今月の表紙

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2018年5月号 No.679

行事予定

5月27日(日)第71回ロシア語能力検定試験開催

 5月27日、横浜平和と労働会館4階(横浜会場)で4級と3級のロシア語能力検定試験を行います。

●4級
筆記(文法、露文和訳、和文露訳)10:00~11:30
テクストの朗読(録音)11:30~ ●3級 筆記(文法、露文和訳、和文露訳)13:00~15:00
聴取 15:00~15:15
テクストの朗読(録音) 15:20~

※受検票は試験の1週間前に郵送されます。
※合格発表:2018年7月11日(水)
受験者全員に合否結果と解答例及び講評付問題を郵送し発表といたします。
またHP上にて合格者の受検番号を発表します。

※お問い合わせ先:ロシア語能力検定委員会(東京ロシア語学院内)
TEL 03-3425-4011
FAX 03-3425-4048

新会員・新受講生歓迎・初夏の親睦会 6月17日(日)開催!

初夏の親睦会 第1部 ロシア語で横浜市内観光
ロシア語で案内を試みるチャンス!!
ロシア語で案内を希望されない方も話せるチャンス!!
日時:2018年6月17日(日)10:45~13:00
集合場所:桜木町駅南口集合
見学箇所:みなとみらい~ランドマークタワー展望台~山下公園
参加費:実費1,500円(展望台入場料、バス代)

初夏の親睦会 第2部 ロシア料理を一緒に食べる会
日時:2018年6月17日(日)14:00~17:00
会場:横浜平和と労働会館5階教室
料理:手作りピロシキ、ミモザサラダまたはビーツ&ポテトサラダ、ペリメニ 他
飲み物:ジョージアワイン、ビール 他
参加費:一般2,000円、会員・受講生1,500円、新会員・新受講生500円

お申し込み締切:6月15日(金)
お申し込み・お問い合わせ:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

勉強会 “ワールドカップのロシア語” 6月17日(日)13時~14時

モルドヴィア・アリーナ 6月14日にロシアでサッカーワールドカップが開幕します!!
インターネットから生中継されるサッカーの試合を観戦して、知っている単語が聞き取れたら楽しく観戦できると思いませんか?
ワールドカップ観戦が10倍楽しくなるキーワードを学びましょう!
初夏の親睦会と合わせての参加も歓迎します!

日時:6月17日(日)13時~14時
場所:横浜ロシア語教室(横浜平和と労働会館5階)
司会:竪山 洋子(ロシア語通訳・翻訳者、横浜ロシア語教室講師)
受講料:500円
定員:14名(先着順)
内容:
・実況中継に備える必須単語の学習
・実況中継録画でロシア人実況アナウンスを鑑賞
・日本チームを応援する単語の学習!

どのチームを応援するの? За кого вы болеете?
ゴールを決める! забить гол!
フォワード нападающий
ゴールキーパー вратарь
ディフェンダー защитник

謎の言葉?
Горчичник
Авоська
謎解きは講座で!!

お申し込み締切:6月15日(金)
お申し込み・お問い合わせ:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

ハバロフスク旅行&サハリン旅行、8月開催


ハバロフスク旅行&サハリン旅行

 「第20回大河アムール・ハバロフスク市民交流の旅 ウラジオストク、ウスリースク訪問付き」を8月17日~22日に、「北辺の旧『日本』樺太・サハリンへの旅 文豪たちの足跡と北の『ひめゆり』を訪ねて」を8月11日~15日に開催します。

※ハバロフスク市民交流の旅は、航空料金の都合により日程が変更され、1日繰り下げとなりました。(2018.5.23追記)

 今回は初めて日露の文豪が訪れたサハリンへの旅を企画しました。旅程や料金等の詳細についてはチラシ画像をクリックしてPDFファイルでごらんください。。

 6月3日(日)午後2時より、横浜平和と労働会館5階教室にて旅行説明会を行います。興味をお持ちの方はぜひご参加ください。

お申し込み・お問い合わせ:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

活動報告

横浜ハリストス正教会復活大祭「パスハ」見学

横浜ハリストス正教会復活大祭  今日は神奈川県日本ユーラシア協会のスタッフ、田中豊造さんと中垣内、見学者の中村さんという方と3人でパスハに行ってきました。横浜ハリストス正教会の復活大祭でした。

 三ツ沢下町駅待ち合わせで、9:00に間に合うようにと横浜ハリストス正教会に向かいました。確か初めて僕がパスハに参加した時は去年ではなく何年も前でした。やはり少ない人数でしたが今年も人数が少なかったのは残念です。

横浜ハリストス正教会復活大祭  教会に着くと蝋燭を配っていました。水野神父の祈りはもう始まっていました。普段中垣内は月に1回程度見学者として礼拝に参加させていただいてますがまた洗礼は受けていません。今年のパスハの水野神父の説教は「今、この瞬間に、神の救いにあずかりどれだけ神を信じてますか?どれだけ献金をしたか、どれだけ教会に功績を残したかではなく、自分が本気で思ってるかだ!もし本気で思ってるなら神からの恵は無限大で平等に与えられる」という心打たれるものでした。

 思えば中垣内が神奈川県日本ユーラシア協会の門を叩いたのも横浜ハリストス正教会の門を叩いたのも2013年であれから5年、旧ソ連で今のロシアやユーラシア諸国に興味を持って30年の節目の年のイベントでした。復活祭には日本語だけでなくロシア語や英語などが飛び交っていました。もしかしたらルーマニア語かモルドバ語もあったかもしれません。

横浜ハリストス正教会復活大祭  日本にはいろんな国を好きな人がいます。残念なからロシアに関心を持っている人は変わってると言う人もいます。でも私達神奈川県日本ユーラシア協会のスタッフはそんな旧ソ連や現ユーラシア諸国が好きな人達の集まりなんでこれからどんどん仲間を増やして行きたい、そんな風に思いました。

(中垣内)

学び、学び、さらに学べ!
―古典講座 ジョン・リード『世界をゆるがした十日間』学習会―

 春の嵐は夜中に収まり、4/15(日)は朝から晴天。そのすばらしい春の一日、柴田順吉神奈川県連顧問の学習会が開催されました。当日は、横浜平和と労働会館5Fの神奈川県労働者学習協会・「いづみの会」との共催でした。昨年はロシア革命100年。本部では革命100年のイベントがありましたが、神奈川ではありませんでした。今回、一年遅れですが、改めてロシア革命について、学びの場としました。

 関戸は、司会を担当していたのですが、いきなりの質問にいささかあわててしまいました。柴田講師が「フランス革命はマスコミも注目して多くのイベントがあったが、ロシア革命はマスコミがほとんど注目しなかった。何故か分かるか」と聞いてきたのです。単純に、「明治以来の仮想敵国なので……」と答えたところ、「確かにそれもあるが、最大の理由はフランス革命はブルジョア革命であり、封建制から資本主義に変革したことだ。資本主義国家ならばこれを評価するのは当然。しかし、ロシア革命は労働者・農民が資本家や地主に対して起こした革命であり、資本主義の立場からは、とうてい歓迎できない社会主義革命だったからだ」とのこと。まず、この視点がなければロシア革命の意味は分からないのです。

 大学のテキストのような密度の濃い資料を読み解きながらの学習会。とても、この紙面では書ききれないほどです。大まかに言えば、「社会主義革命とは何か」・「革命前のロシアの情勢」・「『世界をゆるがした十日間』の説明」・「今後の社会について」でした。そして、その著書を映画化したエイゼンシュテイン監督『冬の嵐』ダイジェスト版の上映も行われました。目で見る革命の10日間と言えるものでした。学校の歴史教科書では、「1917年に世界で最初の社会主義革命が起こった」ということを、ほんの数行で済ませてしまっています。しかし、このロシア革命は現在まで続く大きな影響を全世界にもたらしました。そのことを学習協会の新谷昌之副会長が最後のまとめとして、次のように発言されました。「民族自決権」、「戦争終結後の無併合・無賠償」、「8時間労働制」、「現行日本国憲法25条から28条にうたわれている権利」。これらはすべてロシア革命の恩恵である、と。柴田顧問も「今の発言でこの講義が集約されました」と言われました。100年前の革命は、今を生きる私たちにそのまま影響を与えるものであったことが分かりました。

 講義の後には、「講師との交流会や親睦会はないのですか?」との意見もありました。今後は終了後の懇親会も含めて、意義ある学習会を企画します。

(関戸)

教室案内

横浜ロシア語教室 第128期生徒募集中!

 4月半ばに開講して早1ヶ月。おかげさまで入門クラスは木曜・土曜とも満席、木曜初級I、土曜中級II、土曜初級Iクラスも満席になりました。その他のクラスは引き続き生徒募集中です。

 見学や学期途中からの入学者も歓迎いたしますので、検討中の方は遠慮なくご連絡ください。中途入学者の受講料は残りの授業回数分のみお納めいただければ結構です。

 料金や時間割などの詳細は教室ホームページをごらんください。見学は3クラス・各30分まで無料です。

 受講お申し込み・お問い合わせは教室事務局まで。


ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

 レッスン内容は奏法の基本から音楽理論や高度な内容まで。毎月土曜日に開講しています。初心者の方も、以前習っていて中断された方も歓迎します。

 今後の日程:6月2日、6月30日、7月14日、7月28日、8月11日、8月25日、9月1日、9月15日(予定は変更の場合あり)
生徒募集クラス:
17:00~17:45ドムラ中級
18:00~18:45バラライカ初級

講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館5階
会員受講料(1回45分×6回分):3~5名クラス:24,000円、2名クラス:36,000円、1名クラス:54,000円


みなとみらいマトリョミン教室 アンサンブル/グループレッスン

日程:毎月1回、土曜日開講
2018年度前期日程:4月21日、5月19日、6月16日、7月21日、8月18日、9月15日

◆グループレッスン:Aクラス(現在休止中、受講生3名で開講可能)
◆アンサンブルクラス(90分)13:00~14:30

講師:檜垣 紀子
会場:横浜平和と労働会館2階
神奈川音楽センターホール


組織・財政

組織状況

(2018年4月28日現在)

 年初会員数 219名、4月末会員数 229名、2018年度入会者数累計 26名、退会者数 16名。
(今月の組織・財政コメントは休載します。ご了承ください)

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2018/4/28
単位:円
摘 要本年度収入前年同期収入対前年同期増減
一般会計786,596828,654-42,058
教育事業4,868,7543,700,7001,168,054
一般事業826,329583,412242,917
合 計6,481,6795,112,7661,368,913
前年同期(単位:円)2017/4/28
摘 要本年度支出前年度支出対前年同期増減
一般会計2,282,3232,587,166-304,843
教育事業1,299,5551,178,384121,171
一般事業507,844421,12986,715
支出合計4,089,7224,186,679-96,957
当期剰余金2,391,957926,0871,465,870
合 計6,481,6795,112,7661,368,913

文化・芸能

芸 能

Русская Десятка ロシア・トップ10

Russia Airplay Chart TOP10  蕗タンポポが咲き始め春らしくなったロシアから、2018年4月第4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中5曲が新曲!

 8位に、バトルラッパー「スラーヴァ・カーペーエスエスСлава КПСС(意味:ソ連共産党の誉)」から、新曲«Соня Мармеладова»(ソーニャ・マルメラードワ)が入りました。+18ですので、当該年齢でご興味のある方はどうぞ。7位に、バルスキフの新譜«Сделай громче»(音を大きくして)がランクイン。6位にヤハの新曲«Медина»(マディーナ)が入りました。大人気ラッパー・ジガンがグネシン音楽アカデミー出身のラッパー・アルチョムをフューチャーしリリースした新曲«Днк»(デーエヌカー)が初登場第2位。

 マトラングの新曲«Медуза»(くらげ)が初登場第1位に。マトラングはウラジカフカス出身のアーティスト、本名アラン。在学中は音楽と絵画に没頭し、高学年には音楽に集中。その間30曲もの楽曲を書き上げ、11箇所も巡業し、名声を得たそうな。モスクワに移動して、プロジェクトGazgolderに参加しそこで披露した«Медуза»が瞬く間に多くのリスナーの共鳴を得て、今回のTOP1に。おめでとうございまーす!:-)

※記事全文はブログでごらんください。

【画像引用元】 Matrang→http://studio21.ru/
Джиган→http://www.peoples.ru/
Артем Качер→https://samunas.ru/
Jah Khalib→https://the-bridge.ru/
Макс Барских→http://www.peoples.ru/
Слава КПСС→http://modernrock.ru/groups/

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2018年4月16~22日/MOPA)

演劇・映画

劇団印象-indian elephant- 第23回公演
ヴィテブスクの空飛ぶ恋人たち Flying Lovers of Vitebsk

4月19日 於:下北沢シアター711

「ヴィテブスクの空飛ぶ恋人たち」  ダニエル・ジェイミソンという英国作家が原作の「ヴィテブスクの空飛ぶ恋人たち」は、マルク・シャガールとその妻ベラの生涯と心的相克を描いた作品だ。今回は劇団印象による日本初の翻訳・上演となる。

 黒いワンピースに白い襟の女と、彼女に接吻するサスペンダーにもじゃもじゃ髪の男。シャガールの代表作「誕生日」から抜け出てきたような男女が舞台上にいる。

 最愛の女性ベラを妻に迎えたシャガールは、愛の喜びに満ち魂の赴くままに自由に画く。宝石商の娘だったベラも貧しさを厭わず画家にインスピレーションを与え、厳しい生活を支える。だが、世界は戦争と革命の20世紀初頭。ユダヤ人である彼らの生活は、ユダヤ人が集住するベラルーシの故郷・ヴィテブスクから、モスクワ、ベルリン、パリ、マルセイユ、ニューヨークと流浪を繰り返すことになる。

「ヴィテブスクの空飛ぶ恋人たち」  一方家庭生活では、画家とベラの間に深い溝ができつつあった。それはシャガールの求婚を受け入れたベラのセリフに予言されている。「あなたと結婚して私の後半生の人生を台無しにしてしまいたい」反語表現とはいえ強烈だ。シャガールを創作に没頭させ、家庭を支えていくために、ベラは自分の可能性を犠牲することになる。シャガールはベラの苦悩に気づかない。ベラに残された自己表現の世界はイディッシュ語だけだった。

「ヴィテブスクの空飛ぶ恋人たち」  ナチスの迫害を逃れアメリカに渡った二人だが、ベラは終戦を前に病死。残されたシャガールは悲嘆にくれる。

 舞台はモノローグ・ダイアローグ・ダンスの3つの要素が絡み合い、歌とヴァイオリンによるユダヤの音楽が間をつなぐ。「安息日には豪華なジャガイモ」を食べる歌は、哀愁あふれるメロディながら、どこかユーモラス。モノローグに重点が置かれているため、セリフがどれも詩のように聞こえるのがこの作品の特徴だろう。

 ユダヤという出自が彼らの生活に影を落としつつも、二人は創造の世界を守り抜いた。戦争と革命による狂気の時代において、それはある意味、幸運なことではなかったか。

(文:滝沢 三佐子/撮影:菅原 康太)

ユーラシア通信

全国総会余話「ペリリュー島の戦い」学習会

予科練平和記念館  3/24(土)~25(日)に全国総会が茨城県水戸市で開催されました。関戸は25日の分科会(非核・平和)にだけ参加しました。分科会では、地元の百里原基地の争議・地元東海村をはじめとする原発の様々な話・地元のシベリヤ抑留体験者(1956年帰国)の平和への想いが語られました。

 そして、その分科会終了後、急いで霞ヶ浦の予科練平和記念館へ。そこで「ペリリュー島の戦い」の学習会に参加しました。この「ペリリュー島の戦い」は、戦史研究家でもない限りは、知る人がいません。関戸も最近まで知りませんでした。敗戦後、1947年(昭和22)まで、米軍と戦闘を続けた日本軍がいるということを戦争体験者から聞いたのです。その日本軍は茨城県水戸市の旧陸軍歩兵第二連隊でした。全国総会が水戸市で、いい機会だと思って参加したのです。

 『三十四会』。これが戦後2年間戦い続けた第二連隊の戦友会の名称です。何と読むか、わかりますか? 答えは『みとしかい』です。「水戸市」と、最後まで戦い続けた「三十四」名の兵士の数を合わせて命名されたとのことです。この「ペリリュー島の戦い」は米軍が日本軍の損害を上回りました。また、歴戦の強豪師団である海兵隊第一師団が撃退されたのです。いわば、米軍が敗退した戦いなのです。日本軍は最後の一人までゲリラとなって戦い続けたため、戦死者は10695名となりました。米軍は戦死2336名、負傷8450名、戦病5000名。およそ1万6000名の損害でした。関戸は初めて知りましたが、米軍は負傷者が出た場合、担架要員2・医療要員1・装具負担1の4人が負傷兵の担当になるのです。つまり負傷兵1人で一気に負傷兵を含めて5人が戦力外(前線で銃を持って戦えない状況)になるのです。だから、死に尽くすまで戦う日本軍の前に、戦死者のみならず負傷兵続出のため海兵隊第一師団は敗退を余儀なくされたのです。一個師団は約2万。4000人の負傷兵が出たら、全員が後方の野戦病院に後退するのですから。

 第二連隊長中川大佐は、ほぼ壊滅状態になった時、生き残った部下に命じたのです。「遊撃隊(すなわちゲリラ)を編成し神出鬼没して米軍の心胆を寒からしめよ」と。そして、自らは「皆の足手まといになるといかんから、連隊長は先に逝く」と自決してしまったのです。まさに「死せる孔明、生ける仲達を走らす」です。部下たちは連隊長の命令(遺言?)を忠実に守り、生き残って米軍の基地に夜間斬り込みを続けました。それが1947年まで続いたのです。かつての上官(当時の方面軍参謀長)が説得し、やっと米軍に投降しました。その際、「なぜ戦争が終わっていたのに戦い続けたのか」との問いに「連隊長殿は死すとも戦えと命じられたが、生き残って降伏せよとは命じなかった」と答えたというのです。この答えには言葉を失くしました。叩き込まれた教育の恐ろしさをハッキリと表しているからです。

 平和な時であれば、「一人の命は地球よりも重たい」はずです。しかし、戦争では一瞬にしてその尊い命が何万、何十万と失われるのです。関戸の教え子は皆10代です。今後、何十年も生きて、人としてなすべきことがあります。その命を軽んずる戦争は絶対に許せません。そのために平和や命の尊さをしっかりと教壇で伝えていきたいと思いを新たにしました。全国総会とともに参加したこの学習会は、教師としての指針を与えてくれました。

(関戸)

「ロシアが信頼できる同盟者はロシアの陸軍と海軍だけである」とは
袴田茂樹講演会

袴田茂樹講演会  戦前に「満州校友会」として設立され、戦後直後から中国・アジア諸国との友好交流する「国際善隣倶楽部」として活動して来た「国際善隣協会」(72年改称)主催による、対ロ強硬派と言われる袴田茂樹氏(新潟県立大学教授)の「大統領選挙後のロシア情勢と日露関係」講演会が、4月5日(木)、新橋の同協会ビルで開催されました。

 袴田氏の講演は、現在の混乱する世界情勢は、これが通常であり、冷戦時代の「安定」の方が例外であったのだと口火を切りました。ロシア大統領選でのプーチンの高支持率は、ソ連崩壊後の90年代と比べると現在の方がまだ良いとする高齢者の支持とクリミヤ併合による大国主義的愛国心、過去のツアーリ信仰に匹敵するプーチン信仰(直訴すれば何でも解決する)によるもので、若者の支持率は低く、 大卒者の9割以上がコネがないと望む職につけないとして、国外移住を希望しており、若者はロシアの未来に期待をしていないとのこと。

 また、領土、平和条約問題では、日本政府の対ロ戦略に3つの誤解、(1)プーチンが親日家であるとう言う誤解(2)プーチンは領土問題を解決する意思があるという誤解(3)メドベージェフやラズロフは対日強硬派だがプーチンと交渉すれば進展するという誤解。また、袴田氏は、北方領土問題はロシア(ソ連)による「主権侵害」であり、交渉は期限を切らずに主張を曲げずに進めていくことが大事だとしました。

 最後に、プーチン大統領が昨年11月にクリミアのヤルタでアレクサンドル3世の像の除幕式を行ったことを挙げ、これがプーチンの思いであるとしました。台座に彫り込まれたアレクサンドル3世の言葉は「我々は敵国や我々を憎んでいる国に包囲されている。世界で、ロシアが信頼できる同盟者は、ロシアの陸軍と海軍だけである」と。神奈川県協会からは善隣協会の元からの会員である内藤さんと木佐森が参加しました。

(木佐森)

日露戦争の日本兵捕虜1777名がノヴゴロドに抑留されていたとは!
ノヴゴロド州投資プレゼンテーション

ノヴゴロド州投資プレゼンテーション  1862年にロシア建国1000年記念碑が建立されている、ロシアで最も古い街であるノヴゴロド州の投資プレゼンが4月19日(木)都内のホテルニューオオタニでロトボ(ロシアNIS貿易会)により開催されました。

 ロシア側来賓としてガルジン駐日ロシア大使が出席し、挨拶をしました。これまでのロシア大使とは異なり、ガルジン大使は対日強硬派と言われていますが、ロシア工業団地セミナーに続くなど、イベントにこまめに足を運んでいる模様が窺えます。

 ノヴゴロド州知事は「幕末に日本を開国に導いたプチャーチン提督やラフマニノフはノヴゴロド出身であり、日本と繋がりは深いので、ぜひ来てほしい」とプレゼン。続いて日本側コメンテーターとして登壇したのは東京ロシア語学院学院長の藻利佳彦さんです。藻利さんは2003年に日露戦争で捕虜になった日本兵の遺骨の発掘で訪れて以来、毎年春と秋にノヴゴロド市近郊のメルベイジ村で日本兵捕虜の調査に取り組んでいるとのこと。メルベイジ村に連れてこられた日本兵の捕虜は全部で1777名、その内19名が現地で亡くなったそうです。因みに、1908年10月に日本軍とロシア軍が共同して6体の遺体の送還式を挙行し、その模様を当時新聞記者であった二葉亭四迷が記事にしているとのことでした。

 ノヴゴロド地域は、ソ連時代から光学企業が多く立地していたそうで、その中のエルシ社は航空機用カメラでは世界企業になっているとのこと。また、ノヴゴロド市は厚い森林と農地に囲まれているので、バイオ企業のグルマン社はベリー類から化粧品などを製造しており、パブリュック社は野菜の種子を製造し、現在ロシア国産種子が40%を占めるのを90%に伸ばすことを目指していると抱負を語った。その他、ウグロフ日用化学品工場、ノヴゴロド国立大学から報告がありました。

(木佐森)

書評「走れ、走って逃げろ」

 岩波少年文庫 ¥720
 ウーリー・オルレブ作 母袋夏生訳

 スルリックは、生きるに必死だった。面積約3平方kmのワルシャワ・ゲットーに家族共々押し込められた。通学は禁止され、伝染病が蔓延した。子供というのは空腹には耐えかねた。家族がいなくなっていくのもつらかった。しかし、ゲットーの中でも悲しんでいられない。ユダヤ警察とドイツ警察との癒着に気づいたあと、この小さな子供は、ただ「生きる、生き延びる」道を選んだ。ユダヤ人をトレブリンカ絶滅収容所へ送る日、彼は荷車の荷台に隠れ、ワルシャワを逃げのびた。生きる!原作 ウーリー・オルレブ。1931年ワルシャワ生まれ。本作品で、イタリア・アンデルセン賞最優秀作品賞を受賞。戦後、工科大学で教えつつ、スタニスワフ・レムや小児科医ヤヌシュ・コルチャックを翻訳している。彼の生への逃避行は、ある人から裏切られたり、多くの人から庇われることの繰り返しであった。生きるための手がなくなろうと、いつも運に見舞われ、生きることを願った。これは、東欧の想像力を作る強い「構成要素」である。ノーベル賞に輝くシンガーが代表されるように、その双璧としてウーリー・オルレブの存在がある。 

 原作名は「2つの名前を持つ男の子」生きよ。違う神とはいえ、信じる事実に変わりはない。そして、運もその気持ちについてくる。

(中出)

投稿歓迎!

 「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。もっと面白くしたい方、新しい企画を思いついた方、協会や機関紙について感想や意見のある方は、読むだけでなくぜひ投稿してください。

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 ただし全てボランティアで、自分のオリジナル、または権利者の許可を得たもの、著作権法に触れないものをお願いします。ペンネームや注意事項があればそれも忘れずに。

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(機関紙編集部)

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