今月の表紙

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2021年12月号 No.722

行事予定

冬休みのお知らせ

 2021年12月24日(金)~2022年1月7日(金)まで、神奈川県日本ユーラシア協会の冬休みとなります。

 協会事務所、各種教室、物販等は全て休業いたします。この間にいただいたお問い合わせ・お申し込みやご注文への対応は休み明けに順次行います。

 コロナ禍も一進一退と見え、この先の見通しが立ちにくい昨今ですが、皆様くれぐれも健康に気をつけて、良いお年をお迎えください。

新年会「ヨールカ祭」 2022年1月23日(日)ハイブリッドオンライン開催

※新型コロナウイルス感染急拡大を受けて、会場では演目のみを無観客で上演します。
一般のお客様のリアル参加は中止し、オンライン参加のみとさせていただきます。ご了承ください。(2022.1.11)

新年会「ヨールカ祭」  毎年恒例の新年会「ヨールカ(もみの木)祭」、2022年はリアル会場とオンラインのハイブリッド開催の予定です。
 未だコロナ禍収束の見通しも立ちませんが、各地の会員や友人知己と楽しく過ごしましょう!
 パフォーマンスの出演者も募集中。詳しくはリンク先のチラシ(PDF)にて。

日時:2022年1月23日(日)14:00~17:00(日本時間)
会場:横浜平和と労働会館2・3・5階
参加費:リアル1,000円、オンライン無料
定員:リアル30名、オンライン100名(先着順、要予約)
参加申込締切:2022年1月17日(月)
出演申込締切:2021年12月20日(月)

年末特別企画『シベリア鉄道殺人事件』DVD 鑑賞会

「シベリア鉄道殺人事件」  12月26日(日)、上記の鑑賞会を行います。「是非、観たい」との非会員からのご要望に応えて開催します。昨年6月7日にも鑑賞会を行いましたが、その際、見逃した方も是非お出でください。

 作品自体は1999年に放映されましたが、実はこの年に初のハバロフスク旅行を実施したのです。ですから、ロケのハバロフスクは旅行から何ヵ月か後の姿なのです。

 また、ネタバレとなってしまいますが、「ニージニー」という言葉も出てきます。ロシア語教室とは関係が深い言葉です。サスペンスのみならず、知ることの少ないロシアの市民生活や大自然を楽しめます。

 さらに、日本ユーラシア協会の理念ともいえる日ロの友好や親善についても、戦争やシベリヤ抑留の悲劇に絡めて描写されています。

 年末の忙しい時期ですが、新年を迎える準備を終えた後、くつろぎのひと時を過ごしませんか。

日時:2021年12月26日(日)午後1時
会場:横浜平和と労働会館5階教室
参加費:500円(簡単ロシア料理もしくは黒パン、紅茶付)

活動報告

笑いの中に「他人事とは思えない」
―「私のちいさなお葬式」DVD鑑賞会報告

「私のちいさなお葬式」  11/28、日曜の午後、8人が鑑賞会に参加してくれました。「3人ぐらいかな」と思っていたところ、うれしい誤算。

 映画の主人公は73歳の元小学校女性教師。医師から、いつ死んでも不思議はないとの診断を受けて、自分の『後始末』を考えます。今の日本の『終活』です。

 いざ、始めて見たら、そのトンチンカンなこと。埋葬の許可をもらうために死亡診断書が必要となると、死体になりすまし、かつての教え子に診断書を書かせるのです。

 また、棺桶をバスに乗せて帰るということも仕出かします。要所要所で、教え子たちが登場し、いろいろなハプニング。その都度、参加者の笑いが。でも、笑いの中に、現実の日本の姿が重なって見えてくるのです。

 夫を亡くし、頼りの息子は大都市で仕事に明け暮れています。入院の知らせも、仕事のプレゼンの際に携帯が鳴るのです。核家族化した日本と同じです。親の死に目に会えないというのは、今の日本では頻繁にあることです。大都市のマンションでは、両隣に誰が住んでいるのかも分からないのです。コロナ騒ぎで、なかなかニュースにはなりませんが、孤独死は増えています。

 家族の絆とは……、死を迎えるとはどういうことなのか……。映画は観る人に問いかけてきます。

 因みに、邦題では『私のちいさなお葬式』ですが、原題は『鯉』です。これまた、教え子が釣り上げた鯉を、主人公に渡すのです。冷凍したのを水に戻して生き返るという、いかにも映画の話。その鯉が、キーパーソンならぬ『キーフィッシュ』。未見の方は、是非ご覧になってみてください。

 そして、うれしいことに、2022年2月27日の鑑賞会の作品が決まりました。参加者から「何か文学作品を観たい」という声がありました。そこで、ドストエフスキーの名作『罪と罰』を取り上げることにしました。何回か、映画が作成されていますが、1935年アメリカ制作版を鑑賞します。今から予定に入れておいてください。

(関戸)

「秋、季節の楽しみ」でウリヤノフスクと交流! 30名が集まりました

ウリヤノフスクとの交流会  第2回Zoomウリヤノフスク交流会が11月28日(日)18:00(ウリヤノフスク時間13:00)に開催されました。

 前回、ウリヤノフスク側は、ウリヤノフスク日本文化センターに集まって日本語教室としてZoom参加しましたが、今回は、それぞれの自宅からの参加になり、前回よりも10名も多い20名となりました。一方、日本側は、前回より少ない10名で、合わせて30名でした。

 今回の語りのテーマは「秋の楽しみ」です。

 ウリヤノフスク側は「季節について」と伝わっていたようで、四季についての語りが多かったです。

・先日、初雪が降ったが、まだ本格的な冬にはなっていない。1月には、マイナス30℃になることがある。
・4月には春になるが、春は短いので、秋が好きだ。最も美しい季節だ。
・ボルガ川の秋が好き、冬には氷結するが、釣りをする人もいる。
・秋の始まりの頃が好きだ。
・白樺の葉が落ち始める9月の秋が好きだ。家族、みんなで森に行くが、今年は行けなかった。 ・夏と冬が好きだ。今年の夏は暑かったが、友達と川に行った。冬は、自然が綺麗になる。そして、映画を見たり、友達とお茶を飲む。
・冬は、とても寒いが、大好きだ。雪だるまを作る。

 日本側の「秋の楽しみ」は
・秋は夜が長いので読書をするのに適している。いま、ドストエフスキーを読んでいる。
・日本には「おばあちゃん」という言葉と「おばさん」という言葉があるが…。日本酒は、冬がおいしい。
・秋は井之頭公園で楽しんだ。
・実家に帰って「みかん」の収穫をした。
・秋は「芸術の秋」だ。中でも講談が好き、ロシア語と日本語で試している。
・日本の秋は、10月からで、秋は散歩をするのが好き。

 ウリヤノフスク側の交流会後の事後アンケートには、
・日本人が自分たちの生活について話すのを日本語で聞けたのが良かった。
・日本酒の話や「おばあちゃん」と「おばさん」の違いが面白かった。ロシア語で講談をやってほしい。
・とても暖かい交流会だった。参加してよかった。

 今後のテーマについて
・日本の伝統的住宅について知りたい。
・参加者の名前の漢字意味が知りたい。
・料理や食べものの話や自分で作った編み物や裁縫、絵を見せ合うのもいいのでは。

 日本側のアンケートは、一人からしか回答がありませんでした。
・ウリヤノフスクの写真(スキー場、ヴォルガ川、ヴォルガ川にかかる橋、アンモナイトなど)を見せてもらえたので、イメージが掴みやすく興味深かったです。
・それぞれの、ここが自慢したい!という点を、各自スピーチするのはどうか。例)日本であれば茶道や着物といった伝統文化を紹介。横浜であれば三渓園・横浜ハリストス正教会・中華街など和・洋・中のブレンドを紹介したいです。

(まとめ:木佐森)

教室案内

ロシア民族楽器「バラライカ」「ドムラ」教室

 ロシア民族楽器を本格的に習える当教室は毎月2回土曜日にレッスンを行っています。12月は4日・18日、1月は8日・22日の予定です。
 レッスン内容は奏法の基本から音楽理論や高度な内容まで。毎月土曜日に開講、実質個人レッスンとなります。初心者の方も、以前習っていて中断された方も歓迎します。
 詳細はお問い合わせください。

時間:14:00~17:45の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館6階会議室
レッスン料(1回、税10%込):一般11,000円、会員9,500円
※オンラインの場合は各1,000円引き


横浜ロシア語センター 第135期 生徒募集中!

 入門~上級、会話、演劇など、今期も初心者から上級者まで様々な学習レベルに合わせた内容の講座を用意しました。
 全23クラスのうち12クラスがオンライン、他に対面・リモート併用可能なクラスも。
 見学は30分×3クラスまで無料、学期途中からの編入と終了分の受講料値引きも可能。詳しくはホームページで。

組織・財政

組織状況

(2021年11月30日現在)

 10月末の会員数は220人でしたが、ロシア語教室で新企画の講座が開設されてお二人の方が新規会員となられ、一方、退会された方がいなかったので、11月末の会員数は222名になりました。

 2021年当初会員数は、218名でしたので、4名の増とはなっていますが、あと8名増やして230名にしたいです。

(木佐森)

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2021/11/30
単位:円
摘 要本年度当該月収入前年度当該月収入対前年度増減
一般会計88,550114,000-25,450
教育事業512,378912,300-399,922
一般事業82,619109,483-26,864
合 計683,5471,135,783-452,236
摘 要本年度当該月支出前年度当該月支出対前年度増減
一般会計642,567403,603238,964
教育事業561,375366,420194,955
一般事業44,83455,707-10,873
支出合計1,248,776825,730423,046
当該月収支-565,229310,053-875,282
累計収支計857,2832,027,522-1,170,239

 11月の財政状況は、教育事業収入が、コロナ禍にあった昨年に比べても39万円も少なくなっています。それは、昨年はコロナ禍のため、20年後期のロシア語講座の開始が遅れたこともあり、11月にも定期講座授業料の収入が続いていたことによります。

 支出では、一般会計支出が昨年に比べ、23万円も多いのは、本部会費を、全国理事会をリモートで開催したことにより、10月~12月の3ヵ月分15万円を上納したためです。(通常は12月上納)

 会計年度の12月31日まで、あと1か月です。1月からの累計収支がプラス85万円ですので、12月の支出次第では、赤字決算に陥る恐れがあります。

(木佐森)

文化・芸能

芸 能

Русская Десятка ロシア・トップ10

ロシア・トップ10  コロナにベラルーシ難民問題にクズバス問題…いろいろな問題を抱えて年を越しそうなロシアから、2021年11月第3-4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。今月は10曲中3曲が新曲!

 ユーロヴィジョン2015準優勝者ガガーリナが、久しぶりに新曲≪Вчера≫(昨日)をリリースし10位にランクイン。

 ズィヴェルトの新曲≪Cry≫(泣いて)が7位に初登場。

 カムチャッカ生まれの新人アーティスト、チェボキナの新曲≪Солнце Монако≫(モナコの太陽)が6位に初登場。幼少の頃からヴォーカル技術を学び、2015年にウクライナのオーディション番組≪Голос≫などに出場。プロとしては2016年から開始。今年に入って10曲目のシングルです。

 ズヴォンキーとクライムブレリのデュエット曲≪Как дела, малыш?≫(可愛い人よ、ご機嫌いかが?)が2ヶ月連続首位。クライムブレリ自身のライフストーリー、気だるく柔らかく心地よい声、感情、美しくキャッチーなメロディの相乗効果で飛びぬけた人気を得ています。一方ズヴォンキィは「露のラガマフィン音楽の第一人者」と謳われるほどの実力者で、これまでにヨールカやブリトーなどと言った露の実力アーティストらとのコラボもあり、勿論いずれもヒットチャートイン。おめでとうございまーす!:-)

画像は https://vk.com より

※全文、チャート、PV視聴はユーラシア芸能ブログでどうぞ。

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2021年11月19日~25日/MOPA)

第22回東京フィルメックス

10月30日~11月8日

「見上げた空に何が見える?」  新しい才能を発掘する映画祭として定評のある東京フィルメックス。今年もコロナ禍という特殊な環境の中で、コンペティション部門に10作品、特別招待作品に9作品などが上映され、ジョージア・ドイツ合作の「見上げた空に何が見える?」が最優秀作品賞と学生審査員の二つのタイトルを受賞した。

 今年は、ポストコロナを描いたワールドワイドなオムニバスや混迷を極めるアフガニスタンからの女性監督作品、チェルノブイリや福島など原子力発電事故のその後を追いかける中国人監督の作品などが上映され、映画の未来を切り開く作品に対して高い評価が与えられた。

●「見上げた空に何が見える?」

(英語題:What Do We See When We Look at the Sky? アレクサンドレ・コベリゼ監督作品、2021、ジョージア・ドイツ)

 交差点ですれ違った薬剤師のリザとサッカー選手のゲオルギがお互い一目ぼれし、カフェで会う約束をする。その様子は邪視の呪いを受けてしまい、翌朝彼らの外見はなぜか別人に変えられてしまう。しかも、彼らの特技―リザの薬学知識やゲオルギのサッカースキルも消え、仲間も仕事も失うことに。生活のために彼らはほかの仕事をやりはじめたが、雇い主は同一人物だった。お互いを異なった外見を持つことで、まったく認識することができなかった二人。ところが、ある日映画製作チームがやってきて、二人の身に驚くべきことが起こった。

 コベリゼ監督の映画大学卒業作品として制作されたものがベースとされているが、カメラが向けられるすべての人びと、もの、自然が生き生きと描かれる。ストーリーは荒唐無稽だが、町全体を包み込むような温かさが感じられる作品。

(文:滝沢 三佐子)

第34回東京国際映画祭(2021)

10月30日~11月8日

 昨年はコロナ禍の中での開催で、コンペティション部門が中止されたが今年から再び復活。開催場所も、六本木ヒルズから有楽町へと移動し、野外上映会場も敷設されて、より身近に映画祭を楽しめる工夫が行われた。

 本年、ユーラシア諸国の中では、アゼルバイジャンとカザフスタンからの作品がコンペティション部門に出品され、それぞれ受賞。グランプリ作品にはコソボ・北マケドニア・アルバニア合作の女性監督作品「ヴェラは海の夢を見る」が選ばれた。

●「クレーン・ランタン」

(原題:Durna Ciragi ヒラル・バイダロフ監督作品、2021、アゼルバイジャン)

「クレーン・ランタン」  最優秀芸術貢献賞を受賞。

 4人の女性を誘拐した罪で収監されている男・ダヴ。なぜか被害者の女性たちは、ダヴを告訴しなかった。ある日、彼のもとに法学生のムサが訪れる。ムサは自身の論文執筆のために、ダヴに質問を投げかけながら真相を知ろうとする。やがてダヴとの対話は罪や正義といった大局的なものに広がり、ムサの心を激しく揺さぶる。

 広大な油田を背景に、絵画的構図、登場人物たちの予測不可能なアクションなどが、目を奪われるほど美しい光景のもとに展開されるが、それ以上に感銘を受けるのは音。登場人物の詩を詠むような音声もさることながら、場面の空気を作り上げる効果的音響は、監督のこだわりぬいたサウンドミキシングの賜物。2020年の東京フィルメックス映画祭で最優秀作品賞を受賞した前作「死ぬ間際」を彷彿とさせるような、深淵な哲学的作品だった。

●「ある詩人」

Акын ダルジャン・オミルバエフ監督作品、2021、カザフスタン)

「ある詩人」  最優秀監督賞を受賞。

 新聞社で働いているディダルは文壇に認められていない詩人。彼は19世紀に時の権力に抗って処刑された詩人マヘンベトの詩を読みふける。古典詩人の姿に己を投影し、詩人の背負うべき使命を認識するディダル。一方でディダルの周辺では誰も本を読まなくなり、一緒に文学を志していた大学時代の有人もビジネスマンに転身していた。

 世の中、金がすべて。ある時、地方都市の役人が詩の朗読会のためにディダルを招待する。喜び勇んで夜行列車で現地に向かったディダルだが、開かれた朗読会にやってきたのはたった1人の女性だけ。彼女はディダルの詩集の愛読者だった。時勢に取り残されたディダルは詩を棄てる決心をする。

 監督はインタビューで、「カザフスタンの言語や文化が失われていく現状を、映画を撮ることで発信し続けたい」「映画に関しては、優れた映画作品はたくさんあっても、観てくれる人がいないということに私は驚いている」と述べ、よい芸術作品に幼いころから触れることが大切だと主張した。

(文・滝沢 三佐子)

劇団つばめ座 第19回公演「三人姉妹」

11月5日 於:池袋シアターグリーンBASE THEATER

「三人姉妹」  劇団つばめ座の「三人姉妹」は、日本的な空気が満ちたものだった。オープニング、末娘のイリーナはヨガのポーズを繰り返し、今どきの若い娘風。次女のマーシャが手にしているのは縦書きの文庫本だし、軍医のチェブトイキンが手にしているのは日本のスポーツ紙。

 兄の婚約者ナターシャもミニスカートで登場し、昔流行ったアイドルの「ぶりっ子」的な話し方で媚びを売る。極めつけは、吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」の替え歌。これが意外にもハマっていて、姉妹のモスクワへの郷愁を大胆に代弁していた。

 どこから見てもチェーホフが書いた19世紀ロシアとは違う衣装や小道具で、一瞬翻案劇なのかと思ったりもしたが、不思議にもなじんでいてホームドラマを観るような感覚に陥った。特にナターシャの豹変ぶりは鮮烈で、「ぶりっ子」の女の子が婚家先を乗っ取って、やりたい放題になっていくさまには、思わず見入ってしまった。

 一方、やや納得のいかない面も。姉妹の家に出入りする将校たちが水兵服であることだ。チェーホフの戯曲では陸軍という設定なので、かなり違和感を覚えた。もう一つはロシアの習慣「名前の日」についてのセリフだ。の洗礼名と同じ聖人の日を祝う日だが、この習慣になじみがない観客には若干の説明が必要だろう。

 全般的に明るいテイストで進む前半に比べて、モスクワへ戻ることが叶わなくなる後半は物悲しい。「演劇は祈りだと考える」という演出の仲条氏の言葉を借りれば、叶わぬ人生を何度でも生き直せる演劇は、なんと幸せな祈りだろうかと思わずにはいられない。

(文:滝沢 三佐子/写真:劇団つばめ組)

★ 演劇情報 ★
劇団銅鑼「チェーホフと遊ぼう」

チェーホフの喜劇的でせつない短編集。
とき:2022年1月6日(木)18:30開演 7日(金)13:00開演
開場はいずれも開演の30分前
ところ:東京・板橋文化会館小ホール
チケット料金:一般3000円、高校生1000円、中学生以下無料、全席自由
お申し込み・お問い合わせ:
E-mail:yatagawa.caxo@gmail.com(谷田川さほ)
FAX: 03(3937)1103(劇団銅鑼)

昨年よりも洗練さが一歩進んでいる!ブラボー!

田中正也「魔法のピアノ」イン東京 Vol.3

演奏後の田中正也氏(左から2人目)と筆者(右から2人目)  患者数が減少したとはいえ、コロナ過が終焉しない中、昨年に続き11月2日、すみだトリフォニーホール(小ホール)で田中正也のピアノリサイタルが開かれました。

 今年もコロナ禍で聞きに行きたいコンサートは中止・延期が多く、もんもんの日々を過ごしていました。しかし、田中正也のピアノは、そんな気分を吹き飛ばしてくれ、幸せな一夜を過ごさせてくれました。

 席に着いてプログラムを手に取って開いてみると、前半はフランスの作曲家の作品が並びます。最初の3曲は18世紀のフランスバロックを代表する作曲家クープラン、ラモーそしてダンカンがチェンバロ(フランス語ではクラヴサン)のために作曲した作品です。しかし、彼のピアノは申し分のないものでしたが、フランス・バロックの華やかで粋な作品はやはりチェンバロで聞きたいな、と私のわがままな心がささやいていました。

 続く作品は、ドビュッシーの前奏曲集第一集より“亜麻色の髪の乙女”、第二集より“花火”とラヴェルの“クープランの墓”というニ十世紀のフランス音楽界を代表する二人のピアノ作品で、名曲中の名曲です。

 昨年はラヴェルだけを取り上げていましたが、今年は両横綱の登場です。芸術・文化の面ではフランスとロシアは強い絆で結ばれていますが、音楽も同じことが言えるのではないか。

 休憩をはさんで後半はショパンで始まります。昨年のショパンは、スタインウェイの特色をよく生かした現代的なショパンだったので、今年も期待していましたが、地味な曲が選ばれており、選曲は意外でしたが、演奏内容は昨年より良く、演奏に円熟味が増してきたことを確認できました。来年が楽しみです。

 ショパンの後は、スクリャービンのピアノ・ソナタ第二番“幻想ソナタ”です。スクリャービンのソナタは、ロシアのピアニストのようには日本人が弾くことは大変難しく、ピアニスト自身が自覚しているのか、なかなかコンサートのプログラムではお目にかかれません。しかし、モスクワ音楽院で学んでロシアが第二の故郷といってもよい田中正也にとっては、スクリャービンの作品、それもソナタは、自分のライフワークの一つとしてこれからも、私たちに聞かせてもらいたい。

 プログラムの最後を飾るのは、いうまでもなくライフワークでお得意のプロコフィエフ、昨年の戦争ソナタの第七番程ではありませんが、やはり名曲の名に恥じないピアノ・ソナタ第五番です。プロコフィエフも昨年の演奏を超えたな、と感じる円熟に向けての演奏で聞いていて楽しい時間をもたらしてくれました。昨年よりも洗練さが一歩進んでいる!ブラボー!

 アンコールは2曲。何れも昨年と同じ曲が演奏されました。しかし、順番は逆で、先ずはプロコフィエフの小品ながら聴く者の心を捉えて離さない佳品“ハープ“、彼のプロコフィエフに対するおもいが詰まったこなれた演奏でした。〆は、彼のリサイタルではおなじみのリストの名曲“ラ・カンパネラ”。最近は多くのピアニストが録音したり、プログラムに載せていますが、田中正也の演奏は一味違ったもので、スケールの大きな演奏は心をウキウキさせてくれました。これでなくては!思わず“ブラボー”と叫んでいる自分がいました。

(金子)
※写真は演奏後の田中正也氏(左から2人目)と筆者(右から2人目)

ユーラシア通信

「ソ連・東欧のレコードジャケット展」レセプションパーティ

11月7日 於:高円寺ront

「ソ連・東欧のレコードジャケット展」  東京はソ連ブームなのだろうか。原宿・竹下通り近くにはソ連専門セレクトショップ「Бункер Токио」がオープン。ソ連女子を名乗るファンの聖地と化し、レコードショップ新宿ディスクユニオンでは、RED FUNKという旧ソ連のレコードを専門に取り扱うコーナーが人気を博している模様。

 そして今回開催されたレコードジャケット展は、ロシア人も驚きのレコードコレクションが惜しげもなく飾られ、レセプションパーティでは、得意分野を持つ6名のスペシャリストがトークとDJで観客を沸かせた。

 入れ替え制により、筆者が参加したのは第1部のみで、内容は下記のとおり。

「ソ連・東欧のレコードジャケット展」  トップはDJヨハネス市来氏(写真右)による「東欧グルーヴ」。東ドイツ・ポーランド・ルーマニア・バルト諸国など、ソ連からちょっと離れた国々のジャズやポップスを紹介。斬新でファンキーな楽曲は、まさに「グルーヴ」と呼ぶにふさわしい。続くDJ: Captain Bobによる「ソ連ジャズ」は、ビル・エヴァンズもびっくりのモダンなソ連ジャズ。当時のジャズプレイヤーの洗練されたセンスに驚愕。上記はいずれもレコードによる音源再生で、2台のターンテーブルを華麗に操作するDJの手さばきが、ソ連時代とのミスマッチ感を醸して面白かった。

 そして第1部トリは、当協会でも講師をつとめた蒲生昌明氏(写真左)によるトーク「ソ連時代の秘蔵音源」。モスクワ放送のラジカセ録音をはじめ、氏が旅した現地での珍しい生録を解説付きで紹介。こちらはカセットテープでの再生で、貴重な音源に参加者は固唾をのんだ。

 第二部の内容は、DJ: Nobekistan「東欧60,70年代」、DJ: 山中明「RED FUNK」、「不思議音楽館」発行人 井上 大将軍によるトーク「ソ連東欧の秘蔵音源」。

(滝沢)

留学中のサンクトペテルブルクで個展を開催

 以前当協会の横浜ロシア語センターで個人レッスンを受講され、現在サンクトペテルブルクに留学中の齊藤翔吾さんからお便りが届きました。

 齊藤さんは1991年横浜生まれ。学習院大学卒業、武蔵野美術大学大学院修士課程修了。ロシア・アヴァンギャルドの画家アリスタルフ・レントゥーロフを中心とするロシア美術史、ドローイングと油彩を研究。2021年2月よりロシア連邦奨学金を得てサンクトペテルブルク国立文化大学大学院に留学し、ジャポニズム、装飾主義、ロシア・アヴァンギャルドとその相互関係を研究されています。

***

 ペテルブルクは月曜日にロックダウンが終わりました。現在、飲食店は23時までの営業となっています。普段深夜までやっているようなバーをはじめ、全ての飲食店が対象のようです。今後(おそらく12月から)、飲食店や公共施設の利用にはワクチン接種のQRコードが必要になるという話なので、困っています。僕は元気ですが、ワクチンを打たなければ何も出来なくなる可能性があります…。友達もあまりワクチンを打っていません。それから、メトロやバスなどではみんなマスクをしていますが、外では基本的にマスクをしていません。これは前から変わらないかなと思います。

 10月に一度雪が降りました。11月に入ってからも少し降りました。日照時間も短くなり、すっかり冬です。

 それから、いいニュースです。

 ペテルブルクの≪Галерея Мольберт≫ (Molbert Gallery)で個展を開く話が出ています。12月9日~30日に開催します。美術史研究と作品が評価されて、無料で開催できるようなので、とても嬉しく思っています。ギャラリーは広くてそれなりの知名度があるようです。場所もエルミタージュ美術館の近くです。

 11月末に大学院の課題提出もあり、バタバタしそうですが頑張ります。

 2月で留学して1年経ちます。あっという間で驚きつつも、時間がないと焦っています!

Портрет Людмилы Михеевой(齊藤翔吾) 展覧会名:Я И РОССИЯ - МЕЖДУ СОЗДАНИЕМ КАРТИН И ИССЛЕДОВАНИЕМ ИСТОРИИ ИСКУССТВА(僕とロシア - 絵画制作と美術史研究の間で)

会場:MOLBERT Gallery
Г. Санкт-Петербург, ул. Большая Конюшенная, 11 (Дворы Капеллы, второй двор)
+7 (812) 438 01 14


会期:12月9日~12月30日

ホームページ

(齊藤 翔吾)

※ギャラリーのHPにも作品5点と詳しい解説が掲載されていますので、是非ごらんください!

頭の体操に!ロシア全国統一テスト・4年生の算数の問題

ロシア全国統一テスト・4年生の算数の問題  ロシアでは全国統一テストが年に何度か実施されています。この算数の問題は4年生(ロシアは7歳入学で学習期間は11年だから、日本だと5年生の年齢)を対象にした、実際に課された問題です。

 出題機関は、プーチン大統領のイニシアチブの下設立された、ギフテッド(高IQのこと)支援教育センター「シリウス」です。

 ロシア語と算数のおさらいにいかがでしょうか?
(和訳と答えは こちら に掲載)
***

Задание:
На схеме изображен веломаршрут по парку, а также длины некоторых его участков в километрах.
Сколько километров составляет длина всего веломаршрута?

(MOPA/ロシア・ムルマンスク在住)

ブリヌイとかぼちゃの共通点…??

かぼちゃ  ロシア人は、ブリヌイが好きで普段からよく食べますが、特に、マースレニツァには欠かせません。「ブリヌイの丸い形太陽を表しているのです」といった事を、以前、私はお話しましたが、日本では、冬至に「かぼちゃ」を食べ、「柚子湯」に入る習慣があります。「かぼちゃ」を食べるのは、昔は、冬場の野菜が少なく、収穫してから長く保存できるかぼちゃは、厳しい冬を乗りきる貴重な栄養源だったことと、(実際、風邪の予防や皮膚や粘膜の再生に必要な栄養が豊富です。)そして、かぼちゃの黄色を太陽に見立て、それを食べることによって、太陽の力を取り込もうとしたのではないか…とも、考えられています。

 一方、柚子湯は、「融通の利く人間(世渡り上手)になれるように」との願いを込めているなどと、言われています。また、柚子もその形、色が太陽を思わせるから…と考えられています。そして、柚子湯(入浴)は、冬至と湯治(温泉に入って病や傷を治そうとする)にかけた、との説も。確かに柚子で温浴効果が高まり、風邪の予防やあかぎれ、ひび割れを治すようです。

 ところで、12月と言えばクリスマス。実は、12月25日は古代、キリスト教が公認される以前のローマ帝国の「冬至」、それが3世紀にミトラス教の「不滅の太陽の誕生を祝う祭日」となり、やがて、4世紀にキリスト教が公認されると「キリストの誕生を祝う祭日」に移って行ったと考えられています。

 冬至は、一年で最も太陽の力が弱まる…と考え、その日を境に光が増していく様をキリストの誕生になぞらえたのでは?

 最後に、ロシア正教では「クリスマス」ではなく「主の降誕祭」。キリストは「ハリストス」と言います。そして、使う暦の違いで、12月25日は私達の1月7日になります。

(とくなが なつみ)

ロシア全国統一テスト 和訳と答え

訳)公園にサイクリングコースが描かれている。表示されている数字は距離で、単位はkm。このサイクリングコースの全周は何kmか。

答え)(8+6)×2+(4+8+1)×2=28+26=54km

投稿歓迎!

 「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。ユーラシア(旧ソ連地域)関連の投稿をお待ちしています。
 催し物の感想、旅行記、講評、写真、絵などさまざまなジャンルの投稿を歓迎します。
 作品は自分のオリジナルか著作権者の許可を得たものに限ります。
 デジタル画像はテキストファイルに貼りつけず、別ファイルでお送りください。
 また、ペンネームや注意事項があればお書き添えください。毎月末締切、翌月15日頃に発行見込み。

※投稿記事は誹謗中傷や公序良俗に反するもの以外ほぼ原文のまま掲載していますが、必ずしも協会としての見解を反映するものではありません。

(機関紙編集部)

歴史・社会