今月の表紙

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2017年12月号 No.674

行事予定

新会員・新受講生歓迎!12月16日(土)「望年会」開催

ブリヌイ  来る年に望む「望」年会の季節がやってまいりました。皆で一緒にユーラシアの国々やロシア語への思いを語り合いましょう!
 ロシア風クレープ「ブリヌイ」を一緒に作りましょう。(写真はイメージです)差し入れも大歓迎!!

日時:12月16日(土)18:30~20:30
場所:横浜平和と労働会館5階 横浜ロシア語教室 1,2番教室
参加費:1,000円(第127期新受講生及び7月以降に入会された新会員の方は無料)
お申し込み締切:12月14日(木)。参加費を添えて事務局までお申し込みください。

お申し込み・お問い合わせ:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局(平日・土曜12時~18時。日曜祝日休)
Tel/Fax 045-201-3714
eurask2@hotmail.co.jp

新年会「ヨールカ祭2018」1月21日(日)横浜市従会館で開催

ヨールカ祭  毎年恒例のロシア風新年会&クリスマス会「ヨールカ祭」を1月21日に横浜市従会館で開催します。2018年で第57回目となります。

 「ヨールカ(もみの木)祭」はソ連時代、宗教行事が禁じられていたため、新年にクリスマスの要素を取り入れて祝われ始めたのが由来です。本来は年越しの行事ですが、日本の年末年始の事情を考えて、当協会では例年少し遅めに行っています。

 ヨールカ祭にはロシア版サンタクロース「ジェッドマロース」が孫の雪娘「スネグーロチカ」と一緒にやってきて、ツリーの周りをみんなで踊り、子どもたちにプレゼントを配ります。(写真左)

 ロシア風のご馳走を食べて、民族舞踊・劇・音楽など盛り沢山な催し物を見て、会員や教室生徒、ロシアやユーラシアの国々出身の方々との親睦を深める場でもあります。

スラブ民族舞踊団「SLAVYANE」  今回の催し物部門では、スラブ民族舞踊団「SLAVYANE」の皆さん(写真右)が子供向けプログラムとロシア、ウクライナ、カフカスの民族舞踊を披露することになりました。おなじみのスクリャービン川西さんのピアノ演奏やマトリョミンアンサンブル「MMM+」、横浜ロシア語教室受講生の歌やロシア語劇にもどうぞご期待ください。

ヨールカ祭  お友達やご家族と誘い合わせて、もちろんお一人でも遠慮なくご参加ください。詳細はチラシ(PDFファイル)をごらんください。参加お申し込みは協会事務局まで。

お申し込み・お問い合わせ:
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
(平日・土曜12時~18時。日曜祝日休)
Tel/Fax 045-201-3714
eurask2@hotmail.co.jp


ヨールカ祭 ボランティアスタッフも募集中!

 例年100人以上が参加する大きな行事になりますので、ボランティアスタッフもまた大勢必要です。
 ボルシチをはじめとする大量のロシア料理を前日から何品も作ったり、会場の準備・配膳・物販・後片付けなどをする裏方の力に支えられて初めて、開催が成り立ちます。
 こちらにもぜひご協力いただければ大変助かります。皆様のご応募をお待ちしています!お申し出は協会事務局まで。

Tel/Fax 045-201-3714
eurask2@hotmail.co.jp

ヨールカ祭ボランティアスケジュール(案)

◆1月20日(土)午前 横浜平和と労働会館1階協会事務所に集合、食材等買い出し/ロシア料理の調理/物品の準備など ※時間は追ってお知らせします。

◆1月21日(日)朝 横浜平和と労働会館1階集合・荷物運搬/横浜市従会館4階ホールで会場設営・装飾・料理準備/13:00開会・料理提供開始/16:30~17:00撤収・運搬/17:00~協会事務所・教室での片づけ

活動報告

映画と現実が交錯「不毛地帯」DVD上映会報告

不毛地帯  11月26日(日)、今年最後のDVD上映会が開催されました。作品は「不毛地帯」です。この映画に出演した河崎保さんを招いての上映となりました。河崎さんは、仲代達矢演ずる主人公壱岐正陸軍中佐に向かい、「あなた方関東軍司令部は、何故軍関係家族を先に避難させて、我々在留一般邦人を後回しにしたんですか」 と置き去りにされた一般在留邦人の怒りをたたきつけるのです。いろいろな映画雑誌や映画評論にも引用されています。このシーンは「列車のセットの中で、撮影自体は一日で済んだ」ということなどを説明してもらいながら鑑賞しました。

 シベリアから帰還した壱岐正元陸軍中佐に、民間商事会社への就職の話が持ち込まれました。その際、壱岐正元中佐はこう答えるのです。「軍隊と民間企業では根本的に違います。私には不向きだと思います」と。社長はこう言いました。「いや、それは逆です。軍隊と民間企業は、根本において同じです。軍隊では戦場で生死をかけて勝つために頭脳を絞ります。民間も商売の世界で敵と戦うのです。あなたの作戦立案、企画運営の経験はそのままわが社で役に立ちます」と。考えると怖い気がします。戦場ではなく、ビジネスの場で戦争が続いているということでしょうか。

 映画は1976年製作ですが、時を同じくして現実の社会では田中角栄首相のロッキード事件が明るみに出ました。「不毛地帯」で描かれた映画の世界を地でいくようなことが起こっていました。それらのことを語りながら、興味深く味わいました。3時間の上映時間があっという間でした。

 ただ残念だったのは、参加者が少なかったことです。今後もこの企画は続けていきます。ご都合がよければぜひご参加ください。

(関戸)

教室案内

ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

レッスン予定日:2017年度後期 (2017年10月~2018年3月)
前半:10月7日、10月21日、11月18日、12月2日、12月16日
後半:1月6日、1月20日、2月3日、2月10日、3月3日、3月17日

生徒募集クラス:
17:00~17:45ドムラ中級
18:00~18:45バラライカ初級

講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館5階
会員受講料(1回45分×6回分):3~5名クラス:24,000円、2名クラス:36,000円、1名クラス:54,000円


みなとみらいマトリョミン教室 アンサンブル/グループレッスン

日程:毎月1回、土曜日開講
2017年度後期日程:2017年10月21日、11月18日、12月16日、2018年1月20日、2月17日、3月17日

◆グループレッスン:
Aクラス 13:00~14:00 ※10月~12月は休講
Bクラス 14:10~15:10 ※10月~12月は休講
◆アンサンブルクラス(90分):15:20~16:50(空席についてはお問い合わせ下さい)

講師:檜垣 紀子
会場:横浜平和と労働会館2階
神奈川音楽センターホール


横浜ロシア語教室 第127期生徒募集中!

 入門・初級・中級・上級・会話・日本案内の各クラス生徒募集中。中途編入も可能です。見学は3クラス・各30分まで無料です。詳細は教室ホームページをごらんください。

 受講お申し込み・お問い合わせは教室事務局まで。


学習動画シリーズ「おもてなしのロシア語」No.9 近日公開

おもてなしのロシア語No.9  神奈川県日本ユーラシア協会横浜ロシア語教室の講師・スタッフの企画・制作・出演による「おもてなしのロシア語」シリーズも、いよいよ最終回となりました。最後を飾ってくださるのは、このシリーズを通しての監修者でもある、ロシア語通訳界・教育界の巨星、徳永晴美先生です。

 第9回のテーマは「レストランで」です。

 一緒においしい食事をいただくと、人との距離が縮まるものですが、それは、ロシア人との関係でも同じこと。楽しく食べて、いっしょにお酒も飲んで、ロシアのお友達と、もっと仲良くなりましょう。

おもてなしのロシア語No.9  食事への誘い方(お寿司を試してみませんか?)、レストランでの注文のしかたをはじめ、「これはロシア語で何と言うの?」「日本語では何と言うの?」と聞くことで、会話も延々と続き盛りあがります。また、ロシア人との宴会では、乾杯はつきものです(乾杯する時、なにか一言でもいいので、幸せを願う言葉を言うと喜んでもらえます)。これからのクリスマス・忘年会シーズンにすぐに使える「乾杯」のフレーズも出てきます。

 皆さまのロシア語学習が今後とも楽しく、長く続いていくことを願って、「おもてなしのロシア語」シリーズ全9回のむすびの言葉とさせていただきます。С наступающим Новым годом! (良いお年をお迎えください!)

脚本・出演:徳永 晴美、小林 淳子、タチヤーナ・シプコーワ、オリガ・タラルイキナ(横浜ロシア語教室講師)
撮影:田中 豊造
編集:竪山 洋子
監修:徳永 晴美
制作:NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 横浜ロシア語教室

【視聴方法】 インターネットでYouTubeにアクセス
→「おもてなしのロシア語」または「神奈川県日本ユーラシア協会」で検索
※下のリンクをクリックすると直接見られます。また、横浜ロシア語教室HP、協会HP、Facebookからもリンクしています。

【シリーズ内容】
No.1 アルファベット
No.2 挨拶
No.3 出迎える
No.4 知り合いになる
No.5 許可を得る
No.6 店での買い物
No.7 道を教える
No.8 駅で案内する
No.9 レストランで

徳永晴美先生特別ゼミ「ロシア語学習の要領とヒント?」第1回開講

徳永晴美先生特別ゼミ  横浜ロシア語教室で徳永先生による特別ゼミの1回目が11月25日16時半から開催されました。テーマはロシア語学習の要領とヒントで、受講生はいろいろな初級文法とкоторый の用法を学習した10名程度でした。

 ロシア語の発音は苦手なл,б,ы,ш,щの発音練習をし、лの発音の難しさを痛感しました。アクセントのない母音о,аが弱化されることを初めて知りました。動詞と格変化の整理の仕方も教わり、今後は動詞ノートをきちんとつけたいと思います。その後完了体・不完了体の整理し、テキストを読み、宿題が出て講座は終了しました。盛りだくさんでしたが、大変勉強になりました。

 次回は12月16日に開催予定です。

(井村)

 初回を終え、改めて満員御礼の講座にすべり込めた幸せを噛みしめています。

 樹海のようなロシア語文法の森の中をよく見渡せるようにと上空から強力な光を当てて下さっている、そのような温かい印象を授業から感じております。

 記憶の定着に働きかける、きめ細やかな 具体的かつ現実的な攻略法が22頁の手作りテキストの中に凝縮されており、それらを終始笑顔で受講者の緊張を解きほぐしなが らご教授下さいました。

 楽しく贅沢な90分を有り難うございました 。

(池の端まがも)

写真:野口

組織・財政

組織状況

(2017年11月30日現在)

 今年度年初会員数221名、入会者累計36名、退会者累計 37名。11月末会員数220名。

 11月に、再入会の連絡がありましたので、会員数は220名になりました。2017年当初会員は221名だったので、あと一人で最初に戻ります。何とかして当初の立ち位置まで戻りましょう。

(木佐森)

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2017/11/30
単位:円
摘 要本年度収入前年同期収入対前年同期増減
一般会計1,816,0281,691,426124,602
教育事業9,553,1358,603,759949,376
一般事業1,843,5812,050,362-206,781
合 計13,212,74412,345,547867,197
前年同期(単位:円)2016/11/30
摘 要本年度支出前年度支出対前年同期増減
一般会計5,745,6515,865,090-119,439
教育事業3,644,9843,367,941277,043
一般事業1,377,1591,153,549223,610
支出合計10,767,79410,386,580381,214
当期剰余金2,444,9501,958,967485,983
合 計13,212,74412,345,547867,197

 11月は、一般会計、教育事業、一般事業とも前年を上回りました。
 3月の総会で年間収入を対前年比10%増にすることを決意しましたが、決算1か月前の時点では、会費収入中心の一般会計収入は対前年比107%、ロシア語が主力の教育事業収入は111%になっています。
 しかし、物販、イベントなどの一般事業収入は89%に留まっています。収入合計は、対前年比107%になっていますので、あと3%で計画達成です。
 お歳暮、年末年始に、ベリョースカウオッカやジョージア(グルジア)ワインをご活用くだされば幸いです。

(木佐森)

お勧め商品

ロシアチョコレート5種詰め合わせ 270円 (税込)

ロシアチョコレート5種詰め合わせ 人気のロシアチョコレートが入荷しました。小ぶりな5個入り詰め合わせです。
冬期限定、協会事務所でのみ販売中。気軽な手土産にいかがでしょうか。

ロシアチョコレート5種詰め合わせ 内容は写真右、左上から時計回りに:
グリリヤーシュ(ナッツキャラメル入り)
チェブラーシカ(ヘーゼルナッツフレーバー)
アリョンカ(ミルクチョコレート)
ミーシカ(ウエハース入り)
赤いヒナゲシ(ガナッシュ入り)

中央アジア風炊き込みご飯「プロフ」の素 400円 (税込)

「プロフ」の素 中央アジアで広く食べられているスパイシーなお米料理「プロフ」の本場の味を、これ一袋で再現できます!
日本語レシピ付き。
本場ではカザンという特別の鍋で作りますが、厚手の鍋でも炊飯器でもおいしく出来ます。
おもてなしにもぴったりなので、この冬の集まりにぜひ作ってみてください。

内容量:30グラム(約8~10人分)
原産国:ロシア
原材料:コリアンダー、海水塩、パプリカ、クミン、バーベリー、にんにく、赤唐辛子、ターメリック
賞味期限:2018年5月20日
保存方法:直射日光、高温多湿を避けて保存してください

ユーラシアスポーツ Vol.13 432円(税込)好評発売中!

ユーラシアスポーツ Vol.13  協会機関紙別冊「ユーラシアスポーツ」も13号目となりました。新体操イオンカップ、体操国際ジュニア、フィギュアスケートジャパンオープンを始めとする、今年の夏以降の大会やショーを独自に取材し、写真と記事をB5版24ページの小さな冊子の中にぎっしり詰め込んでいます。

 表紙は新体操の皆川夏穂選手。ロシアで研鑽を積み、今年の世界選手権では個人種目でメダルも獲得しました。裏表紙はフィギュアスケートの町田樹さん。熱心なファンの皆様に今回も多くのご注文をいただき感謝しております。

 「日本とユーラシア」別冊の名の通り、日本選手はもちろん、ロシア・ユーラシア(旧ソ連)やその他海外のスポーツ選手も取り上げています。フィギュアスケートのメドベージェワや新体操のアベリナといった世界チャンピオンだけでなく、次代を担う若手やジュニア、競技のファンにはおなじみのベテラン選手まで掲載しています。

 興味をお持ちの方は神奈川県日本ユーラシア協会事務所、または通販サイト「うにべるま~ぐ」のページよりお求めください。1冊432円(税込)。

文化・芸能

芸 能

Русская Десятка ロシア・トップ10

Russia Airplay Chart TOP10  もうすぐ2018年。年の瀬で大忙しのロシアから、11月第4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中3曲が新曲、2曲がカムバック!

 5位に露芸能界の貴公子ラーザレフの«Так красиво»(なんて美しいんだ)がランクイン。ウクライナ・チェルノフツィ出身のT-Festの«Улети»(飛び去れ)が3位に入りました。ウクライナ発超人気絶頂デュオ、ヴレーミャ・イ・ステクローの«Тролль»(トロール)が初登場2位に。

 エルジェイ&フェデュクの«Розовое вино»(ロゼワイン)が2ヶ月連続首位になりました。おめでとうございまーす!:-)

画像引用元
Сергей Лазарев→http://www.peoples.ru/
Время И Стекло→http://www.vladtime.ru/
T-Fest→https://yuga.ru/

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2017年11月20~26日/MOPA)

演劇・映画

シアターコクーン・オンレパートリー2017「24番地の桜の園」

11月11日 於:渋谷・Bunkamuraシアターコクーン

24番地の桜の園

 言わずと知れたチェーホフの「桜の園」が原作。演出は現在、舞台美術などでも活躍している串田和美、出演は高橋克典、風間杜夫、八嶋智人、松井玲奈、小林聡美という豪華な顔ぶれだ。「24番地」とは、上演されるBunkamuraの所在番地ということで、オリジナルな「桜の園」ではないことがタイトルからうかがえる。生演奏入りということで「上海バンスキング」のような音楽劇を想像したのだが、そうではなくて「桜の園」の時間軸を解体し、チェーホフや太宰治の短編を登場人物らの“回想”として挿入したこの上なく自由な時間軸をもった「桜の園」だった。

 舞台装置も窓辺の建具が自由に広がったり閉じたりする融通無碍なもの。一つの場面が終わりきらないうちに舞台がゆっくりと廻り、違う場面へと変わっていく。照明も手持ちライトを正面や舞台袖からあてて、舞台上の陰影を際立たせている。

 5年に及ぶパリ暮らしから帰郷、愛する桜の園が借金の担保に取られているという現実を直視できないばかりか、ぜいたくな暮らしをやめられないラネーフスカヤ夫人。彼女の娘アーニャは、万年大学生の恋人と新しい生活を希求する。一方、農民の出身で事業に成功した成金ロバーヒンが、競売にかかった「桜の園」を落札、ラネーフスカヤ夫人にショックを与える。ふわふわとした没落貴族のラネーフスカヤと成り上がりでがさつなロバーヒンの対比がこの作品のヤマだ。それ以降、「桜の園」のストーリーとは関係ないさまざまなエピソード、たとえば動物に変装した人々が踊るシーンやロバーヒンがジプシー楽団と歌うという唐突な場面、チェーホフの「熊」や「創立記念日」といった独立したコメディが挿入される。入り乱れるたくさんのエピソードは、すべて登場人物たちの記憶。これらが「桜の園」をめぐる人々の記憶の束としてまとめられ終焉に向かう。売られた「桜の園」を後にするラネーフスカヤ夫人が立ち去った後、桜の並木をなぎ倒すのは「斧」ではなくブルドーザーの音。ここはロシアではなく東京都渋谷区の「24番地」なのだということを思い出させる。さらにジプシーと思しき楽師たちが演奏するのは、ロシアの音楽というよりバルカン半島の音楽を彷彿とさせる。エネルギッシュで猥雑なジプシー・ブラスバンドの音楽にのって、「桜の園」がだんだんエミール・クリストリッツァの映画に見えてくるのは、やはり「24番地」という地縁のせいだろうか。

(文:滝沢 三佐子/撮影:細野晋司)

音 楽

Far From Moscow 2017 Мумий Тролль Live in Japan

Мумий Тролль  Russian Seasonsの一環として11月から始まった日ロ国家プロジェクト「Far From Moscow」。料理に続くメインプログラムは、メジャーアルバム発売20周年を記念したムミー・トロール(以下МТ)のライブパフォーマンスでしめくくられた。

 日本での単独ライブは今回が初めてだが、チケットはめでたく完売。記者会見ではチケット販売の6割くらいが日本人とのことだったが、実際の感じではやはりロシア人が多い。ただ、少なからずコアな日本人ファンもおり、ステージ最前列を陣取って日本式エールを送っていたのは印象的だった。

Мумий Тролль  前座は日本の男女2人組ユニットUHNELLYS。セッティング組み換えの後、20時前からМТの演奏が始まった。怒涛のイリヤコール、大合唱、スマホ撮影の嵐はロシアのライブ会場そのまま。内容は初期の代表曲8曲、2000年以降の中期アルバムから5曲、最新アルバムから2曲を網羅したプログラムで、イリヤ・ラグテンコ独特の〝変なダンス″も披露され会場は大いに盛り上がった。函館での初来日時と同じく、日本語で歌ったのは«Девочка»。彼らの最大ブレイク曲«Дельфины»はアンコールで演奏された。

Мумий Тролль  今回残念だったのは、МТサウンドを支えていたユーリー・ツァーレルが脱退したため彼のギターが聴けなかったこと。イリヤとドラムのオレグ・プンギン以外は、2013年以降参加した若いメンバーだ。新しいメンバーを迎えたことで、中期で見せた骨太のロック指向から、再び初期のポップでメロディアスなМТへ回帰しているようでもある。ウラジオストクでのインディーズ時代から数えるとゆうに30年以上のキャリアを持つ彼らは、日本に一番近い場所で育ったロシアのバンドである。これを機に日本のミュージックシーンとの交流がさらに促されることを期待したい。

(文:滝沢 三佐子/撮影:Maria Golomidova)

ユーラシア通信

モスクワ州には旭硝子が進出済、日野自動車が予定
モスクワ州投資プレゼンテーション

モスクワ州投資プレゼンテーション  モスクワ州経済フォーラムが11月21日(火)東京赤坂のホテルニューオータニで開かれました。モスクワ州からは、州知事、同州発展公社総裁など22人が来日し、モスクワ州の人口は732万人でモスクワ市も含めるとロシア全人口の2割の3000万人になり、ロシアで一番の経済圏をなしていることを強調しました。そして州内にはドーブナなど9区の経済特区があり、財産税は10年間0%、収益税は8年間は0%、次の6年間は6%、地税は5年間0%、交通税は5年間0%にするので、ぜひ日本の企業に進出して貰いたいと強くプレゼンされました。

 続いて、進出日系企業の例として、旭硝子と日野自動車の日本側責任者の報告がありました。

 旭硝子は、1997年にニージニノブゴロド近郊の国営企業のボアグラスワークスを4億ユーロで買収し、6千人の従業員を1200人まで減らして操業していましたが2002年にクリン市に、新たに日産1000トンのメインラインと日産600トンのサブラインを造成して2000人の従業員で運営していること、このラインは日本国内の最大工場と同じレベルにあることなどが報告されました。

 日野自動車は、現在はトラックを横浜→ウラジオ→シベリア鉄道でモスクワまで運搬しているが、需要に近いところで生産したいとのことで、モスクワ北西部でモスクワ中心部から1時間以内にあるヒムキに新工場を、2018年春に着工し、2019年に生産に入りたいとしました。また、部品はサンクト港で陸揚げし、トラックで陸送、ヒムキ工場の予定雇用数50人とのこと。

(木佐森)

イルクーツク州投資プレゼンテーション

イルクーツク州投資プレゼンテーション  ロシアNIS貿易会、イルクーツク州政府主催のイルクーツク州投資プレゼンテーションが11月9日にホテルニューオータニ ザ・メイン宴会場階「Edo Room」で開催されました。

 まず、セルゲイ・レフチェンコ イルクーツク州知事のあいさつに始まり、伊藤忠商事(株)副会長、在日ロシア連邦大使館公使参事官・駐日ロシア連邦通商代表と続きました。

 次に、イルクーツク州PR映像上映があり、イルクーツク州経済発展大臣による「イルクーツク州の投資ポテンシャル」のプレゼンが行われました。

 イルクーツク州から20の企業が参加していました。その中からイルクーツク州経済発展大臣を含む7名のプレゼンが行われ、閉会となりました。

 木材・空港・イルクーツク経済等のプレゼンが行われましたが、イルクーツク州のプレゼンを中心によくまとまっていて興味深かったです。

(井村)

ロシア極東の経済とビジネス環境について

 11月9日「ロシア極東の経済とビジネス環境について」を聴きました。セミナーの担当はジェトロ海外調査部欧州ロシアCIS課高橋淳氏です。

 セミナーのテーマ
1.ロシア概略と最近のマクロ経済の動向
2.ロシアの経済政策~「輸入代替政策」
3.ロシアの経済政策~「極東へのシフト」
4.最近のビジネス傾向

 ユーラシアメールでは「樺太とサハリン」と言う事でしたが、ロシア極東全域についてのお話でした。

 ロシア極東の人口は619万人で(全ロシアの4.2%)で隣国の中国の黒龍江省、吉林省、遼寧省の人口と比べると大きく差をつけられています。ロシアは1億人がウラル山脈より西に住んでいる。シベリア鉄道の運用が日本の鉄道と比べるとかなり低く、納期が分からないと言う事態が発生している。この為日本の大手企業はシベリア鉄道で運べず、結局た東南アジアからインド洋はてまてスエズ運河をへてサンクト=ペテルブルクやモスクワに運ぶようになっている。また現在クリミア半島併合問題で経済が低迷していてヨーロッパから輸入できずロシア国内で作れる物は国内で賄うー輸入代替政策を実行している。

 ロシア極東には9つの自治体がある。そのなかでウラジオストク(ビジネスの中心)でハバロフスク(極東の中心地、行政、工業の中心地)となっている。ウラジオストクには日本の島根県や鳥取県の自治体の事務所もある。

 サハリン州全域の人口は48万人、ユージノサハリンスク市19万人で大陸地区に負けている。北海道の稚内とサハリンのコルサコフとは船便ができたりなくなったりしている。尚、コルサコフ市はウラジオストク自由港の範囲で、2018年1月からEビザが導入か。日本ではやはり北海道の企業がロシア極東に特に注目している。また中国人、韓国人はロシア人とは仲良くない。

 プーチン大統領は極東開発に力を入れていて21世紀の課題は極東と言っている。ロシア極東は天然資源が豊富で、特にサハリンは石油(サハリン1、2など)また天然ガスの埋蔵量も多く日本の三菱商事などが開発している。またダイヤモンドや金などもサハ共和国で産出する。またサハリンはマーケットはウラジオストクやハバロフスクには勝てないが南半分が、元日本領樺太と言うこともあってサハリンは特別だ。サハリンは観光と貿易で北海道との結びつきが強い。シフトが極東に来ている。

 ハバロフスク―エカテリンブルクまで4800km、これは上海からニューデリーまでの距離と一緒だと言う。確かに極東はロシア政府からほったらかしにされてきた。これをプーチン大統領が変えた。また中国との関係だが、以前はロシア人が中国へ買い物ツアーを行っていた。今は中国人がロシア極東に来て中国人がロシア極東で経営している店に行ってしまう。ロシア人と中国人は信頼関係が出来ていない。

 2012年~プーチン大統領の3期目でシフトして極東に優遇制度が出来た。ウラジオストクが自由港になり2017年4月〜インターネットEビザが取得出来るようになった。

 またロシアでは西から東へ人口を移したい為に1ヘクタール制度を導入した。無償で極東の土地を提供する制度を紹介していた。またサハリン・北方4島では温泉施設なども作られている。

 キーワード4つ
1.底打ち、2010~2015 2.輸入代替ロシアで作れる物はロシアで作ろう 3.極東開発ビジネスの環境を整備したい 4.首脳同士の往来盛んになる。

 まとめ。ロシア人は日本人と組みたいと思っている。

 セミナーの後質疑応答があり終了しました。

(中垣内)

シベリア追憶の旅(4) ホテル、宿舎そしてペンション

シベリア・ヒローク市のペンション  チタ駅に着いたのは夜中の12時過ぎ。旅行社の迎えが駅に来ているかどうかが心配であった。ツアーコンダクターとしてソ連国内を案内していた頃は、空港や駅で現地ガイドとすぐに合流できないことも何回かあった。ましてや今回は真夜中の到着である。心配が募る。しかし、IT通信時代にこのような危惧は不要であった。今は連絡の手違いは少ないし、また現地旅行社も生き残るためには手違いなど起こしてはいられない。真夜中にもかかわらず、旅行社の若い美人が二人、屈強な若者二人が車両の前でにこやかに迎えてくれた。旅行社のこのようなにぎやかなお迎えは初めての経験であった。荷物も速やかに大きなバスに運び込まれ、間もなく近くのホテルに入れた。

 この日の宿はソ連時代からの飾り気のない小さなホテルであった。ロビーにはそっけないソファーが片隅にあるだけ、エレベーターは3、4人しか乗れない。部屋の鍵は大きくて、カギ穴に差し込んでもなかなかうまく回らず、ドアを開けるのも一苦労。部屋もシャワー室も広いけど寒々としている。もちろんスリッパはない。それでもありがたい。やっとシャワーも浴びられる。ゆったりとベッドで寝られる。

 だが、すぐに寝るわけにはいかない。荷物をほどき、明日の表敬訪問用の服をハンガーにかけ、荷物の再整理をし、書類に目を通し、ベッドに横たわったのは3時過ぎだった。睡魔が遠ざかったらしくなかなか眠れない。以前、バイカル湖の向うのイルクーツク州のタイシェットを訪れた時のことやチタ州をバスで旅した時のことが次々と思いだされる。

 何年前になるだろう。シベリア鉄道のタイシェット駅に夜明け前に降り立ったのは。ソ連邦崩壊後間もない頃であった。駅で迎えてくれたのは行政府の女性一人であった。何か困惑している顔の表情が見て取れた。その人に案内された宿は、一目で放置されていることが分かる何かの施設の寮であった。がらんとした殺風景な部屋に並んでいたスプリングむき出しのベッドは1960年代のモスクワの学生寮にあったものと同じであったが、どのベッドもスプリングは緩み切っていて、横になると体が床まで沈んでしまった。マットは薄く擦り切れていて、シーツもなかった。あまりのひどさに宿替えの交渉をしようと決心。だが、案内人の女性は硬い表情で、「他に宿はない。どうしようもない。」と繰り返すのみ。今思えば、彼女も気の毒であった。ひどい寮であることは分かっていても、彼女には上から指示されたこと以外は何もできなかったのである。しかしこちらも団員のことを考えると、すぐに諦める訳には行かない。団長と一緒に近くのシベリア鉄道機関士用の宿舎に交渉に行く。そこは小さいが手入れの行き届いた、小奇麗な宿舎であった。この宿舎を一目見てシベリア鉄道の機関士がいかに尊重されているかが分かった。だが、そこの寮長の女性は私たちには冷たかった。宿泊者の気配はなかったので、部屋は空いていたはずだが、かたくなに応じてくれない。日本人が何をわがまま言っていると言わんばかりである。取り付く島もなかった。   

 ソ連邦崩壊後の1990年代のシベリアはまだ誰もが外国人に慣れていず、そして日本人には関心は示しても用心深かった。当時のソ連の人々は、奇跡の経済発展を遂げている日本に関心を示す一方で、シベリア出兵や第二次大戦の頃の侵略国日本のイメージをまだ抱えていた。留学中にそれを知る機会が何回かあったが、その時と同じ感触を寮長の対応に私は感じた。 

 仕方なく戻った寮の入り口で見た光景も忘れられない。後ろに赤黒いしみのある汚れたスカートをはいた母親が3,4名の子供たちを大きな声をあげながら追い回していた。団員が子供に渡したお土産のお菓子が原因であった。ソ連時代のひずみの名残か、ソ連邦崩壊の打撃がもたらしたものか、あの頃のシベリアは見るものすべてがもの悲しかった。

 18年位前になろうか。左右のタイガの燃えるような黄葉をめでながら貸し切りバスでチタ州を縦断したのは。その道すがら放置されたコンクリートの建物が幾つも目についた。ソホーズやコルホーズの施設であろうか。ソ連邦崩壊後の当時は、多くの地域で建設を中断した建造物が放置され、醜悪な姿をさらしていた。雄大な美しいシベリアの自然の中にあるコンクリートの廃墟は見苦しかった。見るのが辛かった。

シベリア・ヒローク市のペンション  だが、そんなチタ州もザバイカリエ地方と名称を変え、住民たちが経済活動をし易い環境を整え、活気づいている気がする。帰路のヒローク市で宿泊した宿は個人経営のペンションであった。主人夫婦と2名の女性従業員だけの小さな宿であるが手入れは行き届いていた。小さな庭には鬼百合が咲きほこり、緑の蔦で囲まれたあずま屋もあった。その中ではモスクワから来たという巡回女医がレース編みをしていた。彼女はポータブルの心臓診断装置を抱えて地方の病院を巡回していること、今日は休みなので庭でゆっくりと休んでいることなどを話してくれた。このペンションは気に入り、一週間泊まるつもりと言っていた。

 この宿にも、急すぎる階段や狭すぎる廊下などまだ不便なことは幾つもあるが、地方の小さな町にもこのようなこざっぱりとしたペンションができていることはシベリアの奥地でも経済が活性化し始めた証なのだろうか。これからシベリアの庶民の経済活動がもっと活発になり、生活も楽になって欲しいと願いながら、私は蔦の向うに見える鬼百合を眺めていた。

(野口)

旧ユーゴスラビアを訪ねて(1)

旧ユーゴスラビア  友人とふたり、コソボ、セルビアの修道院を巡った去年に続き、十月にはボスニアを加えて十八日間の旅をした。

 ザグレブ空港に着き、まずゾルゲ事件に連座して終戦の年に網走刑務所で刑死したブランコ・ブケリッチの墓参をした。甥にあたる方が案内して下さった。ブケリッチ夫人は日本人で、ニコライ堂で挙式し、晩年は横浜に住んでいた。

 友人の知人、スルプスカ共和国の首都バニャ・ルカ在住のスザナさん宅で、三日間お世話になる。彼女は千葉大学で博士号を取った化学者、三人の娘がいる。この春、信州大学で学会があった時は、母乳を止めないため末っ子を連れて参加したそうだ。「留守の間はパパがしっかり上の子たちを見てくれた」という。保育園は家から五分、淡色使いのとてもきれいな建物で、遊具の揃った園庭は広い。朝食、昼食が出る。街で会った保育園の先生は、早番だったので自分のこどもと散歩。保育士のなり手のない日本とは大違いだ。

 三時には帰宅ラッシュが始まり、びっくりしていると、「八時間労働だから七時から働いた人は…」とスザナさんが言う。過労死などという言葉はここにはない。小学校は二部制で、こどもたちは真っ暗になるまで外遊び。近所同士がしっかり目配りしている。これなら少子化問題もないわけだ。

 ボスニア戦争の終結後、元のセルビア人居住区が自治を認められて、スルプスカ共和国となった。NATOの投下した大量の劣化ウラン弾が土地や水を汚染し、多発性癌が異常に発生している地域もある。「ドリナの橋」で有名なヴィシェグラードの墓地は、1992と没年を刻む墓石でいっぱいだった。人々の心と身体が負った傷を思い、つらい旅だった。

 ベオグラードから来たという車の運転手が、セルビアナンバーでコソボに入るのが怖くて、モンテネグロでタクシーをつかまえて私たちを乗り換えさせたり、帰途、コソボからモンテネグロに入った時は国境警備兵に賄賂を要求(私たちに直接ではなく運転手に圧力)されたり、と一年で事態は悪くなっているようだ。アルバニア人ムスリムのガイドSさんが、去年モンテネグロの峠で、「民衆は悪くない、みんな政治が悪いのです」と、悲しい眼をして言ったのを思い出した。

 国際平和維持部隊が守るコソボのデチャニ修道院に着いて、昼食の始まっていた食堂(じきどう)に入るや、修道院長が私たちの名を呼んで迎えてくれた。食事中は会話厳禁なのに。みな私たちのことを憶えていてくれた。紛争地なのを忘れるほど平和な四日間を過ごした。修道院を去るのはつらかったが、迎えに来てくれたのはなんとSさんだった!

 バルカンとはトルコ語で山の意味、岩山に紅葉が映えて美しかった。旅で出会ったすべての人に感謝である。

(鈴村)

横浜ハリストス正教会バザーに行ってきました

 11月4日(土)は三連休の中日。毎年開催される横浜ハリストス正教会のバザーに行ってきました。お目当てはボルシチだったのですが、お昼に着いた時にはもう売り切れでした。ここ数年バザーに参加していますが、いつも売り切れです。今回は気合を入れて早めに行ったのに。一体、いつになったら食べられるのか。

 ボルシチは食べられませんでしたが、ちょうどお昼時。ワインをお土産に買い、焼きそばで食事としました。その際、同席していた水野神父に関戸は質問したのです。「パニヒダもそうですけど、信者でない私のような者が教会に入ってもいいんでしょうか」と。水野神父は次のように答えてくれました。「本来は、不敬虔な人や信者でない人は入ってはいけないことになっています。けれども、そんなことを言っていたらいつまでもロシア正教のことを知らせる術がありません。まずはロシア正教を知ってもらうことが大事です。そして、自らの考えで入信してくれたら、それが一番いいことだと思います」と。

 この言葉に関戸は「はっ」と目を開かれるような思いがしました。旧ソ連・ロシアは、日本人が好感を持っていない国です。歴史的なこと(日露戦争・ニコラエフスク事件・ノモンハン事件・中立条約破棄後の戦闘など)もありますが、何よりも旧ソ連・ロシアのことを知らないということが、好感を持たない一番大きな理由ではないでしょうか。知らないというはお互いに不幸です。無知が戦争の原因なのですから。水野神父は信者しか入れない教会では、結局ロシア正教は広まらないし、信者も増えない。まず、知ってもらうことだと言われたのです。水野神父の言葉に、改めて相互理解と親善というユーラシア協会の役目を実感しました。ボルシチの売り切れは残念でしたが、秋の一日、晴れ晴れとしたうれしい気持ちになりました。

(関戸)

アルメニア避難民を救ったダイアナ・アプカーを慰霊

 11月23日(祝)、日本アルメニア友好協会(会長中島偉晴)主催の「ダイアナ・アガベク・アプカー慰霊祭」が横浜元町の外国人墓地14地区の墓前で行われました。

 ダイアナさんは、1859年ビルマのラングーンで生まれ、同地で同じアルメニア人のアプカー氏と結婚。新婚旅行先の日本を永住地と決め神戸で貿易商を営み、1906年に夫の死後、横浜の山手町220番地に居所を構えました。

ダイアナ・アガベク・アプカー慰霊祭  そして、ダイアナさんは横浜の地において、1915年から16年にかけてのトルコ青年党政府による虐殺から逃れ避難民になり、革命最中のロシアをシベリア鉄道で横切り、ウラジオストクから、米国に入国するために日本に滞在した多くのアルメニア人を親身になって助けることに奔走。アプカー商会をアルメニア共和国領事館(1918年~20年)にし、自宅を避難民に提供するなどしています。しかし、1937年に横浜で死去され、外国人墓地に埋葬されました。

 日本アルメニア友好協会では、毎年この時期に墓前祭を行っており、今年初めて、神奈川県日本ユーラシア協会から木佐森が参加しました。写真は、ダイアナさんに花を手向ける中島会長です。

(木佐森)

文学紹介「晴れようとき」1956~1959

 ボリース・パステルナーク 詩
 工藤正弘 訳
 未知谷刊行 2,160円

 ボリース・パステルナークは、1958年イタリアから出版された長編小説『ドクトル・ジバゴ』以来、国内においては実に微妙な立場にたたされていた。

 西側のプロパガティストとして国内各誌から攻撃され、当作品に贈られたノーベル文学賞辞退どころか、作家同盟除名にまで発展した「ジバゴ事件」のあらましである。

 本書は、ノーベル賞前後のパステルナークの微妙な心理と、絶望の夜の繰り返しがつづられている詩集である。

 作家は恋人と一緒に海外に出ることも考えるが、ソ連に残ったのは「この国がわたしだ」という信念から来たものであったという。

 以降、作家同盟を除名されたパステルナークはその全教養を、翻訳に注ぎ込む。こうしてこの長い暗い夜を支えたのは、名訳と謳われるゲーテやシラーの翻訳への傾注であった。

 感性のリアルが光り、言葉は丹念に選ばれて現代も名訳として生きている。エセーニン、マヤコフスキーと革命の成功は沈黙の中で生き続ける芸術家の魂を惜しげもなく葬り去りっていった。

 この時代に生き続け、自らの詩をそっと書き続けることは闇を貫く一条の光にも似ている。「この国がわたしだ」と言いつつ生き生きて耐え抜く詩人がここにいる。孤独の中で、ひたすら光る魂こそ美しい。

 全41編。ホローバック・サイズ。

(中出)

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