NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2024年度(第20回)定期総会 4月7日開催

 神奈川県日本ユーラシア協会の定期総会が4月7日(日)13:30から開催されます。
 すべての会員のみなさま、ご出席ください。リアル出席でも、リモート出席でも結構です。

日時:4月7日(日)13:30~15:00
会場:当協会5階教室及びオンライン(Zoom)
議案:
(1) 2023年度活動報告及び2024年度活動計画
(2) 2023年度決算報告及び2024年度予算
(3) 2024年度役員選任

 3月号会報に総会議案書を同封しますので、ご一読の上、総会出欠および委任について、必ずご回答ください。
 総会成立のため、会員みなさまのご協力をお願いいたします。

*リモート出席をご希望の方は、ご連絡ください。ZoomミーティングIDをお送りいたします。
*もし、ご出席できない場合は、会報に同封の委任状(葉書及びFAX用紙)を必ずご返送ください。協会事務所での提出・Eメールでの送信も受け付けます。

神奈川県日本ユーラシア協会会長
木佐森 雅道

 

春のロシア語・日本語交流会は「自慢のお土産品」

 春のロシア語日本語交流会は4月21日(日)18:00(日本時間)です。

 お話のテーマは「自慢のお土産品」です。ご自分の街の「お土産品」でもいいし、いままで、国内国外を問わず、旅の途中で出会った「自慢のお土産品」などを紹介してください。

 最初にロシア語で、そして同じことを日本語で、合わせて3分以内でお話しください。

 今回も、ウリヤノフスク、ウラジオストク、ムルマンスクから参加予定です。
 お申し込みはお早めに。10名定員です。

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手芸教室
手芸教室参加者の皆さんで記念撮影

手芸教室
ロシア・ムルマンスクの会場。
手元を映しながら一つ一つの工程を丁寧に解説。

手芸教室
人形制作と撮影は参加者の杉山さん。 右上はひばり、左下は鈴入り人形。

リモートによるロシア手芸教室「春と幸せを呼ぶはぎれ人形を作ろう!」開催報告

 2月18日(日)16時から、横浜平和と労働会館5階の神奈川県日本ユーラシア協会教室にて、リモートによるロシア手芸教室「Тряпичные куклы(端切れ人形)」が開催されました。これは、私共の現地NPO法人「ムルマンスクの中の日本」10周年記念として企画された行事の1つで、昨年から県連に共催を持ちかけたところ、快諾して戴け、実現ができました。

 当日作ったのは、鈴が内蔵されている人形「Колокольчик(鈴)」と春の到来を告げる鳥「Жаворонок(ひばり)」で、いずれも10分あれば作れる作品。

 でも、ヨールカ祭のように出し物を一方的に見せるスタイルではなく、1ステップずつ工程を見せながら、きちんとできているかどうか確認して、共に作り上げていくスタイルなので、予想以上に時間がかかりました。

 それでも参加者の皆様には何とか作って戴け、最後には記念撮影。現地の人とのリモート中継で、交流しながら、楽しい時間が過ごせました。ご参加戴き、ありがとうございました。

(福島/ムルマンスク在住)

≪ロシア手芸教室講師 ブラゴワ・オリガさんからのメッセージ≫

 Спасибо большое за встречу! Было очень необычно и приятно общаться! Нам будет очень приятно передать опыт и частичку нашей культуры в вашу страну.

 素敵な出会いを本当にありがとうございました! とても珍しくて楽しいコミュニケーションができました!私達の経験と文化の一部が、日本に伝えられたことを非常に嬉しく思います。

 

今年最初のDVD鑑賞会「サルタン王物語」

 2024年最初の鑑賞会が2月18日(日)に開催されました。

 作品は『サルタン王物語』です。この作品は子どもも楽しめる民話を映画化したものです。関戸が小学校2~3年生の頃、テレビで観たことがあります。当時は冷戦下でソ連の映画をテレビで放送するのは珍しいことでした。家族そろって観た思い出があります。

 民話によくある話です。姉妹の中の一人が王様に見初められて結婚するのですが、それを妬んだ他の姉妹の嫌がらせを受けて、遠く流されてしまいます。皇后であった母親とともに王子が妖精を助けて、その妖精たちのおかげで、元の王様と再会するという物語です。

 テレビ放送の際には、日本語のナレーションが多く入り、展開がよくわかりましたが、DVDには日本語は一切なく、田中理事長は「展開が分かりにくい」と正直な感想。参加者の杉山さんは「私が王様だったら、こんなに簡単には姉妹たちを許さないと思う」と言っておられました。

 次回はゴールデンウィークにロシアアニメを企画しています。

(関戸)

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横浜ロシア語センター 春の講座案内

 横浜ロシア語センターでは、第139期終了後の春休みに特別講座を予定しています。お申し込み期日に間に合う講座をご紹介します。ぜひご参加ください!

● ロシア語・ウクライナ語入門体験

 初めて学ぶ方や初歩から学びたい方を対象に、新学期の入門クラス担当講師による無料体験講座を行います。
 語学の学習は相互理解と平和への第一歩です。こんな時だからこそ、ロシア語もウクライナ語も同じ学び舎で、仲良く一緒に勉強してみませんか。
 参加は1コマでも複数コマでも可能。

日時:3月30日(土)
ロシア語入門体験1 13:00~14:00 講師:竪山洋子(土曜入門クラス担当)
ロシア語入門体験2 14:15~15:15 講師:大山麻稀子(火曜入門クラス担当)
ウクライナ語入門体験 15:30~16:30 講師:ジェルーリ・ラリーサ(月曜入門クラス担当)
会場:横浜平和と労働会館5階教室
お申し込み締め切り:3月27日(水)


● 春期集中講座「暗唱して発音改善」

 発音練習用あそび詩(うた)を用いて、発音の練習、同時音読暗唱法の練習を行います。ロシア語の発音をもっときれいにしたい方、フレーズや詩などの暗唱法を習得したい方のご参加をお待ちしています。文字と発音を学び、単語や文の音読がある程度できる方ならどなたでも。

日時:4月6日(土)、4月7日(日)各日11:00~12:00 全2回
講師:野口 福美、ラティシェヴァ・スヴェトラーナ
授業形態:オンライン(Zoom)
受講料:一般4,800円、会員4,000円(全2回分、教材費込み)


● 横浜ロシア語センター第140期 生徒募集!

 2024年4月15日(月)より入門、初級、中級、準上級、上級、演劇、会話の各クラスを順次開講予定です。
 クラスは受講生2名以上のお申し込みにより持ち上がりで継続となります。
 定員に空きがあり、レベルが合えばどのクラスでも随時編入可能です。中断していた学習を再開したい方もぜひどうぞ。無料見学は合計3クラスまでOK。
 初級以上の会員の場合、3月中に受講料をお納めいただけば早期割引になります。受講手続きは教室事務所でもホームページからも可能です。

 各コースの詳細は当センターホームページをご覧ください。

 

Курсы японского языка

Всех желающих изучать японский язык мы приглашаем на индивидуальные курсы японского языка при обществе ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава.

Наши курсы ориентированы в первую очередь на русскоговорящих, проживающих в Японии, поэтому большинство наших преподавателей владеют русским языком на высоком уровне. Возможны аудиторные и онлайн-уроки. Мы внимательно выслушаем Ваши пожелания и подберём оптимальную учебную программу.

За справкой обращайтесь по электронному адресу eurask2@hotmail.co.jp или в офис общества ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава (просьба заранее сообщить о своём визите по электронной почте).

日本語教室のご案内

 ロシア語を母語とする方を対象に、日常会話や日本語能力検定試験対策など、受講生の目的やレベルに合わせて個人レッスンで丁寧にお教えします。
 講師はロシア語を交えて、または日本語のみの直接法で授業を行います。
 ロシア語版のホームページもあります。学習希望者にぜひご紹介ください。

 

ロシア民族楽器 バラライカ&ドムラ教室

 毎月原則2回、土曜日に開講中。レッスンでは基本奏法、譜読みから音楽理論、デュオから基本的なアンサンブルまで学べます。

 3月のレッスンは9日、23日の予定です。

時間:14:00~17:45の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館6階会議室

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組織・財政状況

組織状況

 2023年末から引き継いだ会員のみなさまは214人です。

 しかし、2月に会費請求を行ったところ、「高齢のため」、または、「ロシア語講座非継続」により退会される方が多く、140期の事前入会された方がお一人おられましたが、差し引き2月末の会員数は204人となってしまいました。

 確かに、ウクライナ戦争は終わりが見えず、ロシアからの情報もおもしろくなくなり、ロシアへの興味は減退の一途になっています。また、ウクライナ語への熱気も冷めてしまった感があります。

(木佐森)

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2024/2/29
単位:円
摘 要本年度当該月収入前年度当該月収入対前年度増減
一般会計132,12258,15073,972
教育事業295,800631,400-335,600
一般事業62,97470,442-7,468
合 計490,896759,992-269,096
摘 要本年度当該月支出前年度当該月支出対前年度増減
一般会計466,6151,126,439-659,824
教育事業589,381459,725129,656
一般事業086,330-86,330
支出合計1,055,9961,672,494-616,498
当該月収支-565,100-912,502347,402
累計収支計-722,982-1,061,803338,821

 2023年度の収支は、取り巻く情勢を考えると赤字も覚悟していましたが、皆様のご尽力で、なんとか100万円の黒字になることができました。ありがたいことです。

 1月も過ぎ2月は、昨年に比べ、140期ロシア語講座への継続のお知らせが遅れているのでしょうか。教育事業収入が少なくなっています。

 一般会計支出が、昨年より60万円少ないのは、消費税の納入が3月に繰り下がったためです。3月はその分支出が多くなります。収支決算が赤字でも、消費税は減額されません。

(木佐森)

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ベリョフスカヤ・パスティラ ベリョフスカヤ・パスティラ

リンゴスイーツ「ベリョフスカヤ・パスティラ」シーバックソーン、ワイルドベリー
各200g / 550円 → 400円(税込)※賞味期限間近のため、さらに値下げしました!

ロシア(ベリョフ市発祥)の伝統的なリンゴ菓子。
アントーノフカ品種の酸味の強いりんごのピューレと卵白と砂糖だけで作った、グルテンフリーのもっちりした生地の焼き菓子です。
層の間にベリーのジャムを加えました。

原材料名:リンゴピューレ、砂糖、シーバックソーンジャム(シーバックソーン、砂糖、水)またはワイルドベリージャム(ワイルドストロベリー、キイチゴ、クランベリー、ブルーベリー・砂糖)、乾燥卵白
内容量:200g
原産国名:ロシア
賞味期限:2023年4月
保存方法:直射日光、高温多湿を避け、冷暗所に保存してください。

 
入門ロシア語の教科書

「入門ロシア語の教科書」3,000円+税(会員割引あり)

徳永晴美著/語研/11月24日発売

長年ロシア語通訳・教育の第一線で活躍され、横浜ロシア語センターでも大変お世話になった故・徳永晴美先生が約7年に及び心血を注いで執筆された一冊。
横浜ロシア語センターの野口福美先生も長い間校閲に携わっておられました。
実践会話と文法を織り交ぜて丁寧に解説し、着実な習得へ導きます。
「入門」とありますが実際は中級文法までカバーしています。日頃の学習や教授の際の参考書としてもお勧めです。
協会・教室事務所でも販売中。会員の方には約5%の割引があります。
桜木町に来る機会がある方はぜひ当協会でお求めください。予約なしでもご購入いただけるようになりました。
語研のサイトでページ見本(計50ページ)を公開中です。

 

事務局からのお知らせ

 これまで当協会からの各種配送に利用していたヤマト運輸が、2024年1月31日で「クロネコDM便」の取り扱いを終了し、2月1日(木)から日本郵便との合同による新たな投函サービス「クロネコゆうメール」を開始しました。

 当協会でもシステム変更に伴い、通販サイト「うにべるま~ぐ」の取扱品目を一時的に縮小していますが、協会事務所ではサイトに掲載のない商品も購入可能です。

ロシア・トップ10

【芸能】Русская Десятка ロシア・トップ10

 3月の露大統領選に向けて対抗馬が正式に現われ、いつもの茶番選挙になるのか、それともセンセーショナルな交代劇が見られるのか大注目のロシアから、2024年2月第2-3週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中2曲が新曲!

 7位にガリブリとマヴィクの≪Взгляни на небо≫(空を見て)がランクインしました。本曲は昨年12月末前にリリースされ、現在のYouTube再生回数は569万回です。

 ヘビースモーカー、ツィペルのハウス・シャンソン曲≪Дымок≫(煙草の煙)が5位にランクインしました。本名はイーゴリ・ツィバ。カザフスタンのコスタナイ市出身の61歳。昨年8月にリリースされ、先ずはVKミュージックで首位を獲得し、現在のYouTube再生回数は2488万回です。

 アンナ・アスティのスーパーヒット曲≪Царица≫(女王)が、再び首位に返り咲き2ヶ月連続首位です。2022年3月にウクライナメディアから「プーチン派に属す沈黙の支持者」と揶揄されたことを受けてか、翌年10月に露国籍を取得しました。また先月号で紹介したスキャンダル「ほぼ裸パーティー」に参加したことが影響し、それ以降予定していた数々の出演が主催者側によってキャンセルされました。7ヶ月前にリリースされ、現在のYouTube再生回数は1億975万回に達成。おめでとうございまーす!:-)  

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2024年2月9日~15日/MOPA)
画像は https://vk.com より

※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。

 
ミハイル・カンディンスキー  ピアノリサイタル

【音楽】SENZOKU GAKUEN 100th ANNIVERSARY プレミアムコンサート
「ミハイル・カンディンスキー ピアノリサイタル」

2月12日 於:川崎市・洗足学園音楽大学

 ラフマニノフ誕生150年記念の続編として、ラフマニノフの100歳年下であるミハイル・カンディンスキー氏が、ラフマニノフによる編曲とグリンカの弟子であるバラキレフ(ロシア5人組のひとり)の作品を演奏。

 ミリー・バラキレフ(1837-1910)は、当時音楽院がなかったため独学で音楽を学んだピアニスト。18歳のころ晩年のグリンカと出会って才能を見出され、作曲の道に進んだ。日本ではあまり知られていないバラキレフのピアノ曲から「ポルカ」「ソナタ第2番」、どちらもロシア的な素朴さと透明で繊細なメロディと変奏が際立つ作品。

 当然、師であるグリンカの「夜想曲」も演奏され、バラキレフの才能を呼応していることがよくわかる選曲。

 休憩をはさみ後半は、セルゲイ・ラフマニノフのアレンジ曲の数々。「美しき水車小屋の娘」(シューベルト)からの「せせらぎ」。タイトル以上に重厚な編曲が印象的。

 ビゼー「アルルの女」、チャイコフスキー「子守歌」も、ラフマニノフにかかると途端にオーケストラ風になる。ラフマニノフ作曲「コルレリの主題による変奏曲」は、ロシアと関わりの深いスペインのイメージが増幅されていくが、その重厚でドラマティックな展開に、ラフマニノフはやっぱりラフマニノフだなぁと思うことしきり。

 画家ワシリー・カンディンスキーの兄の子孫であるミハイル・カンディンスキー氏は、現洗足学園音楽大学講師。5月11日に平塚の八幡山洋館でコンサート出演予定。

(文:滝沢 三佐子)

 
劇団俳優座LABO公演Vol.40「スターリン」 落合班

劇団俳優座LABO公演Vol.40「スターリン」 村雲班

劇団俳優座LABO公演Vol.40「スターリン」 中村班

【演劇】劇団俳優座LABO公演Vol.40「スターリン」

2月11日昼・夜公演、16日夜公演 於:六本木・俳優座アトリエ

 レーニンの死後、ソ連最高指導者としての地位を奪取し、急激な経済改革と大粛清によって多くの犠牲者を出した改革者して独裁者ヨシフ・スターリン。彼の最晩年の姿を、リア王が当たり役のユダヤ人役者との二人芝居という手法を使い、権力の妄想に憑かれるスターリンの虚栄や弱み、当時のユダヤ人の危うい立場などを巧みに炙り出すスリリングな作品だ。本作は、チリ出身のドイツ語作家ガストン・サルヴァドーレの戯曲を、3人の演出家による3バージョンのステージで日本初上演するという挑戦的な企画でもある。

 筆者はこの3バージョンをすべて鑑賞したが、演出の違いによる3通りの舞台を大いに味わうことができた。物語はスターリンがユダヤ人俳優サーベリを別荘に呼び出し、一緒にシェークスピアの「リア王」の戯曲を読みあうシーンから始まる。物々しい警備に緊張するサーベリに、スターリンは若いころの現金輸送車襲撃事件やクラークの弾圧当時のことを語る。やがてサーベリの息子がシオニストと交友しているという噂で逮捕される。父サーベリはかつて同僚ズスキンを強いられて密告した過去があった。息子の逮捕が密告であることを知るサーベリは、「リア王」の道化いう形を借りてスターリンを次第に追いつめていくが、彼自身も逮捕されてしまう…。

 演出は落合真奈美氏、村雲龍一氏、中村圭吾氏。以下落合班、村雲班、中村班と呼ぶ。

 落合班はスターリン役(島英臣)と舞台俳優サーベリ(巻島康一)のほかに、回想シーンの再現を演じるアンサンブルとよばれる5人の俳優が出演。ほかの2バージョンに比べてスターリンが一番独裁者っぽい外観で、回想シーンもアンサンブルにより可視化される。親を告発した少年モロゾフ、自殺したスターリンの二人目の妻、弾圧の犠牲者となった人々が立ち現れる。赤い光が床いっぱいに広がり人々の流した血を表現。落合班の「スターリン」は、狂気に立ち向かった者たちが流した血を感じた。

 一方、村雲班は黒い長髪でかなり若いスターリン(小田伸泰)と、彼のご機嫌をうかがう貧しい服装のサーベリ(斉藤淳)が登場。アンサンブル3人はセリフを発しない。警備員の役割で、道具の入れ替えや消え物(飲食物)の差し入れを行う。村雲班の消え物は色をなくしたまずそうな食べ物ばかりで、スターリンはそれをサーベリに勧める。ほかの班は本物の食べ物が出なかったので、その違いが印象的。またスターリンもサーベリも冗談を言い合うような余裕と滑稽さがあり、笑いを誘うシーンも。村雲班の演出は妥協を許さない真の二人芝居で、早口の難解なセリフにも関わらずカタルシスを覚えた。

 そして中村班は、スターリン(森一)、サーベリ(川口敦子)、プロンプター(小島颯太)の3人が出演。おもしろいのはプロンプターという役で、実際のプロンプター(役者がセリフ忘れたときに陰で教える係)、回想シーンの再現人物、大道具の転換や小道具の準備など、舞台のすべてに関わっている重要な役だ。絶対権力の差異を体現する二人が、プロンプターの後押しを借りて、次第に形勢逆転いていく。特にサーベリの凛としたたたずまいは、弾圧・処刑されていった無実の人たちの代弁者として独裁者と向かい合い、密告に手を染めた悔恨や非道の道を歩まねばならなかった苦悩がにじむ。辺縁に押し込められたユダヤ人と、女性が演じるという事象がオーバーラップして、権力に憑かれた人間に翻弄された人々を強く感じさせた。

 舞台は生ものだが、語り継ぐ独裁者の記憶は永遠だ。この戯曲を選んでくれた俳優座に感謝したい。

(文:滝沢 三佐子/撮影:坂内 太)

 
「賢い蜜蜂の贈り物」
「賢い蜜蜂の贈り物」

【演劇】ロシア語劇団コンツェルト第53回本公演「賢い蜜蜂の贈り物」

2月17日 於:早稲田大学学生会館

 コロナ禍を経て、ようやく通常通りの本公演。今回は本邦初公開となるフョードル・ソログープの≪Дар Мудрых пчел≫を演出の小副川将剛さんが自ら翻訳し舞台化。ギリシャのトロイア戦争に参戦した夫プローテシラーオスを恋い慕う新妻ラーオデメイアの、愛の深さを描いた作品だ。

 悲嘆するラーオデメイアに贈られた夫をかたどった蝋人形は、アフロディーテの予言が込められていた。父に再婚を迫られるラーオデメイアは、蝋人形を異常なほど愛でており、人形を通して夫との再会を熱望していた。一方、夫のプローテシラーオスも冥府の神ハーデースに妻との再会を請われ、同情した死の女神ペルセポネーが3時間だけの現世帰還を許すが…。

 ギリシャが舞台で神々が多く登場するということで、ロシア語のセリフが格調高く内容も壮大。“神らしさ”を演じる苦労もあったというが、ギリシャ神話の神々は概して人間臭い。前半、動きが少なくやや単調だったが、終盤にいくほど舞台が面白く展開した。ソログープは20世紀初頭の「銀の時代」の作家だそうだが、ロシア象徴主義の傑作らしく、愛と死をヨーロッパ文化の源を使って描きだした。

 また、ペテルブルクからの留学生も出演して団員層に広がりが生まれ、劇団コンツェルトにとっては新しい地平が開けた公演となった。

(文:滝沢 三佐子/撮影:ロシア語劇団コンツェルト)

 

【演劇】桐朋学園芸術短期大学 芸術家演劇専攻57期ストレートプレイコース卒業公演「桜の園」

2月14日 於:六本木・俳優座劇場

 演劇を専攻する「俳優の卵」たちによるチェーホフの「桜の園」。

 意外にも主役ラネーフスカヤを演じたのはモンゴル出身の学生、バトアムガラン・エンフトゥールさん。母国語が日本語でないにも関わらず、堂々とした美しき女領主を演じ、まさにイメージどおりのラネーフスカヤ。家計が傾いても贅沢な生活がやめられない彼女は、思い出深い桜の園を借金のかたに競売にかけるはめになり、彼女の元農奴が競り落として引っ越していくはめに。そんなラネーフスカヤの休まらない神経を、丁寧に演じていてとても好感が持てた。

 なお、男子学生より女子学生が多いため多くの男性役を女優が演じた。ダブルキャストでの4公演中、筆者はCherry組を鑑賞したが(もう一つはBerry組)、中でも老執事フィールズ(下坂夏緒さん)のとぼけた老人ぶりには爆笑。桜の園を競り落とす商人ロパーヒン(宇崎花怜さん)、皮肉な寄食者ヤーシャ(富永美希さん)など、女優が演じた男性役としては非常に個性的で楽しめた。

 衣装はかなり本格的で、チェーホフ時代の服装がかなり忠実に再現されていた感じ。パーティシーンでのダンスや、花吹雪の効果も加わって、単なる「静劇」ではなくメリハリある「桜の園」だった。

(滝沢 三佐子)

 

【映画】「小さい逃亡者」を観て

 露語教室のテキストに、ロシアで有名な道化師ニクーリンが出てきて、織田先生が持っているDVDを紹介し、生徒に貸し出してくれました。先生はこの映画を見てロシア語の響きと心優しい人々、美しい自然に惹かれて、ロシア語に興味を持たれたとのこと。

 DVDの説明書によれば1966年日本初の日ソ合作映画。ストーリーは、孤児になった少年・健は流しのヴァイオリン弾きの叔父に育てられていた。芸術家だった父の血筋を引いてヴァイオリンが上手い。ある日健は叔父から、父が生きていてモスクワにいると聞かされ、ひとりモスクワに行くことを決意する。そんな時ポリショイサーカスが来日し、健は道化師のニクーリンと出会い、モスクワに連れて行ってほしいと頼み込むが、誤解からすれ違いになってしまう…音楽担当に有名な作曲家ハチャトゥリャンの弟がボリショイ劇場の指揮者であり、参加している。

 素晴らしい作品です。途中何度も泣けました。まず女の子の花売り。主人公の流しもそうですが、日本はこういう時代があった。子供の頃に宮城まり子「ガード下の靴磨き」も流行りました。今若い人にこんな話しても全く理解不能でしょう。日本は豊かにはなったが、この映画のような温かい心はどの位残っているでしょうか。小泉悠の本を読むと、ロシアにはまだこういう人達がいるようです。彼はロシアでの生活で、何度も助けられた例を書いている。自分も海外生活が長く、そのような経験が沢山あります。その恩返しのために色々な語学を勉強し、定年後に大学院に入学して中央アジア経済発展の論文を書いている。

 子役・ニクーリン・宇野重吉は、現代映画のような説明的おしゃべりではなく、少ないセリフと表情で演技をしている。昔は日本もこういう映画を作れた。ロシアの脚本家の助けもあったものと思いますが、是非これからも日露合作でこのような映画を作って欲しいです。

(村越)

 

【映画】「未体験ゾーンの映画たち2024」

ヒューマントラストシネマ渋谷

 今年で13回目。様々な理由から日本公開が見送られる作品を集めた映画祭。今回は、ウクライナから『オン・ザ・フロント・ライン~極限戦線』(原題:Мирний-21、2023年)、ロシアから『ザ・パイロット』(原題:The Pilot:A battle for survival)が選ばれ、公開された。

『オン・ザ・フロント・ライン~極限戦線』は2014年のドンバス地域での戦いを舞台に、国境防衛と人質奪還に身を投じる兵士たちの姿をリアルに描いた実話戦争アクション。

 『ザ・パイロット』は、独ソ戦の前線において、壮絶な空中戦のすえ敵地に不時着してしまったパイロット・ニコライの、決死のサバイバル。

 昨今の両国は、現状を反映してか戦争物が多いが、ロシアに関しては過去の戦争に題材を採るものがほとんど。どちらも国家のサポートを受けたり、大きな予算を計上して制作している。そのため非常にリアルで緊迫感あふれるものだが、これらの作品に対する評価が、今後どう変わっていくか注目される。

(滝沢 三佐子)

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チェチェン連絡会議シンポジウム

チェチェン連絡会議シンポジウム
「侵攻から2年、ウクライナをめぐる課題と北コーカサス山岳共和国連邦再興構想」

 2月24日で侵攻開始2年になるのを前に、チェチェン共和国の平和と人権回復を求めてきたチェチェン連絡会議がパネルディスカッションを開催。岡田一男氏(映像作家)、林克明氏と常岡浩介氏(ジャーナリスト)、青山正氏(同連絡会代表)、そして谷川ひとみ氏(北コーカサス歴史研究博士課程在籍)が登壇、それぞれの専門による最新情報を語った。

 常岡氏は「ウクライナでのチェチェン独立派の動向」について、最新報告を行った。チェチェン紛争によって欧州へ逃れたチェチェン人は約30万人、その中にはシリアの反体制派支援やドンバス紛争へ参加した者も多く、現在はウクライナ戦線に1000人以上が参戦している。ただし、その資金源は中東のイスラム過激派との絡みが複雑なものとなっており、最近は活動頻度が減少しているともいう。また林氏は「チェチェン、ウクライナそしてパレスチナ」というテーマで、強権的国家に蹂躙される国々の人々を、青山氏が「ウクライナ問題から問い直す日本の平和・リベラル主義」と題して、反米と同時にウクライナ批判を繰り返すリベラル組織を弾劾した。

 メインテーマ「北コーカサス共和国」構想は、岡田氏が報告。昨年8月1~2日に東京で開かれた「第7回ロシア後の自由な民族フォーラム」参加報告を基に、チェチェン亡命政府外相のイナル・シェリプ氏との今後の動向が語られた。これによると、1864年ロシアによって民族の95%が殺害されたクリミア半島のチェルケシアを教訓に、ロシアの民族抑圧からの解放をめざして1918年に建国された北コーカサス山岳民族共和国連邦(ジョージア領アブハジアからアディゲ、カラチャイ・チェルケス、南北オセチア、イングーシ、チェチェン、ダゲスタンを含む地域)を再興させるべきというもの。その可否はともかく、「ポスト・ロシア」を構想する人々が多くいることには注目すべきだろう。

 最後に谷川氏が「ウクライナと北西コーカサス」というテーマで、ロシア領にとどまっている北オセチアにおける対ロシア観、外国エージェント法によるチェルケス人ディアスポラ相互交流の途絶などについて、現地で見聞きした事象を報告した。

(滝沢 三佐子)

 

投稿歓迎!

 「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。ユーラシア(旧ソ連地域)関連の投稿をお待ちしています。
 催し物の感想、旅行記、講評、写真、絵などさまざまなジャンルの投稿を歓迎します。
 作品は自分のオリジナルか著作権者の許可を得たものに限ります。
 デジタル画像はテキストファイルに貼りつけず、別ファイルでお送りください。
 また、ペンネームや注意事項があればお書き添えください。毎月末締切、翌月15日頃に発行見込み。

※投稿記事は誹謗中傷や公序良俗に反するもの以外ほぼ原文のまま掲載していますが、必ずしも協会としての見解を反映するものではありません。

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中世ロシア興亡史講義 ~歴代君主の素顔とその真実~ 862-1598

今月は休載です。
先月号までの本文は協会サイト内 中世ロシア興亡史のページ をごらん下さい。

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