と答えていますが、4級では76%の人が「知らない」としています。
記述欄の回答は次の通りでした。
1級
〇日本におけるロシア語教育、初級の教材、講座は充実しているが、中級後半以降が少ない印象です。
2級
〇ロシア語は難しいですが、中央アジアとロシアの関係の歴史に興味があるので、頑張っています。
〇横浜で検定2級の対策講座が欲しい。特に自習できる教材があれば、ぜひ欲しい。
〇検定1級対策に特化した教材を販売してほしい。
〇学生時代、ロシア語学科でした。今は、ロシアに簡単に行けないですが、またいつか行けることを願っています。
3級
〇ロシア人との交流を通じて、相互理解を深め、日露の友好関係を築くきっかけにしたい。
〇ロシア語は、とても難しいので、独学だけでは大変だと思います。
〇日本語とは違う文法のきまりや字があったり、英語とも全く違っていたり、勉強するのは難しいですが、楽しいです。
〇過去問を取り寄せて解答したが、所々解説が不親切に見える。例:ルールだけ記載してあり、答えの理由がない等。
〇ロシア語は難しいと思いますが、日常の会話ができるようになりたい。
4級
〇ロシア語は格変化を覚えるのがたいへん。
〇英検やその他のメジャーな検定のように、級に合わせた教材がでることが望ましい。現状は、学院やセンターで買うしか手段がない。
〇ロシア語はとても難しいですが、それなりにやりがいがあります。試験勉強をすることで、少しだけですが、理解できるようになりました。
〇試験代やすくならない?問題用紙回収しなくともよくない?
(まとめ:木佐森)
今期の入門クラスは土曜午後のロシア語(菅原先生担当)のみ開講し、水曜ロシア語・ウクライナ語は不成立。また既存クラスも2つが不成立、最少開講人数である2名のクラスが全体の半数を占めるなど、厳しい状況が続いています。
毎週月曜~日曜、入門・初級・中級・上級・会話・演劇クラスを開講中。学期途中からの編入や見学も歓迎します。
詳細はホームページをご覧ください。
Всех желающих изучать японский язык мы приглашаем на индивидуальные курсы японского языка при обществе ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава.
Наши курсы ориентированы в первую очередь на русскоговорящих, проживающих в Японии, поэтому большинство наших преподавателей владеют русским языком на высоком уровне. Возможны аудиторные и онлайн-уроки. Мы внимательно выслушаем Ваши пожелания и подберём оптимальную учебную программу.
За справкой обращайтесь по электронному адресу eurask2@hotmail.co.jp или в офис общества ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава (просьба заранее сообщить о своём визите по электронной почте).
ロシア語を母語とする方を対象に、日常会話や日本語能力検定試験対策など、受講生の目的やレベルに合わせて個人レッスンで丁寧にお教えします。
講師はロシア語を交えて、または日本語のみの直接法で授業を行います。
詳しくはホームページ(日本語版・ロシア語版完備)をごらんください。
※当協会で約20年間日本語講師を務めておられた多田浩先生が、都合により先月退任されました。会員は継続されるとのことです。長年のご協力に心からの感謝をお伝えするとともに、今後のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。
毎月原則2回、土曜日に開講中。レッスンでは基本奏法、譜読みから音楽理論、デュオから基本的なアンサンブルまで学べます。
11月のレッスンは11日、25日の予定です。
時間:14:00~17:45の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館6階会議室
139期講座が10月14日に開講しましたので、新たに7人の方が入会されました。しかし、講座非継続退会の方が6名いたので、10月末会員は9月より1人増えただけの212人となっています。
新たなロシア語入門クラスには2名の方が入講され、2名で開講しています。ウクライナ語にも1名が新たに入講されましたが、初級1-2クラスに入られました。
(木佐森)
NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 | 2023/10/31 | ||
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単位:円 | |||
摘 要 | 本年度当該月収入 | 前年度当該月収入 | 対前年度増減 |
一般会計 | 297,825 | 397,510 | -99,685 |
教育事業 | 1,927,825 | 2,139,558 | -211,733 |
一般事業 | 120,779 | 100,381 | 20,398 |
合 計 | 2,346,429 | 2,637,449 | -291,020 |
摘 要 | 本年度当該月支出 | 前年度当該月支出 | 対前年度増減 |
一般会計 | 430,100 | 628,559 | -198,459 |
教育事業 | 403,127 | 348,286 | 54,841 |
一般事業 | 106,071 | 131,334 | -25,263 |
支出合計 | 939,298 | 1,108,179 | -168,881 |
当該月収支 | 1,407,131 | 1,529,270 | -122,139 |
累計収支計 | 2,705,557 | 2,690,054 | 15,503 |
昨年に比べ、教育事業収入が少なくなっています。その分教育事業支出も少なくなっていますが、入門クラスの人数が少ないのが収入減に繋がっています。
前年の一般会計支出が今年より19万円多いのは、本部会費を今年は9月に納付したことによります。
1月からの収支は昨年並みに推移していますので、年度会計の赤字は免れそうです。
(木佐森)
本場の味で人気の黒パン、再入荷!
賞味期限:2024年2月7日
保存方法:直射日光を避け、常温で保存してください
原産国名:ラトビア
そばの実は古くから健康食品として知られ、高い健康効果・ダイエット効果に近年さらなる注目が集まっています。
1袋100gの場合、鍋に1リットルの湯を湧かし、10~12分ゆでればできあがり。袋のままでも大丈夫です。
炊飯器でも調理可能ですが、袋から出してください。
そばの実1:水2の割合で炊くのが標準的ですが水分量はお好みで加減してください。
商品は協会事務所、 当協会ロシア・ユーラシア商品通販サイト「うにべるま~ぐ」で取扱中です。
※一部、通信販売を行っていない商品もありますがご了承ください。
オリジナルプーチン大統領死去説が飛び交い情報が錯綜しているロシアから、2023年10月第3-4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中3曲が新曲、1曲が復活!
ピャチ・ウトラの≪Давай сбежим ≪Искорки≫≫ (逃げよう・火花)が10位にランクイン。
ビラーンの≪Острой бритвой≫ (鋭い剃刀で)が8位にランクイン。本曲は、作曲家ミハイル・グツェリエフの世界観を表現した短編ミュージカル映画プロジェクト≪Вселенная GM≫(ミハイル・グツェリエフの宇宙)の中の1作品で、第6話として紹介されています。
リゾグプ19歳とトゥーロフ17歳の≪Эщ Эщ≫(エシュエシュ)が3位にランクイン。タイトルは、モルゲンシュテルンとの共演もあった米国のお騒がせラッパー、リル・パンプがステージで"Let`s get it"(やってみよう)と頻繁に口にしたことが発端で、これが"ESKETIT"と短縮され、更に"Эщкере"とロシアで音便化されたものの更なる短縮形。人々が完全に音楽に身を委ねられるようにクラブスタイルで制作した、とのこと。僅か2週間前にリリース、現在YouTube再生回数は759万回。イマドキの売れ方です。
レフトフをあっという間に圏外に追いやり首位になったのは、アンナ・アスティのスーパーヒット曲≪Царица≫(女王)でした。アルファ銀行のCFも兼ねているので、MVでは銀行の鮮赤なクレカもチラリ登場します。3ヶ月前にリリースされ、現在のYouTube再生回数は4497万回。そしてYouTube上でロシアの人気曲TOP10中、第1位を更新中。おめでとうございまーす!:-)
(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2023年10月13日~19日/MOPA)
画像は https://vk.com より
※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。
10月15日 浜離宮朝日ホール
北川翔さんのリサイタルを久しぶりに聴くことが出来ました。会場は浜離宮朝日ホール、もちろん2階の大ホールです。共演者が2人いるので2部構成になっています。
第一部の共演者は、アコーディオンの大田智美、北川先生の後を継いで「白樺」の指揮者を長く務め上げた中山英雄先生のお嬢さんですから二人の息はぴったりです。
最初はロシア民謡の「月は輝く」。普通バラライカの伴奏はアコーディオンと似た楽器の「バヤン」が使われますが、バヤンより少し大人の感じのアコーディオンも良いものです。ロシアの息吹が感じられる演奏でした。
2曲目もロシア民謡ですが、バラライカ用に編曲した曲で哀愁を漂わせ途中から絶妙なタイミングでアコーディオンが入り、終盤に向かいディミヌエンドするのが絶妙でした。
3曲目はバラライカの父と呼ばれたワシーリー・アンドレーエフの作品で出だしも素敵だが、アコーディオンが入る少し前から思わずウキウキするような楽しい演奏で楽しめました。
4曲目はシベリウスの有名な「悲しきワルツ」、聴いていて一番緊張した。素晴らしい!続いて日本ではなじみのないスヴィリドフのロシアの冬景色を想わせるような「ロマンス」。
そして第一部のトリを取るのがピアソラの「天使の死」、本来はバンドネオンで演奏されるのでしょうが、情熱的で、力強い曲をバラライカとアコーディオンで上手く演奏してくれました。ブラボー!です!
第二部は共演者がピアノの浜野与志男に代わります。何回も共演しているので彼も相性が良いのでしょう、しっくりいっていました。
アコーディオンと異なりピアノの音量はバラライカと比べるとずーと大きい、その上使用するのはスタインウエイのD型という音色・音量とも最上のピアノなので、バラライカとの共演は少し心配でした。
しかし、二人の信頼関係の上にのっとった演奏は素晴らしく、私の心配を払拭させてくれました。ブラボー!でした。
先ず、シャンソンの名曲「枯葉」で会場の我々を魅了してくれました。ロシアとフランスは芸術・文化で昔から深い絆で結ばれていることがしのばれます。わたしの気持ちはパリの空の下!
二曲目はチャールダッシュ、これはバラライカのために書かれたもので、ニューイヤーコンサートで演奏される曲とは毛色が違っています。しかし楽しめました。
三曲目はバラライカ奏者のゴーリッツが作曲したもので、抒情的な曲を二人は感受性豊かに演奏してくれました。
次のバラライカ協奏曲は、2管編成でよいのでオーケストラで聞いてみたかった。
再びロシア民謡に戻りましたが、この曲もバラライカとピアノのために編曲されたもので、心に残る作品であり演奏でした。
トリを務めるのが誰もが知っているリストのハンガリアンラプソディの第2番です。勿論バラライカ用にオシポフにより編曲されたもので、元が良いので楽しめました。ブラボー!
アンコールは、3人がステージに上がり2曲を熱演しました。これもブラボーです。
なんとも楽しい日曜日のマチネーでした。
(金子)
10月5日~12日 於:山形市
2年に1度開催されているドキュメンタリー映画の国際映画祭。筆者は今年初めて参加した。毎年、アジアをはじめ、各国からコンペティション部門、アジアカレント部門などに応募が多数あり、高い水準のドキュメンタリー映画祭として世界的に権威を積んできた。
今年はウクライナ、エストニア関連の作品が3本公開された。残念ながら受賞には至らなかったが、ドキュメンタリー映画の在り方や記憶として語られるドキュメンタリー作品として、内外から賛辞が送られた。作品概要は下記のとおり。
(原題:Shidniy Front、ヴィタリー・マンスキー、イェウヘン・ティタレンコ監督作品、ラトビア=ウクライナ=チェコ=アメリカ、2023年)
ロシアのウクライナ侵攻開始直後から、共同監督のティタレンコはボランティアの救護隊員として、友人たちとウクライナ東部戦線に赴いた。そこでの生々しい体験を可能なかぎりつぶさに記録。飛び交う銃弾、瀕死の兵士を必死に搬送する救急車、間近に落下した砲撃のすさまじい轟音などはYouTubeで上がっている動画よりさらに緊迫している。家族や友人たちと過ごす平穏な時間を挟み、戦っているのは人間の顔を持っているのだということを強調。それは敵でさえ家庭があり普通の市民であることのメタファーなのだ。今なお終わらぬ戦況の中、「一刻も早く見てもらいたかった」と編集を急いだ。上映終了後のアフタートークでは、興奮さめやらぬ観客が監督を取り囲み、活発な質疑応答が行われた。
(原題:Drei Frauen、マキシム・メルニク監督作品、ドイツ、2022年)
カルパチア山脈の麓にあるストゥジツヤ村。ポーランドとの国境に位置する「辺境の村」にやってきたのは、大学院の終了制作のため帰国したメルニク監督とカメラマンクルー。そこで彼らは3人の女性に焦点をしぼり、村の1年を記録する。生物学者として熊の糞を見つけて興奮するネーリャ、村人に年金を手渡す責務を負う郵便局員のマリーヤ、そして夫と息子に先立たれ独りで牛の面倒を見ながら生きるハンナ。もう若くはないこの3人の女性が、監督とカメラマンとの交流を通して、生活のためにこの地にとどまるか、他国へ去るべきかの選択を迫られる。美しい自然の恩恵を受けつつも国に見捨てられたような村の暮らしは限りなく素朴で旅人をやさしく迎え入れる。暖かくユーモアに富んだ3人の女性の生き様にぐいぐいと魅せられる作品。
(原題:Lainud on Jaanud、ヴァルン・トリカー監督作品、エストニア、2023年)
作品のクレジットはエストニアだが、監督はインド人のトリカー監督。エストニア国境地帯のある村を訪れた監督は、線路で息子を亡くした女性と出会い、交流を重ねる。そのうち難民だった即の不思議な夢を見たという男性エヴァー、死んだ父の夢で足の病を癒されたという女性らと出会い、監督自身が国を離れてエストニアにやってきた記憶をたどる旅に出る。自然の中に打ち捨てられたような廃墟が広がり、幻想的な風景が記憶の歯車を巻き戻す。
今回観た作品はどれも監督自らがスクリーンに映し出され、監督自らがドキュメンタリーの中で当事者、あるいは取り巻きとして姿をさらしている。登場人物たちの記憶の中に監督たちが入り込み、作品の主題が強く輝きだすさまが素晴らしい作品群だった。
(文:滝沢 三佐子)
(原題:A boy’s life、クリスティアン・ケレーネス、フロリアン・ヴァイゲンザマー監督作品、オーストリア、2021年)
9歳でゲットーへ、12歳にしてアウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所に送られたリトアニア出身のユダヤ少年、ダニエル。家族と幸せに過ごした子ども時代はわずか8年、収容所で死体運搬係となった彼は、“死の天使”の異名を持つヨーゼフ・メンゲレの「選別」を経て、奇跡的に生還を果たす。少年はガス室での処刑や人体実験、収容所から強制移送中に起こったカリバニズム(人肉食)などのおぞましい行為の数々を目撃。チャイルド・サバイバーとなったダニエルは、どのように地獄を生き抜いたのか。本人の独白とアーカイヴ映像によって綴られる本作は、「ゲッベルスと私」(2018)、「ユダヤ人の私」(2021)に続くホロコースト証言シリーズの最終作。
12月3日より、東京都写真美術館ホールにて2週間限定上映。
(アクタン・アリム・クバト監督作品、キルギス=日本=オランダ=フランス、2022年)
東京国際映画祭2022のコンペティション部門に「This Is What I Remember」というタイトルで出品された作品が、劇場公開となって戻ってくる。ロシアへ出稼ぎに行き、記憶と言葉を失って20数年ぶりに帰郷した男ザールク。彼と家族たちと交流、村の権力者による圧力が、あるときは微笑ましくあるときは強烈な緊迫感をもって描かれる。
12月22日よりkinocinemaみなとみらいにて公開。
(スルム・カシュカバエフ監督作品、2022年、カザフスタン=日本)
(アクタン・アリム・クバト監督作品、2023年、日本=カザフスタン=キルギス)
※2作品同時公開
戦後、樺太に取り残され14歳でシベリアに送られた阿彦哲郎さん(1930-2020)。スターリンの政治犯政策のもと、旧ソ連各地の強制収容所を転々としカラガンダで1954年に解放。のち、アクタス村で家庭を築いた。2017年にその激動の半生を描いた「アクタス村の阿彦」がカザフスタンの劇団によって東京で上演され、阿彦さんも一時帰国した。
今回の映画はカザフスタン政府のサポートで作られた歴史大作。
一方の「ちっちゃいサムライ」は、同じく樺太からカザフスタンへ流刑になった当時14歳の三浦正雄の物語。「父は憶えている」のアクタン・アリム・クバト、「アイカ」でカンヌ主演女優賞のサマル・イスリャモヴァも出演。
上記2本は、少年期に人間の極限状態を体験した証言として、「メンゲレと私」とセットで鑑賞してほしい。
12月22日よりUPLINK吉祥寺ほか全国順次公開。
(竹岡寛俊監督作品、2021年、日本=オランダ)
2022年、岩波ホール閉館前のジョージア映画祭で特別上映された。その時のタイトルは「祈りの谷」。その後、東京ドキュメンタリー映画祭などでも上映されたが、一般劇場での公開は初めてとなる。
ジョージア東部のパンキシ渓谷にはあるキスト人の集落。彼らは、19世紀にロシア領内のチェチェン共和国地域からジョージアに移住してきた人たちの子孫である。一貫してイスラム教やチェチェン(ノフチ)としての習慣を守り続けてきた誇り高き戦士の民だ。
1999年の第二次チェチェン紛争勃発後、パンキシ渓谷はチェチェンからの難民と独立派が押し寄せ、「テロリストの巣窟」とまで言われるようになってしまう。さらに2011年のシリア内戦では、ジョージア社会から疎外されたキスト人の若者が、義勇兵としてシリアへ。戦士としての誇りと社会との分断はさらに根深いものになる。
そのようなパンキシ渓谷で暮らす女性レイラをメインとし、負のイメージを覆そうとする人々の営みに日本人監督が切り込む。大国に翻弄される民族の生き様を鮮やかに映し出した“今、観るべきドキュメンタリー”。
12月1日より、kinocinemaみなとみらいにてロードショー。
(文:滝沢 三佐子)
9月23日 於:自由劇場(浜松町)
ロシアのウクライナ侵攻後、ほとんど上演されてこなかったチェーホフ戯曲の上演が徐々に増えてきた。チェーホフ自身はトルストイのように声高に平和主義を唱えはしなかったが、人の生き方を客観的に観察し、人類のよりよい未来を深く考えていた作家だったということが再認識され始めてきたのだろう。
「三人姉妹」は、モスクワから遠く離れた田舎町に蟄居することになった三人の姉妹とその兄夫婦の物語だが、わずかな年月のうちに、彼らは思い通りにならない己の人生を受け入れざるを得なくなる。
劇団unratoの10回目となる公演として「三人姉妹」が選ばれた理由は、コロナ禍の日々で「三人姉妹」の最後のセリフ「生きていくのよ」が折々に思い出されたからだという。劇団四季のストレートプレイ(ミュージカルでない形式の演劇公演)が催される自由劇場の舞台は、奥行きが思いのほか長い。その舞台を存分に利用して、19世紀の大きな屋敷のような舞台が作り出される。舞台背景の大道具、小道具、本物の火があるように見える暖炉、その上まるでマールィ劇場やモスクワ芸術座の舞台のようにリアルで華やかな衣装が、演劇という別世界へと観客を誘う。
俳優たちも芸達者な人で、全体がそつなくまとまっている。なかでも次女マーシャ(霧矢大夢)は何かにつけ反抗的な態度で周囲と軋轢を生み、一歩まちがえば三人姉妹の中のアウトサイダーのようになってしまいそうだが、ヴェルニーシンとの逢瀬が彼女の心情を映し出し感情に共鳴することができる。また、田舎娘から俗物へと変貌するナターシャ(笠松はる)も強烈なキャラクターとして面白い。この二人に対して、自分の思いを飲み込んで沈黙してしまう長女オーリガ(保坂和寿)と三女イリーナ(平体まひろ)には、女性が自立していく羽ばたきのようなものを感じることができるだろう。
コロナ禍を乗り越えて「生きていく」ことを誓った演劇人たちの心意気、先の見えない世界情勢の中にあっても人を愛することを確信する力を、「三人姉妹」を借りて表明したものといえよう。
(文:滝沢 三佐子/撮影:友澤 綾乃)
目黒駅から徒歩4分ほどの場所に、「Anna’s Kitchen」が今夏開店いたしました。ネイティブの先生からお勧めされた事があります、吉祥寺の名店「Cafe RUSSIA」のスタッフが独立開業されたとの事です。
早速、9月に受講生仲間と訪問してきました。
まずは前菜から頂きます。そして私たちの食事の友、アルコールも当然注文しました。
次にプロフを試したいとの意見がありましたので、こちらもお願いしました。自分では中々作る事の出来ない本場のプロフの味を、久々に堪能出来ました。
その後はブリヌイやハチャプリ、後者は思い切ってイメルリもアジャルリも注文です。
且つ、当方人生初となるハルチョーも試してきました。年齢的に減塩を励行中ですので、ハルチョーは少々塩味が強いように思えます。
ただ、私の味覚は残念ですので、実際に会員の皆さま方でご確認ください。
注記として、「Anna’s Kitchen」の週末は混みあっていました。人数多めでご訪問の場合には事前予約を推奨します。
こちらのようにユーラシア各国の料理が一気に味わえるお店の誕生は、本当に嬉しい限りです。
皆さまに超絶お勧めのレストランですので、是非足をお運びください。
店舗情報:https://annaskitchen.owst.jp
(板垣)
8月24日に開催された日本ウォッカ協会のイベントに私、中垣内は仕事の休みをとって行ってきました。
場所は東京都新宿区にある「ガーデンキッチン新宿御苑」でした。昼の部と夜の部がありましたが、参加人数が少ない方が逆にスタッフの方とのコミュニケーションが取り易いと思い昼にしました。
日本ウォッカ協会は2018年9月に日本におけるウォッカの普及を目指して設立され、私も入会し、特別会員です。代表は遠藤洋子さんです。遠藤洋子さんは上智大学のロシア語学科を卒業されて1994年からロシアのお酒を輸入する会社を経営されている方です。
今回は2019年~2023年5年間のTokyo Whisky & Spirts Competition (TWSC)で受賞したウォッカの試飲会でした。さてどんなウォッカでしょうか?!
先ずはロシアのウォッカです。2022年、2023年ともに銀賞の「ロシアンスタンダードオリジナル」です。ロシア産冬小麦とラドガ湖(氷河期)の水使用、ロシアプレミアムウォッカブームの先駆けとなったロシアンスタンダードシリーズのフラッグシップです。アルコール度数40%。ロシアのウォッカのもう一品は2022年銀賞のウォッカロシアンスタンダードプラチナムです。このウォッカはロシアンスタンダードオリジナルをさらに高級化した上位ブランドで独自の銀製フィルターでろ過したものです。ロシアのウォッカが以上の2品でした。この2品は当然おいしいのですがどこまで私がウォッカの味が分かるか疑問ですが。
続いて私が飲んだのはフランス産のウォッカです。こちらも2品でした。2021年金賞と金特別賞のシロック(Ciroc)と言うウォッカです。100%フランス産ブドウ、低温発酵低温抽出、5回蒸溜です。そして中央の前後の2本がグレイグース(Grey Goose Vodka)です。冬小麦、グランドジャンパーニュの湧水、「純度を極める」ではなく「味わいあるウォッカ」がコンセプト。この2品は私の口に合いました。皆様もご賞味あれ!
(中垣内)
「ビザなし交流」で使われている船「えとぴりか」が横浜ハンマーヘッド横の神港埠頭に着岸するというので、10月20日金曜日、早速行ってみました。
横浜ハンマーヘッドは、コロナワクチンの集団接種会場にも使われていたことがありますが、埠頭に近づくと、埠頭の入り口に案内看板を持った男性が佇んでいます。「えとぴりかの見学はここですか」と聞くと、「あそこです」と手で案内してくれました。
「えとぴりか」は1,124トンで、全長66m。搭載人数は、旅客84名、乗組員12名の計96名です。船の横から入ります。中には、医務室、大浴場、食堂兼集会室、洗濯機を備えたランドリーがあります。客室は、4人用、6人用、8人用がありました。1F~4F用のエレベーターもあり、船旅が楽しめそうです。操舵ブリッジの机には、貝殻島をはじめ、納沙布岬や歯舞・色丹、水晶島周辺の海図が広げてありました。しかし、ロシア語表記の物は、一つもありませんでした。
船内を見学していると医務室を覗く滝沢さんがいるではありませんか、やはり興味を引くのですね。
船内スタンプラリーをして、食堂でガラポンを回すと「札幌ラーメン」と「さんまの南蛮漬け」が当たりました。
(木佐森)
カレンダーの収益は、チェルノブイリと福島の原発事故により被災した子どもたちの救援金にあてられます。
◆定価900円 送料:9部まで200円 (10部以上:1部800円/送料無料)
◆お申し込み方法:E-mail、 Fax、または郵送でお申し込みください。
◆お支払い方法:お届けするカレンダーに同封の郵便振替用紙でお振り込みください。
◆カラー、サイズ:縦30 cm×21 cm(見開きA4サイズ)
◆写真提供:ウクライナ「チェルノブイリの子どもたちの生存」、ベラルーシ「子ども健康回復センター 希望」
◆デザイン:川島進デザイン室
「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。ユーラシア(旧ソ連地域)関連の投稿をお待ちしています。
催し物の感想、旅行記、講評、写真、絵などさまざまなジャンルの投稿を歓迎します。
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