NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会
 

【今月の表紙】

 ロシアでは3月4日から反戦デモが違法となり、「戦争反対」だけでなく伏せ字や白紙のプラカードを掲げても逮捕されるようになった。
 すると3月末、モスクワでロシア政府推奨のクレジットカード「ミール」(「平和」と「世界」の意味)を掲げて対抗する若者が現れた。警察も初の事態に困惑した模様。
 また実際にはウクライナ国旗の色・青と黄を身に着けていても拘束されるため、「青+黄=緑」で緑色のリボンを街頭に結びつけて立ち去る抗議行動も行われている。

 
世界に平和を

「ウクライナに平和を!」会員からのメッセージ

 神奈川県日本ユーラシア協会定期総会に際し、返信用葉書で標題のコメントを募集したところ、これまでになく沢山の方々から平和を願う熱いメッセージが寄せられました。当協会定款第3条「この法人は、日本国民と旧ソ連邦諸国民相互の理解と親善をはかり、世界平和に寄与することを目的とする。」の意義を今一度噛み締めています。一刻も早く停戦を、全世界に平和を!!

●ロシアのウクライナ侵攻にはたいへん心を痛めてます。一刻も早く世界中の平和を願う力でウクライナからロシア軍を撤退させなくてはと思います。

●ロシア軍は即時撤退すべき。ウクライナの方々が早く平和な日常に戻れるよう支援していきたいです。

●ウクライナに世界に平和を!!皆友達だったのにいきなりロシア人ウクライナ人〇〇人と溝を作られてしまう理不尽。悲しいです。情報が改竄されるAI。ユーラシア協会こそ正しい情報と絆で平和を

●ロシアは撤退しろ。

●戦争のない社会をきずくことが人類の進歩。これからの世代に戦争をのこしてはいけない。

●戦禍のウクライナを見るにつけ、胸が痛みます。18才からロシア語を学んでいる私にとり、自分の一部がもぎ取られたような悲しみに打ちひしがれる日々です。しかし、この逆境にこそ、ロシアを理解する必要が高まってきたと感じています。ロシア・ウクライナの善良の人々とつながるためにも、ロシア語の学習にみなさんで励んでまいりましょう!!

●ウクライナの人たちも心配ですが、ロシアの人たちも心配です。反戦デモで沢山の人が逮捕、拘束されているとききます。協会で彼等の即時解放を求めていきたいです。

●ウクライナへの侵略戦争は絶対にゆるせません。ロシア国民の反対の声の高まりを期待したい。

●ロシアは今すぐに侵攻を止めて下さい!!ウクライナのために、そして、ロシアのために。

Слава Украине!(ウクライナに栄光あれ!)

●毎日ウクライナの平和のために祈っています。必ずかなうでしょう。南無妙法蓮華経。

●ロシアを取り巻く環境が激変し、反ロシア、ロシア離れが進むと思います。そのような中だからこそ、ロシアをより深く、広く理解することが、益々重要となってきます。協会の役割は、活動は大事な意味を持ちます。

●「ウクライナは滅びず」

●病院・原発まで攻撃 許されません。人道支援強めます。

●ロシアの情報統制は、あまりにもひどい、戦争とは本当にひどいと、子ども、女性、高齢者が最大の被害者。核ばかりではなく、兵器がどんどん発達し、防ぎようがないのでは。武器の生産をやめ、子どもがきちんと教育を受けられる世界を!ロシアはウクライナから即時撤退!

●ずっと前に、オデッサ友好都市担当をしていた時に会ったウクライナの女性、今までにロシア語を教わった先生の中でウクライナ人だった人(なぜか半分位が…)たちのことを思い出し、胸をいためています。募金以外で何かできることはないかしら…と思う日々です。

●ウクライナに栄光あれ!

Мы за мир во всем мире! (我々は世界平和のためにある!)

●百姓昭明、万邦協和。

●一日も早い戦争終結を!

●今、一番高笑いをしているのは誰かと冷静に考えて、早く決断してほしい。

●最も親近で兄弟国家同志のロシアとウクライナが、結果的に完全な敵国になってしまった現実が残念です。

Нет войне!(戦争反対!)

●ウクライナの国旗が好きです。ウクライナの雄大で美しい風景が目に浮かびます。ウクライナの皆さんが自分たちの大地で大切な人と一緒に暮らせる日々が少しでも早く戻ることを心から願っています。

●今日でもモスクワ市内各所に見られるウクライナとの友好モニュメントの数々、先人の目指し、足跡を残した意義にたち戻って今の在り方を考えたい。

●ウクライナの人々の生活、文化を破壊するに留まらず、市民、女性、子供の命が奪われています。そしてロシアの若い兵士も命を落としています。この無意味で人道を蔑ろにする戦争を一日も早く終えなければならないと思います。

●プーチンは「踏み越えてはいけない一線」を越えてしまった。即時停戦ロシア軍の撤退を!НЕТ ВОЙНЕ

Мир Украине! (ウクライナに平和を!)

Я искенно надеюсь, чтобы всё поскорее закончилось, и наступил мир! (全てがすぐに終わり、平和が訪れることを心から願っています)

●一日でも早く戦争が終わり、ウクライナの方達が安心して暮らせる日がくることを切に願います。

Нет войне! No War! 戦争反対!

●ユーラシア協会で販売されているウクライナ産のボルシチの素(ビン詰め)とロシア産のチェリーチョコレート、私はどちらも大好きだ。安定供給のためにも平和を願う。

●21世紀になった今なお“侵略”という野蛮な、恥知らずな、行動を、プーチン氏はおこなった。そんな彼を私たちは許さない。「私たち」の中に、今ロシアで暮らすほとんどの人々が含まれていると信じたいです。

●私は、2006年9月、2019年4月、と2回ウクライナを旅した経験があり、素敵な思い出をいただきました。今回の戦争には、心を痛めております。早く、平和を取り戻して、不屈のコサック魂で、また美しいウクライナが蘇ってほしいと願っています。スラーバ ウクライーニ!(ウクライナに栄光あれ)

●主権国家ウクライナへの一方的なロシアの侵攻は許されない。プーチンは直ちに戦争をやめろ!ロシアの人々は、目を覚して立ち上って下さい!!ウクライナに一刻も早く平和が戻ることを祈ります。

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コーカサスの虜

現代ロシア映画鑑賞会 セルゲイ・ボドロフJr.追悼20周年第1弾「コーカサスの虜」

セルゲイ・ボドロフ監督作品
1996年、カザフスタン/ロシア

 トルストイの小説「コーカサスの虜」を現代チェチェン紛争に舞台を置き換え、殺し合いをやめられない人間の愚かさを、若いロシア兵と土地の娘とのほのかな交流を織り交ぜながら叙情豊かに描いた作品です。監督の息子、セルゲイ・ボドロフJr.の追悼20周年第1弾として彼のデビュー作を鑑賞します。

とき:4月29日(金・祝)14時~
ところ:横浜平和と労働会館3階会議室
※会場が変更されました(2022.4.21)
資料代:500円
定員:20名(満席になりました。以降はキャンセル待ちとなります。2022.4.26)

 
イワンと仔馬

ゴールデンウィークに是非!「イワンと仔馬」DVD鑑賞会

 今年も楽しいゴールデンウィークがやってきます。そのゴールデンウィークの予定に是非、加えて頂きたいDVD鑑賞会です。

 日本ではあまり知られていませんが、かつてソ連は「ディズニー」に勝るとも劣らないアニメ大国でした。それはソ連文化省が「アニメは児童の情操教育に有益である」として、国家的な取り組みでアニメを作成したからです。実写では表現できないファンタジーはアニメならではのものだからです。

 DVD鑑賞会の参加者からのリクエストに応えて、2020年11月に開催した『イワンと仔馬』を再度、鑑賞します。皆から馬鹿にされているイワン少年と、不思議な仔馬の出会いと奇跡を描いたファンタジー作品です。実はこのアニメは、手塚治虫の『火の鳥』を始め多くの日本のアニメーターに影響を与えたと言われる作品なのです。また、可愛がっているペットに助けられるストーリーというと『ドラえもん』を連想するでしょう。

 内容は見てのお楽しみ。大人の皆さんも、この日ばかりは子どもに戻って、アニメを味わいましょう。

日時:5月5日(木・祝)13時~
会場:横浜平和と労働会館5階 当協会教室
参加費:500円(本牧館のサンドイッチ・簡単ロシア料理付)
お申し込み締切:4月28日(木)

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横浜ロシア語センター受講生の発表 横浜ロシア語センター受講生の発表 ブリヌイの作り方をビデオで紹介 ブリヌイの作り方をビデオで紹介 マースレニツァ1 マースレニツァ1 マースレニツァ2 マースレニツァ2 マースレニツァ3 マースレニツァ3

ブリヌイの作り方のビデオも登場!
ウリヤノフスク・ウラジオストク・横浜 ロシア語・日本語交流会

 2022年3月6日(日)、標題の交流会が開催されました。Zoom会議方式によりウリヤノフスクから10名、ウラジオストクから5名、モスクワから2名、日本ユーラシア協会からは神奈川県協会横浜ロシア語センターの方々を中心に、17名が参加しました。

 本リモート交流会は、昨年の9月から行っており、今回で第3回目です。私たちは、ロシアのウクライナへの侵攻が行われ、ロシアへの世界からの非難が強い今だからこそ、両国の”人々“は常に親善と平和を望んでいることを互いに確認し、それを訴えるためにも本交流会を当初の予定通りに開催しました。

 今回のテーマは「春の過ごし方」でした。参加者は、ロシア語、日本語の両方でスピーチを行いました。ロシアの方々からは、主にマースレニツァについての紹介が、日本の方々からは、日本の春についての紹介がありました。

 ロシアの参加者は、マースレニツァ祭りがどのような宗教的な行事であるか、男同士の拳闘の風習、さらに祭りの時の街の様子、夫々の家でのマースレニツァの過ごし方、などが紹介されました。マースレニツァ祭りではブリヌイと言うホットケーキのような料理が食されますが、ウリヤノフスクの方からはブリヌイのビデオによる料理実演が音楽入りで楽しく紹介されました。ウラジオストクの音楽学校に通う学生からはマースレニツァに関連したロシア民謡の歌の披露がありました。

 ロシアの参加者から、マースレニツァ最終日の日曜日は、「赦しの日曜日」と呼ばれ、親しい人たちの間で、その一年のすべての罪を互いに許し合うことが紹介されましたが、今の状況への彼らの思いを暗示した発言なのかとも、筆者は感じました。

 日本の参加者からは、梅の花の美しさ、桜の花見、りんごの花の咲く様子の紹介など、日本人が春をどう過ごすのかの紹介、さらに梅やりんごなどの食材を使った春の料理の紹介もありました。

 プレゼンテーションの後は活発な質疑応答が行われました。今回の交流会はパフォーマンスが盛りだくさんで、とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。なによりも参加者が皆、本ビデオ交流会に意欲的に参加しており、積極的に発言をして、この会議をエンジョイしているのが大変印象的でした。

(柴田)

 次回のロシア語・日本語交流会は5月29日(日曜)18:00です。

 テーマは、「ロシア語(日本語)を学ぶ上で何が一番難しいか?」です。1人3分、最初にロシア語、そして同じ内容で、日本語でスピーチです。定員は10名です。まだ参加していない人、お待ちしています。

 また、ロシア語日本交流会参加者交流サイトを作りました。「テレグラム/Telegram」というインスタントメッセージアプリケーションです。使い方はLINEと同じで、スマートフォンとPC版があります。無料のアプリケーションですが、登録が必要です。ロシアは今Facebook、Instagramが止められているので、残念ながらTelegramしか通信手段はありません。ロシア語でも日本語でもOKです。積極的に交流をしてください。参加される方は以下のリンクをご利用ください。

https://t.me/+xXA1CoaRH-xlM2U

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横浜ロシア語センター 教室公開日報告

 3月19日・4月2日、第136期前教室公開日として、ロシア語入門体験講座、学習体験談、センター案内・授業紹介が対面・オンライン併用で行われました。

 織田桂子先生と大山麻稀子先生の入門体験講座では、手作りのカードや口の模型などを使って初歩のロシア語を説明するだけでなく、早速参加者の皆さんに発音や簡単な会話の体験をしていただきました。教室で行われているコミュニケーション中心の授業を垣間見ることができたのではないでしょうか。

 学習体験談では、3月19日には藤木ゆりこさんがロシアの有名人形アニメ「チェブラーシカ」に関する様々なエピソードと作品に登場するロシア語を絡めて、ロシア語初学者にも既習者にも楽しめる、作品への愛に溢れた講義を行いました。4月2日に登壇した向山夢夏さんは、横浜ロシア語センター・モスクワ国立舞踊アカデミー・上智大学外国語学部ロシア語学科の3つの場所での学習方法について簡潔に発表。「学ぶ、理解する、実際に使う」サイクルを繰り返し、楽しみながら徹底してやり込み体得してきた様子に感服させられました。

 授業紹介では、3月19日にヴァリナ・ヴァレリヤ先生が、積極的に関わってきた協会のイベントも含めて案内。当センター中級クラスで学ぶ夫の五十嵐さんを生徒役に、担当のクラスで行っているような模擬授業を披露してくれました。4月2日の回はプレスカヤ・エカテリーナ先生が中級クラスをビデオ紹介。3月8日の国際女性デーに男性が女性に花を贈る風習と贈る花の日露のタブーや、様々な場所への道順を示しながら移動の動詞や接頭辞が学べる詩が好評でした。

 センター案内では野口福美センター長が、協会とロシア語講座の沿革、クラスの学習内容と料金、これまでの取り組み、コロナ禍以降導入されたオンラインでの授業やロシア語圏との交流会などの新しい試みについての説明、そして平和を願うメッセージの紹介を行いました。

 昨今の情勢により初日は特に緊張感が漂いましたが、3月19日には延べ45名、4月2日には延べ37名と沢山の方々が参加され、若干の技術的トラブルはありましたが、お楽しみいただけた模様です。皆様に心からの感謝を申し上げます。

 第136期は4月16日(土)から順次開講します。新規クラスへの入学はもちろん、既存クラスへの編入も空席があれば歓迎。ぜひお問い合わせください!

3/19入門体験講座1 3/19入門体験講座1
3/19入門体験講座2 3/19入門体験講座2
3/19学習体験談 3/19学習体験談
3/19授業紹介 3/19授業紹介
4/2入門体験講座1 4/2入門体験講座1
4/2入門体験講座2 4/2入門体験講座2
4/2学習体験談 4/2学習体験談
4/2授業紹介 4/2授業紹介
 

横浜ロシア語センター第136期 生徒募集中!

 4月16日(土)より順次、第136期ロシア語講座を開講します。新学期からは下記の講座が加わる予定です。奮ってお申し込みください。
 また既存クラスは受講生が2名以上継続すれば原則として同じ曜日・時間・講師で持ち上がりとなります。
 講座やお申し込み方法の詳細は横浜ロシア語センターホームページにて。

【新規開講予定】
● 火曜夜 ロシア演劇講座 シュヴァルツ『平凡なる奇跡』 講師:安達 紀子
● 水曜夜 特別集中講座 発音とイントネーション 講師:小林 淳子
● 木曜夜 入門 講師:大山 麻稀子
● 土曜昼 入門 講師:織田 桂子
● 日曜午前 文学読解 トゥルゲーネフ『初恋』 講師:竪山 洋子

 

ロシア民族楽器 バラライカ&ドムラ教室

 ロシア民族楽器を本格的に習える当教室は毎月2回土曜日にレッスンを行っています。
 4月のレッスンは2日・16日の予定です。詳細はお問い合わせください。

時間:14:00~17:45の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館6階会議室

 

みなとみらいマトリョミン教室終了のお知らせ

 残念なお知らせです。講師の檜垣紀子先生から、諸般の事情により2022年3月でみなとみらいマトリョミン教室を一旦終了するという連絡がありました。

 2007年に始まった当教室。8年半講師を務めた平野麻里先生から、長年の生徒兼世話人だった檜垣先生へ2016年春に講師を引き継いで早6年。個人とアンサンブルのレッスンの傍ら、ヨールカ祭や総会など様々な協会行事にアンサンブルが出演し、世界最古の電子楽器テルミンが内蔵されたマトリョーシカの可愛らしい姿と珍しい音色で彩りを添えてきましたが、2020年からはコロナ禍の影響で休止が続き、メンバーの都合も重なり継続が難しくなってしまいました。

 再開の機会を願いつつ、皆様のこれまでのご協力に感謝を申し上げます。

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 今月は休載です。

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レモン・ジンジャージャム

ウクライナ産 レモン・ジンジャージャム 390g/600円(税込)

生姜とレモンのビタミン豊富なジャムです。ヨーグルトに、ベーカリー製品のコーティングに。
温かいお茶にして飲んだり、紅茶やアルコールのアクセントとして加えても。
原材料名:砂糖、レモン、しょうが、ペクチン
賞味期限:2023年7月21日

 
ボルシチの素

ウクライナ産 ボルシチの素 210g/540円(税込)

本格的な伝統ウクライナボルシチ5-6人前が手軽にできる定番商品。肌寒い日にはまだまだ活躍しそうです。
水、肉、じゃがいも、キャベツを別途ご用意ください。
分量や材料をお好みでアレンジしても安定して美味しく作れます。
日本語レシピ付。
賞味期限:2023年9月21日

 
ベリョフスカヤ・パスティラ

ベリョフスカヤ・パスティラ各種 200g / 750円(税込)

リンゴのピュレと砂糖と卵白で作ったケーキのような焼き菓子。甘酸っぱい濃厚な味わいと独特の食感が特徴です。
いちご、プルーン、シーバックソーン、ワイルドベリーのジャムを加えたもの各種(200g)を協会事務所で販売中。 原産国名:ロシア
製造者:「スタールィエ・トラディーツィイ」(ロシア・トゥーラ市)

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ロシア・トップ10

【芸能】Русская Десятка ロシア・トップ10

 ウクライナ情勢で世界中から非難轟々のロシアから、2022年3月第3-4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。今月は10曲中5曲、こちらも嵐!

 レニングラードの新曲≪Прощай, элита!≫(さようなら、エリート!)と≪А у олигархата...≫(オリガルヒには…)が其々10位と5位にダブルチャートインしました。前者はウクライナ侵攻後に海外に逃亡した裕福な有名人を痛烈に風刺し、祖国に反対する「エリート」を冒涜。どちらもR18指定の内容です。

 9位に歌手兼ブロガーであるアタマンとフィニャの新曲≪Диалоги тет-а-тет≫(二人きりの会話)が初登場。

 8位にヤロスラヴリ出身新人ラッパーでユーチューバーのシャドウレイズの新曲≪Showdown≫(ショーダウン)がランクイン。

 6位にクライムブレリの≪Если устал≫(もし疲れたら)が登場。ウクライナのドニプロペトロウシク州出身で、本名はマリーナ・ジャダン。露音楽界の祭典で最優秀新人賞を総ナメしたロシアのサクセスストーリーを地で行くアーティストです。

 カムチャッカ生まれの新人アーティスト、チェボキナの新曲≪Солнце Монако≫(モナコの太陽)」を2位へ後退させ、ガヤゾフブラザーのヒット曲≪Малиновая лада≫(ラズベリー色のラーダ)」が首位奪取しました。MVには本人たちが登場し、ラズベリー色に染まる道のりを国産車ラーダで時間旅行しています。昨年暮れにリリースされ大人気、現在YOUTUBE再生回数は6000万回を越えました。おめでとうございまーす!:-)

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2022年3月18日~24日/MOPA)
画像は https://vk.com より

※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。

 
「チェルノブイリ1986」 「チェルノブイリ1986」 (C)≪Non-stop Production≫ LLC, (C)≪Central Partnership≫ LLC, (C)≪GPM KIT≫ LLC, 2020.
All Rights Reserved.

【映画】「チェルノブイリ1986」

(原題:Чернобыль、ダニーラ・コズロフスキー主演・監督作品、2020年、ロシア)

 1986年4月26日、チェルノブイリ原子力発電所で世界最悪と言われる爆発事故が発生。この事件に関して、さまざまなドキュメンタリー、文芸作品が作成されているが、本作は爆発直後に現場に急行した消防士たちの苦闘をメインに描く。

 プリピャチに暮らす理容師のオリガは、彼女のもとを去っていた恋人の消防士アレクセイと再会。アレクセイはオリガがシングルマザーとなっていたことに驚く。オリガは否定したが、アレクセイ自身は彼女の息子に肉親のような不思議なつながりを感じる。

 そこへ発生した原子力発電所の爆発事故に、アレクセイたち地元の消防士が消火活動に駆け付けた。消火活動途中で、多くの消防士が被爆死する中、深刻な水蒸気爆発の危機が迫っていることが判明する。ヨーロッパ全土に放射能をまき散らしかねない2次爆発を防ぐため、排水弁を開ける必要があるが、被爆死の恐怖で誰も行こうとしない。

 その頃、オリガの息子が被爆症状を発症する。アレクセイはスイスでの治療を条件に、決死隊への志願をするが…。

 フィクションながら、愛する人たちや故郷のために死を辞さずに困難へ立ち向かう姿、突然の災難に逃げ惑う避難民の姿など、一瞬にして日常を失った現在のウクライナを彷彿とさせる。なお、消防士たちの死にざまは壮絶である。

 5月6日より新宿ピカデリー、小田原コロナシネマワールド、5月7日より横浜シネマリンで公開。

(文:滝沢 三佐子)

 
「インフル病みのペトロフ家」 「インフル病みのペトロフ家」

【映画】「インフル病みのペトロフ家」

(原題:Петров в гриппе キリル・セレブレンニコフ監督作品、2021年、ロシア)

 ヴィクトル・ツォイを軸とした青春を描いた「LETO」で好評を博したセレブレンニコフ監督の最新作は、ベストセラー小説「インフル病みのペトロフ家とその周辺」の映画化。

 セレブレンニコフ監督は、国家予算の不正流用容疑で自宅軟禁となり、その後執行猶予付きの有罪判決を受けた。本作は、自宅軟禁中に脚本が書かれ、軟禁解除直後から撮影を開始したという、緊張感あふれた作風となっている。

 2004年の新年を前にしたエカテリンブルグが舞台。インフルエンザで高熱を発した主人公で売れない漫画家ペトロフは、ふらふらになりながらトロリーバスに乗り込む。そこへ友人のイーゴリがやってきて、ペトロフを強引に引きずりおろし霊柩車へ。さらにペトロフは幼馴染のイワンの自殺ほう助に誘い込まれ、熱で朦朧となった彼の意識は、1976年の子どもの頃のヨールカ祭と90年代の混乱期を行き来する。

 一方、図書館司書として働くペトロフの別れた妻は、すけべな利用客に業を煮やし、詩の長さで論争している「文芸サークル」にもイラついている。キル・ビル並みの格闘技で彼らを次々に「殺害」。そして、帰宅すれば息子もインフルエンザに罹っており、熱が下がらない。そんな中、ペトロフと元妻は微妙な関係となる。

 ソ連時代の暴力的で殺伐とした地方都市を可能な限り再現し、放送禁止用語が多用され(字幕は伏せ字になっている)、壁の落書きさえ雄弁に主張する本作は、「LETO」でも多用されたヘタウマなアニメーションの挿入、18分もの長回し、ラップによる心情の表現で「ソ連時代」なのにすばらしくスタイリッシュ。その上、少しでもロシアの生活体験や文化について知識のある人には、ロシア社会の極端さや思いがけない寛容性を追体験するような作品でもある。インフルエンザがもたらした悪夢が高揚感をもたらす奇跡をぜひ体感してもらいたい。

 出演者も豪華。主人公ペトロフは「LETO」にも出演したセミョーン・セルジン、妻役は「グッバイ・レーニン」などで有名なチュルパン・ハマートヴァ、ヨールカ祭の雪娘役には「ロシアン・スナイパー」に主演し、宇宙で初の映画撮影に参加したユリヤ・ペレシリド。彼らはロシアのウクライナ侵攻開始に際し反対の意を表明し、ハマートヴァは3月20日に亡命を表明した。

 4月23日よりシアター・イメージフォーラム(渋谷)、6月11日から川崎アートセンターアルテリオ映像館で公開。シアター・イメージフォーラムでは「LETO」リバイバル上映も決定している。

(文:滝沢 三佐子)

 
「潜水艦クルスクの生存者たち」 「潜水艦クルスクの生存者たち」

【映画情報】

●「潜水艦クルスクの生存者たち」

(トマス・ヴィンターベア監督作品、2018年、ルクセンブルグ)

 2000年にロシアで実際に起きた未曾有の原子力潜水艦事故を完全映画化。世界を揺るがした原子力潜水艦事故の《驚愕の実話》とは──?豪華キャスト&製作陣が描き出す、衝撃と感動のヒューマンドラマ。4月8日(金)より、kino cinemaみなとみらい他、全国公開。


● 緊急上映「ひまわり」50周年HDレストア版

(ヴィットリオ・デ・シーカ監督作品、1970年、イタリア)

映画史に残る永遠の名作。最新のデジタル技術で修復されてあざやかに蘇る。
とき:4/16(土)~4/29(金)
ところ:横浜シネマリン


● ジョージア映画祭2022

岩波ホールで開催されたものと同じ内容です。
とき:5月7日(土)~27日(金)
ところ:横浜シネマリン

 

【催し物情報】

チェルノブイリ36年・福島11年救済イベント

井戸謙一氏講演会(311子ども甲状腺がん裁判弁護団長、弁護士)
とき:4月23日(土)13時~15時
会場:Zoomによるオンライン開催
申込締切:4月22日(金)9:00
主催:チェルノブイリ子ども基金、未来の福島こども基金
後援:生活協同組合パルシステム東京
申込:https://www.palsystem-tokyo.coop/detail/75603/
問合せ:cherno1986@jcom.zaq.ne.jp

 
「夜明けの星たち」 「夜明けの星たち」

【演劇】ロシア語劇団コンツェルト 第51回本公演「夜明けの星たち」

 例年は年末に行われるロシア語劇団コンツェルトの本公演。今年も新型コロナウィルス感染症の影響により2月末に開催となった。演目は、ペレストロイカ期のニューウェーブと称されるアレクサンドル・ガーリン作「夜明けの星たち」。この作品は、モスクワ・オリンピック開催にあたり、アルコールや麻薬中毒者、反体制派、元犯罪者、ホームレス、売春婦など、当局にとって「都合の悪い」者たちが、モスクワから100km以上離れた場所に追放されていた事実をもとに描かれたものである。彼らは療養所や精神病院などに収容され、モスクワに入るには許可証を得なければならなかった。そうした背景のもと、社会にはいないとされた「娼婦たち」を主人公とした画期的な群像劇が成立した。

 ある隔離施設にローラという少女がトランクを下げて現れる。ヘビースモーカーの彼女の受け入れ手続きをするのは施設の管理人ワレンチーナ(恰幅がよく、ソ連時代のデジュールナヤそのものの様相)。ローラはサーカスで空中ブランコ乗りをやっていたなど、虚実ないまぜのことをとりとめなく喋る。

 この施設では、若くして母となった娼婦のマリヤと、ワレンチーナの息子で民警のニコライが恋仲となっている。そして、いつもへべれけに酔っぱらっているが、面倒見が良い中年娼婦のアンナ(酔っぱらいのロシア語が実にさまになっている)、ローラと恋に落ちる精神病院患者の学者アレクサンドル、マリヤをドライブに連れ出しローラの正体を暴くクララ(男優が女装で挑戦)などが出入りしていて、モスクワの表社会から隔絶された人間のたまり場となっている。中でもマリヤは学校の寮でもいじめられ、親から勘当されるなど辛い過去をもつ上に、ドライブ中に暴行を受けるなど不幸を一身に受け止める姿には心を動かされる。

 マリヤが劇中で歌う「燃えよ、燃えよ、私の星よ」は、歌手アンナ・ゲルマンによって歌われたロマンスで、どん底に置かれた彼女たちの希望を星に例えて歌う愛の歌。彼女たちは星に導かれて、いつの日か自由になることを夢見ている。

 オリンピック聖火が通り過ぎていくところを、瞳を凝らして眺めるラストシーンは圧巻。星のように瞬く聖火を「燃えよ、燃えよ、私の星よ」に重ねながら、ソ連時代には存在しないことになっていた者たちは、自己の存在を叫び、歌う。

 2021年から今年にかけて、東京と北京を舞台とした文字通りオリンピックイヤーだった。光当たるところには陰もある。私たちはそのどちらも見逃してはならない。この戯曲を掘り起こし、上演してくれたコンツェルトの皆さんに感謝である。

(文・滝沢 三佐子/撮影・ロシア語劇団コンツェルト)

 
漆原啓子 秋場敬浩 デュオ・リサイタル

【音楽】音楽(芸術)は世界を癒す 漆原啓子 秋場敬浩 デュオ・リサイタル

 3月13日(日)の午後、東京文化会館小ホールで漆原啓子 秋場敬浩 デュオ・リサイタルを聴き、久々の生演奏を堪能しました。

 ヴァイオリンの漆原啓子氏は1981年のヴィエニャフスキコンクール優勝者。最年少での授賞で、当時ずいぶん話題になったものでした。ソ連時代に活躍した名匠ダヴィッド・オイストラフを尊敬していると聞いたことがあります。

 ピアノの秋場敬浩さんを初めて聴いたのは、もう10年も前になるでしょうか。当時住んでいた信州の上田市立図書館におけるロビーコンサートでした。千曲川の向こう、夕空に松本平を隔てる山並みを望みながら聴いたアルメニア音楽、そしてモスクワやアルメニアでの、特に修道院を訪ねられた折の不思議な体験。アルメニアとその音楽への憧れが芽生えました。横浜に戻ってから日本ユーラシア協会神奈川県連の会員となり、アルメニア音楽祭に参加する機会に恵まれるようになりました。

 苦難の歴史を経て来た小国アルメニアは名だたる移民の国。コロナごもりの間に、アメリカ文学の異色の作家ウイリアム・サローヤンの「我が名はアラム」「人間喜劇」を読みました。異郷でも失われない優しさ(そして独特のゆるさ)に心を揺さぶられました。プログラムの最後のババジャニアンはアルメニアの作曲家です。

 難解な(と思っている)シュニトケは「古風な様式による」というだけあって親しみやすく、チャイコフスキーの馴染み深い旋律に癒されました。しかしなんといってもババジャニアンが圧倒的でした。秋場さんの独壇場と思います。

 というわけで、演奏は大いに盛り上がりましたが、アンコールに至ってどきどきしました。ピアニストのメジューエワがコンサートで「ロシア人であることが恥ずかしい」と涙ながらに詫びたとか、西側諸国でチャイコフスキーの「1812年」が禁止になったとか、ロシア人演奏家の多くが解雇された、などのニュースが続いているからです。

 お二人がマイクを持ちます。漆原さんはデビュー40周年を迎えることができたことへの感謝と平和への願いを述べられました。秋場さんは漆原さんを賞賛し、さらにプロコフィエフのソナタは漆原さんのデビュー曲である旨を紹介。続けて「今は大変な時ですが、……どの曲も平和を願う心で書かれたものです」と、静かな口調で述べられました。音楽への愛、演奏家としての確かな矜持を感じました。

 アンコールはアルメニアの作曲家バグダサリアンのノスタルジックで美しい「ノクターン」、そしてシュニトケの「ポルカ」。ウクライナの民謡を連想しました。メッセージは確かに伝わった、と思います。会場は繰り返し盛大な拍手に包まれました。

 音楽(芸術)は必ず世界を癒す、そう信じて会場を後にしました。

(鈴村)

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ロシア著名人

ウクライナ侵攻にロシア各界激震

 2月24日に露がウクライナに侵攻してから1ヶ月を越えた。この侵攻には露国民の間で賛否が大きく分かれ、露各地で行なわれた反戦運動に参加した者は大人子供構わず拘束された。勿論露各界に賛否両論の大激震だった。次々と目まぐるしく情勢が変わり続けて、この記事が公開される頃には既に古い情報になっているかもしれない。ここでは一部を紹介する。

 公営テレビ局1TVの超人気トーク番組≪Вечерний Ургант≫(夜のウルガント)の司会者イワン・ウルガントと番組制作チームは反軍国主義をスローガンとして放映したかったが、局の上層部はこれを却下。それからチームは番組を放送から外すように依頼し、翌日25日に急遽放送中断し反戦の抗議表明とした。その後ウルガントは自身のインスタに≪Страх и боль. НЕТ ВОЙНЕ.≫(恐怖と痛み。戦争反対)と残しイスラエルへ出国、SNSの自分のページに「休暇に行ってる」と書き、ファンを気遣った。同番組の脚本家であるグドコフも自身のインスタページに≪Мне стыдно, что я родился в этот день.≫(侵攻したこの日に僕が生まれたことが恥ずかしい)と気持ちを露にした。

 歌手ヴァレリー・メラーゼも「起こり得なかった、そして決して起こらないはずのことが今日、起きてしまった。歴史はいつか全てを判断しその場に留めるだろう。お願いしたい、交渉のテーブルに座ってほしい。人々は交渉できなければならない。このために言語を与えられたのだから。このために全ての能力を与えられたのだから。人々は滅びてはなりません。これを止めなければなりません。」という声明を発表し、侵攻に反対した。

 ソ連時代から活動しているロックグループDDTのユーリー・シェフチュクは「この戦争は、心を失った精神病者に必要とされるものだ。現時点でその人というのは、クレムリンで牛耳っている輩だ。そう、封建的な考え方に固執している人達のことを指す。」

 露芸能界のプリマドンナ、アッラ・プガチョワの夫でありタレントのマクシム・ガルキンは「朝からウクライナの親戚や友人と連絡を取り合っている!気持ちを言葉にできない!どうしてこんなことができるんだ!戦争の正当化はできない!戦争反対!」と言い、妻と2人の子供と共に、イスラエルへ出国。いずれも「ちょっとした休養」と言っているが…

 アレクサンドル・ネヴゾーロフ(ジャーナリスト)「電気技師が大統領になったら、電球とコードが彼方此方にあるだろう。そんな国には新しい変電所と高圧線が必要になる。パン屋が大統領になったら、町にパン屋や菓子屋が増え、いい香りがしてくるだろう。そんな国には、新しいエレベーターやパン屋が必要になる。でも元KGBの奴が大統領になってしまった。だから今、奴の肛門から国を引っ張り出してくれる肛門科医が直ちに必要になるだろう。」

 ボリス・アクーニン(作家、日本学者)「ウクライナ人にとってそれは恐ろしいこと。気違いの政権下にいる正気のロシア人にとっても恐ろしいこと。そして今喜んでいる騙されたロシア人にとっても恐ろしいこと。」

 クセーニア・サプチャク(ジャーナリスト)、アニー・ローラク(歌手)、クリスティーナ・オルバカイテ(歌手)、スヴェトラーナ・ロボダ(歌手)、セルゲイ・ラーザレフ(歌手)、デニス・クリャヴェル(歌手)、マニジャ(歌手)、イワン・ドルン(歌手)、ボリス・グレベンシコフ(歌手)、アナスタシア・イヴレーワ(タレント)、ドミトリー・ムラトフ(ノーベル賞受賞者)他 など多くの著名人がウクライナ侵攻に異議を表明している。

 賛成している著名人もいる。

 日本でも公開された「シベリアの理髪師」の映画監督であるニキータ・ミハルコフは次のような意見を持つ。「侵攻が行き詰まりから抜け出す唯一の方法だったと思う。ウクライナと西側の『パートナー』による一連の裏切りは、許容可能な基準を全てにおいて超えている。8年間、罪のない市民(ドンバス地域のロシア系住民のこと)が、一揆を経てやってきたナチス政権(ウクライナのこと)を認めたくなかったという理由だけで、如何に簡単に殺され続けたか、世界は冷ややかにそれを見ている。起きたことは、何年もの間ウクライナ側が私達からドンバス地域を奪おうとした事実にも拘らず、残念ながら、私達自身がかなり掃討に参加したが、ロシアは独自の尊厳を保ったことへの『最も明確な確認』だったと私は考える。」

 テノール歌手のニコライ・バスコフは「西側によるロシアの無原則な欺瞞の30年は終わった。西側は私達の権利を認めたくないが、ロシアは、無視されたり、自国人を二級品扱いされたりすることに、もはや同意しない。全てを適切な名前で呼ぶ時が来た。米国とその同盟国は、ロシアを破壊したいと思っている。NATOの平和的性質についての主張なんて嘘。米国とNATOの手は、セルビア、イラク、リビア、シリアの人々の血の中に長い間存在してきた。将来、ロシアで流血があっても誰も奴らを止めないだろう。」

 ロシア連邦国民的芸術家などを表彰され愛国主義者である歌手オレグ・ガズマノフは、露軍の特別軍事作戦を支持したため、ウクライナ検察総長は3月5日に「国際指名手配リストに掲載される、ウクライナの領土保全を侵害したとして起訴される」と発表した。また3月18日モスクワ市で行なわれたクリミア併合8周年記念行事≪Za мир без нацизма! Zа Россию! Zа Президент≫(ナチズムの無い世界のために!ロシアのために!大統領のために!)に出場。(敬称略)

(MOPA)

 
姓の接尾辞分布図

姓の接尾辞分布図
(1)~エンコは東部、(2)~ウーク/~ユークは西部、(3)~アークは西端に多い。
V. A.ニコノフ著『姓の地理学』(1988)より

ウクライナの姓 東のシェウチェンコ、西のシェウチューク

 ウクライナに関心を寄せて情勢を追っているうちに、ウクライナ人の姓の末尾に「エンコ」や「ユーク」と付くものをよく見かけることに気づいた方も多いだろう。

 ウクライナの姓の接尾辞は大きく3つに分けられる。1つ目はその人の父親、祖父、先祖を示す「父称」に由来するもの(エンコ、ユーク等)。僅かだが母親の名に基づく「母称」もある。2つ目は職業や特徴的な行動を示すもの(イイ、ヌィク、ウーン等)。ここに父称の接尾辞をつけて姓を作ることも。3つ目は居住地や出身地(シキー等)。14~16世紀から王侯貴族が名乗り始め、貴族なら先祖代々の領地、平民なら出身地を表す。

 典型的なウクライナの姓の接尾辞-енко/-єнко(エンコ/イェンコ)は、小さく未熟な生き物を表す-еня(エニャ)と-ко(コ)を合わせて生じ、呼びかけに用いる「呼格」の形で定着したものである。ウクライナ語で桶屋は「ボンダル」だが、その小さいものが「ボンダレンコ」で「小さな桶屋」「桶屋の息子」の意味になった。

 この形式の父称は16世紀から主にポジーリャに見られ、17世紀にドニプロ(ドニエプル)川左岸のコサックに広まった。1649年のキーウ(キエフ)のコサック連隊のうち54%の軍属の名にこの接尾辞が付いていた。当時はまだ代々継承される姓になっておらず、親がコヴァーリ(鍛冶屋)なら息子はコヴァレンコ、シュヴェーツィ(靴屋)の息子はシェウチェンコ等と記録された。するとペトローの息子はペトレンコとなる。ウクライナで父称が世襲の姓になったのは18~19世紀の変わり目と言われるが、この現象は姓が庶民の間にも正式に導入され始める19世紀前半まで存在した。

 現在「エンコ」の付く姓はウクライナ東部のドニプロ川沿岸・左岸地域~ベラルーシ東部に多い。尚、ロシア語表記は-енко、ベラルーシ語表記は-энка/-енка, -анка/-янкаになる。

 -ук /-юк(ウーク/ユーク)、-чук(チューク)も小さなものや若いものを表す。ペトローの息子や孫はペトルークまたはペトリューク、鍛冶屋の息子や弟子はコヴァリチューク、靴屋の息子や弟子はシェウチュークとなる。こちらはウクライナ西部に16世紀頃から見られ、17~18世紀に他の地域にも広まり、19世紀に姓として定着した。現在この形の姓を持つ人はウクライナ西部のヴォルイニとポジーリャ、ベラルーシ南西部に多い。

 またウクライナ西端~スロヴァキア北東部、ポーランド南東部では-ак/-як(アーク/ヤーク)という父称の接尾辞の付く姓を持つ人の割合が最も多い。

 2011~2013年のウクライナにおける姓の人口上位十傑は次の通り。メーリヌィク、シェウチェンコ、コヴァレンコ、ボンダレンコ、イヴァノフ(男性形)/イヴァノヴァ(女性形)、ボイコ、トカチェンコ、クラウチェンコ、コヴァリチューク、コヴァーリ。地方によっても違いがあり、西部のリウネ州ではコヴァリチューク、中部のキーウ州ではシェウチェンコ、東部のドネツィク州ではロシア系の姓イヴァノフ/イヴァノヴァが最も多い。

 ちなみにエンコやユークの付く姓は男女同形だが、現ウクライナ大統領の姓は形容詞が元になり語尾が男女で異なるため、大統領本人は男性形でゼレンシキー、夫人は女性形でゼレンシカ(ロシア語ではゼレンスキー/ゼレンスカヤ)になる。

 ロシアや旧ソ連を構成していた国々でもウクライナ系の姓を持つ人は少なくない。また-енко(エンコ)に-ов(オフ)というロシア風接尾辞を加えた-енков(エンコフ)と付く姓もあり、ウクライナ・ベラルーシの東端からロシア方面に進んで数百km辺りの土地に見られるという。

 こうしてみると、姓は人のルーツや移動を示すものでもあることを改めて思い起こさせられる。ウクライナとロシアではお互いの国に遠い先祖ばかりか自分の直接の家族や親戚のいる人も多い。現在の状況にはただ胸が痛む。

※本稿での固有名詞カナ表記はウクライナ語での発音に基づく一例である。他にも様々な翻字法があり、表記は優先事項によって変わり得る。

(横嶋 冬美)

参考:
Українські прізвища, Wikipedia, 2022-03
Украинская фамилия, Wikipedia, 2022-03
Українські імена та прізвища, ≪То є Львів≫, 2022-03
В. А. Никонов ≪ГЕОГРАФИЯ ФАМИЛИЙ≫
(V. A. ニコノフ『姓の地理学』), 1988

 
横浜ハリストス正教会の復活大祭(2016年) 横浜ハリストス正教会の復活大祭(2016年)

【ユーラシア歳時記】「復活」

 ロシア正教の聖堂(教会)には、基本、椅子が置いてありません。他の正教では、一部、椅子がある所もあります。正教徒の信仰の原点というべきものは、「ハリストスの復活」。ギリシャ語で「復活」と「立つ」は同じ語で、正教徒はハリストスの復活を常に心にとめておく為に立ってお祈りします。また、ロシア正教では「降誕祭(クリスマス)」より「パスハ」という「復活大祭(イースター)」のほうが最も重要で、盛大に行われます。

 それから、聖堂の入口は原則、西側にあり、(太陽が昇る)東を向いてお祈りします。「神は光である」と聖書にあります。ちなみに司祭も多くの場合、神の方(東)に向かって立つので後ろにいる信徒によく見える様に司祭服は後ろ側が豪華な模様で作られています。

 そして、正教会の聖堂…といえば、「イコン」ですね。平面であり、立体像がないのは、偶像崇拝にならないように。

 ところで、正教会での聖歌は楽器を使いません。無伴奏で歌います。その歌声は清らかで、心の琴線にふれるようです。それもそのはず。正教における聖歌は「祈り」なのだそうです。「祈りの言葉」ではなく、「祈りそのもの」であると。楽器の音は「祈り」にはならないから楽器は使わない…という訳。それゆえ、かえって厳かな雰囲気があるのですね。

 最後に、現在、ロシアは世界中から非難を浴びています。しかし、ロシア人は本来、たとえ自分達の食べ物が無くても客人には精一杯の「もてなし」をする、とても優しい人ばかりです。どうか、それを忘れないで下さい。私は世界平和と、日本とロシアの交流が一日も早く「復活する」ことを祈っています。

(とくなが なつみ)

 
蕪 玉葱 人参

頭の体操に!2021年秋のロシア全国統一テスト・4年生の問題

 昨年10月にロシアで行われた全国統一テスト・4年生の問題、最後の1問をご紹介します。出題機関はギフテッド支援教育センター「シリウス」です。
 算数のおさらいに、ロシア語勉強中の方は読解の練習にいかがでしょうか?

(解き方と答えはこちらに掲載)

Задание:

У купца есть 6 мешков, которые весят 16, 18, 19, 20, 24 и 30 кг. Один мешок заполнен репой, а каждый из оставшихся - либо луком, либо морковью. Купец знает, что суммарный вес моркови в два раза больше суммарного веса лука. В каком мешке может находиться репа? Укажите все возможные варианты.

【訳】 商人が16、18、19、20、24、30kgの重さの袋を持っています。1つの袋には蕪が入っていて、残りの袋には玉葱や、人参が入っています。人参の総重量が玉葱の総重量の2倍であることを、商人は知っています。蕪はどの袋に入っているでしょうか。可能な袋を全て示してください。

 
マシャーニャ

人気社会風刺アニメ「Масяня(マシャーニャ)」が斬る!

 2000年から続いている、人気社会風刺アニメ「Масяня(マシャーニャ)」の第160話「脇差」が3月22日に登場。

 今回はウクライナ侵攻を題材に、ウィットに富んだストーリーになっています。

 公式サイト(mult.ru)に公開してましたが、ロシア当局から注意を受け、閉鎖されてしまいました。

 でもYouTubeでは見られます。音声を変えていて聞き取りづらいかもしれないので、字幕機能をONにして(ロシア語が出ます)、ご覧下さい。

Масяня эпизод 160 ≪Вакидзаси≫

(MOPA)

 

【解き方と答え】2021年秋のロシア全国統一テスト・4年生の問題

【解き方と答え】
人参の重量=2×玉葱の重量。人参の重量をxとすると→ 2x+x = 3xが人参と玉葱の総重量。また蕪1袋だけなので、蕪がそれぞれ16、18、19、20、24、30kgだったときの人参と玉葱の総重量との関係を考えればよい。下表から、蕪は16kgの袋か19kgの袋に入っていると考えられる。

蕪の重量[kg]その他の重量[kg]=人参と玉葱の総重量割算可否と人参の重量[kg]判定
1618+19+20+24+30=111割り切れる。X=37
1816+19+20+24+30=109割り切れない。×
1916+18+20+24+30=108割り切れる。X=36
2016+18+19+24+30=107割り切れない。×
2416+18+19+20+30=103割り切れない。×
3016+18+19+20+24=97割り切れない。×

 

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中世ロシア興亡史講義 ~歴代君主の素顔とその真実~ 862-1598
第190回 ヤジェロヴィツ条約の締結

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