NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会

今月の予告はありません。

板垣さん(横浜)の炊き込みご飯 炊き込みご飯(横浜)
板垣さん(横浜)の炊き込みご飯 冷やし中華(城東支部)
板垣さん(横浜)の炊き込みご飯 ピロシキ(ウリヤノフスク)
板垣さん(横浜)の炊き込みご飯 きのこ料理(ウラジオストク)
板垣さん(横浜)の炊き込みご飯 メレンゲ菓子の花束(ウラジオストク)

アクローシカは別個にクワスを飲むのが良い!?
ウリヤノフスク・ウラジオストク・東京・横浜 ロシア語・日本語オンライン交流会

 夏のロシア語日本語交流会は、「夏の自慢料理」の紹介です。8月21日(日)18:00(日本時間)に始まった交流会は、まず日本側、横浜から板垣さんが紹介する「麺つゆと炊き込みご飯」です。本格的な「あご、昆布、鰹節のだし汁」作りをロシア語で説明しました。炊き込みご飯は鯛を焼いて解したり、エノキダケを干すところから始まりました。

 続いて、城東支部の柴田さんによる「冷やし中華」の紹介ですが、江戸時代からのそばの歴史や、ラーメンから「冷やし中華」への発展を、江戸の「掛け蕎麦」と「ざるそば」の話を交えて説明。

 ウリヤノフスクからは、まず「ジャガイモのピロシキ」、そして「アクローシカ」が紹介されました。ピロシキの皮が本当に美味しそうです。日本では、アクローシカは夏のスープだと思われていますが、そうではなくて「ラディッシュ」が採れる時ならば、夏に限らず作るのだそうです。また、女性はラディッシュやトマト、その他の野菜やソーセージを細かく切ったものをサラダ感覚で食べて、クワスを別に飲む方が好きな人もいるとのこと。今回の参加者の中にも、「いつも、クワスは別に飲んでいる」と言った女性が2人いました。アクローシカのクワスの替わりにビールはどうかとか、ヨーグルトではだめかとか、日本側からいろいろな質問が飛び交いました。

 ウラジオストクからは、マリーナさんが近くの森で採取した「きのこ料理」と、現在、大阪に来ているハリネズミさん(Zoom名)が「メレンゲで作ったバラの花」を紹介してくれました。マリーナさんによると「昨年はとても少なかったが、今年はきのこがたくさん出た」とのこと。メレンゲで作った「バラの花、花束」はとてもきれいで、食べるのがもったいないようでした。

 参加者は、ウリヤノフスクから10人、ウラジオストクから3人、日本側から12人の計25名でした。これからも、時々は料理教室をやって行こうということになりました。

(木佐森)

 
カリーニングラードを知る会

カリーニングラードにカリーニンは住んだことも、来た事もない!?

 ユーラシア大陸の西の端、リトアニアとポーランドに囲まれたロシア連邦の飛び地「カリーニングラードを知る会」が8月28日(日)午後2時から平労会館4階会議室で開催されました。講師は、カリーニングラードで生まれ育って、6年前に来日され、横浜ロシア語センターでロシア語を教えているエカテリーナ・プレスカヤ先生です。

 カリーニングラードは、それまでケーニヒスベルクと呼ばれ、ドイツの哲学者イマヌエル・カント(1724~1804)が生まれ、教え、研究し、亡くなったプロシアの都市が、第二次世界大戦の戦塵が収まらない1946年に、当時のソ連邦に組み込まれたものです。

 プレスカヤ先生が作成した資料は78ページに及びましたが、その中で、カリーニングラード市の民族人口割合は、ロシア人87%、ウクライナ人4%、ベラルーシ人3%、リトアニア人0.4%、ドイツ人0.4%となっています。カリーニングラードの名前は、ロシアの革命家ミハイル・イヴァーノヴィチ・カリーニン(1875~1949)を記念して名付けられましたが、カリーニンは一度もケーニヒスベルクに、住んだことも来たこともないそうです。同氏が1946年に亡くなり、都合が良かったので、その名称が付けられたようだとのことです。ケーニヒスベルクとは「王の山」という意味ですが、プレスカヤ先生によれば、カリーニングラード州には、「山」と呼ばれるような丘や山はないそうで、「王宮」があったので、そこから来たのではないかということでした。

 また、カリーニングラードを含むこの地域は「琥珀」が名産で、全世界埋蔵量の85%を占めており、カリーニングラード市の中心地に琥珀専門店や琥珀博物館もあるとのことです。琥珀については、同じようなネックレスでも700円と3万円とがあるし、「コパール」と呼ばれる、一見「琥珀の中に虫がいる」ような偽物があるので、注意が必要だとのことでした。

 「カリーニングラードを知る会」は対面のみで実施され、当日の出席者は20人でした。

(木佐森)

 
教室廊下 教室廊下

夏休み中に教室廊下の床張り替え工事を行いました

 夏休みの間に、横浜平和と労働会館5階の当協会教室廊下の床の張り替え工事を行い、ごらんのようにすっかり綺麗になりました。

 横浜ロシア語センター講師のヴァレリヤ先生と五十嵐さんのご夫妻で周囲も美しく整理整頓して下さり、本棚と教室のドアにはロシア語を添えた可愛いイラストも添えられました。

 本棚にはПОЧИТАЕМ?(読んでみませんか?)、ドアにはДобро пожаловать!(ようこそ)とあります。

 工事の前には木佐森会長と、ロシア語個人レッスン受講生のIさんも準備を手伝ってくださいました。

 これからまた気持ちよく勉強や活動ができそうですね!

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教室公開日

横浜ロシア語センター 第137期 教室公開日

 当日は教室案内、入門体験講座、学習相談、ロシア語での一言スピーチ交流会、筆記体のカリグラフィー講座など、楽しい企画を用意してお待ちしています。
 ロシア語に関心のある方、これから始めたい方、どなたでも歓迎します!

日程:9月17日(土)、10月1日(土)
時間:10:30~16:00
参加費:無料
場所:横浜平和と労働会館5階教室&オンライン(Zoom)併用予定(状況によりオンラインのみで開講の場合あり)

内容:
10:30~横浜ロシア語センター案内(両日)
11:15~入門体験講座(講師:大山麻稀子=9/17、菅原彩=10/1)
12:00~学習相談(両日)
14:00~ロシア語受講生交流茶話会(9/17)
14:00~カリグラフィー講座(10/1、講師:大山ひろみ、材料費300円 オンライン参加の方は用紙とペンをご用意ください)
ロシアの茶菓子試食(両日、状況により提供中止の場合あり)

 イベントの詳細は横浜ロシア語センターホームページをごらんの上、参加ご希望の方は事前にご予約ください。

 

ロシア語能力検定対策講座

 9月10日(土)、9月24日(土)と10月8日(土)10:30~12:00に標記の対策講座を行い、和文露訳・露文和訳、文法、聴取、朗読をおさらいします。
 4級対策講座(オンライン)は織田桂子先生、3級対策講座(対面)は大山麻稀子先生が受け持ちます。定員6名。
 受講生限定の無料講座ですが、検定受験予定がなくても参加可能です。
 お問い合わせは横浜ロシア語センター事務局まで。

 

9月25日(日)文学読解講座を公開

 9月25日(日)10:30~12:00、Zoomにて文学読解講座(竪山洋子先生担当)の今期最終授業を無料公開することになりました。
 ロシア語検定3級合格相当以上の方、来期(チェーホフ「中二階のある家」「恋について」を講読)の参考にぜひごらんください。
 当日の課題はトゥルゲーネフ『初恋』最終章(22章)です。参加される方は前もってリンク先の原文にお目通し願います。
 お申し込みは9月21日(水)までに、横浜ロシア語センター事務局へ。

 

ロシア語秋期集中講座「句読点」

 火曜日に全4回シリーズで開講します。中級文法である関係代名詞や直接話法・間接話法などを既にある程度学んだ方が対象です。句読点の重要な規則を学び、作文や朗読に役立てましょう。

日程:9月20日(火)、9月27日(火)、10月4日(火)、10月11日(火)
時間:19:30~21:00 全4回
講師:須藤アレキサンドラ
受講料:一般15,400円、会員13,200円(全4回分、教材費込み)
講座やお申し込み方法の詳細は横浜ロシア語センターホームページにて。

 

常設ウクライナ語講座 10月開講!

 待望のウクライナ語コースを新規開講します!ウクライナ・チェルカースィ出身のジェルーリ・ラリーサ先生を講師に迎え、中澤英彦著「ニューエクスプレス・プラス ウクライナ語」等を使用し、水曜夜に初心者向け講座(対面)、金曜夜にロシア語履修者向け講座(オンライン)を予定しています。開講前の10月5日(水)、10月7日(金)にはそれぞれのクラスのトライアルも実施します。

 講座の詳細についてはホームページをごらんの上、奮ってお申し込みください。

 

夏期集中講座「中級総合レベルアップコース」実施報告

 8月5日、6日、7日、11日、12日、13日、14日の7日間、夏期集中講座「中級総合レベルアップコース」が行われました。申込者は定員を上回り、締め切り前に成立しました。

 総合力アップのために何にポイントを置くべきかについてヴァリナ・ヴァレリヤ講師が説明し、文法は動詞の要求と格変化から形動詞までの実習を行いました。

 また、野口は「発話力(ダイアローグ、モノローグ)、聴解、読解、作文力」を総合的にアップするためのトレーニング法に関して30分の講義を3回行いました。6名に限定したこのコースの受講者の皆さんのレベルには差がありましたが、お互いに助け合いながら多くの学習ポイントを学びました。コース最後の受講者インタビューでシラバスの到達目標はおおむねクリアできたことを確認することができました。

 反省点としては、実習の時間をもっと長く設定した方が良いことや、テクニカルな問題でホストが一度Zoomをスムーズに開始できず10分ほど遅れたことなどが挙げられます。

 今回、ヴァリナ講師が作成した実習教材は今後も活用できる質と量を満たすものですので、このような反省点を考慮しながら今後活用されることを期待します。

(野口)

 

ロシア民族楽器 バラライカ&ドムラ教室

 ロシア民族楽器を本格的に習える当教室は毎月2回土曜日にレッスンを行っています。
 9月のレッスンは3日、17日です。詳細はお問い合わせください。

時間:14:00~17:45の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館6階会議室

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組織状況

(2022年8月31日現在)

 会報に毎号連載されている「中世ロシア興亡史講義」の著者の川西信義さんが「心筋梗塞」のためお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りいたします。共同著者の大山麻稀子先生は「川西さんがお亡くなりになられたのは残念ですが、連載はできる限り続ける」とのことです。

 その他、イタリアに移住される方、仕事で海外赴任の方及び家族会員など4名が退会となりました。7月の会員数は225名でしたので、8月31日現在では221名となります。

(木佐森)

 

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2022/8/31
単位:円
摘 要本年度当該月収入前年度当該月収入対前年度増減
一般会計58,25062,400-4,150
教育事業198,967510,980-312,013
一般事業91,22551,88339,342
合 計348,442625,263-276,821
摘 要本年度当該月支出前年度当該月支出対前年度増減
一般会計780,136347,165432,971
教育事業442,215226,470215,745
一般事業10,0008,3201,680
支出合計1,232,351581,955650,396
当該月収支-883,90943,308-927,217
累計収支計-570,664-766,331195,667

 8月7日から21日まで、協会・ロシア語センターは夏休みでした。その夏休みを利用して、5Fの教室廊下の床タイル張替え(20万円)、と5F男子トイレの和式から洋式への改装(30万円)をしました。経費は合わせて50万円になりました。男子トイレの改装費については、学習協が半分負担することになっています。そのため、8月の一般会計支出は、昨年に比べ44万円ほど多くなってしまいました。

 また、昨年に比べ教育事業支出が多いのは、7月分講師料を8月になって支出したことによります。1月からの累計収支が、ついに赤字になってしまいました。10月からの新学期の授業料収入に期待がかかります。

(木佐森)

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ボロディンスキー・ライ麦パン

ボロディンスキー・ライ麦パン 350g / 540円(税込)

ライ麦モルトを使用し、じっくり長い時間をかけて発酵させる伝統のレシピで作られた黒パン。
おだやかな酸味と甘み、表面に載ったコリアンダーの独特の爽やかな香りが特徴です。
本場の味をぜひお楽しみください。
賞味期限:2022年11月20日
原産国名:ラトビア

 
ウクライナ産 アカシアはちみつ

ウクライナ産 アカシア&百花はちみつ 270g / 1,100円&850円(税込)

透明感のあるきれいな色、穏やかな甘さと優しい香りが特徴の「はちみつの女王」と呼ばれているアカシアはちみつ、さわやかな香りとマイルドな味わいが特徴の、自然に咲く木々の花や樹液から集めた百花はちみつ、どちらもお勧め。
日々の食卓に是非どうぞ。
原産国:ウクライナ
内容量:270g

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ロシア・トップ10

【芸能】Русская Десятка ロシア・トップ10

 占領したクリミア半島で爆破騒ぎが続くロシアから、2022年8月第3-4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。今月も10曲中4曲が新曲、1曲が返り咲き!

 露の最高学府モスクワ国立大出身のラッパー・モトの新曲≪Тряпки от кутюр≫(オート・クチュールの雑巾)が初登場9位にランクイン。

 ピッツァの新曲≪Мерцала≫(ゆらめく)が初登場7位にランクインしました。Pizzaは作詞作曲編曲家であるプリカズチコフが2010年に結成。MVでは地方の学校での学芸発表会の様子を表し、この日までに練習を重ねた子供達が様々な出し物を披露していきます。微笑ましくとても追憶的。

 ユーロヴィジョン2015で準優勝したガガーリナの新曲≪Вода≫(水)が初登場7位にランクイン。楽曲のコンセプトは「最初は暖かい夏の雨で魂の痛みを洗い流し、目を空に向け問いかけた後に答えを見つけ、その後魂からの疑いと失望を全て洗い流し、希望を与え、立ち上がるのを助ける」。そんな「生きた水」について歌ったとか。

 今やTOP10の常連ユニットArtik & Asti。Asti役がアンナからセヴィリに変わっても、人気の勢いは衰えていません。そしてプガチョワやチマチーなど大物アーティストとのコラボも多数のディージェースマッシュ。その2組がコラボした新曲≪CO2≫(二酸化炭素)が初登場5位に食い込みました。

 今が旬なアンナ・アスティの新曲≪По барам≫(貴方はバーをハシゴして)が2ヶ月連続首位キープ。新曲は7月上旬にリリースされ現在YouTube再生回数は現在3000万回超え!おめでとうございまーす!:-)

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2022年8月12日~18日/MOPA)
画像は https://vk.com より

※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。

 
「バビ・ヤール」
「バビ・ヤール」
「バビ・ヤール」

【映画】「バビ・ヤール」

(原題:Babi Yar. Context、セルゲイ・ロズニツァ監督作品、オランダ=ウクライナ)

 昨年から今年にかけて、「国葬」「ドンバス」など、ドキュメンタリーとノンフィクション風の作品が公開され、反響を呼んでいるセルゲイ・ロズニツァ監督の問題作。本作は、1941年9月29~30日にドイツ占領下のウクライナで起こったユダヤ人虐殺事件、いわゆる「バビ・ヤール大虐殺」をテーマとしたもの。

 ロシア、ドイツ、ウクライナに保存あるいは埋もれていた公私様々な映像アーカイヴを丹念に掘り起こし、レストアし、事件に至る一連の背景や後日の裁判に至るまでをナレーションなしで描いた異色のドキュメンタリーである。鮮明なアーカイヴ画像にも驚くが、これだけの貴重な資料を掘り起こしたロズニツァ監督の手腕にも驚嘆。ただし、原題にもあるように「コンテクスト(文脈・前後関係)」であるので、虐殺そのものが主題ではない。

 数々の興味深いシーンがある。例えば、ナチス・ドイツの傀儡政権を歓喜して迎えるウクライナ西部の人々。ソ連赤軍兵士らは一見して中央アジアや東洋人の顔、イスラム教徒とおぼしき顔。現在、ウクライナでよく歌われている「チェルボナ・カリーナ」の歌も聞こえてくる。ドイツ軍の捕虜になった兵士たちが迎えに来た妻のもとへ餞別つきで解放される。  そして、バビ・ヤール大虐殺の契機となったキエフ(キーウ)大通りでの大爆発事件が発生。実はソ連秘密警察が撤退直前に起こしたものだが、ユダヤ人の仕業とされた。

 ユダヤ人らはバビ・ヤールというくぼ地に“貴重品を持参”して集められ、身ぐるみはがされて銃殺されたのだった。その数3万3771人。事件は抹殺された。

 終戦後行われた軍事裁判で、サバイバーの女性が証言台に立つ映像がある。死体の陰で辛くも大虐殺を生き延びた彼女の証言は、日本軍が中国大陸で行った崖下での集団虐殺「平頂山事件」を思い起こさせる。ワシーリー・グロスマンの散文「ユダヤ人のいないウクライナ」の引用、沈黙のラストシーンは犠牲者への追悼のように重い。

 もともとウクライナは帝政以前から経済政策としてユダヤ人の受け入れに寛容で、それゆえユダヤ人が多く暮らしていた。ロシア帝国支配下ではユダヤ人襲撃(ポグロム)が繰り返し発生した。そうしたウクライナでの「遠因」があったとはいえ、ドイツ占領下でウクライナ人がユダヤ人虐殺に手を貸したという事実は衝撃である。ウクライナの出身者であるロズニツァ監督があえてこのような作品を作ったということは、忘却と記憶の悪用を防ぐ、人間として当然のことなのだ。

 9月24日より渋谷 シアター・イメージフォーラムほか全国劇場公開。

(文・滝沢 三佐子、スチール写真・(C) Atoms & Void)

 
「オルガの翼」

【映画】「オルガの翼」

(原題:OLGA、エリ・グラップ監督作品、フランス=スイス=ウクライナ、2021年)

 2013年のキーウ。新聞記者の母を持つ15歳の体操選手オルガ。母がヤヌコーヴィチ政権の汚職を追及する記事を書いたため、命を狙われ、彼女は父の故郷であるスイスのナショナル・チームに移籍する。その後起こったユーロマイダン革命。オルガはSNSを通してでしか状況を知ることができない。

 大会が近づくにつれ革命も激しさを増していくが、欧州選手権に出場するためには、ウクライナの市民権を放棄する必要があった。そしてオルガはある決断を下す。

 オルガを演じるのは、プロのアスリートであるアナスタシア・ブジャシキナ。スマホによるユーロマイダン革命の映像を交え、緊迫感あふれるドキュメンタリーのような作品。

 9月3日より渋谷ユーロスペース、10月8日より横浜シネマリンにて公開。

(文・滝沢 三佐子、スチール写真・(C) 2021 POINT PROD - CINEMA DEFACTO)

 
「ウェイターズ2022 Tokyo」 「ウェイターズ2022 Tokyo」

【舞台】RONE&Gigi(ロネ&ジージ)コメディMusicライブ「ウェイターズ2022 Tokyo」

8月13日 於:表参道ラパン・エ・アロ

 2月23日以来ロシア関係の演目がまったく舞台に載らなくなった。例年なら、数カ月に1本は取り上げられるチェーホフものも皆無。日本中の劇団が意図的に回避しているのか不明だが、コロナによる規制もようやく緩められた昨今、舞台芸術に触れられないのは辛い。という日々を送る中、RONE&Gigiのステージがある!というので行ってきた。

 RONE&Gigiは、日本ではあまりなじみのないプロの「クラウン」デュオ。ユーモアや笑いを生むクラウンという演技演出は、RONEの著書によると「クラシック音楽やオペラ、バレエ、演劇などの西洋の文化が輸入されたとき、意図的に削られたもの」と指摘されている。客を挑発して笑いを取るなど、西洋の「愚者」という伝統を継ぐクラウンは、あらゆる喜劇の土台となり、その芸域はマイム、歌、ジャグリング、マジックなど多岐にわたるものなのだ。

 RONE&Gigiはクラウン養成学校卒業後、旧ソ連に渡り武者修行。現ウクライナ国立サーカス・クラウン大学やモスクワ芸術座のオレグ・タバコフ氏に師事したあと、ヨーロッパを代表する女性クラウン、ノーラ・レイ氏に師事、多数の受賞歴とともに不動の地位を築いた。

 今回のプログラムは、NYブルックリンにあるレストランで新規採用された2人のウェイターたちの奮闘がテーマ。とはいえ、「気分屋のオレ様」Gigiと「マイペース王子」の RONEの努力は見当違いなものが多く、客は逃げていくばかり。そんな二人を見守るブルックリンの鐘楼と観客が一つになってステージは進む。

 セリフはない。背が高くスマートなRONEと背が低くてぽっちゃりしたGigiの凸凹コンビは、その容貌とメイクだけでもかなり「可笑しい」のだが、ひとたびブルックリンのウェイターを演じだすと、アメリカの下町の雰囲気が漂い出す。特に、チップをねだる俗っぽさ、モップ掃除のシーンでマイムからマジックへ移る瞬間、カップ&ソーサ―のジャグリング、観客を巻き込んで最高に盛り上がるラストの歌とダンスシーンは、「こんなことあるある」を思い出させてコロナで固まった私たちの心を解きほぐし、心地よいカタルシスに導く。

 しかもこの上演には手話通訳のほかに「舞台手話」付き。単に内容を通訳するだけでなく、手話によっても演じるという真にバリアフリーな作品となっていた。

 クロージングにあたって会場全員で、RONE&Gigiのテーマ曲「旅人たち」を手話も交えて歌った。シンプルだが心に沁みる歌詞とメロディーに、クラウンはすべてを包括する感情の芸術であることを再認識した。

(文・滝沢 三佐子、写真・(C) OPEN SESAME)

 
田中正也&吉永哲道ジョイントリサイタル

【音楽】スクリャービン生誕150周年
田中正也&吉永哲道ジョイントリサイタル

 真夏日が続く7月22日、私のお気に入りのピアニストである田中正也の、珍しくもジョイントリサイタルを聴きました。

 今年がスクリャービンの生誕150周年ということで、モスクワ音楽院の同級生で仲の良い吉永哲道とスクリャービンの作品を中心に、彼に影響を与えたショパンと彼から影響を受けた山田耕筰の作品でプログラムを構成していました。

 今回のコンサートの会場は普通のホールではなく贅沢にも「ヤマハ銀座コンサートサロン」でした。

 サロンなので、たたずまいもしゃれており、大きさもちょうど良くゴージャスな雰囲気で演奏に浸れると思ったのですが、残念なことにピアノの音が少しこもったような人工的な響きに聞こえました。ピアノメーカーのサロンなので、もう少し豊かな自然の響きになるよう対策して欲しいと思った次第でした。

 プログラムの前半は、まず、田中によるスクリャービンの3つの小品です。第1番「エチュード」、波にたゆたう静かな調べ。第2番「プレリュード」、ショパンを思わせるような出だし、ロシアン風ロマンを想わせます。第3番「マズルカ風即興曲」、これもショパン風な曲、舞曲なので華麗な踊りの流れを思わせます。

 2曲目と3曲目はショパンの作品。吉永が「マズルカ」と「ノクターン」を、田中が「エチュード」と「スケルツォ」を分担して聞かせてくれました。同じマズルカでも15歳のスクリャービンと充実期のショパンでは大きな差を感じてしまうのは、当然といえば当然です。4曲ともシューマンではありませんが、ショパンの天才を再認識させられるものでした。

 前半の最後は、スクリャービンのピアノソナタ第3番です。吉永が力演してくれました。10曲あるソナタのうち初期の作品で、緩・急・緩・急の4楽章からなり劇的な表現と壮麗な演奏を聴くことが出来ました。

 休憩をはさんで後半のプログラムは、吉永による「左手のためのプレリュード」と「二つの詩曲」、中期の作品でスタートです。小品ながらしっとりとした心に響く聴きごたえのある作品です。

 田中に代わり、山田耕筰の二つの作品「夜の詩曲」、「忘れがたきモスコーの夜」ですが、標題に負けていると聞きました。構成力が弱い。

 続いて田中によるスクリャービンのソナタ第4番、2楽章からなり後期のソナタへの足掛かりのような位置にある作品で、田中の熱演もあり独特のリズムを堪能した。

 最後は、二人で彼の唯一のデュオ「二台のピアノのための幻想曲」を聞かせてくれました。二台のピアノが同じものではなかったことが残念でした。

 アンコールは、今回は吉永とのジョイントコンサートとあっておなじみの「ラ カンパネラ」ではなく、ラフマニノフの「鐘」を二台のピアノのために編曲した作品のプレリュードでしたが、楽しませてもらいました。日本人にとっては、スクリャービンの情熱(?)よりラフマニノフの方が馴染み易いのかなと考えながら帰途につきました。

(金子)

 
ロシア文化フェスティバル2022 イスリャモフ(ヴァイオリン)と
チェルコフ(ピアノ)

【音楽】日本とロシアの若手演奏家が競演!
ロシア文化フェスティバル2022オープニング

 困難な時期の8月の楽しい出来事の1つは、ロシア文化フェスティバル2022の開幕でした。オープニングは8月29日、東京の美しい紀尾井ホールコンサートホールで行われました。

 すでに17回目を迎えた「ロシア文化フェスティバル2022 IN JAPAN」の開会式には、ガルージン駐日ロシア連邦大使と日本側代表の栗原小巻が登壇し、短い厳粛な一幕を経て、コンサートが始まりました。ガルージン大使は「今、私たちは、歴史上最も困難な時期の一つに遭遇している。このような時こそ、文化交流は、かつてないほど必要だ」と、また栗原小巻さんはチャイコフスキーの日記から「芸術家はアカデミーを超越している。芸術家は政治を超越している。」と引用しました。

 コンサートでは、ロシアの作曲家スクリャービン、ラフマニノフ、バラキレフ、シチェドリンの作品に加え、イタリアの作曲家ロッシーニ、ストラヴィンスキーなどの作品が演奏されました。コンサートに参加した若い演奏家の構図と技術にとても感銘を受けました。(みんなまだ40歳じゃない。)

 コンサートは、中村初江のソプラノによって始まりました。彼女は「文化フェスティバル」の音楽テーマ「日本-ロシア」を熱唱、伴奏は魅力的なハーピスト池山由香です。

 そして、聡明なピアニスト、松田華音が、スクリャービン(ワルツ、作品38)、シチェドリン「バッソ・オースティナート」、ラフマニノフ「音楽の時間」を巧みに演奏しました。

 素晴らしくてうれしい驚きは、ラフマニノフの「エレジー」の演奏でした。トロンボーン奏者で音楽教師であり、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場トロンボーングループのコンサートマスターであるアレクセイ・ロビコフとピアニストのアンドレイ・チェルコフ(国際コンクール受賞者)は、この作品を完璧に演奏しました。彼らは若く、非常に才能があります。チェルコフはまた、北コーカサスの民族舞踊に基づいて書かれたミリイ・アレクセーエヴィチ・バラキレフ「イスラメイ」の作品を演奏しました。

 たいへん美しく印象的だったのは、ヴァイオリンのラヴィル・イスリャモフの演奏でした。これはコンサート参加者の最年少で、彼はまだ21歳ですが、彼はロシアのヴァイオリニスト、サンクトペテルブルク音楽院のソリストとしてだけでなく、作曲家としても知られています。彼はG.ロッシーニのオペラ「セビリアの理髪師」からの抜粋を巧みに演奏しました。伴奏は、ピアニストのアンドレイ・チェルコフです。

 そしてコンサートの最後は、2013年のノヴォシビルスク国際ヴァイオリンコンクールで最年少グランプリを獲得した服部百音。才能豊かで、とても美しい女の子でした。シマノフスキ「ノクターンとタランテラ」、ストラヴィンスキーバレエ音楽「ペトルーシュカより」を演奏。彼女のパフォーマンスは魅惑的で華麗だっただけでなく、外見上も女性のスリムさを強調した緋色のドレスと長い黒髪の魅力的な髪型で大きな印象を与えました。(私は彼女がロシア語を話すと思っています)。

 コンサートは短くて素晴らしく、会場は混雑していましたが、みんなとても嬉しそうでした。

(エレーナ・コンドラシキナ/横浜ロシア語センター講師)

 

【音楽】「器楽の祭典」への誘い

 11月10日(木)午後7時開演で「器楽の祭典」というコンサートが行われます。

 出演はバラライカ奏者の北川翔、アコーディオン奏者の太田智美、BalalaiQuartet、バラライカ・ドムラ教室の生徒も参加する北川記念ロシア民族楽器オーケストラです。

 デュオ演奏有り、カルテット演奏有り、オーケストラ演奏有りの面白い構成になっています。演目はバイカル物語、トロイカ、行商人、などロシア民謡ほかです。

 会場は上野駅前の東京文化会館小ホールです。チケット代金は大人5000円(税込)で全席指定です。

 なお会員の方に前列から2列目の4席(B12~15)を4000円で用意しています。この席をご希望の方は事務局にご連絡下さい。(先着順。チケットお渡しと代金のお支払いは、当日受付で)

(田中)

 
ロシア文化フェスティバル2022

【舞踊】27年ぶりにモイセーエフバレエ団が横浜に来ます!30席確保!

 ロシアが誇るモイセーエフバレエ団が10月19日、横浜関内大ホールにやって来ます。17:30開場18:30開演です。

 主催のロシア文化フェスティバル事務局のご配慮で、S席(12,000円)の「招待券」を正規料金席と合わせて30席確保いたしました。

 神奈川県協会の会員のみなさまには、すべて1席1,000円でシェアすることにいたします。

 全席指定席ですので、先着順に席を決めていきます。お早めに事務局にご連絡ください。

 会員に同伴する方は会員外の方でもOKです。

モイセーエフバレエとは:

 1937年に舞踏家・バレエ振付師のイーゴリ・モイセーエフ(1906-2007)により結成された。民族舞踊の解釈と紹介を行う世界初のプロ舞踏団。世界のバレエ史を変えたと言っても過言ではない。バレエ団が第一の原則としてるのは継承、そして伝統と新機軸の芸術解釈。モイセーエフは、初期の団員たちに、当時存在していたフォークロアの芸術的編集をするよう命じ、彼らは民族学的調査のため各地に散った。そして、団のレパートリーとして舞台用に新たな命を吹き込んだ。

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サハリン州立郷土史博物館 貝塚良雄の建築の集大成「サハリン州立郷土史博物館」

神奈川県警加賀町警察署 貝塚良雄の初期の建築をモチーフとした「神奈川県警加賀町警察署」

サハリン州立郷土史博物館の設計者、貝塚良雄の生涯
~横浜とサハリンに残る足跡をたどる~

 神奈川県日本ユーラシア協会が2回にわたって行ってきたサハリン訪問。近年は新型コロナとウクライナ戦争で行うのが不可能になっているが、そのサハリン訪問の行程には「サハリン州立郷土史博物館」が含まれていた。1937年建築の純和風の建物はユジノサハリンスクの象徴であり、サハリンがかつて日本であったことの証であるといえる。

 その建築を手掛けたのが今回ご紹介する横浜市出身の建築家、貝塚良雄(1900~1974)である。

 貝塚は1900年に横浜で生まれ神奈川工業学校を優秀な成績で卒業。清水組を経て、神奈川県庁に入庁、鎌倉師範学校や磯子警察署などの建築を主導する。

 1929年に貝塚は樺太庁より打診を受け、悩みながらもこれを引き受け南樺太へ渡る。南樺太に渡った貝塚は、「樺太庁中央試験所本館」、「樺太庁中央試験所温室」、「樺太庁会議室」を手掛け、その集大成が「樺太庁博物館」(現在のサハリン州郷土史博物館)だ。

 樺太庁博物館は、コンクリート建築に和風のデザインを取り入れた「帝冠様式」という建築手法を用いているが、この帝冠様式の建物の代表が神奈川県庁本庁舎(キングの塔)や愛知県庁舎である。貝塚が樺太庁博物館に帝冠様式を採用した背景に関して北海道大学の井潤氏によれば「豊原武徳殿」との景観の兼ね合いや島外民に対して、樺太が中央とそん色のない地であることをアピールする「中央性」があるのではないかと考察している。

 貝塚はこの樺太庁博物館の建設に当たって一切の妥協を許さず、業者泣かせであったとの娘のエピソードもある。それが、樺太庁博物館(サハリン州立郷土史博物館)が今日まで風雪に耐えて残っている理由であろう。

 樺太庁博物館の設計以後は第二次世界大戦の戦局が悪化したため、自由な設計を許されなかった。

 貝塚の南樺太での最後の建築は1945年6月完成の樺太庁新庁舎のようだが、詳細は明らかになっていない。井潤氏によればユジノサハリンスク市内に現存している可能性が高いと推測されるが、軍用地のため詳細な調査ができずにいる。

 貝塚は敗戦後も1947年までサハリンに残った後に横浜に引き揚げ、加藤組という会社に就職した。それ以後について貝塚は何も語らず1974年にその生涯に幕を下ろす。

 ところで、サハリンにはいくつか貝塚が手掛けた建物が現存しているが、実は横浜にも貝塚の業績を偲ぶものがある。貝塚が初期作品である横浜市中区の加賀町警察署だ。当時の建物は残っていないが、貝塚による先代の建物のデザインを生かしている。

 サハリンは異国となったが、サハリン州立郷土史博物館は今も愛されている。その原点に神奈川が関わっていることは興味深い。早く戦争が終結し、サハリンに行ける日が来ることを願うばかりである。

(内藤)

 

ロシアの姓(8)司祭の姓、全ては主教の思し召し?

 ロシア、特に北部で最も多く見られる姓の一つにПопов(ポポフ)がある。当初の第一義は「司祭の息子」を意味する父称であった。

 ロシア正教において「黒僧」と呼ばれる修道士は結婚が許されないが、教会の位階の最上位、総主教・府主教・大主教・主教に昇り得る。一方「白僧」は結婚する義務があり、教区司祭となって神が与え給うだけの子供を持たねばならない。「聖職者は子沢山」というイメージは後者のものだ。

 ポポフ姓を持つ人の多さもこれに関係してはいるだろう。ただしこの姓の由来には、本物の司祭の実の息子だけでなく「ポープ(司祭)というあだ名の人の息子」を意味する父称や「司祭の元で働く人」もある。その子孫も加わって、現在ロシアで十指に数えられる姓となっている。(※註)

 聖職者階級の人々に姓が現れたのは18世紀末。当時既に姓は明確な概念となり、社会的に認められていた。聖職者の姓は以後100年間で盛んに作られた。

 神学校では養成中の司祭の卒業前に管轄区域の大主教が自らの裁量で姓を与えた。最も多かったのは神学生の父親が奉仕した教会の名にちなんだもので、アルハンゲリスキー、トロイツキー、ヴォズネセンスキー、ニコリスキー、ボゴロージツキー等がある。舌を噛みそうなクレストヴォズドヴィージェンスキー(聖十字架高揚の饗宴の)、フセフスコルビャーシシェンスキー(全ての悲しむ人々の)、ドゥホソシェストヴェンスキー(聖霊降臨祭の)等は教会の祝日から。また教会のある村の名からも取られた。

 現タタールスタン共和国の首都カザンの大主教管轄区域では、イスラム教由来の姓を持つ司祭も見つかった。また古典教養を身につけた主教からは古代ギリシャ・ローマの歴史や神話にちなんだベネヴォレンスキー(ロシア語の翻訳借用語ではドブロヴォリスキー=善良な)という姓が生み出され、古代ギリシャの哲学者ヘラクレイトス、ディオゲネスからゲラクリトフ、ディオゲノフ、異教の神々ミネルヴァ、パラス、クピドからミネルヴィン、パラージン、クピドノフなどと名付けられた司祭も多数現れた。素行が良くないと、アルテミス神殿を焼き払ったヘロストラトスからゲロストラトフ、父ダビデ王に反乱して敗れ殺害されたアブサロムからアヴェッサロモフという姓が与えられ、司祭としてまるで役立たずであれば、ソバーキン(犬の)、スヴィニイン(豚の)と名付けられた。一方、アルマゾフ(ダイヤモンドの)、アメチストフ(アメジストの)、ギアツィントフ(ヒヤシンスの)、ロザノフ(薔薇の)、レベジェフ(白鳥の)、ゴルベフ(鳩の)など、宝石や花や鳥にちなんだ姓を賜る者も。そこで神学生たちは「教会か花か/石か家畜か/全ては主教の思し召し」と名付けの「法則」を詩にうたった。

 聖職者階級の人口は元々多い上に多産だったため、その子孫は住民人口のかなりの部分を占めていた。それゆえ上記のような起源を持つ姓も今日では珍しくない。

(横嶋 冬美)

註)E. V. バラノフスカヤ(2005)の調査では5位、A. F. ジュラヴリョフ(2005)の調査では4位。地方によっても異なる。

参考文献:
В. А. Никонов ≪ГЕОГРАФИЯ ФАМИЛИЙ≫ (1988), ≪СЛОВАРЬ РУССКИХ ФАМИЛИЙ≫ (1993)(V. A. ニコノフ『姓の地理学』『ロシア姓氏辞典』)
ロシア・ビヨンド(2021年10月14日付)

 

【ユーラシア歳時記】 「願い事を口にすると…」

 ロシア人は願いごとを口にしないの…だそうです。願いごとを聞かれると「言えません」「秘密です」と答えます。

 その理由は、「人に言うと叶わなくなるから」だとか。

 ソ連時代に当局の監視下で、人々は自由な思想や個人の願いごとを口にすることなど許されなかった。「口に出すと阻止される」「言うと捕まる」と、常にまわりを警戒し、おびえて生きてきたと思います。その彼らの子孫もまた、願いごとを言うと邪魔される…といった考えが身についたのでしょうか。それだけ他人の目を気にしている、ということ…なのだと思います。

 あるいは宗教的な意味があるのかもしれません。

 さて、日本では、願いごとを絵馬に書いて神社に奉納する風習がありますが、その絵馬が近年変わってきました。裏にシールが貼ってあるのです。その理由は、他人の願いごとや氏名が書かれた絵馬を面白がって、勝手に、それも中傷つきで、スマホで撮影し大勢の人々の目にさらすという…悪質行為が増えているから、だとかで、神社側が個人情報を守る為にシールを貼って隠すようになったそうです。平和であったはずの日本で、少なくともソ連時代のロシア人よりは自由であったはずの日本で、今、願いごとを隠さなければならなくなってきています。私はロシアでも日本でも、願いごとを自由に口にすることができ、他の人はその実現を応援し、皆で願いごとが叶うことを願ってあげられるような、そして他人の幸せを自分の幸せのように喜んであげられるような時代がきてほしいと願います。

(とくなが なつみ)

 

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中世ロシア興亡史講義 ~歴代君主の素顔とその真実~ 862-1598
第195回 イヴァン三世とカザンの地

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