今月の表紙

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2019年8月号 No.694

行事予定

我が身か、平和か―『死刑執行人もまた死す』DVD鑑賞会

『死刑執行人もまた死す』  今年も「8/15」が巡ってきます。毎年、戦争と平和を考えるDVD鑑賞会を開催しています。

 今回は、アメリカ映画『死刑執行人もまた死す』(1943年)です。戦争の最中に制作された映画です。これは、実話を下敷きにした作品です。1942年、チェコ副総督ラインハルト・ハイドリヒ暗殺事件です。その報復のため、リデツェ村が村民全員皆殺しの上、村そのものを消滅させられたことは有名です。

 映画は、その事件を取り上げています。ナチスの侵略に命を懸けて抵抗するレジスタンス。その中で、我が身の安全のため、あるいは金のため仲間を密告する裏切り者。その結末はどうなるか。その犠牲はいかなるものか。息詰まるような緊迫感は、ぜひ映画を鑑賞なさってみてください。

 自分の身に置き換えて、自分は命を懸けて仲間を守れるのか。平和を守れるのか。この映画は、観る人に問いかけてきます。

日時:2019年8月18日(日)13:00~
会場:横浜平和と労働会5階 当協会教室
参加費:500円(黒パン・紅茶付き)
お問い合わせ・お申し込み:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
※8月4日(日)~18日(日)は夏休みのため、協会事務所も休業とさせていただきます。参加ご希望の方は直接お越しください。

緊急告知!「ノモンハン80年、『真実』を考える」学習会

 今年はノモンハン事件から80年。日本陸軍が体験した最初の近代戦であり、その洗礼を受けたのが関東軍でした。関東軍は自らを「世界最大最強の方面軍」と豪語していました。その関東軍が粉砕されたのが、ノモンハンです。

 ただし、調査や研究が進むにつれて、世評とは違うことが分かってきました。その点を、軍事評論家古是三春氏を講師に招き、学習会を開催します。古是氏は、この夏、激戦地となったフイ高地を含めて実地踏査をしてこられました。最新の情報をもとに、新たな視点でのノモンハンを考えてみましょう。

日時:2019年10月27日(日)13:00~15:00
会場:横浜平和と労働会館5階 当協会教室
参加費:(資料・軽食含む)800円
※なお、会場の都合上、定員30名とさせていただきます。

お問い合わせ・お申し込み:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp
※8月4日(日)~18日(日)は夏休みのため、協会事務所も休業とさせていただきます。

(関戸)

活動報告

ユーラシア諸国の一員としてロシアと真摯に話すことが重要
「日ロ平和条約交渉を巡って」緊急懇談会

「日ロ平和条約交渉を巡って」緊急懇談会  何も進展がなかったと言われる6月29日の安倍・プーチン会談の翌日30日、「日ロ平和条約交渉を巡って緊急懇談会」が横浜平労会館で午後2時から行われた。日ロ平和条約問題については、さまざまな思いや意見があるので、各自がそれらを持ち寄って今後の展望を探ろうという企画である。

 まず、1855年の日露通好条約から2019年1月の首脳会議までの経過の資料説明が行われ、途中の2002年の日本政府内の混乱なども報告された。そして、昨年18年11月シンガポール首脳会議直後のガルージン駐日ロシア大使の平和条約と国境確定意味合いについて「平和条約とは、何らかの形で国境問題に決着をつけるもの」発言と、今年19年4月13日のとのユーラシア協会懇談会での同大使の発言「これからの平和条約は今までの条約とは異なり、経済文化協定を含んだ善隣友好条約になるべきだ。国境問題はその後に話し合うべきだ」と変化したことについての憶測が述べられた。

 神奈川県協会会長の木佐森は、プーチン大統領が日本との平和条約を締結したいとの思い(期待)に日本が応えきれていないことによるとし、それは大きく日本側のロシアとりわけ極東ロシア地域への資本進出が進んでいないためと分析。

 協会本部の堀江理事長は、北東アジア地域の安全保障が大きいとのこと。米国トランプ大統領による日本への軍事負担の押し付け、安倍首相の日米同盟の強化という対米従属対応による秋田県及び山口県へのイージスアショアーの配備、辺野古米軍基地の地元自治体無視。それがINFの日本配備に繋がる恐れがあるとロシア側は見ていると指摘。

 ある参加者は、最近「ビザなし交流」で色丹島に行ったが、そこにはギドロストロイ社の大きな水産加工工場があり、加工機械はアイスランド製だった。さらに別の場所に、より大きな加工工場を建設する予定だと同社社長は胸を張り、機械の入札について、日本からのオファーは1件もなかったと明言。日ロ平和交渉について「経済的側面と安保の問題など前から論議されているが、どうしたら交渉は前進するのか」との思いであると語った。また、ある参加者は、日本がロシアを敵視しないようにすることが、最低限必要だ、と発言。その他いろいろな意見、思いが語られた。

 結論は、「日ロ平和条約交渉を進めるためには、日本が日米同盟の軛から離れて、ユーラシア諸国の一員として、ロシアと真摯に向き合うことが重要」ということになった。

(木佐森)

教室案内

横浜ロシア語センターロシア語講座 第130期生徒募集!

 月曜~土曜、入門~上級・会話・日本案内 各クラス開講中。見学や学期途中からの入学者も歓迎しますので、お気軽にお申し込みください。中途入学者の受講料は残りの授業回数分のみです。

 料金や時間割などの詳細は教室ホームページをごらんください。見学は3クラス・各30分まで無料です。受講お申し込み・お問い合わせは教室事務局まで。


第74回ロシア語能力検定試験 3級対策集中講座

 10月のロシア語能力検定3級試験に向けて、文法、和文露訳、露文和訳、朗読・聴取の演習を行います。全9コマ、総合的実力アップの大チャンス。

 試験に出る内容を定着させて活用できるようになるために、ロシア語通訳・翻訳者として活躍中の竪山洋子先生と一緒におさらいしましょう!

 詳細はリンク先のページをごらんください。

第131期体験講座「入門」「初級I」(9月7日)、「入門」「文学鑑賞」(9月21日)

 9月7日に「入門」「初級I」、9月21日に「入門」「文学鑑賞」の体験講座を行います。10月からの新学期・131期クラス受講の参考にぜひお試しください。

 詳細はリンク先のページをごらんください。

ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

 レッスン内容は奏法の基本から音楽理論や高度な内容まで。毎月土曜日に開講、実質個人レッスンとなります。初心者の方も、以前習っていて中断された方も歓迎します。

今期の予定:8月24日、9月7日、9月21日
(変更の場合がありますので、見学・受講ご希望の方は事前にお問い合わせください。)

生徒募集クラス:
15:30~バラライカ、16:30~ドムラ、17:30~バラライカ(変更の場合あり。見学・入学の際はお問い合わせください)

講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館5階
会員受講料(1回45分×6回分):3~5名クラス:24,000円、2名クラス:36,000円、1名クラス:54,000円


みなとみらいマトリョミン教室 アンサンブル/グループレッスン

日程:毎月1回、土曜日開講
2019年度前期日程:4月20日、5月18日、6月15日、7月20日、8月17日、9月21日

内容:個人演奏・アンサンブル
レッスン時間:13時~15時。詳細はお問い合わせください。

講師:檜垣 紀子
会場:横浜平和と労働会館2階 神奈川音楽センターホール


組織・財政

組織状況

(2019年7月27日現在)

 5月末の会員数は225名でしたが、7月に入り、高齢のため退会する旨の連絡がご家族からあり、会員数は1名減の224名となり、年当初の234名から見ると、10名の減となってしまいました。

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2019/7/27
単位:円
摘 要本年度収入前年同期収入対前年同期増減
一般会計1,096,3571,142,906-46,549
教育事業6,182,7306,125,13057,600
一般事業1,039,9311,249,343-209,412
合 計8,319,0188,517,379-198,361
前年同期(単位:円)2018/7/27
摘 要本年度支出前年度支出対前年同期増減
一般会計3,980,6663,828,421152,245
教育事業3,040,9362,775,986264,950
一般事業773,112793,665-20,553
支出合計7,794,7147,398,072396,642
当期剰余金524,3041,119,307-595,003
合 計8,319,0188,517,379-198,361

 昨年は今までない生徒数を確保し、ロシア語教室ロシア語教室収入も過去最高となりましたが、今年は、生徒数が昨年を下回ってしまったので、昨年に比べるとロシア語教室収入が減少しています。また、関連して個人レッスンの数も減少しているので、6月7月の教育事業収入も対前年比71%と大きく落ち込んでいます。物販主体の一般事業も、6月7月は対前年比58%に落ち込んでいます。

 支出は、収入の減少にかかわらず、対前年比で116%と増加しています。

 協会活動を活発化するとともに、効率的な活動も求められています。

(木佐森)

文化・芸能

演 劇

劇団山の手事情社・創立35周年記念公演「過妄女」【かもめ】

6月27日 於:下北沢 ザ・スズナリ

「過妄女」【かもめ】  作者チェーホフ言うところの「5プード(約80㎏)の恋」が登場するチェーホフの「かもめ」。三角関係が交錯するこの作品は「妄想」多き戯曲である。これまで見たことがない、女優アルカージナの視点から語られる「かもめ」である。

 しかも、《構成演劇》《集団創作》《ハイパー・コラージュ》などのスタイルで観客をとりこにしてきた同劇団は一筋縄ではいかず、「methods」という劇団独自の稽古法とカップリングという斬新な興行スタイルをとる。筆者は時間の関係で「過妄女」のみ鑑賞した。

 アルカージナは息子コースチャの書いた一人芝居に茶々を入れ、上演を台無しにした。コースチャの恋人ニーナは、その一人芝居が「生きていない」といって二人の関係は冷めていく。一方、ニーナはアルカージナの愛人トリゴーリンにひかれていき、アルカージナはなんとかトリゴーリンを引き留めようと焦る。

「過妄女」【かもめ】  白っぽいメイク、白髪まじりで腰には米袋のようなものを巻いている。彼らは「剥製」として存在し、老人のような話し方、しぐさをとる。「剥製」とは、コースチャが打ち落としたかもめがトリゴーリンの注文で剥製になったというエピソードから。「剥製」の格好をしていないのは、コースチャ、ニーナ、そしてコースチャを慕うマーシャのみ。物語の中で、なぜこのような対立項があるのかよくわからなかったが、演出の安田雅弘氏によると「“退屈”を住処にする“剥製”と、大げさにいえば“自分は世界を変えることができる”と夢想する“生きた人間”との対峙」だという。

 たしかに彼らは、田舎は退屈だと言いながら環境を変えようとしない大多数の人物、またはアルカージナとよりを戻すトリゴーリンのような守りに入った人間ではない。でも、自分の恋を本当に断ち切れないところを見ると、「剥製」になりかかった人間のような気がする。理解できるのは、コースチャ、ニーナ、マーシャの三角関係は、アルカージナのコースチャに対する態度によって引き起こされている、ということだ。

 変わらない「退屈」を壊されることへの恐怖、拒絶は、アルカージナという女の本質をついたもの。このひねり具合はじっくりじっくり効いてくるボディーブローのような演出効果である。

(文:滝沢 三佐子/撮影:平松俊之)

劇舎カナリア岸辺の劇場《彼岸ト此岸ノあわいノ劇ノ場》第1回公演
「白鳥の歌」「楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~」

6月27日 於:両国 ギャラリーΧ

「白鳥の歌」  チェーホフの「白鳥の歌」と、この作品を“本歌取り”とした清水邦夫作「楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~」の二本立て公演。

 前者は、表舞台に立つことのなかった老喜劇役者が、老プロンプター(セリフを忘れた役者に舞台の影からセリフをつける仕事)を相手に芝居と自分の人生について語り合う。一人芝居の演目だが、今回は山本健翔の“一人語り”で、本人いわく、「落ちのない落語」。以前、歌あり踊りありの「白鳥の歌」を観たことがあったが、この演目は日本の語り物と相性がいいようだ。スポットライトを浴びることがなかった二人の演劇人生の「落ち」は次の演目「楽屋」へと流れていく。

「楽屋」  「かもめ」のニーナを演じる女優の楽屋で、必死に化粧しながら「出」を待つ二人の女。そして、ニーナの役を返してくれと枕をかかえて突然やってきた女。実は三人の女は、プロンプターのまま生涯を終えた女優たち。ニーナの役に執着する枕をかかえた天然ボケ風女の登場で三人となった幽霊たちは、「三人姉妹」を成り行き上演じていくのだが…。

 女優を主役にしたことで、怨念の度合いが笑っちゃうほど増幅した、とんだ本歌取りである。女優Bと女優Cを演じたもりしまりお(Wキャスト)とささいけい子の絶妙な掛け合いが抱腹絶倒。ギャラリーが会場なので、舞台と楽屋の境がなく運営が丸見えというのも楽しい公演だった。

(文:滝沢 三佐子/写真:劇舎カナリア提供)

映 画

「聖なる泉の少女」

(ザザ・ハルヴァシ監督作品、2017、ジョージア)
8月24日~9月27日、東京・岩波ホール
10月 横浜シネマリンで公開
レビュー(当時「泉の少女ナーメ」の題名で公開)は機関紙2017年11月号に掲載しています。

「ホフマニアダ ホフマンの物語」

ソユーズムリトスタジオが15年かけて制作した異色ファンタジー。
9月4日からシネマ・ジャック&ベティで公開。

(滝沢)

音 楽

国立モスクワ音楽院室内合唱団を聴いて

国立モスクワ音楽院室内合唱団  さる7月1日、神奈川県民ホール小ホールで国立モスクワ音楽院室内合唱団を聴いてきました。

 当日はBプログラム、第1部が「古典と現代」、休憩を挟んで第2部が「ロシア民謡とソビエトの愛唱歌」という構成でした。

 第1部は、スクリャービン、ラフマニノフ、シチェドリン、と知った名前の後に五人の初めて聞く作曲家の作品が続き、その後モーツアルト、ヘンデルという超有名な二人の作品が歌われ、馴染みの少ないペルト、エキモフの作品で締めくくられました。

 この合唱団は、テクニックは文句なく一流でしたが構成メンバーが皆若く年の差がほとんどないようで、音に深みと厚み、幅が足りないことが残念でした。

 しかし、合唱団の若さを補うかのようにソリストの一人マリア・チェルマキナが、私は伊達に年齢を重ねたわけではないわ、とでもいうように円熟した歌声を客席に届けてくれました。

 休憩を挟んで始まった第2部は、私たちが聴き慣れ歌い慣れた曲が多く、客席とステージが一体化する場面が何度もありました。加えてステージも若さあふれる動きのある演出で盛り上げてくれました。

 一流の合唱団は嫌がるでしょうが、私はロシア民謡(私たちが思っている)だけのプログラムが聴きたいです。

(文・金子/写真・木佐森)

舞 踊

今年の目玉は、12月のゲルギエフ指揮のスペードの女王か!

「ロダン~魂を捧げた幻想」  7月18日、東京上野の東京文化会館2階で、ロシア文化フェスティバル2019のオープニングセレモニーが、外務省正木靖欧州局長を迎えて開かれました。

 今年の目玉は、11月30日と12月7日にかけて繰り広げられる、ワレリー・ゲルギエフ指揮マリンスキー歌劇場の「スペード女王」「マゼッパ」とコンサートです。

「監督のエイフマン氏」  このセレモニーの前に、午後7時からエイフマンバレエの新作「ロダン~魂を捧げた幻想」が上演され、監督のエイフマン氏や主役のオレグ・ガブィシェフさんやリュボーフィ・アンドレーエワさんが上演の疲れが残っているまま会場に現れました。

 エイフマンバレエは、トーシューズを履かないコンテンポラリー系の振り付けですが、肉体美を強調するフランス派とは異なり、物語を重視し、演出の流れの中に色鮮やかなパリのムーランルージュの様相を入れ込んだりして、ロダンの苦悩とエコールドパリをうまく演出しており、クラシックバレエ好きが観ていても十二分に楽しめるものになっていました。

(木佐森)

ユーラシア通信

日露交流年クロージング・レセプション

日露交流年クロージング・レセプション  6月29日、G20サミット(首脳会議)が開催された大阪で、「日本におけるロシア年」「ロシアにおける日本年」(日ロ交流年)の閉会式が”いずみホール”で行われました。

 私も外務省からご招待をいただき出席してきました。

 日ロ首脳会談の前、最初に両首脳が挨拶され、安部首相は、両国民が互いに関心を寄せ心を通わせた一年であり、この交流が隅々にまで広がっていくことを願って地域ごとに独自の伝統と特色を有する日本とロシアで、「日ロ地域交流年」を来年からスタートすることをこの場で明らかにしました。

日露交流年クロージング・レセプション  プーチン大統領は、交流によって日ロの関係が強くなって感謝しているということと、地域間交流の新しいプロジェクトによって両国の関係が新しい次元に引き上げられることを期待している。また大統領の故郷サンクトペテルブルグと姉妹都市の、この大坂で発表できてうれしいと話されました。

 さらに、その頃モスクワで行われていたチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で、日本人の藤田真央さんが第2位を受賞されたニュースが入ってきて、プーチン大統領自ら、交流年の枠外のことではありましたがと言いながらも、お祝いの言葉を述べられました。

 続くクロージングコンサートでは、ロシアのモスクワ室内合唱団、日本の相馬こどもコーラスの歌声が響き、若手ロシア音楽家のヴァイオリンで”剣の舞”、ピアノで”アヴ・ェマリア”が演奏されました。

 その後会場を”大阪ニューオータニホテル”に移して行われたレセプションでは、シュビトコイ大統領特別代理、高村正彦日ロ交流年日本側組織委員長、亀山郁夫名古屋外国語大学学長、山下泰裕柔道金メダリスト日本オリンピック委員会会長の方々のご挨拶がありました。

 高村正彦委員長はレセプションの行われている正に今、同じホテルで日ロ首脳会談が行われていると話され、山下泰裕会長はプーチン大統領との柔道での交流のことや、草の根レベルでの交流が進み日本とロシアが本当に信頼できる隣人となっていくことを心から願っていると話されました。

 閉会式、クロージングレセプションに関わられた方々に心より感謝申し上げるとともに、私も音楽を通して、ロシアと良い形での交流を続けていきたいと強く思いました。

(文・佐野/写真・ロシア文化フェスティバル事務局提供)

ロシアでは「女性の幸せは結婚して子どもを産んで孫の世話をすること!?
ユーラシア研究所創立30周年記念シンポジウム「ロシア人のくらしの今」

「ロシア人のくらしの今」  7月13日、「ロシア人のくらしの今」というテーマで、ユーラシア研究所創立30周年記念シンポジウムが、東京広尾の聖心女子大で開催されました。

 最初の報告者は、エアーブリッジカーゴ航空のドミトリー・ヴォロンツォフ氏で「日本人・ロシア人のお互いの誤解」という話。「ロシア人と日本人には共通点が多いとよく耳にするが、30年近く、両者の間に立っている自分から見たら、相違の方が圧倒的に多い」とし、それがお互いの関心を、さらに高め、交流が拡大していく、としました。

 次の報告は「“らしさ”を求めるロシア社会」というテーマで天理大教授の五十嵐徳子氏が報告。ロシアは「男らしさ」「女らしさ」を強く求めているとし、共働きの夫婦でも、「仕事は夫」、「家事、子育ては妻の役割」で、女性もそれを望んでおり、「女性の幸せは結婚して、子どもを産んで、孫の世話をすることという人生観が非常に強い」とアンケート結果を駆使して報告しました。

 三番目の報告は、「住宅からみるロシア人の生き方とロシア経済、その変化」で、新潟大准教授の道上真有氏が報告。モスクワ郊外には、高層マンション群が広がっているが、ロシアでは、何の内装もしない「スケルトン渡し」が一般的で、購入後の内装及び電気、上下水道などの設備に多額の経費がかかるので、中古住宅に人気があり、その中で一番低価格なのが、ソ連後期に建築された5階建てのフルシチョフカで、現在は、若者や社会的弱者が多く居住しているとしました。また、今後は住宅リニューアル産業が伸びていくと予想し、そこに日本の住宅産業が進出する機会があると指摘しました。

 神奈川県協会からは、2名が参加しました。

(木佐森)

書評 イワーン・イワーノウィッチと
イワーン・ニキーフォロウィッチとが喧嘩をした話

イワーン・イワーノウィッチとイワーン・ニキーフォロウィッチとが喧嘩をした話 作)ゴーゴリ 訳)原 久一郎 出版社)岩波書店 価格)400円+税

 本書は、限りある人生を無為な喧嘩をして過ごした2人の小地主の物語である。

 岩波文庫が復刻再刊に踏み切ったのは、読者のリクエストが多かったからである。

 作者は、N・ゴーゴリ。ロシア近代化の幕を切って落とした文化人で、自身も小地主であった。人間の見栄や体裁、猜疑心を書かせたら右に出るものはいない。

 これは、わずかなくだらないいさかいと誤解で、一生仲違いする隣人同士の話である。周囲は、最初こそ止めにはいるが、やがて見放していく過程も織り込まれている。裁判所長も、仲にはいった友人も死に、当人同士も白髪になりつつ体面だけを保っていた。しかし、もう誰も相手にならない。

 これが当時の近代化の波に乗り遅れたロシアであった。貴族文化は沈滞し、知的貧困を帯び始めていた。そこに一抹の恐怖がある。

 ゴーゴリの出現は何を意味したか。それまで文学や劇の大半であった、メロドラマとヴォードビルの終焉である。

 後に彼はこう語っている。「わたし達の真の生活はどこにある?」と。

(中出)

投稿歓迎!

 「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。ユーラシア(旧ソ連地域)関連の投稿をお待ちしています。
 催し物の感想、旅行記、講評、写真、絵などさまざまなジャンルの投稿を歓迎します。
 ただし、作品は自分のオリジナルか著作権者の許可を得たものに限ります。
 デジタル画像はテキストファイルに貼りつけず、別ファイルでお送りください。
 また、ペンネームや注意事項があればお書き添えください。
 毎月末締切、翌月15日頃に発行される見込みです。

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 機関紙編集部
〒231-0062 横浜市中区桜木町3-9 横浜平和と労働会館1階
Fax 045‐201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp
(機関紙編集部)