今月の表紙

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2018年8月号 No.682

行事予定

8・15企画『ひまわり』DVD鑑賞会

ひまわり  毎年「8・15」を迎えるにあたって、戦争と平和を考える鑑賞会を企画しています。今年は『ひまわり』(1970年作製、イタリア・フランス・旧ソ連合作)です。

 第二次世界大戦下のイタリア。精神異常を装い、徴兵を忌避した夫の虚偽が暴かれ、懲罰のため東部戦線に送られます。一年中、Tシャツ一枚で暮らせるイタリアから、真冬は零下数十度という寒波に襲われるソ連の雪原に連れて行かれたのです。イタリア兵にとってのソ連軍との戦いは、同時に雪と寒さの戦いでもありました。多くのイタリア兵が雪と寒さのために、戦う前に落伍していきます。マルチェロ・マストロヤンニ演ずる夫も、その落伍兵の一人でした。雪の中に埋もれているイタリア兵を助け出したのはソ連の女性でした。雪道を引きずり、家に運び込み、裸になって体を温めたのです。命が助かったのは幸福ですが、助かった故のソフィア・ローレン演ずる妻との別離という悲劇があったのでした……。

 冷戦下で、旧ソ連でのロケーションによる伊・仏・ソの合作映画です。また、その切ないテーマ音楽は映画音楽史上に残る名曲です。戦場で銃火を交えるだけが戦争ではありません。そして、戦争は戦争が終わった後も、なお悲劇を残すということを、この映画でしっかり確かめましょう。

(関戸 真哉)

日時 2018年8月19日(日)13:00~
会場 横浜平和と労働会館5F教室
参加費 500円(黒パン・お茶代)

お申し込み・お問い合わせ:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

講演会「未来が見える ユーラシア新時代」9/15開催!

講演会「未来が見える ユーラシア新時代」
――“踊る地平線”、非核の波、遊牧民文化…
日本はユーラシアの一部、ユーラシアの風に吹かれよう!

日時:9月15日(土)14:00~
会場:横浜平和と労働会館 4階会議室
資料代:300円
講師:日本ユーラシア協会全国理事長 堀江則雄(ジャーナリスト)

内容:
「沸き立つユーラシア経済圏」
*新たに建設される鉄道、高速道路、パイプライン=ヒト、モノ、カネの奔流→ゆるやかなユーラシア経済圏
*ユーラシア経済連合(ロシア、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス)が2015年に発足(関税撤廃、自由貿易、経済金融政策調整)。
*中国の「一帯一路」との連携。
*中央アジアは国民国家として自立的発展めざす。シルクロード経済圏の再生、“先進30カ国”めざすカザフスタン、紛争貸席外交、国連安保理議長国、全方位外交と東西南北への資源の流れ。

「中央アジア非核地帯の創設」
*ソ連の核実験場セミパラチンスク(カザフスタン)で456回の核実験(地上と地下)で、核実験被害者150万人にのぼる。
*ソ連解体のなかで核実験場を閉鎖、そして真実が明らかに。キルギス・ウズベキスタン、トルクメニスタンにも被害が波及。
*中央アジア5カ国で反核の機運高まり、2009年に非核地帯(核兵器開発・製造、実験、保有、配備、貯蔵・通過を認めない)条約を発効、米ロ中など核保有大国がこの条約を尊重する議定書に調印した。
*カザフスタンはソ連解体後保有していた戦略核兵器を1996年に放棄した。

主催:神奈川県平和国際友好団体連絡会(神奈川県日本ユーラシア協会・日本中国友好協会・神奈川コリア協会・日本ベトナム友好協会・日本AALA連帯神奈川委員会・神奈川原水協・神奈川平和委員会・神奈川音楽センター)

お申し込みは各団体へ
お問い合わせは神奈川県日本ユーラシア協会へ
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

第72回ロシア語能力検定試験

 10月6日・7日に横浜平和と労働会館4階で検定試験が実施されます。申し込み期間は8月1日(水)~31日(金)。東京ロシア語学院窓口、インターネット、コンビニ端末でお申し込み可能です。

お問い合わせ先:ロシア語能力検定委員会事務局(東京ロシア語学院内)
Tel: 03-3425-4011
E-mail: kentei@tokyorus.ac.jp

●10月6日(土)
【2級】筆記10:00~12:00、聴取12:00~12:25、会話(口頭作文)12:30~
【4級】筆記14:00~15:30、テクストの朗読(録音)15:30~

●10月7日(日)
【1級】筆記10:00~12:00、聴取12:00~12:25、会話(口頭作文)12:30~
【3級】筆記13:30~15:30、聴取15:30~15:45、テクストの朗読(録音)15:50~

※横浜ロシア語教室では、9月に3級・4級対策集中講座も行われます。教室ホームページをごらんの上、お申し込みください。

活動報告

樺太=サハリンの歴史的悲劇
サハリン旅行事前交流会兼会員限定特別企画『氷雪の門』DVD鑑賞会

 台風一過の7/29(日)、上記の行事が開催されました。初のサハリンコースの旅行参加者4名、会員4名の合計8人の参加者でした。この日はエレベーター点検日で5階までは階段。湿度が高く汗がなかなか乾きませんでしたが、時間通り1時から開始。

 映画自体は半世紀近く前の作品なので、映像はいささか見づらいものでした。けれども、当時の様子がよくわかりました。戦火に巻き込まれなかった樺太は戦争の影もなく、平穏な暮らしが続いていました。その平穏が破られたのは8/8。中立条約の延長を破棄し、ソ連軍が攻撃を開始したのです。樺太はこの時、非常に微妙な状況の中にありました。戦後の国際情勢をにらんでの米ソの駆け引きや、日本政府の思惑などが影響したのです。そのため、ソ連軍の攻撃を受けた時には、「戦っても、国境は超えるな」という奇妙な命令が下されたのです。ソ連軍は国境を越えて、攻め寄せてきたのです。そのソ連軍と戦っても、国境の外まで追い返すことはできないのです。最前線の部隊は、戦うに戦えず逃げることもできないという悲惨な状況になったのです。軍隊のみならず、一般市民はさらに悲惨な状況でした。あまりに急な攻撃のため、身一つで逃げ始めました。ところが、15歳以上60歳までの男子は残って、ソ連軍に反撃するようにとの命令があったのです。武器もない一般市民です。幼い子ども三人を抱えた母に向かって、別れを告げる父親。その父親は、踏みとどまって射殺されました。親とはぐれた少年をかばって。母親とともに逃げた三人の子どものうち、二人はソ連戦闘機の機銃掃射で命を落としました。最後には、やっと真岡についた途端、母親と乳飲み子はソ連艦隊の艦砲射撃で死んでしまったのです。

 逃げる市民たちの悲劇はひどいものでした。「これやるから、連れてってくれ」と札束を見せて助けを求める老人に誰一人見向きしません。自分が生き残るのに精一杯だからです。姉弟に励まされながらやっと歩いていた母親は、あまりの苛烈さに発狂して死んでしまうのです。両親が機銃掃射で死んでしまい、泣きながらその死体にとりついている子どもの姿。戦争のひどさが本当に感じられます。

 真岡郵便局の交換手9人は、連絡業務が滞ったら大変だという事で避難命令があったにも関わらず、業務に従事していました。ソ連軍が身近に迫った時に青酸カリで自決したのです。「捕虜になるのは死ぬよりも恥」「日本は絶対に負けない国」「日本より強い国などない」という教育を叩き込まれた当時の日本国民は、白旗を掲げて降伏するという選択はなかったのです。また、ソ連軍が白旗を掲げた日本軍の軍使を射殺する場面もありました。ソ連軍の暴虐ぶりがわかります。このようなことがあったから、「ソ連憎し」の感情が沸き起こるのでしょう。

 映画の後は、座談会。ご家族が落合におられたという参加者は、「同じ樺太でも、ウチのところはこんなことはありませんでした。終戦後、3年間樺太にとどまっていました」と言っておられました。実は、関戸自身は初めてサハリンを訪れるのです。サハリンの歴史的事実をこの映画で知りました。沖縄は、高校の修学旅行で広島・長崎と並び、平和教育の場となります。その沖縄と同じように、住民が戦闘に巻き込まれたのです。もっと多くの人に知ってもらいたいことです。映画のみならず、戦争と平和について、いろいろ語り合いました。貴重な鑑賞会となりました。

(関戸)

教室案内

夏休みのお知らせ

2018年8月6日(月)~18日(土)は神奈川県日本ユーラシア協会の夏休みとなります。
上記期間中、各種教室・協会事務所は原則として閉まりますので、ご用の方はその前後にお願いします。
休み中にいただいたお申し込み・お問い合わせやご注文等への対応は、休み明けに順次行いますがご了承ください。

横浜ロシア語教室 第128期生徒募集中!

 今期の授業も終盤に近付いてきましたが、見学してみてレベルの合うクラスがあれば、学期途中からの入学も歓迎いたします。検討中の方は遠慮なくご連絡ください。

 中途入学者の受講料は残りの授業回数分のみお納めいただければ結構です。新学期は10月です。

 料金や時間割などの詳細は教室ホームページをごらんください。見学は3クラス・各30分まで無料です。

 受講お申し込み・お問い合わせは教室事務局まで。


ロシア語検定3級・4級対策集中講座

◆3級対策集中講座
日時:9月17日(月祝)、23日(日)、24日(月祝)各日11:00~17:00 全9回
講師:小林 淳子(横浜ロシア語教室講師)
受講料:会員29,700円、一般34,200円
講座内容:(1)文法 (2)和文露訳 (3)露文和訳 (4)聴取、朗読 (5)小テスト

◆4級対策集中講座
日時:9月15日(土)、22日(土)、29日(土)各日11:00~17:00 全9回
講師:竪山 洋子(横浜ロシア語教室講師)
受講料:会員29,700円、一般34,200円
講座内容:綴りと発音、朗読、文法、露文和訳、和文露訳、小テスト他

※講座の詳細は教室ホームページをごらんください。

横浜ロシア語教室 改称のお知らせ

ロシア語委員長 大山 麻稀子
会長 木佐森 雅道

 神奈川県日本ユーラシア協会が運営する横浜ロシア語教室は、第129期(2018年10月)より下記の名称に改称いたします。

横浜ロシア語センター ロシア語講座
Центр русского языка в Йокогаме
Курсы русского языка

 横浜ロシア語教室は現在、100名近くの受講生と15名の講師を抱え、ネイティブ講師のほとんどと日本人講師の2名がРКИ(Русский язык как иностранный=外国人向けロシア語教授法)の免状を有し、РКИに沿った授業をおこなっています。また、講師を対象とするシンポジウムや勉強会も定期的に開いており、ロシア語教育の研究とその実践に力を入れています。そのために、単なる教室ではなく、語学教育を充実させるために研究も行う場として改称することが必要になりました。

 今年の秋には、ニージニー・ノヴゴロド国立言語大学からロシア語教授法のインターン生を受け入れることになり、将来的に同大学とパートナーシップを結ぶ予定です。

 また、将来的にはロシア語講座以外の様々な講座の開設も視野に入れて、小規模なイメージのある教室ではなく、センターとして事業を展開できるようにすることも計画しています。

 横浜ロシア語教室はこの10月より、横浜ロシア語センターとして新たに出発します!!

ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

 レッスン内容は奏法の基本から音楽理論や高度な内容まで。毎月土曜日に開講しています。初心者の方も、以前習っていて中断された方も歓迎します。

 今後の日程:8月11日、8月25日、9月1日、9月15日(予定は変更の場合あり)
生徒募集クラス:
17:00~17:45ドムラ中級
18:00~18:45バラライカ初級

講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館5階
会員受講料(1回45分×6回分):3~5名クラス:24,000円、2名クラス:36,000円、1名クラス:54,000円


みなとみらいマトリョミン教室 アンサンブル/グループレッスン

日程:毎月1回、土曜日開講
2018年度前期日程:4月21日、5月19日、6月16日、7月21日、8月18日、9月15日

◆グループレッスン:Aクラス(現在休止中、受講生3名で開講可能)
◆アンサンブルクラス(90分)13:00~14:30

講師:檜垣 紀子
会場:横浜平和と労働会館2階
神奈川音楽センターホール


組織・財政

組織状況

(2018年7月31日現在)

 年初会員数219名 、入会者累計30名、退会者累計20名、7月末会員数229名。
 7月は、組織的には安定しており、増減なしの会員数229人を維持しました。

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2018/7/31
単位:円
摘 要本年度収入前年同期収入対前年同期増減
一般会計1,142,9061,167,986-25,080
教育事業6,125,1304,817,9031,307,227
一般事業1,247,6151,022,887224,728
合 計8,515,6517,008,7761,506,875
前年同期(単位:円)2017/7/31
摘 要本年度支出前年度支出対前年同期増減
一般会計3,826,1893,866,064-39,875
教育事業2,775,9862,404,384371,602
一般事業793,665797,622-3,957
支出合計7,395,8407,068,070327,770
当期剰余金1,119,811-59,2941,179,105
合 計8,515,6517,008,7761,506,875

 6月の状況と似ており、教育事業及び一般事業(物販等)とも対前年120%を確保しました。支出では、稼働日数が多かったのか、昨年に比べ事務所費及び講師費が多くなりました。当期剰余金の6月より27万円減少は、教育事業の大きな収入月が4月、10月に限られているため、他の月は前月より少なくなるからです。

(木佐森)

お勧め商品

ユーラシアスポーツvol.15 432円 (税込)

ユーラシアスポーツvol.15 神奈川県日本ユーラシア協会機関紙別冊「ユーラシアスポーツ」も15号目となりました。
会員の皆様には1冊無料で配布します。(2冊目以降は有料です。)
今号も体操、競泳、アーティスティックスイミング、フィギュアスケートの写真満載!ぜひお楽しみください。

<掲載内容>
体操・ワールドカップ東京大会(P2-6)
競泳・日本選手権(P7-9)
体操・全日本体操個人総合選手権(P10-14)
アーティステッイクスイミング・ジャパンオープン2018(P15)
ジャパンウォーク(P16)
競泳・ジャパンオープン2018(P17)
体操・NHK杯(P18-21)
フィギュアスケート・ファンタジー・オン・アイス(P22-23)

全24ページ
メール便送料込 432円

文化・芸能

演劇・映画

萬國四季協会 さくらんぼの実るころ公演「三人姉妹」

6月28日 於:上野ストアハウス

「三人姉妹」  チェーホフの「三人姉妹」のうち、華のあるキャラクターは次女のマーシャに三女のイリーナだろう。あるいは、長男アンドレイの嫁ナターシャのような、次第に本性を現していく女。いくつかの恋愛と若さにあふれた彼女らに比べ、いまひとつ生真面目で堅物な長女オリガはどこか一歩引いたような存在だ。

 萬國四季協會の「三人姉妹」は、オーソドックスな群像劇として演じられているにもかかわらず、長女のオリガが気になった。さえない夫に不満を抱き陸軍中佐のヴェルニーシンに道ならぬ恋をするマーシャをたしなめ、年老いた乳母を追い出そうとするナターシャに果敢な抗議をぶつけ、博打に負けて屋敷を無断で抵当に入れたアンドレイに頭を痛める。トゥーゼンバフ男爵の求婚を受け入れるようにイリーナの背中を押し、男爵が決闘で殺されたときはイリーナを心から慰める。いつも頭が痛い、疲れていると言っているにも関わらず、人から頼まれたら断りきれない。これはもう単なる世話好きとはいえない。

「三人姉妹」  嫁の尻に敷かれたアンドレイに代わり、オリガは自分の幸福よりも、きょうだいたちの幸せのため自分は踏み台となって、「家長」に等しい重責を一人で担っている。

 人口に膾炙するオリガの最後の独白「それがわかったらね」は、彼女ほど苦労をしていればそうだよねー、と思えるほどリアリティがあった。

 初めて観る劇団だったが、過去公演記録にはチェーホフの作品がいくつかあり、本作は昨年の「かもめ」に続き、四大戯曲の3作目。残る1作は「桜の園」だ。どんなキャラクターに脚光が当たるのか、大いに期待したい。

(文:滝沢 三佐子/撮影:望月 昭弘)

映画「スターリンの葬送狂騒曲」

2017年、英・仏 アーマンド・イアヌッチ監督作品

「スターリンの葬送狂騒曲」  フランスの小説家ファビアン・ニュリによる『La mort de Staline』が原作。

 「“ヒトラーを超える大量虐殺”ソ連の独裁者スターリンが急死!厳かなはずの国葬の裏側で、最高権力者の座を巡り、狂気のイス獲りゲームが始まる-!」という配給会社のコピーにもあるように、ここまでやるかのブラックコメディ。当然のことながら、ロシア国内では賛否両論となり、文化省が上演を禁止した(だが、ネットでは観られる)。ベラルーシ、カザフスタンなどでも同様に上映禁止となった。

「スターリンの葬送狂騒曲」  ここ数年のロシアとEUおよびイギリスをめぐる対立もあって、この作品を単なるコメディと見るか歴史への挑戦と見るかは観客一人ひとりの感受性にかかっているだろう。「帰って来たヒトラー」など、別のブラックコメディと比べてみるのも一興かも。

 英米のそっくりさん俳優陣の中で、唯一オルガ・キュリレンコだけがウクライナ出身、ピアニストのマリア・ユーディナを演じている。

「スターリンの葬送狂騒曲」  8月3日よりTOHOシネマズシャンテほか全国公開。横浜は9月15日よりジャック&ベティにて。

文:滝沢 三佐子
(C)2017 MITICO・MAIN JOURNEY・GAUMONT・FRANCE 3 CINEMA・AFPI・PANACHE・PRODUCTIONS・LA CIE CINEMATOGRAPHIQUE・DEATH OF STALIN THE FILM LTD

1935年から最近までの映画24本を上映
ロシア・ソビエト映画祭

ロシア・ソビエト映画祭開幕記念パーティー  1935年の「マクシムの青春」から2017年の「アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語」「マチルダ」まで、24本の映画を上映する「ロシア・ソビエト映画祭」が7月10日~8月5日の間、国立アーカイブ長瀬記念ホールで行われましたが、みなさま楽しまれましたでしょうか。

 同映画祭の開催を祝う開幕記念パーティーが7月10日(火)国立映画アーカイブ6階ホールで催されました。

 会場には、映画「マチルダ」のアレクセイ・ウチーチェリ監督が登壇し、日本の映画人との繋がりを強めたいとの挨拶がありました。

 日本側からは、ロシアとの合作映画に多数出演している栗原小巻さんが、撮影当時の思い出を含めて、これからも両国の文化交流を強めていきましょうとの呼びかけがありました。

 来賓として、ガルージン駐日ロシア大使の挨拶もありました。

(木佐森)

ユーラシア通信

行き過ぎた反米親中路線の修正
ユーラシア研究所第30回総合シンポジウム「アジアの中の日露関係」

「アジアの中の日露関係」  ユーラシア研究所第30回総合シンポジウム「アジアの中の日露関係」が、7月14日(土)東京広尾の聖心女子大宮代ホールで開催されました。3本の報告と全報告者によるパネルディスカッションです。

 報告Iは、「ビジネスの面から見たアジアにおける日露関係―脱欧入亜は成功するか」を三井物産執行役員の目黒裕志氏が報告。クリミア併合による経済制裁後もドイツからのロシア進出(6000社)は拡大したおり、日本は200社に留まっているなど、欧州中心に変わりがないこと。中東、アフリカ向けにロシアの穀物や食肉の輸出が拡大しており、それに比べ亜細亜諸国との貿易は拡大していないとのこと。

 報告IIは、「東アジアの安全保障から見た日露関係―関係正常化の戦略的意義」で防衛研究所地域研究部長の兵頭慎治氏が報告。プーチン体制は24年に向けて後継者づくりに入っている。今後の外交課題として「行き過ぎた反米親中路線の修正」、「過度な対中依存を避けるためにインド・日本を重視」、領土平和条約協議においても「東アジアの安全保障環境の安定化のために日露関係を高める」方針であるとしました。

 報告IIIは、「北東アジアの国際関係から考える日本とロシアの選択」で北大特任助教の加藤美保子氏が、さまざまな公開資料や発言を取り集めて報告しました。

「アジアの中の日露関係」  報告者による、パネルディスカッションでは、目黒氏は「中国は、ビジネスの面から見るとロシアを相手にしていない。あくまで米国中心だ」。兵頭氏は「ロシアの経済面での中国依存は続く、そして、プーチンは再度欧州に接近していくだろう」としました。

 まとめの石郷岡氏のコメントは「中国はロシアからの石油の輸入がサウジを抜き第1位になって、エネルギー面の対ロ依存は大きくなっている。」「中国は経済的には地域の中心になるが、政治的理念がないので地域や世界の中心になることはできない」としました。

 同シンポジウムの後、同大学内のカフェテラスで懇親会が開かれました。神奈川県協会からは坂本さんと2名が参加しました。

(木佐森)

タジクの運命はアフガン国境にある
第11回中央アジア東京対話

第11回中央アジア東京対話  「中央アジアの地域協力と地域安全保障の戦略的展望」というテーマで「中央アジア+日本」対話 第11回東京対話が、7月3日(火)午後3時から霞が関の外務省国際会議室北760号室で行われました。

 安全保障ということで、各国とも安全保障担当部局の幹部が来日したようです。タジキスタンは国家戦略研究所外交政策部長、カザフスタンは安全保障会議副書記、キルギスは安全保障会議事務局検査官、トルクメニスタンは外務省中東局長、ウズベキスタンは外務省国際関係情報分析センターアジア大洋州地域課長です。

 まず各国からの報告が行われました。最初のタジクは「アフガンとの国境がタジクの運命を決定する」として、アフガン国境に集結しているISテロ集団の動向が重要だとしました。カザフは、3月に中央アジア5か国会議をアスタナで開催し、5か国の連携強化を図ったとのこと。キルギスは「カザフとの2国間協議が進んでいるが、パキスタンはテロ戦闘員を提供国になっており、危惧していると報告。トルクは「中央アジア5か国が抱えている問題は共通している、それはテロ問題であり、アフガン国民の生活安定が一番重要である」としました。ウズベクは、「中央アジアの状況は1年前から大きく変化している。各国と水と電力関係で前進があった。タジクへの高速鉄道建設の計画もある」とのこと。

 日本側からは、アフガン問題を研究している青木健太お茶の水女子大グローバル協力センター特任講師、中国問題研究者の川島真東大大学院総合文化研究科教授が、それぞれ、アフガンの課題は「麻薬であり、中央アジアからロシア経由で欧州に流れている。また、アフガンのインフラ建設にインドが積極的に乗り出している」、「中国は、中央アジア諸国に対して、経済を梃にして政治的軍事的影響を強めている」との報告がありました。各国担当者間のパネルデスカッションでは、カザフから「今回の対話の意味がよくわからない」との疑問が投げかけられました。

 また、会場発言として、駐日アフガニスタン大使から、「アフガンの麻薬地帯である三角地域で殺戮が強まっている」などのアフガンの近況が語られました。

第11回中央アジア東京対話  今回の対話に先立ち、午後1時から、「秋野豊・元国連タジキスタン監視団政務官没後20年シンポジウム」があり、秋野豊氏の同僚や教え子が当時の様子や、現在の研究課題などを報告。タジキスタン側から「タジキスタン和平プロセスにおいて秋野氏が果たした役割」が報告されました。

 神奈川県協会からは板垣さんと2人で出席しました。

(木佐森)

書評「小さい魔女」

「小さい魔女」 オトフリート=プロイスラー 作
大塚 勇三 訳
価格 900円+税

 この童話の主人公は、魔女である。124才で、魔女の仲間で一番の若手である。しかし、一つの楽しみがある。ワルプルギスの夜(4/30~5/1)で、魔女仲間と夜会を盛大にひらき、火の回りで騒ぎつつ季節の変わり目を祝うことである。原作者のオトフリート・プロイスラーは、チェコが生んだ、リンドグレーンと並び賞される現代児童作家である。加えてここに出てくる魔女は、魔法の度に間違えて、雨を降らせようとして、白ねずみ、カエル、モミの実とくるのだ。一体、どこで間違えるというのか!親友のカラスのアブラクサスでさえ、呆れ返っている状態。それでも練習に余念がなく、一日ずつ大きな失敗と小さな成功を積み上げていく。作者が生まれた所には、金鉱跡 があったり、コウモリがたくさんぶら下がったり、鬼火を見たり、不気味と不思議さが同居している町、チェコ、リベレツの作家は、第2次世界大戦後、ドイツのシュロスベルクという村で、小学校の教師をしつつ、短いお話を書き始めた。まず自分の子供のために。そして皆のために。あのわくわく感を教えようと。この「小さい魔女」はドイツ優良児童図書賞に輝き、50年以上のロングセラーとなった。

(中出)

投稿歓迎!

 「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。もっと面白くしたい方、新しい企画を思いついた方、協会や機関紙について感想や意見のある方は、読むだけでなくぜひ投稿してください。

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(機関紙編集部)

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