NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会

夏休みのお知らせ

 2024年8月4日(日)~18日(日)は神奈川県日本ユーラシア協会の夏休みです。
 この間、事務局、各種教室、物販等は休みになります。ご了承ください。

 
ハバロフスクのサマーキャンプ

夏のロシア語・日本語交流会は7月28日です

 今年も暑い夏になりそうですが、何と言っても「夏休み」は楽しいものです。

 家族で、友達と、一人ででも、高原、山、海に出かければ、日常とは違った環境に浸ることができます。

 そこで夏のロシア語日本語交流会は「夏休みの過ごし方」、「私の夏休み」などをテーマに開催します。

 ウリヤノフスク、ムルマンスク、ウラジオストクの日本語を学習している人との交流会です。

 最初にロシア語で、続いて同じことを日本語で3分以内にラスカス(お話し)してください。他の人がラスカスするのを聞くだけでもOKです。お申込みを待っていますよ。

日時:7月28日(日)18:00(日本時間)
Zoomミーティングルームにてオンライン開催

 
『ジョバンニの島』

「8・15」を考えるDVD鑑賞会『ジョバンニの島』

 今年は『ジョバンニの島』です。昨年の根室旅行の際、このモデルとなった人と会って話を聞いてきたのです。

 今も解決していない「北方領土」問題。その北方領土の一つ、「色丹島」での実話をもとに作製されたアニメです。現在までも続く領土問題ですが、作品の中では1945年8月9日以降のソ連軍侵攻後のある家族の視点をもとに描かれています。

 戦争と平和を考えるという大変重たいテーマですが、子どもから大人まで分かるアニメです。是非、ご参加ください。

日時:2024年8月18日(日)14:00~
会場:横浜平和と労働会館5階 当協会教室
参加費:500円(黒パン・紅茶・デザート付)

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ムルマンスクを知る会
ムルマンスクを知る会

ムルマンスクを知る会 満員御礼!

 6月9日(日)13時から平労会館4階で「ムルマンスクを知る会」を開催しました。講師は私、今年度から理事に再任の福島留美です。永住許可を2019年に取得、現地ムルマンスク市に17年住んでいる、たった一人の日本人です。

 販売コーナーではムルマンスクでしか入手できない激レアな商品が並び、参加者全員にはトナカイの食糧であるコケから作った珍しいコケチップス(мох-чипс)と黄色いクラウドベリー(морошка)が入ったお茶をふるまいました。会場は満員!

 地理、歴史、民族などムルマンスクの魅力をレクチャー、サーミ族とコラ半島の関わりやコラ半島の高度成長期を解説しました。後半の観光情報の解説時には、多くの参加者が関心を示し、耳を傾けていました。ムルマンスクの魅力って、オーロラだけじゃないんです。

 また最後には現地ムルマンスク市とネット中継。日本とゆかりのあるムルマンチャーネ(ムルマンスク州民のこと)が、各名所を見せながら紹介。蒸し暑い横浜とは対照的に現地はまだ朝9時、気温6度の曇り空でしたが、皆さんコートを着てにこやかに挨拶。会場ではムルマンスクにゆかりがある方々が自発的に参加者に熱く語り、ネットの向こうにいるムルマンチャーネと懐かしく交流していました。

 これを機に、露北方の僻地ムルマンスクの知見を深め、当地に足を運ぶ方々が増えることを願っています。ムルマンチャーネを代表して、今回の知る会のご参加を心より感謝致します。

(福島)

 
ロシア料理教室
ロシア料理教室
ロシア料理教室

おいしいプリャーニクができた!楽しいロシア料理教室

 「ムルマンスクを知る会」を終えた後、5階教室でロシア料理教室が開催されました。今回は横浜⇔ムルマンスクをネット中継して、ムルマンスクにいる講師が教えるという、ちょっと変わったイベント。ハプニングやドタバタ感は否めませんが、ネット中継ならではの生きた交流があるのがGOOD。オリガ・ブラゴワさんを講師に招き、伝統的な型押しプリャーニクを教えて戴きました。横浜側からは15名前後、ムルマンスク側は6名参加。ムルマンスク側の女の子たち、愛嬌たっぷりで可愛かったですね。

 レシピは既にあったけど、実際に見てアドバイスを受けた方が感覚的にわかりやすい。今回も蜂蜜と砂糖などを溶かし混ぜたり、スパイスなどを加える際のポイントを丁寧に教えてくださり、参加者一同ハラオチ。更にロシアらしいデザインの木型や麺棒を用いて形作るときは、皆さん大興奮。スパイスとオレンジの芳香にうっとりしながら焼きあがったプリャーニクを食して、美味しくできたことに大感動!

 ご参加くださった方々に、ありがとうございます。そして根気よく教えてくださったオリガ・ブラゴワ先生にも感謝!

(福島)

 
「激動の昭和史 沖縄決戦」鑑賞会

「さとうきび畑」のうたごえとともに 「激動の昭和史 沖縄決戦」鑑賞会

 沖縄慰霊の日6月23日。今年は日曜日でした。午後1時から簡単料理会で冷製デザートを作りました。それと黒パンを神奈川合唱団の皆様7人に召し上がっていただき、ギターと電子ピアノの伴奏で「さとうきび畑」のうたごえ。その歌詞の一節に「むかし海のむこうから戦がやってきた」と「鉄の雨にうたれ父は死んでいった」とありました。

 映画では正にその通りの描写がありました。映画は沖縄返還前に作製されました。沖縄そっくりの自然や地形での撮影に、参加者は驚いていました。映画は史実に忠実で、登場人物も実在。対馬丸の沈没や10・10那覇空襲、ひめゆりの最期などは本当に悲劇です。戦闘場面はリアルで自分が戦場にいるかのように感じました。参加者が息を?んだのは集団自決の場面でした。手榴弾を爆発させて自決したのですが、死にきれなかった者は互いに棍棒で頭を殴り、息絶えたのです。また、米軍の戦車が迫る中、我が子の首を鎌で切り、自分も死ぬ父親の姿は衝撃的でした。戦争の本当の犠牲者は一般の市民だということをこの映画は教えてくれます。

 アメリカ軍に捕まったら、戦車で轢き殺される、女は乱暴されて殺されるなどという嘘を叩き込まれての悲劇です。日本ユーラシア協会は、世界中の人たちと友達になれば戦争など起きない、ということを運動の理念にしています。そのことを強く感じる鑑賞会でした。

(関戸)

 
歓迎会

ムルマンスクからの福島さん歓迎!ウラジオからのマリーナさん送別!

 ムルマンスクから来日された福島さん歓迎、ウラジオストクから来日されているマリーナさん送別の会は6月の最終日6月30日(日)17:00からでした。

 マリーナさんは日本の桜を巡る旅のガイドとして来日され、その後は千葉にあるロシア正教の修道院に滞在されて、7月中にウラジオにお帰りになられます。

 福島さんは娘さんのさくらさんとお二人で来日されました。福島さんは、北極圏の大都市ムルマンスクで現地NPO法人「ムルマンスクの中の日本」を立ち上げ、様々な活動をされています。今年24年は、同法人成立10周年にあたり。毎月のように、神奈川県協会と共同でムルマンスク発のイベントを開催しています。2月18日(日)に「春と幸せを呼ぶはぎれ人形をつくろう!」を開催。3月10日(日)には「チュヴァシ料理教室」。そして、6月9日(日)には、「ムルマンスクを知る会」と「プリャーニクを作ろう」を開催しています。7月7日(日)には「サーミ・ニータ(ロシアサーミ族の伝統的な人形)を作ろう!」を開催します。その後も多彩なイベントを開催する予定になっています。

 そのお二人をお迎えして、協会からは、中垣内さん、早川さん、田中さん、関戸さん、滝沢さん、木佐森の6人の参加でしたが、日本的な野毛の居酒屋で懇談しました。

(木佐森)

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横浜ロシア語センター 第140期開講中!

 入門、初級、中級、準上級、上級、演劇、会話等各クラスを開講中。定員に空きがあり、レベルが合えばどのクラスでも随時編入可能です。無料見学は合計3クラスまでOK。

 各コースの詳細は横浜ロシア語センターのホームページをご参照ください。

 

Курсы японского языка

Всех желающих изучать японский язык мы приглашаем на индивидуальные курсы японского языка при обществе ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава.

Наши курсы ориентированы в первую очередь на русскоговорящих, проживающих в Японии, поэтому большинство наших преподавателей владеют русским языком на высоком уровне. Возможны аудиторные и онлайн-уроки. Мы внимательно выслушаем Ваши пожелания и подберём оптимальную учебную программу.

За справкой обращайтесь по электронному адресу eurask2@hotmail.co.jp или в офис общества ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава (просьба заранее сообщить о своём визите по электронной почте).

日本語教室のご案内

 当協会の日本語教室は、主にユーラシア(旧ソ連)諸国出身のロシア語を母語とする方を対象としています。

 日本での生活に必要な日常会話や日本語能力検定試験対策など、それぞれの目的やレベルに合わせて個人レッスンで丁寧にお教えします。

 ロシア語版ホームページもありますので、学習希望者にぜひご紹介ください。

 

ロシア民族楽器 バラライカ&ドムラ教室

 毎月原則2回、横浜平和と労働会館6階会議室で第2・第4土曜日に開講中。

 基本奏法、譜読みから音楽理論、デュオから基本的なアンサンブルまで学べます。

 7月のレッスンは13日、27日の予定です。お問い合わせは神奈川県日本ユーラシア協会事務局まで。

時間:14:00~17:45の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館6階会議室

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組織・財政状況

組織状況

 第140期ロシア語・ウクライナ語講座で新会員7人をお迎えし、5月末の会員は208名となりましたが、6月末で、長期会費未納者(12~15か月未納者)の方4人を退会処理としたので、高齢退会者お一人を含め、6月の退会者は5人となり、6月末の会員数は203名となっています。

(木佐森)

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2024/6/30
単位:円
摘 要本年度当該月収入前年度当該月収入対前年度増減
一般会計38,90035,9502,950
教育事業209,730447,429-237,699
一般事業9,86061,655-51,795
合 計258,490545,034-286,544
摘 要本年度当該月支出前年度当該月支出対前年度増減
一般会計550,492489,63960,853
教育事業575,178721,654-146,476
一般事業64,11896,588-32,470
支出合計1,189,7881,307,881-118,093
当該月収支-931,298-762,847-168,451
累計収支計493,848446,18547,663

 今年の6月の財政状況は昨年23年度と同じようになっています。しかし、教育事業支出も少なくなっているのですが、教育事業収入が23万円少なくなっています。

 昨年に比べて、クラスレッスンはほぼ変わりませんが、個人レッスンが少なくなっている傾向がみられます。

 1月からの累計収支が49万円とまだ余裕がありますが、あと2か月乗り切れるでしょうか。

(木佐森)

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チェブラーシカぬいぐるみ

チェブラーシカぬいぐるみ 2,530円(税込)

ロシアの有名人形アニメ「チェブラーシカ」の主人公のぬいぐるみ。
お腹を押すとアニメと同じ可愛い声でしゃべったり歌ったりします。
幅約20cm、高さ約16cm。
アニメ制作会社「ソユーズムリトフィリム」公認、中国製。

 
チェブラーシカノート(角型)

チェブラーシカノート(角型)各350円(税込)

白紙ページ20枚+シール2枚付き。
絵や文を書いたりシールを貼ったり、自由にお使いいただけます。
表紙は2種類ありますが、中身は同じです。
145mm×205mm、ロシア製。

 
チェブラーシカノート(円型)

チェブラーシカノート(円型)各480円(税込)

方眼ページ(片面印刷)24枚+シール4枚付き。
それぞれのページに様々な表情のチェブラーシカやゲーナなど物語の登場人物の線描の絵がついていて、塗り絵ができます。楽しい絵柄のシールも工夫して使ってみてください。
表紙は2種類ありますが、中身は同じです。
160mm×185mm、ロシア製。

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ロシア・トップ10

【芸能】Русская Десятка ロシア・トップ10

 大学進学のために人生を賭ける共通テストЕГЭシーズンが終わり、新学期に向けエネルギーチャージしている若者がいっぱいのロシアから、2024年6月第2-3週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。夏なのに、10曲中また2曲だけが新曲、1曲が復活という大人しい動きです。

 先月7位に登場したファッションリーダー・クライムブレリですが、今月はユーロヴィジョン2008優勝者のビラーンとタッグを組み新曲≪It’s My Life≫(それが私の人生)を5月10日にリリース、初登場5位に。

 現在9位にロングキープ中のニレットとマイアミとスヴィクですが、このトリオがまたタッグを組んで新曲≪Громче города≫(街の喧騒よりも大きく)を2か月前にリリースし、4位にランクイン。

 先月首位だったカザフスタン出身の若きアーティスト、ジャズダウレンを2位に後退させ、クルトゥコワのフォークロアソング≪Матушка≫(お母さん)がまた首位に躍り出ました。リリースされたのは2年前ですが、2か月前に新しくMVを作ったようです。現在のYouTube再生回数は関連動画合わせて2963万回です。おめでとうございまーす!:-)

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2024年6月7日~13日//MOPA)
画像は https://vk.com より

※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。

 
燐光群「地の塩、海の根」

【演劇】燐光群「地の塩、海の根」

6月21日 プレビュー公演 於:下北沢、ザ・スズナリ

 本作は、ユダヤ系ポーランド人作家ユゼフ・ヴィトリン著『地の塩』をベースとしたリーディング公演。

 とはいうものの、『地の塩』は要素の一つであって、京都大学の西部講堂で行われる日本の俳優たちの劇中劇として扱われている。邦訳がない『地の塩』を、俳優たちは読んだことがない。彼らは朗読を通して、原作の舞台である現ウクライナの複雑な歴史や、今も終わらないウクライナ侵攻を折り込み、時空の振幅が大きいリーディング劇が立ち現れてくる仕掛けだ。入れ代わり立ち代わり語られる早口の台詞、暗転で仕切られた時空の転換があまりの目まぐるしく、開幕直後は眩暈を感じた。しかし、その快活なテンポが、やがて心地よさに変わってきた。

 『地の塩』は1935年に発表された未完の小説だ。オーストリア帝国支配下にあった現ウクライナ地域の人々の第一次世界大戦までの物語で、ピョートル・ニェヴャドムスキー(父なし子の典型的姓)が中心人物。彼はフツル人(ザカルパッチャ方面の山岳民族)の鉄道駅員でマグダという若い女と同棲している。まじめに仕事をこなしているが、文字が読めないため正式の駅員と認められていない。第一次世界大戦が勃発し、ピョートルはオーストリア帝国の兵として徴兵される。 

 劇中劇から離れた現実世界では、ウクライナという土地をめぐって物語が進む。クリミアで行われたチェーホフ演劇フェスティバルに参加した俳優たちが、今はロシア領となったクリミアに想いを馳せる。ウクライナ侵攻が始まり、ヘルソンからクリミアに渡った若者らが思想教育を受けさせられる。現実世界は人工飢餓や原発事故、マイダン革命の記憶を折り込み、親ロシア派の意見やNATOに対する「ロシアの言い分」、リベラルによるウクライナ叩きなども登場する。昨今のウクライナにまつわるエピソードがてんこ盛りされる。

 クリミアに連れてこられた若者は洗脳教育の係官に「『地の塩』のロシア語版は読みたくない」と訴える。ウクライナの物語なのに、ウクライナ語版がないという不条理に気づいた若者と彼の父は、『地の塩』のウクライナ語版と『海の根』という自分たちの世代の物語を書こうとする。それは、ロシアを否定するのではなく、ロシアと地続きでありながら黒海という海に根を張るウクライナの新しいアイデンティティ宣言であるように見えた。

 一方、劇中劇を行う日本の”俳優たち“に対しては、”反戦劇を行うなどいかがなものか“的な圧力がかかった。現代日本の危うさも露呈されていく。

 これほど情報過多な戯曲の中で、核となっているのは「アイデンティティとは何か」である。『地の塩』に登場する人たちは、民族意識と母語が一致せず、信仰宗教も交錯している。帰属意識があいまいな人々は、ロシアという大国意識に排斥され差別されてきた。後半は台本を手に持たずにリーディングする俳優が多数を占め、朗読を超越した声の演技が最高潮を迎えた。観客も集中でき、この複雑なプロットが声だけで理解することができた。

(文:滝沢 三佐子/写真撮影:姫田 蘭)

 

【演劇】S.H.Produce 「ワーニャ伯父さん×母がいた書斎」

6月19日 於:東京・阿佐ヶ谷アルシェ

 こちらもリーディング劇。チェーホフの「ワーニャ伯父さん」と劇団演出の林将平氏によるオリジナル脚本「母がいた書斎」の二本立てである。

 6本のスタンドマイクに役者陣が交互に立ちながら、「ワーニャ伯父さん」の台詞を朗読。当然、演劇としてのアクションがないので、声の演劇を聴くラジオドラマと変わらないのであるが、後方に控えた「語り」の2名が、ワーニャの家の人間関係やストーリーの展開を補足していくことで、「ワーニャ伯父さん」が初めての人には物語にすっと入って行けるような効果を生んでいた。

 リーディングという声だけでも、これだけ熱く演じられるのだということが感じられた反面、朗読スピードが速かったため、情感に欠けた面も。また、「語り」がワーニャの家の者のことを「歯車がずれている」と表現していたが、ここまで解説してしまうのは少し行き過ぎかとも感じた。

 2本目の「母がいた書斎」は、医学部を目指す女子浪人生が、なぜ医者を目指すのかと自問しながら成長していく物語。彼女の母は医者で、若くして亡くなってしまった。母の日記を見つけてどんな思いで母が彼女を見守っていたかを知り、悩みを吹っ切っていく。彼女を見守る予備校の先生や看護師の父、上司の婦長の優しさが沁みる。

 こちらもリーディング公演だが、母の日記を読み返すという行為が「リーディング」であり、台詞を読むプロセスが彼女の心の動きを表現した心温まる小品だった。

 なお、配役は2チームによるダブル編成。「ワーニャ」でエレーナを、「母がいた…」で女子浪人生を演じた有藤詩織さんの演じ分けが鮮やかだった。

(滝沢 三佐子)

 

★★ イベント案内 ★★

●上映会「ラーゲリより愛を込めて」

とき:8月17日(土) 午前の部10:00~12:20、午後の部14:00~16:20
ところ:あーすぷらざ(JR本郷台駅) 5F映像ホール
入場無料、当日先着120名/各回
問い合わせ;045-896-2121

●ジョージア映画祭2024

とき:8月31日(土)~9月27日(金)
ところ:渋谷・ユーロスペース
エルダル・シェンゲラヤ監督、ラナ・ゴゴベリゼ監督作品を中心に名作を一挙上映。

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第165回草の実アカデミー×チェチェン連絡会議「ウクライナ現地報告」2月末~4月初旬

6月15日 於:東京・駒込地域文化創造館

 今年2月末から4月初旬にわたり、ウクライナに滞在した北コーカサス歴史研究の博士課程在学生、谷川ひとみさんの報告会が開催された。

 冒頭、草の実アカデミー代表でチェチェン連絡会メンバーのジャーナリスト、林克明氏より今回の報告会の背景となるウクライナとチェチェンの関係と現状について解説がなされた。これまでのチェチェン連絡会での集会で何度も説かれてきたが、ウクライナ侵攻はソ連崩壊後のチェチェン侵攻から連綿と続いてきた「ロシアの戦争」の一つであり、当時からウクライナとチェチェンは民族独立を目指した相互支援が見られ今日に至ることが話された。

 それに続き、谷川さんから「ウクライナ1か月半で見たもの」と題した講演が行われた。

 谷川さんはチェチェン戦争をリアルタイムで知らない世代であるが、2011年ジョージアのパンキシ渓谷を旅したときにチェチェン民族の近縁であるキスト人の村を訪れ、北コーカサスに興味を持った。その後ロシア語を独学で習得、2014-15年ダゲスタンの国立大学で研究生として学んだ。

 ウクライナ訪問は2度目だが、今回はキーウで開催されたチェチェン・イングーシ人民強制移住80年、チェチェン戦争勃発30年、ウクライナ侵攻2年という節目を記念した亡命チェチェン政府(イチケリア)の山岳共和国復興構想会議に、チェチェン連絡会議代表として参加しスピーチを行った。

 同集会終了後は、戦場カメラマンの横田徹氏に同行してドネツクに入り、現地のドローン部隊や現役兵士を取材した。多数のジャーナリストが死亡しているため取材許可を取ることが極めて難しく、作戦同行はできなかったが、前線地域で多くの人的・物的被害を目の当たりにした。

 印象に残ったのは、作戦に従事する兵士を指名する“指揮官”のPTSDが激しく(前線の作戦に従事させることは死ねと命令するに等しい)アルコール依存症などに陥る人が多いこと、偵察や物資の運送が専門だったドローン部隊も戦闘への直接参加で負担が増え、安全な任務ではなくなっていること、徴兵を恐れ何か月も家に引きこもる人が増えていること(彼らは戦争に対するいかなる関心も抱いていない)、ロシア国籍を持つ亡命政府チェチェン人義勇兵の身分証の問題、ロシア語を母語とするウクライナ人のアイデンティティ危機(無意識にロシア語を避けるため言語生活が混乱)、ロシアからの攻撃を免れるために文化財のUNESCO世界遺産認可を急ぐ人々が増加、などが挙げられよう。

 そのうち、長引く戦争の中で、若い世代で「西側の人間は自分たちを肉の壁にしようとしている。もう西側の支援は求めない」という絶望感に陥っている人も増えているとのことだ。チェチェン戦争との関連でいえば、ロシアと文化的に「近い」ウクライナは、そのアイデンティティを守っていくことが一層難しいといえる。職業ジャーナリストの報告では得られない、ウクライナの現状を細かく聞くことができ、意義深い報告会となった。

(滝沢)

 

投稿歓迎!

 「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。ユーラシア(旧ソ連地域)関連の投稿をお待ちしています。
 催し物の感想、旅行記、講評、写真、絵などさまざまなジャンルの投稿を歓迎します。
 作品は自分のオリジナルか著作権者の許可を得たものに限ります。
 デジタル画像はテキストファイルに貼りつけず、別ファイルでお送りください。
 また、ペンネームや注意事項があればお書き添えください。毎月末締切、翌月15日頃に発行見込み。

※投稿記事は誹謗中傷や公序良俗に反するもの以外ほぼ原文のまま掲載していますが、必ずしも協会としての見解を反映するものではありません。

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中世ロシア興亡史講義 ~歴代君主の素顔とその真実~ 862-1598
最終回(第213回) 大公妃ソフィヤとイヴァン三世の死

本文は協会サイト内 中世ロシア興亡史のページ をごらん下さい。

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