今月の表紙

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2018年10月号 No.684

行事予定

『戦争と人間』第三部 ノモンハン描写シーンを観てから学ぶ
『ノモンハンの真実』学習講演会

 本年度、総会でのジョイントコンサートで熱唱された古是三春さんが出版された書籍、『ノモンハンの真実』。その本の内容を、映画『戦争と人間』第三部のノモンハン戦闘シーンを鑑賞した後に、じっくりと学びましょう。

 「ノモンハンは近代的軍隊のソ連軍に、精神主義の前時代的な日本軍が完敗した」「戦車に肉弾をぶつけて戦った」というのが、かつての一般的な評価でした。ところが、ソ連崩壊後の情報公開によって、実は損害はソ連・モンゴル側の方が日本よりも多かったこと。一方的な完敗と言われていた戦車での戦闘は、実は日本側にも優勢な時期があったこと。航空戦で10倍以上のソ連軍を撃退したというのが、実は互角か、やや日本側が劣勢であったこと、など。綿密な調査と研究によって、それらが明らかになりました。

 正しい歴史認識をこの学習会で身に付けましょう。

日時 2018年10月28日(日)13:00~
会場 横浜平和と労働会館5F当協会教室
参加費 500円 資料代、黒パン・簡単ロシア料理の「海軍マカロニ」(イワシ缶から変更)と紅茶付

お申し込み・お問い合わせ:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

★ 緊急ニュース!★ ハバロフスク代表団、11月4日~13日来日予定

2013年のハバロフスクからの訪問団との交流  ハバロフスク対外友好団体連合会のゾーヤ・ロイトマン団長が引率する、太平洋大学美術デザイン学科教授、大学院生、学生の皆様が、日本とロシアの歴史文化交流年文化教育事業である横浜美術大学との交流のため、11月7,8,9日に横浜滞在予定です。代表団と一緒に横浜・鎌倉観光をされたい方は当協会事務局へお申し出ください。

2013年のハバロフスクからの訪問団との交流  団員の多くは日本語を勉強している方たちです。11月8日に開催する「歓迎の宴」で、私たちはロシア語で、友人たちは日本語で話し、交流を深めましょう!! ロシア語を学んでいる方は腕試しができるビッグチャンスです。もちろん日本語だけ話せる方も、どなたでも遠慮なくご参加ください。沢山のお申し込みをお待ちしています!!

 ※写真は2013年4月、ハバロフスク対外交流協会からの訪問団との交流。右の写真は当協会木佐森会長とロイトマン団長。

【歓迎の宴 予定】
日時:11月8日(木)18時より
場所:横浜平和と労働会館4階
メニュー:手巻き寿司、天ぷら 他(アイデア募集中)
出し物:(アイデア募集中)
参加費:会員3,000円、一般3,500円

お申し込み・お問い合わせ:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

活動報告

未来が見える ユーラシア新時代
平友連主催で堀江全国理事長が講演

講演会「未来が見える ユーラシア新時代」  北海道連、広島、茨城などから(神奈川県協会からは3名)20名が同行した、カザフ・キルギス平和友好の旅から帰ったばかりの9月15日(土)、平労会館4階で、「未来が見える ユーラシア新時代」をテーマに、協会全国理事長の堀江則雄さんが講演しました。

 ユーラシア協会、日中協会、日朝協会、コリア協会、日ベト協会、AALA、原水協、平和委員会、音楽センターで構成する神奈川県平和国際友好団体連絡会の主催。

講演会「未来が見える ユーラシア新時代」  堀江さんはI.地域としての「ユーラシア」(ソ連解体と中国改革開放により、ユーラシアの分断が解消) II.沸き立つユーラシア経済圏(新たに建設される鉄道、高速道路、パイプラインにより、ユーラシア経済圏が成立)III.地域協力機構としての上海協力機構(19か国と2地域共同体) IV.中央アジア非核地帯の創設(セミパラチンスクの核実験被害者は150万人) V.非核地帯から核兵器禁止条約へ(カザフはウクライナと共に核兵器を放棄、中央アジア非核地帯を創設し、国連で北朝鮮の非核化を求める) VI.遊牧民文化の台頭(今回の遊牧民オリンピックにトルコ、ハンガリー、カザフ、アゼルバイジャンの首脳が集結、2年後の同大会のトルコ開催を決定)として、まだまだ、現地の熱気が残っていた時期だったので、アルマトイ、ビシケク、イシククル湖など訪問した街や現地で立ち話をした若者たちの様子を加えながら、最新の情報を報告しました。

(木佐森)

料理をほおばりながらの楽しい事後交流会―次回の旅行の展望も―

 9/23は秋分の日で、三連休の中日。簡単ロシア料理を味わう会 兼 サハリン旅行事後交流会が開催されました。旅行団6名中の5名が参加。一般参加が2名。スタッフ2名の9名が集まりました。

 簡単ロシア料理は『海軍マカロニ』。9/8のバラホルカ、9/16の呉支部のプロフ作りの会でも出しました。超簡単料理なので、参加者には、マカロニをゆでている間に玉ねぎを切ってもらうだけでした。後は、ゆであがったマカロニに炒めた玉ねぎと挽肉を混ぜて、塩コショウで味付けするだけ。時間にして15分ほど。ところが、これが、結構おいしいのです。ポイントは、玉ねぎも挽肉も油を一切使わずに炒めること。玉ねぎの水分と挽肉から出た脂がいいダシになるのです。他にも、黒パンにイワシ缶。持ち寄りのシュウマイや手料理のチンジャオロース、お菓子などが並びました。

 おなかの具合がよくなったところで、今回副団長を務めた内藤さんが撮ってくれたビデオを楽しみました。やはり、記録というのは大事なもので、記憶から抜けていたことを映像で補い、確認することができました。初めて行ったサハリンですが、映像の中ではっきりと思い出すことができました。また、日塔さんが撮ってくれた写真は全員に配られました。旅の一コマ一コマを懐かしみました。さらに、素晴らしかったのは、ご家族が落合(現ドリンスク)におられた神戸さん姉妹が提供くださったDVDです。お二人が参加されたサハリン旅行の記録も大変興味深く鑑賞しました。

 一人一言の中では、「また行きたい」「他のツアーでは味わえない」「イルクーツクもいい」など、次回の旅行への期待や要望もありました。初めてのサハリンでしたが、これで終わることなく、さらに素晴らしい旅が続くことを感じさせる交流会となりました。

(関戸)

教室案内

横浜ロシア語センターロシア語講座(横浜ロシア語教室より改称)
第129期10月開講!

 10月15日(月)より順次開講。初めて学ぶ方を対象とする入門クラスは金曜夜(小林淳子先生担当)と土曜午前(織田桂子先生担当)に新規開講します。

 また、新しく金曜夜に「ビジネスパーソンのロシア語」(竪山洋子先生)、土曜昼に「イントネーションと発音」(タラルイキナ・オリガ先生)も開講します。

 料金や時間割などの詳細は同封のチラシまたは教室ホームページをごらんください。見学も歓迎。受講お申し込み・お問い合わせは教室事務局まで。


ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

 レッスン内容は奏法の基本から音楽理論や高度な内容まで。毎月土曜日に開講しています。初心者の方も、以前習っていて中断された方も歓迎します。

 開講日程:10月27日、11月3日、11月17日、11月24日、12月1日、12月15日
(変更の場合がありますので、見学・受講ご希望の方は事前にお問い合わせください。)

生徒募集クラス:
17:00~17:45ドムラ中級
18:00~18:45バラライカ初級

講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館5階
会員受講料(1回45分×6回分):3~5名クラス:24,000円、2名クラス:36,000円、1名クラス:54,000円


みなとみらいマトリョミン教室 アンサンブル/グループレッスン

日程:毎月1回、土曜日開講
2018年度後期日程:10月20日、11月17日、12月15日、1月19日、2月16日、3月16日

◆グループレッスン:Aクラス(現在休止中、受講生3名で開講可能)
◆アンサンブルクラス(90分)13:00~14:30

講師:檜垣 紀子
会場:横浜平和と労働会館2階
神奈川音楽センターホール
※11月17日のみ3階会議室


組織・財政

組織状況

(2018年8月31日現在)

 年度当初会員数 219名 (8月末会員数226名) 9月末会員数 230名入会者数累計39名、退会者数累計28名

 9月は、横浜ロシア語センター(旧横浜ロシア語教室)の129期に入学する人が6名入会しました。逆に、ロシア語講座を中断するなどで、退会する人が2名おり、9月末の会員数は、前月(8月末)より4名増えて230名です。

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2018/9/30
単位:円
摘 要本年度収入前年同期収入対前年同期増減
一般会計1,558,7181,526,49932,219
教育事業10,108,7747,704,6832,404,091
一般事業1,384,0481,373,53310,515
合 計13,051,54010,604,7152,446,825
前年同期(単位:円)2017/9/30
摘 要本年度支出前年度支出対前年同期増減
一般会計4,633,1984,867,045-233,847
教育事業3,454,4062,870,080584,326
一般事業910,210985,366-75,156
支出合計8,997,8148,722,491275,323
当期剰余金4,053,7261,882,2242,171,502
合 計13,051,54010,604,7152,446,825

 組織状況と同じように、9月単月の教育事業収入は10月からの新学期を迎えて、9月中割引もあるので、300万円を超える収入となりました。対前年比率でも127%となっています。一方、物販(一般事業)は、暑さが続いたためか、対前年比26%に落ち込んでいます。イベントを通して物販の拡大を図ることや、仕入れ品目も充実していく必要があります。

 支出は、ロシア語教室が拡大していく中で、ロシア語講師の講師料も対前年比増えています。また、教科書等の仕入れによる支出も増加しています。

 キャッシュフロー
 ロシア語講座授業料(半期分)の収入の預金が増えているため、流動資産が増えていますが、次期収入時期の3月まで、講師料の支払いで預金の引き出しが続きます。

(木佐森)

文化・芸能

芸 能

Русская Десятка ロシア・トップ10

Russia Airplay Chart TOP10  年金問題で国内揺れているロシアから、2018年9月第4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中3曲が新曲、1曲が再登場!

 9位に、ウクライナ発の新鋭アーティスト・モナチクと、こちらもウクライナ発大人気デュオのヴレーミャ・イ・ステクローから女性Voのナージャがタッグを組み、新譜«Глубоко...»(深く…)をリリースしランクイン。

 キルコーロフとバスコフの新曲«Ибица»(イビサ島)が4位にランクイン。有名アーティストもPVに招待し、自身たちの同性愛疑惑も全てコミカルな笑いに変える二人には、脱帽です。

 9月中旬にリリースし、キルコーロフとクリードのデュエット曲«Цвет настроения чёрный»(黒い気分の色)が首位を占めました。楽曲は先月チャートインしていたキルコーロフの«Цвет настроения синий»(青い気分の色)をHIPHOPにアレンジ。PVは、クリードが所属するブラックスター社に帝王キルコーロフを招き、ファンキーかつコミカルな仕上がりに。帝王キルコーロフがチャートを大占有、おめでとうございまーす!:-)

※記事全文はブログでごらんください。

【画像引用元】
Егор Крид→http://www.peoples.ru/
Филипп Киркоров →http://www.peoples.ru/
Николай Басков→http://www.peoples.ru/
Monatik→http://hitplaneta.ru/
Надя Дорофеева→http://www.vladtime.ru/

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2018年9月17~23日/MOPA)

演劇・映画

「アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語」

カレン・シャフナザーロフ監督
原題:Анна Каренина. История Вронского、2017年、ロシア

「アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語」

 これはどう評価すればよいのだろうか。観る人によって評価が分かれそうなカレン・シャフナザーロフ監督の最新作「アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語」は、トルストイの「アンナ・カレーニナ」の原作を、アンナの愛人アレクセイ・ヴロンスキーの視点から語る“後日談”。

 アンナが鉄道自殺してから、原作ではヴロンスキーは露土戦争へ赴いているが、時は流れて本作の舞台はなんと日露戦争が展開されている旧満州。そこには奇しくもアンナとカレーニンの息子、セルゲイが軍医として軍従しており、司令官であるヴロンスキーは負傷してセルゲイと対面することになった。セルゲイは、鉄道自殺を遂げた母の愛人だったヴロンスキーを憎み、殺意さえ抱いていたが、今は母の自死の真実を知ろうとしていた。

 ここからトルストイの「アンナ・カレーニナ」が回想という形で進むが、ヴロンスキーの視点なので、原作にあるアンナの兄嫁の妹キティと純朴な主リョーヴィンの恋愛は当然ながら省かれている。

 ヴロンスキー本人が語るのであるから、彼の愛情は一途である。アンナとの愛に終止符を打ったあと、彼は軍人としての任務に励み、日露戦争の戦地においても、彼は片言の中国語を話し、土地の少女に親しみを寄せ彼女を守ろうとする。

 体面のために離婚に同意しないアンナの夫、カレーニンにしても、当時の社交界が貴族にとって重要なものであることを考慮すれば、彼の言動は決して冷血なものでないことがわかる。そのような男性登場人物の「社会性」を重んじる言動に比して、愛がすべてであるアンナの精神バランスの崩れ方は強烈だ。

 「アンナ・カレーニナ」といえば、世界で何度も映画化・バレエ化・舞台化されている不朽の名作。“後日談”の設定はさておき、鉄道自殺を遂げたアンナの内面をこれほど細かく描き切った作品はないだろう。そして日本との戦争を皮切りに、彼らは過酷な運命の渦に巻きこまれていくのである。なんとなく破滅の美学に近いものを感じてしまう。

 個人の回想が大河ドラマになったようなダイナミックな展開に、シャフナザーロフ監督の往年の手腕を見ることができる。

(文:滝沢 三佐子/写真 (c)Mosfilm Cinema Concern, 2017)

ユーラシア通信

カザフ・キルギス平和友好フォーラム ユーラシア新時代

 キルギス対外友好協会及びカザフスタン対外友好文化交流協会の招きで、日本ユーラシア協会の代表団(北海道連、茨城支部、広島支部などから計20名、神奈川からは3名)が8月28日~9月7日まで、カザフとキルギスを訪問しました。28日、仁川経由でカザフの元首都で同国最大の都市アルマトイへ。

カザフスタン・アルマトイ市街 カザフスタン・アルマトイ 教会と天山山脈
(左)カザフスタン・アルマトイ市街 (右)アルマトイ 教会と天山山脈

セミパラ核実験場閉鎖対話集会

セミパラチンスク反核対話集会歓迎セレモニー

 翌日29日は、同市の国立農業大で行われた「セミパラチンスク核実験場閉鎖27周年フォーラム」に日本代表団として参加しました。同大学本部前広場で、カザフを構成する多民族の中で、とりわけ重要とする5民族(カザフ、ロシア、ウズベク、ドイツ、朝鮮)の衣装を着けた同大学生による民族ダンス、最後に日本代表団を歓迎する「よさこいソーラン」が繰り広げられました。本部アーチには「核なき世界を求めて」の横断幕が掲げられていました。

 250人以上が集った反核対話集会では、ネバダ・セメイ(セミパラチンスク)反核運動総裁、カザフ外務省代表など5名が挨拶、日本側から「広島とセメイの交流」、「日本の平和行進について」など3件が報告されました。対話集会後、同大学学長主催の昼食会が同大学内で持たれました。

キルギス独立式典

キルギス独立式典  8月31日は、キルギスの独立記念日です。今回のキルギス訪問は、同国対外友好協会の計らいで、特別待遇となり、入国審査、税関検査はなし、独立記念式典は特別席に入場しました。今年の独立記念式典では、軍事パレードはなくなり、各民族の民族舞踊が続きました。

 午後は、キルギス対外友好協会との「平和フォーラム」。駐キルギス日本大使の挨拶に始まり、日本側からは「日本国憲法9条の平和への役割」「茨城百里基地闘争」などが報告され、キルギス側からは「若者の文化」「今後の世界の課題」などでした。同時通訳の問題もあり、双方の報告はあまりかみ合いませんでした。

遊牧民オリンピック

 翌日、イシククル湖に向かい、2日の夜、イシククル湖畔の国立競馬場で開催された、第3回遊牧民オリンピック(ノルド)の開会式に出席、これまた特別席です。同オリンピックには60数か国の国が参加、もちろん日本選手団の入場もありました。同開会式には、キルギス大統領だけでなく、カザフスタン大統領、トルコ大統領、ハンガリー大統領、アゼルバイジャン大統領など遊牧民の末裔とされる各国首脳が集まりました。次期4回大会は、トルコで開かれることが発表されました。

キルギス・イシククル湖での水浴 遊牧民オリンピック開会式
(左)キルギス・イシククル湖での水浴 (右)遊牧民オリンピック開会式(撮影:村松)

キルチン渓谷の騎馬軍団

 3日は、イシククル湖から天山山脈に入ったキルチン渓谷へ、見渡す限り草原が続く、同渓谷には100近いユルタ(ゲル・パオ)が並び、キルギス各地の物産を集めた大小のバザールが開かれ、主会場では、同国の建国叙事詩が見たこともない数の騎馬群で演じられました。ユルタでの食事は、お茶に始まり、お茶で終わります。料理のメインは馬肉で、とりわけたてがみの脂肉がごちそうとのことで、いやというほど勧められました。7日に仁川経由で帰国。同じコース、同じ飛行機で中谷元元防衛大臣を団長とするキルギス友好議員連盟と一緒に、彼らも遊牧民オリンピックを見に行った帰りとのことでした。

キルギス・キルチン渓谷の騎馬軍団 ユルタでの昼食
(左)キルギス・キルチン渓谷の騎馬軍団 (右)キルチン渓谷のユルタでの昼食

(木佐森)

書評「かえでの葉っぱ」

D・ムラースコヴァー 作 出久根 育 絵/理論社 ¥1,800+税

 チェコは、四方、森に囲まれた国である。そのため、秋になると、美しい色に包まれる。一風ごとに色づいた葉は、旅立つのである。作者、ムラースコヴァーが、その自然の法則にヒントを得て、筆をとったのが本書である。

 成熟し色づいた木の葉は、風に乗りどこへ向かうか、命とは何かを淡々と語りかける絵本である。童話を超えた哲学を、わたし達に差し示す寓意満ちた書である。かえでの葉は、木を離れ、風に乗り、四季を過ごす。美しい霜柱、美しい母国。葉の美しさは消えていくが、もう恐れもなく、星と語らい黒ずみつつも身が軽くなっていく。そこには時の流れがかもし出す真実があった。作者は、命はどこからきて、どこへ行くのかを、この1枚の美しかったかえでの葉に託している。この本は人生も半ば過ぎた方に、お勧めしたい。ムラースコヴァー×出久根育の画家同士のコラボが的確に見事に、四季の移ろいをとらえている。 

 あなたも、かえでと一緒に、美しい自然の旅をしませんか?命はどこへ向かうかを、きっと教えてくれるでしょう。そして何かに出会うでしょう。 

(中出)

極東ロシア電子ビザ 極東ロシア5空港に拡大

 今年9月から、ウラジオストク自由港法によって電子ビザの範囲が拡大された。これまでもウラジオストク空港とウラジオストク港に実施されていたが、今回拡大されたのは、ハバロフスク(ノーヴィ)、ユジノサハリンスク(ホムトヴォ)、ペトロパブロフスク・カムチャツキー(エリゾヴォ)、ブラゴベシチェンスク、アナディリ(ウゴルニー)の各空港である。

カムチャツカ  このうち、日本に大きな影響を与えそうなのが、ユジノサハリンスクとハバロフスク、そして、夏の間にチャーター便が運航されるカムチャツカであろう。(写真はカムチャツカにおける先住民族の住居とカムチャツカ富士)

 ヤクーツク、マガダン、プロビデニヤ(チュコト自治管区)の空港はまだ調整中である。

 このビザによって、ウラジオストクをはじめとした沿海地方と同様に大使館に赴く必要がなく、web上で電子ビザの申請が可能となる。

 申請から受理までは最大で4日かかる。有効期間は30日であるが、そのうち8日以内での滞在が可能だ。なお、州・地方をまたいだ移動はできない。

 この緩和によって、本会の夏のハバロフスク・サハリン旅行のコストや心理的ハードルも低くなるはずだ。

 この動きを受けて、航空便にも変化が起きている。東京~ハバロフスク線が、2018年の冬ダイヤより週3便に増便されるほか、新たに札幌・新千歳~ウラジオストクを、日本初乗り入れとなるウラル航空が運航する。

 この取り組みをきっかけに極東ロシアと日本の間の人的交流が深まることを願う。

(内藤)

エレーナ・コンドラシキナ先生の帰郷

モスクワ・ヤーセネヴォ区  ロシア語講座「日本案内」クラスのゲスト講師エレーナ・コンドラシキナ先生からのお便りをご紹介します。

 「こんにちは!モスクワに帰ってきてからすでに一週間が過ぎました。友人や親戚の人たちの温かいお迎えを受けた後、私はやっと自分の家に帰ってきたと実感しています。今年のモスクワの10月はいつもと大いに違っていて、木々はまだ紅葉せず緑色で、気候は10月にしてはかなり暖かく、プラス7度か12度です。10階にある私の住まいから撮影した写真を送ります。私が住んでいる所はクリーンな環境で緑の多いヤーセネヴォ区です。モスクワの南西に位置しています。」

協会ホームページ移転のお知らせ

 神奈川県日本ユーラシア協会のインターネットプロバイダーの関係でホームページを置いていた「Yahoo!ジオシティーズ」が、2019年3月末でサービス終了となることに伴い、急遽、協会ホームページも以下のURLに移転させました。

http://www.kanagawa-eurasia.org/

 旧URLにアクセスすると、新URLへ自動で転送されますが、転送サービスは2019年9月までとなります。

 ページをブックマークされている場合は、上記のURLに変更してくださいますようお願いいたします。

投稿歓迎!

 「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。もっと面白くしたい方、新しい企画を思いついた方、協会や機関紙について感想や意見のある方は、読むだけでなくぜひ投稿してください。

 ユーラシア(旧ソ連地域)関連ネタなら文章でも写真でも絵でも、ジャンルを問わず何でもOK。

 ただし全てボランティアで、自分のオリジナル、または権利者の許可を得たもの、著作権法に触れないものをお願いします。ペンネームや注意事項があればそれも忘れずに。

 文章は1記事800字以内が目安で、長ければ編集・分割して掲載する場合もあります。

 原稿はメールやFAXや郵便で下記へ送ってください。締切は毎月末で、翌月15日頃に発行されます。投稿をお待ちしています!

(機関紙編集部)

歴史・社会