とき:12月10日 14時~16時半
ところ:横浜平和と労働会館4F
参加費:会員800円、非会員1,000円(要事前申し込み)
講師:青島顕氏(毎日新聞社記者)
詳細は来月号にてお知らせします。お楽しみに!
今年は音楽映画の最高峰と言われる『シベリヤ物語』日本公開から85年となります。
日本中に戦争の傷跡である焼野原が残っていたころ、その傷を癒すかのように「うたごえ運動」が始まり、日本中に広まりました。それはこの『シベリヤ物語』がきっかけでした。85年経とうとも、全く色あせることのない音楽のすばらしさ、ロシアの雄大さを描いています。
今回は横浜平和と労働会館2Fの神奈川合唱団に「バイカル湖のほとり」の合唱依頼もしています。是非、ご参加ください。
日時:2023年11月26日(日)14時~
会場:横浜平和と労働会館5階教室
参加費 500円(黒パン・紅茶付き)
2023年9月10日の日曜日に、第8回目の標題の交流会が日ロ合計21名の方々が参加して開催されました。
ロシア側からはウリヤノフスク、ウラジオストク、ムルマンスクの方々が、そして今回新しくサマラからも1名が本交流会に参加しました。
日本からは神奈川県協会の方々と城東支部が参加し、参加者からは、以下の大変興味深いプレゼンテーションがありました。(なお、ロシアの方々からは旅におススメのロシアの街の紹介もありました)
ウリヤノフスクからは、タタルスタン共和国のカザンについて、カザン近くのスヴィアジュスク修道院(世界遺産)、サンクトペテルブルグの紹介、そして日本で行きたい街として笠間市にある合氣神社の紹介がありました。
ウラジオストクからは、モスクワ近郊のオプチナ原野修道院(現場から生中継)、カムチャッカ半島の火山、海、動物などの自然の醍醐味、旅行に行きたい日本の都市、についてのお話がありました。
ムルマンスクからは木曽路、京都、趣味のマージャンについてのお話がありました。
サマラの方からは吉田松陰が歩いた福島から新潟への会津街道を訪問したい、との話がありました。ロシアの方々は私たちも知らない日本の文化、歴史について深い関心を持っていることに驚きました。
日本の神奈川県協会からは、ハバロフスク市の人々との交流、モスクワ市の思い出、ウラジオストク、訪問したいロシアの都市についてのお話があり、城東支部からはウラジーミル・スーズダリ(世界遺産)の話がありました。
なお、ムルマンスクから参加した福島さんからは、8月にロシア国内旅行した際にウリヤノフスク市を訪ね、この交流会に参加しているメンバーとの交流を行った、との報告がありました。ロシア国内でも本交流会は相互の親睦の輪を深めています。
質疑応答においても活発な発言があり、参加者は互いの文化について理解を深める大変有意義な時を過ごすことが出来ました。
(東京城東支部 柴田)
料理教室ではなく、料理会。
今回、プロ講師やネイティブ講師に教わるのではなく、誰でもすぐに作れる簡単料理を作って、参加者で食べる「お手軽で気軽な」料理会を開催しました。
参加者は語学教室から2人、非会員が2人でした。料理は「海軍マカロニ」と「陸軍カーシャ」です。カーシャを煮込んでいる間に、海軍マカロニを作りました。時間は2品合わせて40分程度で済みました。そして、料理をほおばりながらの楽しい会話。
また、このような簡単料理会を開催したいものです。
(関戸)
9月30日(土)、第139期ロシア語・ウクライナ語入門体験講座が無事終了しました。このような情勢下でもなお、興味を持ってご参加くださった皆様に心より感謝を申し上げます。
13時からの「ロシア語入門体験1」は竪山洋子先生担当。参加者2名は学習経験のある方々だったため、竪山先生は最初からロシア語のみで話し、大きな声で迫力のある授業を進めていました。
14時からの「ロシア語入門体験2」は菅原彩先生担当で参加者4名。教科書や学習方針の説明から丁寧に始め、45分の講座の終わりには参加者同士で簡単な挨拶と自己紹介のやりとりができました。
15時からの「ウクライナ語入門体験」はジェルーリ・ラリーサ先生担当で、参加者はご夫婦の2名でした。実際の授業で使うウクライナ語教科書の最初の方の学習を体験し、ウクライナ事情の話も出ていました。
入門クラスはいずれも原則として対面授業になりますが、教室に通えない方にはオンラインで同時に受講していただくことも可能です。
2名以上の受講お申し込みがあればクラスが成立しますので、ぜひご検討ください。
新学期の入門クラスは10月14日(土)14:40よりロシア語(菅原先生担当)、10月18日(水)19:00よりロシア語(竪山先生担当)、同じく10月18日(水)19:00よりウクライナ語(ラリーサ先生担当)の開講を予定しています。
横浜ロシア語センター第139期は10月14日(土)より順次開講予定。毎週月曜~日曜、入門・初級・中級・上級・会話・演劇・講読クラス等があり、初級以上のクラスは継続受講者が2名以上なら持ち上がりで前期と同じ時間帯と講師で開講し、前期の続き、または新しい課題を学習します。
詳細はホームページをご覧ください。
皆様の受講お申し込みをお待ちしております!
横浜ロシア語センターホームページの「研究室」欄に、ロシア語文学読解講座の受講生によるチェーホフの短編小説の翻訳を掲載しています。
第138期文学講読個人レッスン受講生の「恋について」全訳、第137期文学読解講座受講生の「中二階のある家 とある画家の話」全訳です。近日中には第137期講読の「可愛い女」も追加掲載予定です。
指導はいずれも竪山洋子先生です。「中二階のある家」のページには先生からのコメントも掲載していますのでぜひお読みください。
Всех желающих изучать японский язык мы приглашаем на индивидуальные курсы японского языка при обществе ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава.
Наши курсы ориентированы в первую очередь на русскоговорящих, проживающих в Японии, поэтому большинство наших преподавателей владеют русским языком на высоком уровне. Возможны аудиторные и онлайн-уроки. Мы внимательно выслушаем Ваши пожелания и подберём оптимальную учебную программу.
За справкой обращайтесь по электронному адресу eurask2@hotmail.co.jp или в офис общества ≪Япония-Евразия≫ префектуры Канагава (просьба заранее сообщить о своём визите по электронной почте).
ロシア語を母語とする方を対象に、日常会話や日本語能力検定試験対策など、受講生の目的やレベルに合わせて個人レッスンで丁寧にお教えします。
講師はロシア語を交えて、または日本語のみの直接法で授業を行います。
詳しくはホームページ(日本語版・ロシア語版完備)をごらんください。
毎月原則2回、土曜日に開講中。レッスンでは基本奏法、譜読みから音楽理論、デュオから基本的なアンサンブルまで学べます。
10月のレッスンは14日、28日の予定です。
時間:14:00~17:45の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館6階会議室
138期ロシア語・ウクライナ語講座が終講し、139期講座が10月14日で、退会する人もなく、新しく入会するひともないので、9月末の会員数は、8月末と同じ211人のままです。
(木佐森)
NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 | 2023/9/30 | ||
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単位:円 | |||
摘 要 | 本年度当該月収入 | 前年度当該月収入 | 対前年度増減 |
一般会計 | 184,200 | 210,050 | -25,850 |
教育事業 | 2,125,000 | 2,438,530 | -313,530 |
一般事業 | 60,211 | 106,563 | -46,352 |
合 計 | 2,369,411 | 2,755,143 | -385,732 |
摘 要 | 本年度当該月支出 | 前年度当該月支出 | 対前年度増減 |
一般会計 | 546,304 | 521,564 | 24,740 |
教育事業 | 397,870 | 445,240 | -47,370 |
一般事業 | 14,551 | 36,386 | -21,835 |
支出合計 | 958,725 | 1,003,190 | -44,465 |
当該月収支 | 1,410,686 | 1,751,953 | -341,267 |
累計収支計 | 1,314,432 | 1,205,053 | 109,379 |
昨年に比べ、収入が軒並み少なくなっています。特に教育事業収入が30万円も少なくなっています。
9月30日のロシア語・ウクライナ語体験講座には、6人の方がいらっしゃいましたが、今のところ受講の申し込みがありません。
138期もロシア語入門クラスが成立しなかったので、2期に渡り入門クラスがないとなると、このままでは、今後のロシア語教育が心配になります。なんとか入門クラスの成立を期したいと思います。
(木佐森)
ナゴルノ・カラバフの現状を知ってもらうために、アルメニア市民応援セールをしています。
みなさん、この機会にアルメニアを食べて、飲みましょう!
※商品は桜木町の協会事務所でのみ販売中です。
現品限りにつき売り切れの際はご容赦ください。
全てガラス瓶入りのため取り扱いにご注意ください。
左から (1) アプリコット (2) ピーチ (3) チェリー (4) マルメロ
4種全て
原産国名 : アルメニア
内容量 : 750ml
砂糖不使用
保存方法 : 直射日光・高温多湿を避け、開封後は冷蔵庫で保存
(1) アプリコットジュース \700→\400
アルメニア産のあんずとりんごをブレンドした100%ジュースです。
原材料 : あんず, りんご
賞味期限 : 2023年12月8日
(2) ピーチジュース \700→\400
アルメニア産の桃とりんごをブレンドした100%ジュースです。
原材料 : 桃, りんご
賞味期限 : 2023年12月1日
(3) チェリージュース \700→\400
アルメニア産のチェリーとりんごをブレンドした100%ジュースです。
原材料 : チェリー, りんご
賞味期限 : 2023年12月2日
(4) マルメロジュース \800→\400
アルメニア産のマルメロとりんごをブレンドした100%ジュースです。
原材料 : マルメロ, りんご
賞味期限 : 2023年12月6日
原産国名 : アルメニア
原材料 : ひよこ豆, 食塩, 砂糖
内容量 : 375g
賞味期限 : 2023年11月18日
ひよこ豆をトマトで和え、クミンを中心としたスパイスで味付けした惣菜。
原産国名 : アルメニア
原材料 : ひよこ豆, トマト, 玉ねぎ, ひまわり油, 食塩, 砂糖, クミン, パセリ, ディル, 黒胡椒
内容量 : 355g
賞味期限 : 2023年11月26日
金時豆をトマトやジョージアのスパイス「フメリスネリ」で味付けした惣菜。
原産国名 : アルメニア
原材料 : いんげん豆, くるみ, 玉ねぎ, トマト, ひまわり油, にんにく, 食塩, 黒胡椒, フメリスネリ, 赤唐辛子, パセリ
内容量 : 370g
賞味期限 : 2023年11月18日
9月末にウ4州併合の祝典があり、更に4州住民を含む最大13万人規模の徴兵令が発動されたロシアから、2023年9月第3-4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中5曲と新曲の嵐!
19歳のシンガーソングライター・ダーシャの新曲≪Лето летай≫(夏よ飛んで)が10位にランクイン。
9位にアーゲーヴェーの≪Я плачу≫(私は泣く)がランクイン。ロストフ出身のアルメニア人で、芸名は自身の氏名の頭文字から。バスタやパンダの楽曲を愛するラッパーです。
侵攻を直後から非難し、露文化省の「国外追放リスト」にリストアップされ、露法務省からも「海外エージェント」指定されてもどこ吹く風、7位にお騒がせモルゲンシュテルンの≪Чёрный русский≫(黒いロシア人)がランクインしました。
露最高学府モスクワ国立大学卒ラッパー、モトは最近よくメディアに登場します。アルティック&アスティとのコラボ≪За горизонт≫(地平線の向こうへ)はまだTOP上位をキープしていますね。でも更に今月は新譜≪Случайности не случайны≫(偶然性は偶然ではない)が登場し初登場5位と、なかなかいい位置です。
先月クライムブレリの新曲≪Мне так повезло≫(私はとってもツイている)がTOPに返り咲きましたが、再び首位奪取されました。今月の首位は、作曲家であり音楽プロデューサーであるレフトフが作詞家グツェリエフとタッグを組み、シンガーソングライターとして挑んだ新曲≪Дом убит≫(家が殺された)です。僅か3週間前にリリースされたのにも拘らず、現在のYouTube再生回数は93万回と、驚異的な伸びを見せての首位。おめでとうございまーす!:-)
(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2023年9月15日~21日/MOPA)
画像は https://vk.com より
※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。
ユーラシア協会会報に同封されていたチラシの中から、フランス映画「世界のはしっこ、ちいさな教室」とウクライナ映画「キャロル・オブ・ザ・ベル(家族の絆を奏でる詩)」を、9月24日横浜のジャック&ベティで見てきました。
「ちいさな教室」は、ブルキナフファソ・バングラデシュ・シベリアで、小学校の女性教師のドキュメンタリー映画。識字率の低い貧しい村で、子供たちに国語と算数を教え、そして中学校に進学させる苦労話です。ただし単に憐れみや同情を誘うのではなく、3人の女性の子供への惜しみない愛はもちろん、たくましい根気と忍耐が伝わって来て、力をもらいます。
ブルキナフファソは子供達の中に5つの現地言語があり、そこで公用語のフランス語を教える。バングラデシュは学費を心配する母親に、女性の学問の必要性を熱心に説得する。シベリアは雪原でトナカイの飼育をしているモンゴル系の顔立ちのエヴェンキ族で、クラスノヤルスク地方、サハ共和国、中国北部にも居住している。教室は大きなテントをトナカイで運んで組み立て、薪ストーブを焚いてロシア語を教える。ヒマラヤに3回遠征し、テント暮らしをした自分でも、とても真似ができません。
ウクライナ映画は2021年の作で、第二次世界大戦下、ウクライナにいるポーランド人・ユダヤ人・ウクライナ人の家族が、ドイツ兵・ロシア兵に迫害・弾圧を受ける話です。しかし暴力シーンや戦争シーンはほとんど無く、重要な場面でウクライナ民謡が主人公の女の子たちに美しいハーモニーで歌われるすばらしい映画です。
彼女たちの親が去られたり、射殺されたりするストーリーですが、ドイツ兵やロシア兵の残虐さ・横暴さを誇張し憎悪を駆り立てるだけの日本でよく見る話とは違い、これらの民族がどういう迫害・弾圧を受けたか素直に理解できる。さらにラストは温かく終わり、悲惨な映画なのに心の醜さや憎悪が残らず、平和とは何か、冷静に考えさせられる。ハリウッドでは絶対作れない映画で、一見の価値があります。
(村越)
9月9日 於:下北沢 シアター711
この劇団のチェーホフ作品鑑賞は、「かもめ」について2作目。チェーホフ劇の登場人物たちとの距離はわずか数メートル。ミニシアターならではの距離感の中、今回の「ワーニャ伯父さん」は、登場人物たちの感情の起伏が際立った舞台だった。
理想を追い求めながら、年齢とともに世俗に流されることを嘆く医師アーストロフ、彼を恋い慕うワーニャの姪ソーニャ、わが事にしか関心のない元教授のセレブリャコフ、彼の妻で周囲を惑わせるエレーナ、セレブリャコフに心身を捧げて裏切られたと激怒するワーニャ。それぞれの力関係がどうにもならない限界まで引っ張られて、元のさやにおさまっていく。物語の進行の中で、どの人物が「磁場」になるのかがよくわかる演出だった。
特にソーニャが父セレブリャコフに向かってワーニャを擁護するシーンや、エレーナが自分のみじめさを嘆くシーンなど、何かを訴えるときの熱量は迫力満点。場面転換のテンポも軽快だった。
小型なラジオが小道具に使われていることには若干の違和感があるものの、シックな衣装、安易にロシア民謡を使わずに、心にしみるギターの音楽を使うなど、ロシアものであることをことさら強調しない素朴さが目を引いた。
今回はストーリーを導く部分以外はカットされていたので、ワーニャの「首を吊るにはいい日和だ」や、ソーニャの「私は器量が悪い」などの印象に残るセリフは語られず残念だったが、そのかわりアーストロフとエレーナの別れのシーンにおいて、抱擁ではなく接吻までやってしまった。赤い服をまとったエレーナは、戯曲のト書きを越えていった。教授のお飾りではない、意思のあるエレーナを垣間見た一瞬である。
(文:滝沢 三佐子/写真:劇団提供)
8月7日 於:東京・PARCO劇場
渋谷のミニシアター、イメージフォーラムが毎年行っている自由な映像作家の作品コレクション、イメージフォーラムフェスティバル。今年はロシアの作品が「エクスペリメンタル・パノラマ」部門で30分弱の短編3作が上映された。
テーマは“ギャザリング・クラウド~フィルム・イン・シェルター~”で、ロシアのほかミャンマー、香港、コンゴなど、クリエイターにとって政治的に危機的状況にある地域の作品が並ぶ。
ロシアの作品は以下のとおりだが、いずれの監督もウクライナ侵攻後、国外に脱出という運命をたどっている。
(ウラドレナ・サンドゥ 監督作品、2022年、オランダ・ロシア)
クリミア生まれのウクライナ人のサンドゥ監督が、「MEMORY」という作品のため、育ったチェチェン共和国のグローズヌィの現在を撮影している。どこもかしこもプーチンとカディーロフの肖像画にあふれたかつての故郷は、自然あふれる美しい場所だったが、強制移住とチェチェン戦争で踏みにじられた。撮影中にウクライナ侵攻が起き、監督は急遽ロシアを脱出。撮影されたフィルムは亡命先のアムステルダムでカディーロフの言葉「文化なくして国家なし」という題名がつけられた。
(ヴァディム・コストロフ監督作品、2023年、ロシア)
二人の若い男女が夏の一日を水辺で楽しくすごしている。冗談を言い合う彼ら。彼らは大学受験をひかえた彼女と、徴兵され明日入隊するという彼だということがわかる。ホームビデオで撮影された手振れ満載の映像が、最後の自由の瞬間を惜しむ若者の複雑な心境を映し出す。後日談として彼らは結局別れてしまい、彼の生死は不明、戦争に反対するというテロップが流れる。
(アレクサンドラ・カレリナ監督作品、 2022年、ロシア)
モスクワのアパートで電磁波をつかまえる実験を繰り返す若い男女。「狐の窓」という日本語の本を読み、窓から見える風景をとらえようとする男。ロシアの不条理な政治状況を反映させたディストピアSFで描いた前衛的な作品。
上映後、現在台湾に亡命中のキュレーター、ウラジーミル・ナディン氏のティーチ・インが行われた。氏によると、現在、多くのアーティストが国外へ脱出しているが、脱出先がばらばらなため、連携をとることは難しいとのこと。彼らの多くは、ウクライナ侵攻後のロシアにショックや罪の意識を感じているが、滞在ビザや制作上の関係でロシアに帰国せざるを得ない人もおり、国外での生活の厳しさが察せられた。
今回上映された作品は、製作途中でウクライナ侵攻が起こり、当初のテーマと異なった作品に出来上がったという。国内に残るアーティストは、政府のプロパガンダに追随する人もいる一方で、厳しい抑圧の中で生きていかざるを得ない人もいる。国外に出た自分たちクリエイターは、その自由な立場を存分に生かして作品を作っていくしかないと力説した。
(文:滝沢 三佐子)
ナターリヤ・セメンチェンコ著/織田桂子訳/未知谷/定価2,000円+税
今年2023年9月15日に発行された『ウクライナの真実』は、横浜ロシア語センター講師の織田桂子先生が翻訳されたものです。「訳者あとがき」の中に、翻訳を決意するまでの経緯が書かれています。
「2022年2月24日、ロシアのウクライナ侵攻が始まった日、私はその事実を受け止めることができなかった。…十五年前にガイドの仕事で、ウクライナのご夫婦を日光と箱根にご案内したことがあった。…二三度の手紙のやり取りがあり、奥様であるナターリヤ・セメンチェンコ氏がご自身の著書を送ってくださった。…侵攻があって、私はもう一度読み始めた。そしてそのうちに訳さなければと思った。長い歴史の中で独立を希求しながらも20世紀末までそれが果たせなかったウクライナの苦しみと、その中でも文化、伝統、ウクライナ語を守り抜いたその強さ、そして自国を愛するが故の様々な氏の提言で、国家にとって大事なものは何かを私はこの本から教わったように思う」
そして、「何とか一年かけて訳し終え」、かつて教えていただいたアドレスにメールしたが「お返事はなかった」。あきらめかけた時、編集者に「もう一度ご本人に連絡を」と言われて「私の携帯に奇跡的に残っていた女史の電話番号と共にあったアドレスにメールを送った」、すると「二日して彼女からメールが届いた」。
これだけでも、この本はどんなものだろうと思いが沸き上がって、ワクワクしてきます。そしてセメンチェンコ氏の日本語版への思いはもっと凄い。それは、冒頭の「親愛なる日本の読者の皆様へ」に書かれています。
「今、手にされているこの本は、極めて簡素化した形ではありますが、私どもの国ウクライナについて十分に豊かに情報を集めたものです。…一番最初に攻撃を受けたとき、私と息子はミサイルが落ちた交差点から百メートルのところに居ました。車で学校に向かっていたところでした。爆発はとても激しく、車がぴょんと跳び上がり、周りの建物からガラスの破片が飛び散りました。…この本は戦争が始まる12年前に書かれたものです。そして、この本は戦争についての本ではありません。この本はウクライナの歴史の流れの中でずっと独立を手にしようと、自らの文化や伝統を守ろうと努めてきた民族についての本です」
この言葉だけでも、この本を読まなくてはいけないと思いました。
第一章 ウクライナ国家の形成
第二章 二十世紀のウクライナ
第三章 言語の問題
第四章 ウクライナにおける教育
第五章 ウクライナ社会における宗教問題
第六章 ウクライナにおける政治権力
第七章 政治体制の交代・結果
第八章 世界におけるウクライナ
(木佐森)
オリア・ハーキュリーズ著/誠文堂新光社/本体4,200円+税
タイトル通り、サマーキッチン(ダーチャ、夏の家)にて筆者の祖母や母、隣人たちが作っていた料理のレシピ本である。オールカラー、351ページと電話帳並みのボリュームがある。料理の写真のみならず、夏の家での暮らしや筆者の思い出なども紹介されていて、レシピ本として活用できるほかに、豊かなウクライナの大地を映し取った写真集としても楽しめる。
特に、保存食や季節によって色が変わるボルシチ、ライ麦の天然酵母を使ったさまざまなパンなど、ウクライナの人々の生活の知恵や丁寧な暮らしがにじみ出ている。日本で入手できない食材もあるが、代用品を探してみても楽しいだろう。
ハーキュリーズ氏はイギリス在住のウクライナ人シェフ。このレシピが単なる追憶ではなく、現代に受け継がれていくことを望んでいる。
(滝沢)
「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。ユーラシア(旧ソ連地域)関連の投稿をお待ちしています。
催し物の感想、旅行記、講評、写真、絵などさまざまなジャンルの投稿を歓迎します。
作品は自分のオリジナルか著作権者の許可を得たものに限ります。
デジタル画像はテキストファイルに貼りつけず、別ファイルでお送りください。
また、ペンネームや注意事項があればお書き添えください。毎月末締切、翌月15日頃に発行見込み。
※投稿記事は誹謗中傷や公序良俗に反するもの以外ほぼ原文のまま掲載していますが、必ずしも協会としての見解を反映するものではありません。