真実を知ると、映画を信じられなくなる?
「ノモンハン80年、『真実』を考える」学習会
11月10日(日)「ノモンハン80年、『真実』を考える」学習会が行われました。昨年に引き続きの開催です。
ただし、日程が悪すぎました。この日はロシア大使館で秋のイベントがあったのです。私も、大使館の一等書記官から強いお誘いを受けたのですが……。
そんな中、12人が集まり『戦争と人間』のノモンハンのシーンを鑑賞後、講師古是三春さんの講義。その中で、印象に残ったのは、映画の中の井置中佐とフイ高地の戦闘です。
映画の中で、井置中佐は強要され、自決してしまいました。フイ高地を死守せず、部下とともに後退したというのが理由です。映画の中ではワンシーンでした。しかし、古是講師は今年の5月に実際に現地に行き、調査をしておられます。その結果、フイ高地の戦闘は実に800人足らずの日本軍が、何と10倍近いソ連軍の猛攻に耐え、後退するまではソ連軍に一歩も侵攻させなかったという、勝利とも言えるものだったというのです。私も五味川純平の『ノモンハン』を読み、味方でさえフイ高地の戦闘を「ああ、フイ高地があんなにやられている」と涙した部分に衝撃を受けました。
ところが、フイ高地は巧みに銃座や砲座を組み合わせて死角をなくし、狭い場所に誘い込んで個々に撃滅するという戦い方をしたのです。映画では、コテンパンにやられるシーンばかりでしたので、驚きました。外国の軍隊ならば、自決を強要されるどころか、勲章ものの奮戦ぶりとのこと。映画からは想像もできない話でした。
また、最近、話題になった戦死者の遺骨収集について、現地は開発の嵐が押し寄せてきているとのこと。このままでは、遺骨の所在もわからなくなってしまうという話でした。考えてみれば、ノモンハンの戦闘は80年前。戦闘の参加者は、ほとんど生存していないでしょう。遺骨に限らず、映画でも本でも真実を知ること、そして伝えることが大切だと感じた学習会になりました。
(関戸)
初めての鑑賞者は満足、でも寂しい参加数 『こねこ』DVD鑑賞会
今年最後のDVD鑑賞会が11/23(土祝)に開催されました。残念なことに、参加者は3人。初めての鑑賞というのは中垣内さん一人。
とある一家に、家族の一員となった子猫が起こすドタバタ。その描写にロシアの家庭生活が細かく表現されていました。初めて観る中垣内さんはその内容に満足されていたようです。ロシアの家庭では、日本と同じように裸足であること。室内はとても暖かく、Tシャツ一枚で、薄い布団だけで寝られること。モスクワのカラスは真っ黒ではなく、黒と白であること。これらはこの映画で知ったようです。
未見の方のために詳細は避けますが、子猫が家から出て、また家に戻るまで。どのような楽しさがあったか。まるで自分が猫になったような視線で楽しめました。
来年も、4回の鑑賞会を企画しています。ぜひおいでください。
(関戸)
12月21日(土)、22日(日)の2日間、「冬の読書会」と題して、チェーホフの「悪人」を原書で読む特別講座を開講します。
「悪人」は、トルストイがチェーホフの傑作のひとつと認め、『彼の創作手法は優雅に真実に迫るもの』だと感嘆し、若い作家らに手本であると紹介していたた作品です。
作品を通じてより多くの語彙・慣用句を獲得し、構文と親しみ、ロシア人気質に触れてみましょう。
日時:12月21日(土)16:30-18:00、
12月22日(日)16:30-18:00(全2回)
受講料(全2回分):会員7,000円、一般8,000円 最少開講人数:3名
講師:竪山 洋子(当センター講師)
受講対象者:ロシア語能力検定3級レベル以上の方
予習の課題:オーディオブックを聴き、テキストを読む(詳細は横浜ロシア語センターホームページをごらんください)
お申し込み締切:12月19日(木)
月曜~土曜、入門~上級・会話・日本案内 各クラス開講中。
詳しい内容は教室ホームページをごらんください。見学は3クラス・各30分まで無料です。
レッスン内容は奏法の基本から音楽理論や高度な内容まで。毎月土曜日に開講、実質個人レッスンとなります。初心者の方も、以前習っていて中断された方も歓迎します。
今後の予定:12月21日
※変更の場合がありますので、見学・受講ご希望の方は事前にお問い合わせください。
時間:14:30~18:15の間、各45分
講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館5階
レッスン料(1回、税10%込):一般11,000円、会員9,500円
日程:毎月1回、土曜日開講
2019年度後期日程:10月19日、11月16日、12月21日、1月18日、2月15日、3月21日
内容:個人演奏・アンサンブル各クラス
レッスン時間:Aクラス13:00~14:00、Eクラス14:10~15:40
2019年10月以降の受講料(税10%込):
アンサンブル Eクラス 3,667円×6回=22,000円
グループ・個人レッスン A/Bクラス 3,142円×6回=18,850円
講師:檜垣 紀子
会場:横浜平和と労働会館2階 神奈川音楽センターホール
芸 能
Русская Десятка ロシア・トップ10
暖冬で雪が積もらないんだけどクリスマスツリーは完璧♪新年&クリスマスまでに間に合うかなと心配している首都モスクワがあるロシアから、2019年11月第5週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。今月は10曲中4曲が新曲!
人気絶頂デュオ、アルティック&アスティを2位に落とし首位を獲得したのは、ズィヴェルトの新曲≪Credo≫(クレド)でした。香港の繁華街を徘徊しながら収録した≪Life≫で、2019年にMuz-tvとRU.TVの音楽コンテストで「新人賞」「猛スタート賞」「コスモポリタン賞」を受賞。おめでとうございまーす!:-)
(Tophit.ru, Russia Airplay Chart、2019年11月25日~12月1日/MOPA)
アレクサンドル・パナヨートフ ソロコンサートを観て
昔々地元ムルマンスク出身の歌手アレクセイ・ゴーマンの記事を書くために、関係者に連絡を試みたところ、音沙汰なし。その頃、「嘗ての『ナロードヌィエ・アルチストィ(以下NA)*』最大の好敵手は、どうしてるだろう?」とも思い、連絡を取ってみたら、すぐにファンクラブ会長に繋がりました。それから時々交流し、希望に応じwikipediaの日本語版を作成したり…。日本には2人3脚という言葉があるけど、パナヨートフ、総裏方責任者で妻のカーチャさん、ファンクラブ管理者クリコフさんの『3人4脚』で実に上手いこと回してるな、という印象を受けました。
金曜日にアレクサンドル・パナヨートフのコンサートに行ってきました。彼はテノールで声質や音程の良さは勿論のこと、技術面(声の伸びやビブラートなど)を楽器のように自在に操る、実力派中堅歌手。チケットを買ったのは10月下旬。その時の座席表を見たら、最前列数列と最後列数列以外、殆ど空き。「ムルマンスクと言えば、ゴーマンの町。だからNA時代の最大好敵手への需要はない?」と少々心配。
そして当日。686席の内目算100席ぐらい空席。心配に反して結構来ていたので、驚きました。ところが19時開演の筈が、出て来ない。でも、ユーラシアのアーティスト達は開演時間丁度には出て来ないもの、というのはユーラシアFANの皆はもう知ってますね?t.A.T.u.日本公演のときは1度目ドタキャン、2度目の来日のときは2時間近く待たせた記憶がありますしね。日本であった日露会談だって、『あの方』はアーティストじゃないけど、6時間も待たせたしね。
15分後、満を持して登場。映画館だって15分広告を流すから、この登場時間は許容範囲内ですよね?
≪Именами≫など新曲をたくさん披露。≪Непобедимый≫を歌う前に、NA時代以降の苦労を語ってました。暫く低迷してました。『ゴーラス5』にも挑戦者として出場しましたね。でも芸能界に限らず、最高賞を獲った者が、その後も人生が最高だとは、限りません。特に浮き沈み激しい芸能界、惑わず果敢に取り組み続けることが大事。人生山あり、谷あり。
NA時代の名刺曲≪На краю≫。後部席の方にも1度寄ってきて、熱唱。安いチケットしか買えなかった我々も、サービス旺盛な突然の行動に驚き。近くにいるときは勿論パナヨートフなんだけど、遠くから見ると時々ジョージ・マイケルにも見えてくるから、不思議。名曲≪Необыкновенная≫のときは、観客全員大合唱。最終曲≪Исключительно твой≫では総立ち、後列席の観客も下りてきて大合唱。
約2時間の公演後、多くの観客が大満足で会場を去りましたが、一部の観客が既に彼との交流待ち。順にステージに上がり、感謝の言葉を短く交わし、サインを貰い記念撮影。私も交流してきました。すばらしいコンサート、ありがとうございました。
(MOPA)
音 楽
山之内重美 ロシア浪漫「おとこ歌・おんな歌」
10月30日、南青山のライブハウス「MANDALAまんだら」で山之内重美さんの歌うロシア歌曲を聴いてきました。
南青山というおしゃれな街のライブハウスで聴く彼女は、一段と女っぷりが上がっており、また、初めて聴く伴奏の二人の実力は、さすが山之内さんの目は(耳か?)確か、と思わせるものでした。
当日は、第1部が中上香代子さんのピアノと諸岡由美子さんのチェロの伴奏で、山之内さんのおしゃべりを交えてロシア歌曲を身近に楽しく聴くというものでした。
私の知っている曲が流れると、山之内さんの美しいロシア語の歌声の邪魔にならない様に小さな声で彼女と一緒に歌ったことはもちろんです。
休憩を挟んだ第二部は、ゲストにウクライナ出身のオペラ歌手で日本で活躍しているバスのデニス・ビシュニアさんを迎えて、私たちが口ずさんできたロシア民謡、ロシア歌曲を中心にし、故郷ウクライナの曲や、ウクライナに帰った際に選んで歌ったという「千の風になって」を聴きました。
初めて聴いた歌手でしたが、彼の素晴らしいバリトンで聴くロシア歌曲、ウクライナ歌曲には参ってしまった。ブラボー!です。ウクライナと言えば、やはり福島と同じ原発事故のチェルノブイリが頭に浮かびますが、レクイエムとしての「千の風になって」は、今までに聴いた中で最高の演奏でした。満足満足!
(金子)
ルースカヤ・ヤールマルカ結成30周年を祝う会
アコーディオン演奏者の父ゲンナージー・シシリンさんと歌い手の母ワレンチナ・ヴォローニナさん、娘のアナスタシア・シシリナさんのトリオで、ロシアのロマンス、ジプシー、コサック歌謡を歌うルースカヤ・ヤールマルカの結成30周年を祝う会が、11月13日(水)都内のホテルグランドパレスで開かれました。
ロシアでは、数々の国際フェスティバルに入賞し、2014年のロシア・ソチ冬季オリンピックでは開会式で熱唱しました。1989年の結成以来何回も来日しており、根強いファンが日本でも形成されています。
13日は、父ゲンナージーさんのアコーディオンと母娘の歌声で、ステンカラージン、百万本のバラ、カリンカ、ともしび、カチューシャ、長い道、そしてロシアで今も歌い続けられている“恋のバカンス”を会場一体となって熱唱しました。
日本側からは、民謡歌手小山みつなさんの尺八と太鼓グループ。オペラ歌手の中村初恵さんが歓迎の歌を披露し、アンコールが何回もつづく、終わらない会となりました。祝う会には、ロシア文化フェスティバル事務局のご厚意により神奈川県協会から2名が参加しました。
(木佐森)
映 画
第32回 東京国際映画祭
今年も恒例の東京国際映画祭が10月28日から11月5日まで開催され、コンペティション部門でウクライナ映画「アトランティス」が審査員特別賞を受賞した。このほか、特別招待作品として「オルジャスの白い馬」(竹葉リサ・Y.ヌルムハンベトフのダブル監督、日本・カザフスタン 2019)、ユース部門でアニメ「アウェイ」(G.ジルバロディス監督 ラトビア 2019)、ワールドプレミア部門で「ペインテッド・バード」(V.マルホウル監督 チェコ/ウクライナ/スロバキア 2019)が上映された。
「アトランティス」は、ウクライナ東部でのロシアとの戦争を題材に、2025年の近未来を描く。1シーン1カットで撮影され、ドキュメンタリー映画のようなリアルさを持つ異色作。ロシアとの戦いで、街も自然も破壊されたウクライナ東部に暮らす元兵士のセルヒーは、PTSDに苦しみながら精錬所で働いている。戦いがすべてであった彼にとって、軍友たちと射撃ゲームに興じるのが唯一の憂さ晴らし。だが、見えない先行きに同僚の一人が精錬窯に身を投げて自殺、精錬所も閉鎖となりセルヒーも自暴自棄に。そんなとき、同僚のカーチャが戦死者の死体を掘り出すボランティア活動を行っていることを知り、彼も活動に加わる。朽ち果てた兵士の遺体を掘り起こす日々。しかし、セルヒーはカーチャとともに破壊しつくされたこの地に生きていく覚悟を決めていく。
上映後行われた記者会見で、V.ヴァシャノヴィチ監督は「戦争映画とは戦後十数年たって撮られるものが多いが、政治色を廃し純粋に映画として撮りたかったので、近未来という設定にした」と語った。また、主人公セルヒーを演じたA.リマルークについて、「戦争体験をリアルに演じてもらうため、プロの俳優ではなく、実際に戦争に参加しPTSDをかかえた素人を起用しようと思った」と説明。映画初出演のリマルークは「私は2015年ごろ1年半にわたり従軍した。この映画の内容は事実だ」と語った。また、監督は「リマルークには、映画出演によって撮影のトラウマも抱えさせてしまった」とジョーク交じりに語り会場を沸かせた。観客とのQ&Aでは、「戦争によって引き起こされることは死や血だけではなく、環境も壊されるということだ。だが、それを克服させるのは愛の力であり、死せる土地の中に人間をとどまらせるのは何かということを普遍化して描けたと思う」と語った。
特別招待作品「オルジャスの白い馬」は2020年1月18日より全国公開。草原に暮らす馬飼い一家の少年オルジャスと家族の運命を描く。大河ドラマなどで活躍している森山未來が全編カザフ語で謎のカザフ人を好演、母親役は2018年、「アイカ」でカンヌ映画祭最優秀主演女優賞に輝いたサマル・イェスリャーモワ。
(C)「オルジャスの白い馬」製作委員会
東京フィルメックス映画祭2019で審査委員として来日したサマル・イェスリャーモワ(中央)
(文・記者会見写真/滝沢 三佐子)
12月28日(土)よりジャック&ベティで公開決定!(元日1/1のみ休館)
演 劇
日本・ベトナム現代演劇共同プロジェクト「ワーニャ伯父さん」
11月26日 於:横浜市泉区民文化センター テアトルフォンテホール
一般社団法人「壁なき演劇センター」(代表理事・杉山剛志氏)と国立ベトナム青年劇場が3年がかりで取り組んだ「ワーニャ伯父さん」が日本に上陸し、東京と横浜で上演された。杉山氏とベトナムとの出会いがあり、2017年に共同で作品作りに取り組んだ3年計画のプロジェクトで、ベトナム国内で初演し、その後ベトナム国内をツアー、そして今回の日本での上演に至る。
登場人物は、9名の内、7名がベトナム人、2名が日本人俳優。ベトナム人俳優はベトナム語で、日本人俳優は日本語で演じたが、舞台上部には字幕が映し出された。
果たしてロシアの戯曲を日越俳優混合で演ずるとどのようになるのか、どのようなワーニャ伯父さんになるのか、期待と不安を持ちながら観劇した。
モスクワで観た写実的な舞台とは異なり、非常にシンプルで作られていた。中央には人の背丈の倍くらいある巨大な椅子が二つ置かれている。その椅子をうまく使って劇は進行していったが、その巨大な椅子は、何かを象徴しているのだと思う。そして、印象的であったのは、光と影をうまく使って印象的な舞台となっていたこと。レースのカーテンに人の顔などを映し出したり、またろうそくの光の舞台の一部となっていたり工夫が伝わってきた。
ロシア語で作られたロシアの戯曲を原語、母国語以外の外国語も使って演じられるのを観ることは、私にとって初体験であった。長年のロシア駐在を経験し、更にベトナムで約2年間働いたことがあるので、ベトナム人、ベトナム語をある程度理解しているが、最初は非常に違和感があった。ベトナム語の特性により どうしてもロシアのイメージとはかけ離れてしまう。逆にロシアのイメージ、先入観がこの観劇を観る私を邪魔していたのかもしれない。ベトナム人俳優のスピード感のあるセリフと、それが醸し出すちょっとコミカルな舞台が進むにつれて、それが心地よくなり、見て、聞こえる表面的なものではなく、セリフが伝えようとする内容に意識が移っていった。特に、印象に残ったのはソーニャ(ベトナム人俳優)でとても躍動感がある演技をしていた。結果的には、私の中で、新しい「ワーニャ伯父さん」が生まれた。是非、もう一度観たいと思った。
二幕もので、上演時間は2時間20分(幕間は含まず)。
(加藤)
ヤロスラヴリから10社が来日 ヤロスラヴリ州投資プレゼンテーション
ロシア黄金の輪のひとつであるモスクワから300kmにあるヤロスラヴリ州から、スノーモービルなどを製造しているルスカヤ・メカニカ社、大型電気モータ-などを製造しているエルディン社、各種ケーブルなどを製造しているウグリチケーブル社、水中翼船などを製造しているシーバイク社、ディーゼル発電機などを製造しているディーゼル社や印刷業、木材加工業、IT工業など10社が同州副首相を先頭に大挙して来日し、11月7日(木)にホテルニューオータニで同州経済セミナーを開催しました。同セミナーでは、ガルージン駐日ロシア連邦大使が挨拶するとともに、ヤロスラヴリに進出している日系企業のコマツ(コマツロシア)と武田製薬(武田ロシア)のそれぞれ社長が進出状況を報告しました。
コマツロシア社の報告。コマツの社是である「需要のあるところで製造する」に基づき、ロシアのクラベン社と2008年に合弁設立し、2010年から生産を開始した。社員は323人で、130億円で工場を建設した。主力製品は20トン~40トンのパワーショベル。使用各種部品は、現在、重要部品(Aレベル)は日本から輸入、準重要部品(Bレベル)は中国及びインドから輸入、一般部品(Cレベル)は地元のロシア企業から調達しているが、Bレベル部品まで、現地調達にしていく計画であるとしました。
タケダロシア社の報告。2012年に設立し、2013年から生産を開始した。2018年には、4億円で生産施設を増設した。年間製造量は、血管改善剤や糖尿病、骨髄腫の薬品など3千億錠及び9千万アンプル。
ロシア国内だけでなく、カザフスタン、ウズベキスタンにも輸出しているとしました。
第2部は、日本企業とのビジネスマッチングで、たくさんのテーブルが用意されていましたが、日本側企業が座っている姿は、残念ながらあまり見られませんでした。
(木佐森)
広がる日ロ間の航空網
本紙7月号で、「広がるロシアとユーラシア」という記事を執筆したが、その後この1か月間で新規就航の話が雨後のタケノコのように相次いだので報告したい。これは日ロ航空交渉で日ロ間の航空便が174便まで設定できるようになったからである。
まず日系2社であるが、ANA(全日本空輸)は2020年3月16日に成田~ウラジオストクを週2便で開設し、羽田~モスクワ線も夏スケジュール中に開設予定だ。一方JAL(日本航空)は2月28日に成田~ウラジオストク、3月29日に羽田~モスクワ線を開設予定である。これにより成田発着のモスクワ便はなくなる。
次にロシア系航空会社は、S7航空が羽田~ウラジオストクを新設する。さらに、オーロラ航空が成田~ハバロフスク線を毎日運航で開設予定だ。そして、日本から撤退したヤクーツク航空が成田~ペトロパブロフスク・カムチャツキー(週2便)、名古屋/中部~ハバロフスク(週2便程度)を新設。
現在、札幌~ウラジオストクを運航しているウラル航空は、成田~クラスノヤルスク、成田~エカテリンブルク、成田~ウラジオストクの開設を予定している。
このほかLCC(格安航空会社)のエアアジアはCEOであるトニー氏が日本とウラジオストクを結ぶ便を検討していることがロシア側のメディアによって明らかになった。
ロシア側の航空会社はいずれも就航時期を明らかにしていない。
これにより東京からのウラジオストク便はS7、オーロラ、JAL、ANA、ウラル航空の5社体制となる。供給過多が心配されるが、2021年には極東ロシアやサンクトペテルブルクで好評を得ている電子ビザが2021年1月1日よりロシア全土で解禁予定だ。日ロ間では相互の観光客を40万人までふやすことを目標としている。日本ユーラシア協会でも相互の人的交流を推し進める必要があるだろう。
なお、日ロ航空交渉の結果の一部はこちらのURLで公表されている。(PDF:英語)
(内藤)
リヒャルト・ゾルゲ墓参記
昨年、初めて参加したゾルゲ墓参。今年は11月9日に行われました。処刑の日は1944年11月7日。革命の日に処刑という皮肉。その7日に一番近い土曜日に開催されるのです。
今年は、私が一番乗り。しばらく待っていると、ロシアの方々の集団が。ロシア大使館の一等書記官、日本の大学で生物学を教えている博士、ロシア本国で日本史を研究している教授、東大大学院に留学中の学生、日本人と結婚した女性やその友人など12人でした。
漢字が読めない人が多く、墓誌や没年などは私が説明しました。片言のロシア語でも、数字を教えることができました。没年が分かり、ゾルゲの仲間の日本人が誰であるかを伝えることができました。
日本史を研究している教授の話は、大体理解できました。時折、私にも説明を求めて来ました。
話を聞いている人達は、真剣に耳を傾けていました。没後75年、ソ連救国の英雄に思いを馳せていました。ゾルゲのスパイ行為が発覚した後、ソ連政府は「知らぬ存ぜぬ」の一点張りでした。救国の英雄にも関わらず、ソ連政府は、日ソ中立条約の手前、ゾルゲを切り捨てたのです。
救国の英雄として、名誉を回復したのは、前回東京オリンピック、即ち1964年のことでした。戦後19年も経ってから、ゾルゲは知られることになったのです。
異国の地で果てたゾルゲは、死後75年、平和を守るために尽くしたと母国の人達が集うのです。
その姿に言葉がありませんでした。
残念だったのは、参加した日本人が私だけだったことです。来年は、行事として、しっかり取り組みたいものです。
(関戸)
広島国際フェスタに教え子と参加 ~日本ユーラシア協会広島県連より~
昨年、初めて参加した広島の国際フェスタ。今年は教え子二人とともに参加しました。
女子にはルパシカとシャプカで、サモワールの紅茶を頼みました。男子には、調理を頼みお客さんへ手渡しをしてもらいました。二人とも、初めてのことでテンテコマイでしたが、楽しく取り組んでくれました。
売り上げも順調でした。何といっても、高校生。若い人が一生懸命仕事をしている姿に、歩く人は立ち止まってくれます。そして、「これ、何?」とか「おいしそうね、頂くわ」と列が途切れることがありませんでした。
女子は、「ロシアって全然知らなかったけど、こんなものがあるんですね」と興味を持ってくれました。「次、こういうのがあったらまた来るから誘ってください」との嬉しい返事。
教え子たちがロシアに関心を寄せてくれたなら、これだけでも参加した価値がありました。この教え子たちと、また元気よく参加したいです。
(関戸)
書評「ロシア怪談集」
沼野充義 編/河出書房新社/1,000円+税
ロシア人にとって、彼らがよく口にするところの「異界」とは、何であろうか。
それは、スラヴ世界に色濃く残る、キリスト教以前の神々の色彩を残した、一種のパラレルワールドの確かな存在であろう。ロシアが人が、世界を分類する際、自分達が属す世界と、属せない世界との、住人や超現象を重視する。夜毎に歩く亡者や、家に住みつく妖精が織りなす原始の世界である。
この本は、その事を心に留めて読むと、意識の奥から立ちのぼるような恐怖も、得心する。人々は、通常の世界ででも、しばし幻を見るからである。本書は、本年度10月1日に装丁を新たにして復刊された。全13編。プーシキンから始まり、ナボコフで締めくくられている。プーシキンは、「ベールキン物語」の『葬儀屋』を神西清氏の名訳で紹介し、「防衛」は、草鹿外吉氏による訳により、青年が異様な恐怖を味わった不思議な一夜を、語っている。「黒衣の僧」はチェーホフの有名な短編であり、ふと人生を考える。作者も、年代別に、ほぼ配置され、作家の人生も、決闘や精神の混乱、銃殺と多岐に渡っている。
確かに、彼らは命を投げ出して筆を持っているのである。
ロシアを知る入門書としては、最適かもしれない。
(中出)
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毎月末締切、翌月15日頃に発行される見込みです。
NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 機関紙編集部
〒231-0062 横浜市中区桜木町3-9 横浜平和と労働会館1階
Fax 045‐201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp
(機関紙編集部)