NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会
コーカサスの虜

現代ロシア映画鑑賞会 セルゲイ・ボドロフJr.追悼20周年記念第2弾「ロシアン・ブラザー」

【延期のお知らせ】諸事情により本鑑賞会の開催は延期させていただきます。

日時:5月22日(日)14時~ 延期
場所:横浜平和と労働会館5階教室
茶菓子代:500円

 「コーカサスの虜」でチェチェン戦争へ赴く新兵を演じたボドロフJr.が、今度はマフィアに対峙する「チェチェン帰り」の若者を演じ、大ブレイクした記念碑的作品。

 

緊急告知!「平和のための戦争展」で歴史の生き証人・柴田順吉顧問が語る!

 今年も5/29がやってきます。3/10の東京大空襲よりも数の多いB29が横浜に焼夷弾の雨を降らせた日です。

 その横浜大空襲から77年。神奈川県日本ユーラシア協会が毎年参加している「第27回2022平和のための戦争展inよこはま 特別企画『講演と朗読劇』」で、柴田順吉顧問が講演をします。

 焼夷弾の中を逃げ回り、近所の家は一家全員死亡という悲惨な事態でした。その歴史の生き証人とも言える柴田顧問の講演です。

 また、直近のロシア・ウクライナ紛争についても、種々の情報や資料を駆使し、丁寧な解説を行います。ロシア、ウクライナともに都合のいい報道をしていますが、その真実の姿は何なのか。これは、ロシア・ウクライナを含むユーラシア諸国との友好運動を行っている当協会としての立場を明確にするものです。ぜひ、会員の皆様のご参加を熱望します。

(関戸)

日時:2022年5月28日(土)13:30~
会場:関内ホール小ホール
入場料:800円(高校生以下無料)

 

ロシア語能力検定試験

 5月29日(日)、横浜市従会館(横浜会場)で4級と3級のロシア語能力検定試験を行います。

●4級 筆記10:00~11:30、テクストの朗読11:35~
●3級 筆記14:00~16:00、聴取16:00~16:15、テクストの朗読16:20~

※受検票は試験の1週間前に郵送されます。
※合格発表:2022年7月13日(水)受験者全員に合否結果と解答例及び講評付問題を郵送し発表といたします。またHP上にて合格者の受検番号を発表します。

 
茶話会「絵日記 ロシアの旅の思い出」

茶話会「絵日記 ロシアの旅の思い出」

日時:6月5日(日)14時~16時
場所:横浜平和と労働会館5階教室
参加費:一般1,500円、会員1,000円

 会員の鈴村明子さん・一成さんご夫妻が1990年代~2000年代初頭に旅したロシアの思い出を、一成さんが残した絵日記と共に振り返ります。紅茶とお菓子をいただきながら、心温まるお話をしましょう。

 詳細はチラシ画像をクリックしてPDFファイルをごらんください。

 
映画『ひまわり』

ロシア・ウクライナ間の紛争の一日も早い停戦を願って
映画『ひまわり』DVD鑑賞会 中止

【お詫びとお知らせ】
都合により本鑑賞会の開催は中止とさせていただきます。皆様に心よりお詫び申し上げます。
鑑賞ご希望の方は、現在各地で劇場公開中の「ひまわり 50周年HDレストア版」を是非ごらんください。
5月20日からはkino cinema横浜みなとみらいで公開予定です。

 ロシアがウクライナに軍事侵攻してから3か月。未だに停戦に至りません。そこで「戦争と平和」を考える鑑賞会の緊急企画として、『ひまわり』の鑑賞会を開催します。

 東西冷戦真っ只中の1970年に製作されたイタリア・フランス・ソ連合作の映画です。しかも、そのロケ地はウクライナ。題名の『ひまわり』はウクライナの国花でもあります。

 2018年8月の「戦争と平和」を考える鑑賞会でも取り上げましたが、直近のウクライナ侵攻の現状を見据えて再度、開催します。以下はその際の案内です。

 第二次世界大戦下のイタリア。精神異常を装い、徴兵を忌避した夫の虚偽が暴かれ、懲罰のため東部戦線に送られます。一年中、Tシャツ一枚で暮らせるイタリアから、真冬は零下数十度という寒波に襲われるソ連の雪原に連れて行かれたのです。イタリア兵にとってのソ連軍との戦いは、同時に雪と寒さの戦いでもありました。多くのイタリア兵が雪と寒さのために、戦う前に落伍していきます。マルチェロ・マストロヤンニ演ずる夫も、その落伍兵の一人でした。雪の中に埋もれているイタリア兵を助け出したのはソ連の女性でした。雪道を引きずり、家に運び込み、裸になって体を温めたのです。命が助かったのは幸福ですが、助かった故のソフィア・ローレン演ずる妻との別離という悲劇があったのでした……。

 冷戦下で、旧ソ連でのロケーションによる伊・仏・ソの合作映画です。また、その切ないテーマ音楽は映画音楽史上に残る名曲です。戦場で銃火を交えるだけが戦争ではありません。そして、戦争は戦争が終わった後も、なお悲劇を残すということを、この映画でしっかり確かめましょう。

 4/3(日)に行われた総会の席上、参加者から『ひまわり』観たいとの声があり、今回、企画しました。戦争と平和を考える日です。ご都合がつけば、是非。

(関戸)

日時:6月19日(日)13時~ 中止

 
ロシア料理教室

ロシア料理教室 おばあちゃんちでの夏

日時:6月26日(日)14時~
場所:横浜平和と労働会館5階教室
参加費:一般2,500円、会員2,000円

 ロシアでは6月は夏休みの始まり。おばあちゃんのダーチャで子どもたちが大好きだったロシアのパンケーキ3種を作ります。懐かしいダーチャの味を、講師ヴァリナ・ヴァレリヤ先生の子ども時代の思い出とともに味わってみませんか。

 詳細はチラシ画像をクリックしてPDFファイルをごらんください。

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定期総会 定期総会

2022年神奈川県日本ユーラシア協会定期総会

 2022年4月3日13時30分~14時30分 横浜平和と労働会館5F教室

1. 開会宣言・総会役員選出
 司会の中垣内隆彦氏により開会が宣言され、議長として大山麻稀子氏が選出されて開会を宣言した。その後、総会書記に滝沢三佐子、資格審査委員に内藤祐太氏が選出され、承認された。その後、木佐森雅道会長より一昨年から続くコロナ禍とウクライナ情勢を含めた開会のあいさつが行われた。

2. 資格審査報告
 資格審査委員の内藤祐太氏の報告で、13時35分現在会員218名中、リモート4名を含め、出席15名と委任状111名を確認し、協会規約第28条及び第30条3項の規約に基づき、本総会が成立していることが宣言された。

3. 経過報告・方針、会計報告・予算案および会計監査報告は各担当者から報告された。

4. 会計監査報告
 金子隆一氏により会計が適切に処理されていることが報告された。

5. 質疑応答
 特に質問はなく、上記報告・方針は承認された。

6. 新年度役員選出
 一部昨年退任した役員名が記載されていたので修正し、新規役員の選出があったので追加し、承認された。また、役員を代表して、井村副理事長があいさつを行った。

7. 閉会あいさつ
 中垣内氏が総会閉会のあいさつを行った。

(書記:井村)

 

現代ロシア映画鑑賞会「コーカサスの虜」

4月29日(日)横浜平和と労働会館3階会議室

 セルゲイ・ボドロフJr.追悼20周年記念の第一弾企画として「コーカサスの虜」(1996)を鑑賞しました。あいにくの天気でしたが、18名が参加しました。

 同名のトルストイの小説を1990年代のチェチェン戦争に置き換えた物語でしたが、なかなか鑑賞機会のない作品であり、昨今のウクライナ情勢もあってこの作品に戦争の愚かさを再認識した方が多くおられました。

 今回は会場を急遽変更しましたが、人数制限のため参加できなかった方のために、別途アンコール鑑賞会を行う予定です。

 なお、セルゲイ・ボドロフJr.追悼20周年記念第二弾は、彼の大ブレイク作品「ロシアン・ブラザー」を5月22日に予定しています。

(滝沢)

 
ロシア・ミュージック・ゲリラ

「ロシア・ミュージック・ゲリラ」

4月29日(日)横浜平和と労働会館3階会議室

 映画鑑賞会の後に、緊急企画として実施しました。DJはモスクワ在住歴30年以上のヤーシャ・日向寺(本名は日向寺康雄さん=写真)。

 新法律の制定で、言論統制がますます厳しくなっていると報じられているロシア。ところが、そうした中でも自らの主張をさまざまなスタイルでしたたかに表現する若いミュージシャンたちがいます。

 今回は、IC3PEAK, Little Big, Моргенштерн(モルゲンシュテルン)らの動画を見ながら、日向寺さんのモスクワ放送勤務で培ったさわやかな弁舌に聞き入りました。

 参加者数は14名。こちらも新しいロシアの音楽傾向をお届けする第二弾を計画中です。

(滝沢)

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横浜ロシア語センター第136期 生徒募集中!

 4月16日(土)より第136期ロシア語講座が開講されました。今期は久しぶりに初めて学ぶ方のための「入門」クラスが2つとも成立。演劇講座と文学読解講座も新たに加わりました。見学の方も多く、この情勢にもかかわらずロシア語学習熱が高まっているようです。学期途中からの編入も可能ですので、検討中の方はぜひお問い合わせください。
 講座やお申し込み方法の詳細は横浜ロシア語センターホームページにて。

 

「ロシア語会話スピードマスター ビジネス編」第3章まで配信中!

 日常ロシア語会話やビジネスロシア語を短期間で覚えたい方必見!横浜ロシア語センター制作の学習動画シリーズ第3章「Zoom会議」が公開されました。

 本編では、日本の商社「ユーラシア」社員の山田と、ロシアの「サクラカンパニー」社員であるマリーヤが、日ロ双方向のZoom会議を行うために、事前に様々な調整事項を確認していきます。通訳や新人社員も登場し、ビジネスの現場でのリアルなやり取りが行われます。気の利いたフレーズやよく使われる慣用表現などもふんだんに盛り込まれています。

 視聴は横浜ロシア語センターのYouTubeチャンネルで。

 

ロシア民族楽器 バラライカ&ドムラ教室

 ロシア民族楽器を本格的に習える当教室は毎月2回土曜日にレッスンを行っています。
 今後のレッスン予定は5月14日、6月4日(5月・6月は各1回)、7月2日、7月16日になります。8月は調整中です。

時間:14:00~17:45の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館6階会議室

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組織状況

(2022年4月28日現在)

 4月は、136期ロシア語講座が開講したので、新たに入門クラスに入講した方や新講座に入講された方8名の方が新会員になられました。その一方で、ロシア語講座非継続で退会された方が4名いらっしゃいましたので、4月27日現在の会員数は224名です。

(木佐森)

 

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2022/4/28
単位:円
摘 要本年度当該月収入前年度当該月収入対前年度増減
一般会計232,910374,688-141,778
教育事業1,638,5601,668,790-30,230
一般事業126,156118,1937,963
合 計1,997,6262,161,671-164,045
摘 要本年度当該月支出前年度当該月支出対前年度増減
一般会計569,375820,545-251,170
教育事業436,830668,540-231,710
一般事業108,43680,42728,009
支出合計1,114,6411,569,512-454,871
当該月収支882,985592,159290,826
累計収支計1,800,665859,186941,479

 2022年4月の財政状況は、昨年21年とほぼ同様に推移しています。今年は4月27日で月間まとめをしましたので、収入は昨年とほぼ同じですが、支出面では、一部講師料及び事務職員の給与がまだ支出されていないため、その分、昨年4月の月間支出より少なくなっています。

 1月からの収支累計では、プラス180万円となり、10月の137期ロシア語講座開講まで、なんとか赤字にならないよう期待しています。その中で、嬉しいニュースが二つありました。一つは、コロナ禍の「事業復活支援金」の対象となり、100万円の支援金が支給されたことです。(対前年月間収支報告には計上せず、年間会計報告で計上します。)もう一つは、浅見玲子様から「ウクライナに平和を」のお言葉と1万円のご寄付をいただいたことです。ご寄付はウクライナに平和を求める神奈川県協会の行動に活かさせていただきます。ありがとうございました。

(木佐森)

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今月は休載です。

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ロシア・トップ10

【芸能】Русская Десятка ロシア・トップ10

 世界中から非難と制裁を受けているロシアから、2022年4月第3-4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。今月も10曲中2曲、3曲がTOP10にカムバック!

 10位とプレスニャコフの≪У тебя есть я≫(君には僕がいる)がチャートイン。1月に自身の妻子と共に出演した楽曲≪Всё нормально≫(万事OK)のMVでは微笑ましく大好評でした。2年前に新たに息子イワンが生まれました。露の雑誌「OK!」で「パパ・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、幸せな日々を過ごしています。

 5位にズヴォンキィの≪Вот и всё≫(これで終わり)が入りました。HIPHOP創成期と言われる90年代から活動しているレゲエ・ラッパー。現在ではブリトーやヨールカ、クライムブレリとのコラボレート曲を大ヒットさせています。

 チェボキナとガヤゾフブラザーを押しのけ、アルティク&アスティが今年1月21日リリースした≪Гармония≫(ハーモニー)が首位奪取しました。同ユニットのプロデューサーも兼ねるアルティクは「このような題名とメッセージを含む楽曲で、僕たちの2022年ミュージカルが幕を開けたのはとても素晴らしいこと。昨年ユニット構成が変わりましたが、音楽における僕たちの氏名は変わっていません。楽曲『ハーモニー』は、僕たちからの音楽の物語を続けています。」とコメントしています。現在YouTube再生回数が2600万回の、文句なし大ヒット!おめでとうございまーす!:-)

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2022年4月15日~21日/MOPA)
画像は https://vk.com より

※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。

 
スヴェトラーナ・ロボダ スヴェトラーナ・ロボダ ニコライ・ボルトニク ニコライ・ボルトニク

「2072年までロシアへの入国を禁ずる措置」が取られたウクライナ出身有名人

 ウクライナの有名人の多くは露でも芸能活動をし、稼いでいる。露がウクライナに侵攻を開始して以降、膨大な数のウクライナの有名人が戦争に反対し、中には非常に厳しい態度で非難した有名人もいた。

 これを受け露政府は、今後50年間つまり2072年までウクライナの芸術家ら31人に対し露の領土に入ることを禁止するとし、そのリストがイズベスチヤ紙に4月20日に公開された。弊機関紙のTOP10でも度々登場した有名人を、ここで紹介する。

● スヴェトラーナ・ロボダ (Светлана Лобода)

 キエフ州出身。セクシートリオ「ヴィアグラ」の元ソリストで、ソロ転向後、そのパワフルなセクシーさを持ち味とした楽曲≪Не ма4о!≫がスーパーヒット。その後EUROVISION2009にウクライナ代表で出場、12位を獲得。あまりにもセクシーなため問題視されもしたが、慈善活動に精力的で、様々な慈善基金を立ち上げた。しかし軍事侵攻5日目に、紛争終結を求めるビデオを公開。3月6日に露メディアグループの代表は、「露とウクライナの関係の悪化を背景に、舞台でロシアとロシア人の同僚に厳しい発言をした。」と発表し、契約終了に追い込まれた。彼女の歌とMVは、露の音楽テレビ局≪RU.TV≫とラジオ局≪Русское радио≫から削除され、更に露での公演が禁止される芸術家リストに追加された。現在はラトビアに避難し、ウクライナ難民を支援している。


● ニコライ・ボルトニク (Николай Бортник)

 へルソン州出身で、マックス・バルスキフ(Макс Барских)という芸名で活動。露では2016年にリリースした≪Туманы≫が大ヒット。その後もヒットに恵まれ、2021年にリリースしたズィヴェルトとのデュエット≪BESTSELLER≫は長い間TOP10内をキープしていたことは、本機関紙でも紹介した。しかし軍事侵攻により露での公演全てを取り止め。販売済みのチケットの払い戻しを拒否し、その資金は「慈善目的」に向けられると説明。更に露国内での自分の音楽の使用を禁止。そして4月3日、ウクライナ軍への入隊を発表、4月29日に露の侵略に抗うウクライナを讃える曲≪Don’t F@ck With Ukraine≫をYouTube上に公開した。


 ※31人全員の詳細情報は、ユーラシア芸能ブログでご紹介します。5月13日頃公開予定。是非ごらんください。

敬称略 (MOPA)

 
「ドンバス」 「ドンバス」 「ドンバス」 (C) MA.JA.DE FICTION /
ARTHOUSE TRAFFIC /
JBA PRODUCTION /
GRANIET FILM /
DIGITAL CUBE

【映画】「ドンバス」緊急マスコミ試写会

4月27日 於:東京・ゲーテインスティテュート

 一昨年、独特のドキュメンタリー三部作「国葬」「粛清裁判」「アウステルリッツ」が公開されたセルゲイ・ロズニツァ監督の作品「ドンバス」(原題:Донбасс、2018年、ロシア)が緊急公開される。それに先立ち、マスコミ試写会ならびに池田嘉郎氏(近現代ロシア史研究者、東京大学教授)の解説トークが行われた。

 2014年にウクライナからの独立を宣言したドネツク・ルガンスク両州(以下、作品中准呼称に準じる)。本作は、その「親ロシア勢力による占領地域」における2014年から2015年の間に実際に起きた実話をもとに、13のエピソードで綴られている。汚物をかけられる市長、地下シェルター内の苦しい生活、検問に次ぐ検問、占領地政府による無法なる接収と恐喝、ウクライナ人捕虜に対する民衆の凄惨なリンチ、親ロシア民法に基づく結婚式などなど、侵略・腐敗・崩壊とそれらを生み出す人間の本性を主題とした風刺作品となっている。

 とはいうものの、1000人のエキストラと30人の職業俳優を使って、わずか1カ月弱で撮影されたというドキュメンタリー的作風に、これは本当にフィクションなのだろうかと疑いたくなるシーンも多い。特に、現在のウクライナ情勢を考えると、この映像はまさに「今のウクライナ」であり、2014年からこちら、私たちがあまりにもドンバス地域に無関心だったことが暴き出されるのだ。

 ちなみに本作はカンヌ映画祭で最優秀監督賞を受賞していながら、本国ロシアでは上映会直前に公開が取り消され現在に至っている。

 ロズニツァ監督自身は、ベラルーシ出身のウクライナ育ち、ロシアで映画を学んだスラヴ三国を体現したような人物。監督はロシアの対ウクライナ軍事作戦に厳しい態度をとっており、ヨーロッパ映画アカデミーの声明が手ぬるいといってアカデミーを脱会、一方、ロシア映画のボイコットに反対してウクライナ映画アカデミーから除名を食らっている。戦争とその副産物に対してゆるぎない反対の立場をとる反骨の監督といえよう。

 5月21日よりシアター・イメージフォーラムで2週間限定先行上映、6月3日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で順次公開。横浜は時期未定、ジャック&ベティにて。

(文:滝沢 三佐子)

 

【映画情報】

●「親愛なる同志たちへ」

4月30日(土)~5月13日(金)
アルテリオシネマ(新百合ヶ丘)


● ピアノ ウクライナの尊厳を守る闘い」

5月1日(日)~
https://asiandocs.co.jp/con/611
ネット配信


● 「金の糸」

5月7日(土)~5月20日(金)
アルテリオシネマ(新百合ヶ丘)


● 「チェルノブイリ1986」

5月7日(土)~ 横浜シネマリン


● 「ジョージア映画祭2022」

5月7日(土)~ 横浜シネマリン


● 「ウクライナの大地から」

ウクライナの監督作品特集
6月4日(土)~17日(金)
シネマヴェーラ(渋谷)

 

【催し物情報】

● 「命を夢見て:ウクライナと共に」

ウクライナ出身の現代美術作家 ヴィクトリア・ソロチンスキー個展
とき:5月12日(木)~29日(日)月曜休館、12:00~18:00
ところ:ギャラリーTOM 渋谷区松濤2丁目11-1
入場料:500円~(入場料はすべて日本ユニセフ協会へ寄付)


「憲法を書き展示する会2022」今改めて考える日本国憲法と私たちのくらし

 憲法全体の条文の、気になった部分からイメージしたことを作品にして、みんなで考えてみようというのがこの会の主旨です。この2年コロナ禍もあって開催できずにおりましたが、ロシアによるウクライナへの侵攻があり、それに便乗するかのような改憲派会議の存在など、地域で暮らしに直結する憲法の内容を知ることは、私たちにとっても急務ではないか、という想いで開催します。

 今年は、ウクライナの歌手/演奏家カテリーナさんのライブコンサート、日本在住の外国の方との座談会も予定。作品展とともに、どうぞ誘い合わせてお出かけください。

会 期:2022年5月26日(木)~5月29日(日) 11時~17時
展示作品:
a.憲法の一部 または全文を書き写したもの
b.憲法からイメージする絵画、書、詩歌、作文、写真、俳句、川柳、回文、画像、画像と文字の組合わせ、工芸作品 など
主 催:弥平憲法展実行委員会
会 場・問合せ・申込:ギャラリー&スペース弥平 中嶋さん
yahei@galleryspaceyahei.com
http://galleryspaceyahei.com
090-3229-4166
横浜市港北区篠原北1-5-5

★ ウクライナの歌手/演奏家 カテリーナさんコンサート

キーウから避難してきたお母さんマリヤさんとカテリーナさんを囲んでのトーク&ライブ

2022年5月28日(土)
昼の部 15:00~ 夜の部17:30~
チケット2,000円
各回予約限定30席(4/30 10時予約開始)

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Royal Smoke&Amur店内 Royal Smoke&Amur店内

ロシア料理レストラン探訪記 Royal Smoke and Amur

 長年、横浜で営業を続けて来たミーフ・バー(Миф Бар)が閉店し意気消沈していたところ、朗報が入りました。

 かつてアムールという名前で営業されていたロシアンバーが、トルコのシーシャ(水タバコ)の店Royal Smokeと合併、Royal Smoke & Amurとして今年1月にリニューアル開店。ほどなくまん延防止法のため休みになりましたが、このたびロシア人コックを迎え、シーシャラウンジ・バーレストランとなり本格再始動となりました。

 珍しいワインやカクテル、多様なテイストの水タバコが特色。広々としたフロアーでは、自由に選曲してカラオケやダンスもOK。そしてハバロフスクから来たターニャさんのロシア料理を堪能できます。メニューは定番のボルシチやペリメニから、手作りのピロシキのほか、料理店ではあまり見かけないサリャンカやウハーまでスープ類が充実!お値段もリーズナブルです。

 ホスピタリティあふれるエカテリーナさんとマルガリータさんの接客はとてもフレンドリー。自分の好きなフルーツテイストをブレンドできる水タバコにもぜひ挑戦してみましょう。

横浜市中区福富町仲通3-3-1F
045-309-7227
18:00~5:00

(滝沢)

ピロシキ ピロシキ
ターニャさん ターニャさん
「オレシキ」の型 左下に写っているのはクルミの形のロシアクッキー「オレシキ」の型!これもメニューに?
エカテリーナさん エカテリーナさん
 
「モスクワ、2022年8月」

【ショートショート】「モスクワ、2022年8月」

 サイバー攻撃や重要インフラ攻撃防止、ならびに国民を偽情報から守るために、Roskomnadzor(訳注1)はインターネット全体を遮断した。

 ある出版社の編集部で、次のような対話が行われている。

「マーシャ、エカテリンブルグのUSBメモリーを持った鳩はどこにいるの?」

「ソフィア・ワシリエヴナ(訳注2)、もう届いてると思いますが。ほら、サンクトペテルブルクからは届いてるし、クラスノダールからも届いてます(この後に都市名の列挙が続く)。皆フラッシュドライブを持っているのに、一羽だけそれを持っていない仲間はずれがいます」

「マーシャ、困ったわ!もう次の号を出さなければならないのに!、エカテリンブルグからの報告がまだないのだから。鳥(ハト)が迷子になったのかも?」

「ソフィア・ワシリエヴナ、不幸なことになっていなければいいのですが。野生化した猫がかみ殺したかもしれません」

「まさか!?」

「昨日、NATOのドローンが飛んできたそうです。皆は自国のドローンと思っていたのに 、『戦争は無い』の最後の単語の語尾に間違いがあったから(訳注3)、我々の勇敢な航空宇宙軍がその部外者を撃墜したそうです。そのドローンが報告できたのは、ブロガーの注目を集められなくなった猫たちが、せめて誰かの記憶に残るようにと鳩や犬を襲うようになったことだけのようです。サラトフではすでに“敷地内に凶暴な猫がいるので注意、犬の安全に注意せよ!”という看板がかかっているのには、意味があるのです」

「マーシャ、それで私たちどうするの?」

「このカワラバトに編集の仕事をさせるため放ちましょうか?ねえ、ミハルィチ?ほら、首をかしげた!反応している!エカテリンブルクへフラッシュドライブのために飛んで行ってちょうだい。ただオス猫やメス猫には気をつけてね!」

***

訳注1:通信、情報技術およびメディアの分野における監督ならびに個人データの保護の監督を担当する連邦執行機関。

訳注2:ソフィア・ワシリエヴナ(Софья Васильевна)≪Советская Власть≫(ソ連政権) の隠語

訳注3: 自国では≪нет войны≫(戦争は無い)とすべきフレーズが「間違って」≪нет войне≫(戦争はあってはならない)と書いてあった。

***

筆者からひとこと:

 ロシア人は主に検閲された情報のみをテレビから取得するしかないので、ここでの焦点は情報封鎖に関するユーモアです。ここでのいくつかのネットワークはブロックされており、政府はより多くの情報をフィルタリングしようとしています。

 3年前にTelegram(訳注:ロシア人が開発したLINEのようなインターネットアプリケーション)をブロックしようとしたとき、他のいくつかのサービスに大きな問題を引き起こしました。つまり情報をフィルタリングするこれらの試みは効果がないため、一部の当局者はこの国のインターネット自体をオフにしようとしたのです。

 そしてヴォイノヴィッチによる『モスクワ2042』(訳注:ウラジーミル・ヴォイノヴィッチによる1986年のディストピア風刺小説)の1つのシーンを思い出してください。ソ連人がアメリカ人を見にやってきて、雲の上に現れましたが、ソ連の飛行機は雲を攻撃して、この映画は終了しました。

(作:セルゲイ・ソロモノフ/訳:滝沢 三佐子/監修:野口 福美)

 
「ロシア・CIS南部の動乱」

【ユーラシア歳時記】「1冊の本から」

 ここに1冊の本があります。かつて、ある日本人記者が戦場を歩き回って取材した内容がまとめられたものです。この本を読むと、戦禍の中で人々がどう思い、何を訴えているのかが、私はよく理解することができました。また、現在のウクライナの人々に共通する部分も多いと思います。ウクライナの人々の思いを少しでも理解する手助けになるのではないでしょうか。皆さんにもぜひお薦めしたいところなのですが、現在は入手が困難なのでここで紹介いたします。

 『ロシア・CIS南部の動乱』という本です。著者は当時上智大学の教授の徳永晴美先生。かつて、通訳の現役時代は「ロシア語通訳の第一人者」と呼ばれ、今もプロの通訳者からも「雲の上の方」と言われる程の凄い…あの方です。では、徳永先生のご著書から一部抜粋

 “ロケット砲で屋根が吹き飛んだ家で葬式があった。鉄道員の中年のチェチェン人が「ロシアは二十世紀のペストだ!」と、私の小型テープレコーダめがけて叫んだ。”“難民収容所になった教室で、北部の激戦地から脱出してきたアルメニア人のアヤスタンさん(63才)が、せっせと床を拭いていた。「自室」の窓ガラスは、被弾で割れたままだった。農家だったが、夫、息子三人、おい二人が戦火で死んだ。十五歳の孫は戦場に行ったきり。それでも「身内八人が殺された戦争。ここでやめるわけにはいかないでしょう。私らは、差別のない、自分の国が欲しいだけなんです。」と背筋を伸ばし、気丈なところを見せた。平和主義や厭戦気分などは、片鱗もなかった。難民で食にも事欠くアヤスタンさんから別れ際にもらったクルミの実は、まだ、当時の取材鞄に干からびたまま入っている。“ 

 本当は、もっとご紹介したかったのですが、徳永先生は、防弾チョッキを着用せず、戦地を歩かれたり、兵士から銃を突き付けられたり、戦車が発砲するそばにいらしたり、大変なご経験をされました。私達が映像で見るのと、実際に戦地で感じるものとは大きな差があります。いつか、徳永先生から当時のお話をお聞きする機会があればと、願うのは私だけでしょうか。クルミをご覧になって、今、何を徳永先生は、お思いなのでしょう…。

(とくなが なつみ)

 

ロシアの姓 (4)農民の名は繰り上げ式

 1861年の農奴制崩壊まで姓のない者が多かったロシアの農民。父称の接尾辞も-ов(~オフ)、-ин(~イン)であり、現代の父称の語尾-ич(~イチ)は貴族の特権だった。

 農奴制のなかった地方では「個人名(洗礼名)+1つ目の父称(洗礼名由来)+2つ目の父称(あだ名由来)」という命名法があり、2つ目の父称は18世紀から既に姓になっていたと言われる。

 一方、姓を持つ農奴は稀で、地主が農奴の中から任命した裕福な長などに限られていた。農民の間でも「通り姓」が使われ、1つならず2つ3つと持っている家族もあったが、大方は公式には姓なしとされていた。

 1834年の国勢調査では姓がなかったある一家の場合、1840年の調査書類で初めて「姓ガヴリーロフ」が追記された。この姓は一体どこから出てきたのだろう?『姓の地理学』の著者ニコノフが調べたところ、1747年の文書に当時30歳の先祖イワン・ガヴリーロフが見つかった。ガヴリールの息子を意味する父称が「通り姓」となり、100年の間公式記録では認められぬまま代々伝えられてきたのだった。

農民の名前 系図1 農民の名前 系図2

 農民の命名法には現代から見ると興味深い習慣があった。代替わりに応じた「繰り上げ式」だ。18~19世紀の記録によると、イワン・ペトロフの息子はペトロフではなくイワノフになった。(系図1)

 シンビルスク県某村の1834年の国勢調査にはイワン・ザハロフ・マルケロフという名があったが、その息子は 1897年の記録によると、ステパン・イワノフ・ザハロフだった。(系図2)

 マルケロフは姓ではなく祖父マルケルの名を表す「祖父称」(дедичество)で、息子の代には父イワンの父称ザハロフが繰り上がって祖父称になっていたのだ。

 19世紀の農民にはこうした3部構成の繰り上げ式命名法が多く見られた。2,3番目の部分は一見貴族に多い結合姓のようだが、この時代の農民の名前で両方とも洗礼名に基づいていれば父称と祖父称かもしれない。

農民の名前 系図3

 また別の村の親戚2家族の例では、繰り上げの規則性にも揺れがあったことがわかる。(系図3)世俗名に由来するトゥダーコフ*とオシミーニン**は、セヴァスチヤンとイワン各々の2つ目の父称か祖父称か通り姓かは不明。1897年の国勢調査でアレクセイは祖父称セヴァスチヤノフを名乗ったが、ステパンは自分の祖父に因んだイワノフやオシミーニンではなく、アレクセイの祖父の3つめの名トゥダーコフを姓としたようだ。父称の語尾も現代の形「ヴィチ」になっている。

 農奴解放後、姓のなかった者は父称や祖父称、元主人の姓、通り姓または大急ぎで考え出したものを自分の姓とした。ソ連時代、トゥーラやオリョールのコルホーズ(集団農場)では貴族の姓トルベツコイ、オボレンスキー、ナルイシキンを名乗る農民に出会う可能性もあったとか。

(横嶋 冬美)

参考:
В. А. Никонов ≪ИМЯ И ОБЩЕСТВО≫ (1974), ≪ГЕОГРАФИЯ ФАМИЛИЙ≫ (1988)(V. A. ニコノフ『名前と社会』、『姓の地理学』)

 

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