今月の表紙

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2018年6月号 No.680

行事予定

ハバロフスク旅行&サハリン旅行、8月開催


ハバロフスク旅行&サハリン旅行

 「第20回大河アムール・ハバロフスク市民交流の旅 ウラジオストク、ウスリースク訪問付き」を8月17日~22日に、「北辺の旧『日本』樺太・サハリンへの旅 文豪たちの足跡と北の『ひめゆり』を訪ねて」を8月11日~15日に開催します。

※ハバロフスク市民交流の旅は、航空料金の都合により日程が変更され、1日繰り下げとなりました。(2018.5.23追記)

 今回は初めて日露の文豪が訪れたサハリンへの旅を企画しました。旅程や料金等の詳細についてはチラシ画像をクリックしてPDFファイルでごらんください。。

 6月3日(日)午後2時より、横浜平和と労働会館5階教室にて旅行説明会を行います。興味をお持ちの方はぜひご参加ください。

お申し込み・お問い合わせ:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

サハリン旅行開設特別企画『樺太1945年夏 氷雪の門』DVD鑑賞会

樺太1945年夏 氷雪の門  今年の夏の旅行は、新たにサハリンコースを開設しました。そのサハリンコースの事前交流会も兼ねて、日本ユーラシア協会の会員限定企画として『樺太1945年夏 氷雪の門』のDVD鑑賞会を行います。

 当時の樺太(現サハリン)の真岡(現ホルムスク)郵便局での女性交換手の悲劇を描いた映画です。1975年作製ですが、上映直前にソ連の政治的圧力によって、全国上映ができませんでした。映画の中に、白旗を掲げている日本軍の軍使(停戦や降伏の交渉のための人員)を見境なく射殺したり、避難している非戦闘員である一般市民を機銃掃射したり、武器も持たず丸腰の民間人を砲撃や銃撃で殺戮したりという衝撃的なシーンがあったからです。また、他にも3/10の東京大空襲で焼け出され、中立条約を結んでいるソ連なら安全だと、親戚を頼って樺太に避難した家族の姿が描かれています。わずか5か月後、空襲よりも悲惨なソ連軍の戦車に蹂躙されることになるのです。

 私たちの友好相手である旧ソ連の、行いを冷静に正確に映画化しています。また、女性交換手たちの悲劇は、叩き込まれた教育の恐ろしさをはっきりと示しています。21世紀の今、70年以上前の悲劇を繰り返すことがないように、歴史を考えましょう。

(関戸 真哉)

日時 2018年7月29日(日)13:00~
会場 横浜平和と労働会館5F教室
参加費 500円(黒パン・お茶代)

お申し込み・お問い合わせ:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

8・15企画『ひまわり』DVD鑑賞会

 毎年「8・15」を迎えるにあたって、戦争と平和を考える鑑賞会を企画しています。今年は『ひまわり』(1970年作製、イタリア・フランス・旧ソ連合作)です。

 第二次世界大戦下のイタリア。精神異常を装い、徴兵を忌避した夫の虚偽が暴かれ、懲罰のため東部戦線に送られます。一年中、Tシャツ一枚で暮らせるイタリアから、真冬は零下数十度という寒波に襲われるソ連の雪原に連れて行かれたのです。イタリア兵にとってのソ連軍との戦いは、同時に雪と寒さの戦いでもありました。多くのイタリア兵が雪と寒さのために、戦う前に落伍していきます。マルチェロ・マストロヤンニ演ずる夫も、その落伍兵の一人でした。雪の中に埋もれているイタリア兵を助け出したのはソ連の女性でした。雪道を引きずり、家に運び込み、裸になって体を温めたのです。命が助かったのは幸福ですが、助かった故のソフィア・ローレン演ずる妻との別離という悲劇があったのでした……。

 冷戦下で、旧ソ連でのロケーションによる伊・仏・ソの合作映画です。また、その切ないテーマ音楽は映画音楽史上に残る名曲です。戦場で銃火を交えるだけが戦争ではありません。そして、戦争は戦争が終わった後も、なお悲劇を残すということを、この映画でしっかり確かめましょう。

(関戸 真哉)

日時 2018年8月19日(日)13:00~
会場 横浜平和と労働会館5F教室
参加費 500円(黒パン・お茶代)

お申し込み・お問い合わせ:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

活動報告

4級の欠席率が25%!?ロシア語学習者は孤独?
ロシア語能力検定試験報告

ロシア語能力検定試験  第71回全国ロシア語能力検定試験(4級及び3級試験)が5月27日(日)全国11か所でおこなわれました。横浜会場では、午前中の4級試験には31人が、午後からの3級試験には28人がエントリーいたしました。

 しかし、午前10時から始まった4級筆記試験には、欠席者が8人とこれまでにない人数になりました。1級、2級の場合は、準備不足が認識する人が多いのか、毎回欠席者が多いのですが、4級の欠席者率が25%になったのは、驚きです。3級でも欠席者は6人で、欠席率は21%と、例年に比べると少し多いです。

 毎回書いてもらっているアンケートにも、これまでの傾向とは違うものがみられます。「ロシア語をどこで学習していますか?」の質問に、4級で一番多かったのが「独習」で48%、「通学している学校」が35%と続きます。これまでは、「通学している学校」が一番で、「独習」は2級以上になると一番になっていました。3級では、「独習」と「通学している学校」が同率33%です。ロシア語をなんとか始めた人も、大学でもなく東京ロシア語学院や横浜ロシア語教室のような専門学校にも行かずに一人で勉強していては「孤独な戦い」になり、続かないと思われます。それが欠席者の多さに繋がっているのでしょうか。「ロシア語の活かし方」(複数回答可)でも、一番は「個人的趣味」で4級60%、3級71%で、「仕事・ビジネス」は4級30%、3級52%に留まっています。ロシア語は孤独な個人的趣味の位置を抜け出られないのでしょうか。

(木佐森)

現代ロシア映画鑑賞会実施報告「ロシアン・スナイパー」

ロシアン・スナイパー  5月13日(日)に今年2回目の現代ロシア映画鑑賞会を開催し、11人が参加しました。

 5月9日はロシアでは独ソ戦の戦勝記念日にあたるのにあわせ、今回は2015年公開の映画「ロシアン・スナイパー」(セルゲイ・モクリツキー監督作品)を鑑賞。309人もの敵を斃したソ連赤軍の天才女性スナイパー、リュドミラ・パブリチェンコの半生を描いたロシア=ウクライナ合作映画で、戦時においては輝かしい戦績の影で、彼女がどんな思いで戦いに臨んでいたかを回想を含めながら構成した臨場感あふれる作品でした。

 イギリスから日本へ一時的に戻られたオクサーナ・ピスクノーワさんも参加され、ウクライナ人として観る視点や日本字幕版への貴重な意見が述べられました。特に、作品中使われている二つの楽曲(ポリーナ・ガガーリナが唄うヴィクトル・ツォイの歌«Кукушка»、ウクライナを代表するロックバンド、オケアン・エリズィの«Обійми»)は、ヒロインの心情を代弁するものなのに、歌詞が訳出されていないのは日本の観客にとって大きなマイナスという指摘が印象に残りました。

 ちなみに原題はロシア語を«Битва за Севастополь»(セバストポリの戦い)、ウクライナ語を«Незламна»(不屈)といい、制作・公開された年のロシア=ウクライナ関係を考えるといろいろ複雑な背景が垣間見えます。

 本作品は、この日に都合がつかなかった希望者のリクエストにお応えして、再度の鑑賞会も検討します。

 次回は8月5日(日)14時より「草原の実験」を鑑賞。詳細はチラシ(会員に配布)にて。

(滝沢)

『蛙になったお姫さま』DVD鑑賞会報告

 GWの最終日、5月6日(日)は7人が集まり、『蛙になったお姫さま』DVD鑑賞会を楽しみました。参加者の中には、野口講師のお孫さんも。1954年製作とは思えない、映像のすばらしさ。アニメならではの空想的で美しい描写。実写では、味わえない内容でした。

 話のパターンは童話や民話によくあるものです。お姫様が魔王の求婚を断ります。すると、魔王は怒って、魔力を使い仕返しをしました。美しいお姫様が昼間は蛙に姿を変えられてしまうのです。夜だけ、元の姿になるのです。そのお姫様を救うために、王子が勇気と知恵で悪魔に向かっていくのです。その途中、ロシアならではの様々な動物(熊や鹿)や魚や鳥に出会います。王子が危機に陥ると、それらの動物や魚や鳥が王子を助け、加勢するのです。その協力もあって、ついに魔王に打ち勝ち、お姫様を救い出すのです。

 原語はロシア語で、字幕の漢字は小学生のお孫さんには、難しかったかもしれません。けれども、映像だけで十分理解できるし、楽しめるものでした。大人の参加者も、この時ばかりは童心に戻り、素朴な内容に微笑んでおられました。アニメは児童を育てるだけでなく、大人にも郷愁をもたらしてくれるのでしょう。終了後に、「今度はチェブラーシカを観たい」という希望も出されました。今後も、皆さんに楽しんでもらえる作品を取り上げていきたいです。

(関戸)

教室案内

横浜ロシア語教室 第128期生徒募集中!

 木曜・土曜入門クラス、木曜初級I、土曜中級II、土曜初級Iクラスは満席ですが、その他のクラスは引き続き生徒募集中です。

 見学や学期途中からの入学者も歓迎いたしますので、検討中の方は遠慮なくご連絡ください。中途入学者の受講料は残りの授業回数分のみお納めいただければ結構です。

 料金や時間割などの詳細は教室ホームページをごらんください。見学は3クラス・各30分まで無料です。

 受講お申し込み・お問い合わせは教室事務局まで。


3番、4番教室に壁厚80ミリの可動壁を設置

3番、4番教室  新学期が始まったばかりの4月下旬、昨年に引き続いて5階教室の改修が行われました。

 昨年の工事で、1番教室から4番教室まで4つの教室が同時並行的に授業を行えるようになりましたが、エレベータ寄りの3番、4番教室が3~4人用の小部屋だったので、3人の時でも「狭い」と評判が芳しくありませんでした。そのため、3番と4番を繋げて10人までOKの教室にすることになったものです。しかし、土曜日などは4つの教室が必要な時間帯もあり、そこにバラライカ・ドムラ教室も入ってくるので、開閉自由で遮音性能に優れた可動壁にする必要がありました。そこで、1番2番教室の可動壁は壁厚60ミリでしたが、3番4番は壁厚80ミリの遮音性能に優れた壁にしました。

 また、それに合わせて3番教室に34型壁掛けTVを、4番教室には高さ90cm幅180cmのホワイトボードを新調しました。学習効率が上がる教室になりました。

(木佐森)

ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

 レッスン内容は奏法の基本から音楽理論や高度な内容まで。毎月土曜日に開講しています。初心者の方も、以前習っていて中断された方も歓迎します。

 今後の日程:6月2日、6月30日、7月14日、7月28日、8月11日、8月25日、9月1日、9月15日(予定は変更の場合あり)
生徒募集クラス:
17:00~17:45ドムラ中級
18:00~18:45バラライカ初級

講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館5階
会員受講料(1回45分×6回分):3~5名クラス:24,000円、2名クラス:36,000円、1名クラス:54,000円


みなとみらいマトリョミン教室 アンサンブル/グループレッスン

日程:毎月1回、土曜日開講
2018年度前期日程:4月21日、5月19日、6月16日、7月21日、8月18日、9月15日

◆グループレッスン:Aクラス(現在休止中、受講生3名で開講可能)
◆アンサンブルクラス(90分)13:00~14:30

講師:檜垣 紀子
会場:横浜平和と労働会館2階
神奈川音楽センターホール


組織・財政

組織状況

(2018年5月31日現在)

 年初会員数219名、4月末会員数229名、5月末会員数230名。18年度入会者数累計27名、退会者数16名。

 5月は、ロシア語教室に入学する人がひと段落していましましたが、ロシア語教室に新入学の方が加わってくれましたので、1名増となりました。4月、10月の学期の始まり月以外にも、入会していただけるよう、ロシア語以外にも様々なイベントを開催していきましょう。

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2018/5/31
単位:円
摘 要本年度収入前年同期収入対前年同期増減
一般会計843,746860,954-17,208
教育事業5,320,7204,108,2271,212,493
一般事業904,025685,588218,437
合 計7,068,4915,654,7691,413,722
前年同期(単位:円)2017/5/31
摘 要本年度支出前年度支出対前年同期増減
一般会計3,020,8283,042,626-21,798
教育事業1,730,7191,533,604197,115
一般事業691,026477,706213,320
支出合計5,442,5735,053,936388,637
当期剰余金1,625,918600,8331,025,085
合 計7,068,4915,654,7691,413,722

 教育事業及び一般事業は、4月は対前年比130%を越えていましたが5月はそれもひと段落で、教育事業は対前年比110%、一般事業は76%に落ち込んでしまいました。

 収入に比べ、支出が多くなっているのが目立ちます。一般会計では、前年より28万円も多くなっています。これは、本部会費を6か月分、30万円(@240×会員数×6か月)を支払ったためです。また、一般事業の支出も目立ちます。これは、チョコなど仕入れているVSPの代金を2回分まとめて支払ったためと、教科書の仕入れをしたためです。イベント開催と物販を強めていきましょう。

文化・芸能

芸 能

Русская Десятка ロシア・トップ10

Russia Airplay Chart TOP10  プーチンが大統領再就任して国内外で賛否両論の嵐が吹き荒れ始めたロシアから、2018年5月第4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中5曲が新曲!

 マトラングを4位に後退させた、露HIPHOPの2トップ・チマチーとエゴールの新譜«Гучи»(グッチ)が初登場第1位になりました。2トップの共作は2度目。前回は«Где ты, где я»で共演し、ほろ苦いハートブレイクストーリーをPVで披露。今回は世界的に有名なブランド「グッチ」人気にあやかって、愛でている(?)作品に。二人らしからぬ、そしてグッチらしからぬカラフルポップな仕上がりのPV。おめでとうございまーす!:-)

※記事全文はブログでごらんください。

【画像引用元】
Егор Крид→http://www.peoples.ru/
Тимати→http://www.peoples.ru/
Юлианна Караулова→http://www.peoples.ru/
Ленинград→http://Severpost.ru
Miyagi & Эндшпиль feat. Рем Дигга→http://crazos.usite.pro/
Филипп Киркоров→http://www.peoples.ru/
Глюк’oZa→http://www.peoples.ru/
ST→https://www.rusdialog.ru/

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2018年5月21~27日/MOPA)

嘗て無い苦戦を強いられたユーラシア諸国勢
ユーロヴィジョン2018

ユーロヴィジョン2018  年に1度、欧州で開催される歴史的音楽祭典ユーロヴィジョン2018が、ポルトガルのリスボン市で行われた。

 セミファイナル1で常連のアゼルバイジャン、アルメニアが落選。ベラルーシからは、2015年«Пьяное солнце»(酔いしれた太陽)がスーパーヒットした、切なくも心地いいテノールの持ち主アレクセーフが出場したが、16位で決勝進出ならず。

 セミファイナル2では、やはり常連のロシア、グルジア、ラトビアが落選。特にロシアから満を持して登場した身体障害者の歌手ユリア・サモイロワは15位に終わり決勝に進めなかった。昨年はこの歌手のクリミア入りと言動を巡って、ロシアと前回EV開催国のウクライナとの間で軋轢があったため、ロシアは前回欠場し今回この歌手に期待を託していた。惨敗だった。その代わり、ウクライナが6位入選で決勝進出を果たした。やはりこの音楽の祭典はピュアに音楽を競うものではないということが、この騒動で伺えよう。

 ファイナルでは、イスラエルから出場の恰幅いい元気娘ネッタが、欧米中で騒動になっている女性差別問題“#MeToo”を風刺したアップテンポの歌“Toy”を熱唱し優勝した。セクパラ・パワハラに悩む欧米のあらゆる職業の女性達の代弁をした格好だ。2位のキプロスとは100Pt差。ウクライナからメロヴィンが“Under the Ladder”を歌ったが、26組中17位という辛い結果に終わった。

(MOPA)

写真は優勝したネッタ。出展は以下サイトから
https://www.rusdialog.ru/

演劇・映画

「ボリショイ・バレエ 2人のスワン」

(原題:Большой、ヴァレーリー・トドロフスキー監督作品、2017年 ロシア)

「ボリショイ・バレエ 2人のスワン」  ここ数年、ボリショイ・バレエを題材としたドキュメンタリー映画は数多いが、この作品はまったくのフィクション。炭鉱町の貧しい家庭出身だが特異な跳躍力を持つユリアと裕福なお嬢様でありながら豊かな才能と控えめさをもつカリーナ。2人を中心としたボリショイ・バレエ学校における青春ドラマ。というと、まるで「ガラスの仮面」のような少女漫画を思わせる設定だ。しかし物語が進むにつれ、そうした甘い感傷はどんどん消えていく。たとえ主役争いに勝ったとしても、ボリショイ・バレエは永遠の勝利を許さない。それでもバレエにすべてをかけずにいられない若者たちの姿が鮮烈。痴呆症気味の元伝説のプリマや寮生活での乱痴気騒ぎなど、日本の少女漫画では決して表現されないリアリスティックなエピソードも満載。

 7月7日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。
 配給:アット エンタテインメント
 (C)Valery Todorovsky Production Company

(文:滝沢 三佐子)

ユーラシア通信

ベラルーシのソフトウェア技術は世界屈指であると日系企業が絶賛!
ベラルーシ・日本経済フォーラム 投資セッション

ベラルーシ・日本経済フォーラム  ロシアとEUを繋ぐ地理的位置にあるベラルーシの経済フォーラムが、5月10日(木)六本木アークヒルズのジェトロ(日本貿易振興機構)で、朝10時から始まりました。

 駐日ベラルーシ共和国イエシン大使の主催者挨拶の後、ロシア国境に近いモギリョフ州自由経済特区及び首都ミンスクの近郊(25キロ)にあるグレート・ストーン工業団地の説明がありました。

 ベラルーシの特徴は、ロシアとEU(ポーランド)を繋ぐ位置にあり、EUへのロジステックも容易であり、EEU(ユーラシア経済連合)に加盟しているので、ロシアへの輸出は無関税になるなど有利な点が多いこと。貿易収支は黒字で、国土の40%が森林であり、畜産業や農業が盛んなこと、その反面ソフトウエアーの技術が世界レベルであること。

 モギリョフ自由経済特区の売りは、他の経済特区と同じように、(1)不動産税の免除(2)10年間の利益税の免除(3)土地の賃料の免除(4)原材料の通関税の免除など。ミンスク近郊の空港に隣接しているグレート・ストーン工業団地の売りは、(1)ミンスク空港に隣接している(2)ミンスクから25キロにある(3)周囲に自動車の部品工場などの中小製造業があること。また、来年原発が稼働するので、電気料が3割程度値下げされると説明しました。

 当地に進出している日系企業からの報告は、イシオネクストヨーロッパは、株主は富士通、パナソニックであるが、監視カメラシステムの解析技術を地元企業のホリゾント社と共同で開発しており、ベラルーシの技術は世界屈指であると絶賛しました。東新工業は、NKKの関連会社で、パイプのジョイント部分の加工をしているが、18年に当工業団地に工場を建設したこと。ベラルーシの利点は、ロシアからヨーロッパへのパイプラインに近接していることと報告。

 このフォーラムで、1月のヨールカ祭以来会っていなかったキルギス人のジャニベックさんにばったり出会いました。ジャニベックさんは日本人はいつもと同じように質問が出ない中、ガス制御機器メーカーのミクニ社を代表して、原発の稼働状況などについて質問しました。当協会らは板垣美紀さんと2名が出席しました。

(木佐森)

ロシアに「日露友好年記念切手」登場!

日露友好年記念切手  日露友好年記念切手

 日露友好年にあたる2018年。2国間が合意した国家プログラム「ロシアにおける日本年」「日本におけるロシア年」を記念した切手が、5月16日に登場した。

 (左)日本の国花・菊と日本人の美意識の花・桜で作ったブーケに日本国旗である日の丸水玉模様のリボンが結ばれている。

 (右)カモミールによく似た花・ニヴャニクと赤紫が美しい花・エゾムラサキツツジで作ったブーケに、ロシア国旗を模したリボンを施している。

意匠: А. Поварихин.
切手価格: 27ルーブル
切手サイズ: 30×42 mm,
切手リストサイズ: 166×145 mm.
発行数: по 196 тыс. марок (28 тыс. листов).

(MOPA)

【催し物情報】第5回東京軍装市場バラホルカ、開催!

旧共産圏軍装や日用品、WW2各国グッズ、同人誌の販売、ソ連ロシア音楽コンサート、兵営食提供!
神奈川の総会でジョイントコンサートを行ったパリャーノチカも出演するコンサートとフリーマーケット。
今回もユーラシア協会有志で食販ブースを持ちます。
黒パンのブテルブロードのセットと、他にも今回はもう一品。何が出るかはお楽しみ。
日時:2018年6月24日(日)11時~21時(コンサートは19時~21時)
会場:ハンドレッドスクエア倶楽部/東京都台東区浅草橋5-3-2スクエアビル7F
入場料:¥300

広島・江田島を訪れて

 国境地域研究センター(JCBS)の会合の帰りに、関戸さんと広島の藤井さんの招きで、広島の江田島を訪れました。フェリーの時刻の関係で予定の時間を前後させるような感じになりましたが、なんとか西田さんと合流できました。その後、おいしい瀬戸内の恵みのお刺身をいただき、音戸の街並みを散策しました。音戸の街並みは昭和の雰囲気をそのまま切り取ったような懐かしいレトロな感じがしました。銀行や呉服屋が何軒も連なっていてにぎやかなところだったのだろうなと想像ができました。しかし、建物があっても、そこに人の営みがなければ、ただの空箱。住む人がいてこその「建物・街」なんだと思いました。狭い海峡を大型船が橋の下をくぐって大波を立てて進んでいく姿は迫力がありました。渡船はまるで水面に浮かぶ落ち葉のごとく揺れていました。なかなか印象的な光景でした。

 そのあとは藤井さんと別れて、海軍兵学校跡(現在は海上自衛隊の学校)に行ってきました。私は靖国神社問題に関しては肯定はしませんが、慰霊の精神はあってしかるべきだと思っています。戦前の海軍の資料が並ぶ中、やはり一番胸に突き刺さったのが、若くして亡くなった兵士たちの最期の手紙でした。その時の兵士たちの思いを考えるととても言葉では表しきれません。先の大戦で亡くなったすべての方々に両親をはじめ、家族、そして人生の1ページ1ページがあったことを考えると、胸がいっぱいでした。

 しかし、我々にはこれからを歩いて行かねばなりません。そのためには、私たちにできることを精一杯考えて、平和への不断の努力を怠ってはならないと思いました。

 瀬戸内の穏やかな波に大きな船が通ると大きな波が小舟を揺らす…世の中もそんなものなのかもしれませんね。最後になりましたが、広島でお世話になったすべての方々に御礼申し上げます。

(内藤)

「地球の歩き方Plat ウラジオストク」出版記念講演会

「地球の歩き方Plat ウラジオストク」  5月26日に東京・銀座で「地球の歩き方 Plat ウラジオストク」の出版記念講演会が開催された。

 本書は今までの「怖くて寒い国」から「身近でフォトジェニックなヨーロッパの街」へと一変させた。

 当日はロシアンティーとケーキを味わいながら、ウラジオストクの魅力を和やかな雰囲気で語ってくれたボーダーツーリストの中村正人さん、アレックスさんのトーク力は抜群で、聴衆の様々な質問に丁寧に答えてくださっていた。

 日本とロシアが最も身近な国の1つになったと感じた瞬間であった。

地球の歩き方Plat ウラジオストク:
地球の歩き方編集部
ダイヤモンド社
2018年4月
1300円+税128ページ

(内藤)

書評「命の水」チェコの民話集

「命の水」チェコの民話集 カレル・ヤロミール・エルベン編
阿部 賢一 訳  出久根 育 絵
西村書店  定価2,300円

 19C、マサリク政権下、チェコスロバキアは民族文化の覚醒期を迎えた。1818年に開かれた「愛郷美術館」は、好評を博し、後の「国立博物館」へ発展した。教育の一環として、チェコ語の義務教育化が、法案で定められ、チェコ語の新聞と雑誌が増えた。加えて、中・高・大学も、この時期、飛躍的に増え、民族の重要性を、言葉を通し共有しようとする運動が、成された。博覧会も1891年には催され、各々母国の文化を見直す転機となった。

 今回、紹介するのは、チェコを代表するカレル・ヤロミール・エルベン(1811~1870)の珠玉のアンソロジーのうち24編である。彼は作家であり、詩人であり、民俗学者であった。収集された作品は300を越えるが、チェコ人なら子供時代から知っている。永遠の命を願い死神を出し抜いたとたん世界の秩序が狂う「死神がいてよかった」、死にかけの父を助けるために命の水を探しに行く王子達を描いた「命の水」。そして、スラブ地方の諺いろいろ。オールカラーのテンペラ画の挿絵が素朴な美しさを醸し出している。

 折しも、2017年は「日本におけるチェコ文化年」である。スラブ民族の「こころ」が確かに本書には息づいている。

(中出)

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(機関紙編集部)

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