今月の表紙

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2016年4月号 No.654

行事予定

横浜ハリストス正教会 パスハ(復活大祭)見学

横浜ハリストス正教会  パスハ  ロシア正教最大の祝日「パスハ」。
 当協会会員でもあるグリゴリイ水野宏神父が管轄司祭を務める横浜ハリストス正教会のパスハを、今年も見学させていただけることになりました。
 ロシア文化理解の一助として、どなたでもぜひご参加ください。
 尚、当日は混雑が予想されますので、信者の方々の妨げにならないようご配慮をお願いいたします。
 参加される方は神奈川県日本ユーラシア協会まで事前にご一報ください。

日時:2016年5月1日(日)9:00~13:00
集合場所・時間:横浜市営地下鉄三ッ沢下町(出口2、地上)8:30
場所:横浜ハリストス正教会(神奈川区松ヶ丘27-11)
持ち物:スカーフ(女性のみ)
※儀式は起立して行います。体調にはご留意ください。

お申し込み先:神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

横浜ハリストス正教会  パスハ 横浜ハリストス正教会  パスハ
※写真は昨年のパスハの様子

「こどもの日」にちなんで、楽しいアニメを
『森は生きている』DVD鑑賞会

『森は生きている』  今年も楽しいゴールデンウィークがやってきます。その「こどもの日」にちなんで、アニメの鑑賞を企画しました。

 かつてソ連は世界最大のアニメ制作国でした。ディズニーよりも多くのアニメを制作していたといいます。「アニメーションは児童の情操教育に大変有益である」との理由で、国を挙げて児童の感受性を高めるのに適しているアニメを制作したからです。東西冷戦下では、このような事実は日本では報道されませんでした。今ではチェブラーシカのグッズが日本でも簡単に手に入るようになりました。冷戦のもとでは、こどもたちの夢まで壊されてしまうのですね。

 今回の鑑賞会では、演劇でも有名な「森は生きている」(1956年制作)を上映します。内容についてはよく知られていますね。1月から12月までの森の妖精が、少女を助ける物語です。

 大人の皆さんもこの日ばかりは、童心に戻ってお子さん・お孫さんと一緒に楽しまれたらいかがでしょうか。親子そして、孫まで交えての楽しい鑑賞会にしましょう。

【映画情報】1956年・ソ連作品/カラー/49分/監督: イワン・イワノフ=ワノ/原作: S.マルシャーク/脚本:S・マルシャーク、N・エルドマン/美術:A・ベリャーコフ、K・カルボフ、A・クリツィン/撮影:N・ヴォイノフ、E・ペトロワ/音楽:M・ワインベルグ/声の出演(日本語吹替版)清水マリ、滝沢久美子、神谷明、松金よね子

日時:2016年5月8日(日)14:00~
会場:横浜平和と労働会館5階 当協会教室
参加費:300円(黒パン・お菓子・飲み物付き)
お申し込み先:神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

第18回 大河アムール・ハバロフスク市民交流の旅

ハバロフスク 日程 2016年8月9日(火)~14日(日)
ホームステイコース 110,000円
ダーチャコース   120,000円
航空券(別途) 68,000~86,000円
※航空券は遅くなると高くなります。お申し込みはお早目に。旅程は先月同封のチラシをごらんください。詳しくは協会事務局まで。

お申し込み・お問い合わせ先:神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

活動報告

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 第12回定期総会報告

第12回定期総会  3月21日(月・祝)に横浜平和と労働会館2階にて、2016年度第12回神奈川県日本ユーラシア協会総会が開かれました。田中今日子理事による開会のことば、柴田順吉会長の挨拶のあと、吉原れい事務局長より出席者15名(のちに2名遅れて出席したため17名出席)、委任状100通の資格審査結果で本総会が成立していることが宣言され、小新幸康理事を議長として議事が進められました。

 第1号議案「2015年度の活動報告」と「2016年度の活動方針」はそれぞれの担当より報告され、ひきつづき第2号議案「2015年度会計決算報告・2016年度予算(案)」「ジュニア・シニア・身障者会員の会費値上げ」について柴田順吉会長より提起がなされました。第3号議案2015年度会計決算監査承認については会計監査の金子隆一氏が報告し、以上の議案は拍手をもって承認されました。ひきつづき、第4号議案定款変更案、第5号議案「2016年度役員承認」推薦案について田中豊造理事長より理事長の職務における明示提案があり拍手をもって承認されました。

 役員人事では、立候補はありませんでした。新役員を代表して、木佐森雅道新会長が着任のあいさつを行い、退任役員を代表して、柴田順吉顧問(新)があいさつを行いました。

 以上をもってすべての議事が滞りなく審議されたため、総会役員および議長は解任され、田中理事の閉会のことばをもって、本年度総会を終了しました。

(滝沢)

二本立てのコンサート ― 総会ジョイント企画 ―

 総会の後は、毎年趣向を凝らしたジョイント企画。

 今回は、ヨールカ祭でおなじみのスクリャービン川西さんのピアノコンサートとマトリョミンアンサンブルコンサートの二本立てでした。

総会記念コンサート 総会記念コンサート

 川西さんの演目はユーラシア協会を意識してか、「赤いサラファン」から始まり、荘厳な「ロシア国歌」と続きました。卒業式シーズンのためか、「旅立ちの時」の演奏も。そして、注目の左手のみの演奏「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」の素晴らしさはこの紙面では表現できないほどです。それから、日本歌曲の「さくらさくら」の変奏曲の絶妙の調べ。アンコールには南米の「チキリン・デ・バチン」が演奏されました。ロシア文化の素晴らしさを短い時間で体験できるのはユーラシア協会ならではの企画です。

総会記念コンサート  続いて、これまた総会後のジョイント企画の定番であるマトリョミンコンサートが行われました。こちらもロシア民謡「トロイカ」から始まり、地元横浜を意識してか「伊勢佐木町ブルース」が演奏されました。マトリョミンアンサンブルのメンバーは全員女性なので、華やかさが強調されました。

総会記念コンサート  今、ここまでキーボードを叩いたところで、つい手が止まってしまいました。それは大変残念なことに、このマトリョミンアンサンブルを指導してこられた平野麻里先生がご家庭の事情により、今期限りで退任されることになったからです。平野先生と共に歩んできたこのマトリョミンアンサンブル、マトリョミン教室にとっても大変残念なことです。2007年以来、足掛け10年にもおよぶ平野先生の尽力は誰にもできないことでした。

 コンサートの後には、柴田順吉前会長から感謝状と記念品が贈られました。後任には平野先生の教え子である檜垣さんが運営・指導を担当することになりました。次回から新生アンサンブルの姿を見ることになります。

 スクリャービン川西さんとマトリョミンアンサンブルの素晴らしい演奏に心を豊かにしたジョイント企画でした。

総会記念コンサート 総会記念コンサート

総会記念コンサート

(文・関戸/写真・桜井)

三渓園夜桜鑑賞会報告

三渓園夜桜鑑賞会  4月2日は皆様のご協力を得て予定通り日本ユーラシア協会の三渓園夜桜鑑賞会を行う事が出来ました。

 二十数名の参加者にはそれぞれロシア語、英語、日本語の資料をお配りし、柴田顧問が三渓園に就いて解説。

 高校一年生のT君の感想「三渓園に夜桜見物に行ってきました。びっくりするくらい綺麗でした‼みんなも横浜に行く機会があったらぜひ見に行ってみて下さい。」

 在日のロシア、チェチェンなど外国の方々の他、ウラジオストックからもインターナショナル・スクール副校長マリーナさん、横浜ロシア語教室講師タチヤーナさんの御母堂の参加がありました。

 遠方からの参加者を歓迎するため、たまたま沖縄から来浜中の比嘉いづみさんに即興でロシアのバラライカを三線の代わりに使って琉球古典音楽のライブをやって頂きました。野口先生が奏者の解説を通訳してくださいました。感激して涙を流された方がいました。

 「次回は紅葉の季節に黄金色の三渓園内苑、外苑を詳しくご案内したい」と柴田さん談。

(文・J. S./写真・難波)

教室案内

横浜ロシア語教室 第124期 生徒募集中

 4月から新学期が始まります。水曜夜と土曜昼に初めて学ぶ方のクラス「入門」を新設。
 また、初級・中級・上級・会話・演習の各クラスも生徒募集中です。
 既存クラスは継続受講生2名以上で来期も同じ曜日・時間に持ち上がり存続となります。中途編入も可能です。
 見学は3クラス・各30分以内まで無料です。
 詳しくは教室ホームページをごらんください。受講お申し込み・お問い合わせは教室事務局まで。


徳永ゼミ開講延期

 第123期の「徳永ゼミ」は大好評の中で終了し、多くの皆様のご希望に応えるべく124期も開講する予定でいましたが、都合により延期することになりました。
 皆様には、どうぞご理解をいただき、ゼミの10月開講をご期待下さいますようお願い申し上げます。

ロシア語体験講座「はじめてのロシア語」開催

ロシア語体験講座  横浜ロシア語教室のベテラン講師であり今年発売された『日常ロシア語会話ネイティブ表現』の著者でもある大山麻稀子先生により、ロシア語入門レベルを対象とした体験講座「はじめてのロシア語」が3月26日に教室で開催されました。

 当日は欠席が相次ぎ参加者はわずか2名にとどまりましたが、ロシア語の語源や文法のしくみなどの初歩のロシア語がわかり易くレクチャーされ、参加者のロシアに関する知識や旅行体験なども絡めて話も弾みました。

 60分の講座が終わるころには「ラジオ講座を聞いていても理解できなかったことが、この場で話を聞いてようやく理解できた」という声も上がり、最後には皆すっかりうちとけて、ロシア語への興味も一層広がったようでした。

 横浜ロシア語教室では4月から新学期が始まりますが、新しくロシア語を学びたい人に向けて、積極的なアピールを続けていきたいと思います。

(森)

ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

 毎月2回、土曜日に開講します。魅力的なロシアのメロディーを、ご自分の手で体感してみませんか?初めての方でも歓迎、楽器レンタルもご相談に応じます。

2016年度前期の予定:4/2, 4/16(5月以降はお問い合わせください)

生徒募集クラス
17:00~17:45 ドムラ中級
18:00~18:45 バラライカ初級

講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館5階
会員受講料(1回45分×6回分):3~5名クラス:24,000円、2名クラス:36,000円、1名クラス:54,000円


みなとみらいマトリョミン教室

檜垣紀子先生  2007年4月に開講したみなとみらいマトリョミン教室も、今年で10年目を迎えます。
 2007年10月から2016年3月まで長くご指導いただいた平野麻里先生が退任され、4月からはその教え子である檜垣紀子先生(写真右)に講師を担当していただくことになりました。
 どうぞご期待ください!

日程:毎月1回、土曜日開講

2016年度前期日程:4/16、5/21、6/18、7/16、8/20、9/17

※レッスン日に見学随時可能です。発表会、協会行事等で演奏の機会もあります。是非お気軽にご参加ください!

◆アンサンブルクラス(90分)  13:00~14:30 (お問い合わせ下さい)
◆グループレッスン
 Aクラス 14:45~15:45 (空席2)
 Bクラス 15:55~16:55 (空席2)

入学金:3,000円(継続の方、休学1年以内の方、当協会会員は免除)
受講料:アンサンブル3,600円×6回=21,600円、グループレッスン3,085円×6回=18,510円
会場:横浜平和と労働会館2階 神奈川音楽センター 音楽ホール
講師:檜垣 紀子

組織・財政

会長退任のご挨拶

柴田顧問  会員の皆様、1960年に現協会の前身「日ソ協会神奈川県連合会」の事務局長に就任、その後も各種役職を経て1997年以後は理事長、会長として、通算56年間、皆様のご付託に応え、協会の発展に微力を尽くしてまいりましたが、既に齢83歳を数え、加えて左眼失明、右眼視力低下、読書も困難になった為、活動の第一線からは退かせて頂くこととしました。過日の当会総会で後任に元理事長の木佐森雅道氏が決定致しましたので会員の皆様方には私以上に同氏をお引き立てくださいますよう切にお願い申し上げます。

 なお、総会では顧問に選任されましたので、今後とも宜しくお願い申し上げます。

(柴田 順吉)

会長新任のご挨拶

木佐森会長  会員のみなさま、お久しぶりです。4年ぶりに桜木町の事務所に帰ってきました。この4年間茅ヶ崎から藤沢で小田急に乗り換え、本部事務所がある経堂まで2時間弱をかけて通っていました。よく通ったものだと思います。

 経堂の本部事務所から見ると、神奈川は会員数では全国5位ですが、組織及び財政力では、全国3位に入ると思います。さらに、毎年1月に開催される「ヨールカ祭」は、その規模と内容では全国1位です。また、17年間継続して実施しているハバロフスク訪問は、他の連合会・支部に例を見ない交流活動になっています。

 会員のみなさまと柴田顧問により培われてきた神奈川の力を、一層大きくできればと願っています。

(木佐森 雅道)

組織状況

(2016年3月31日現在)

 年初会員数:209名、入会:6名、退会:11名、現在会員数:204名。年初比5名減。
 会員数の減少傾向には止めがかかっていません。憂慮すべき状況です。

(柴田)

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2016/3/31
単位:円
摘 要本年度収入前年同期収入対前年同期増減増減率(%)
一般会計434,450476,196-41,746-9.61
教育事業2,094,5082,631,152-536,644-25.62
一般事業657,095852,881-195,786-29.80
合 計3,186,0533,960,229-774,176-24.30
前年同期(単位:円)2015/3/31
摘 要本年度支出前年度支出対前年同期増減増減率(%)
一般会計2,010,5002,022,343-11,843-0.59
教育事業751,305791,778-40,473-5.39
一般事業414,370488,191-73,821-17.82
支出合計3,176,1753,302,312-126,137-3.97
当期剰余金9,878657,917-648,039-6560.43
合 計3,186,0533,960,229-774,176-24.30

貸借対照表 (2016/3/31)
科 目本年3月末残高前年同期残高対前年同期増減増減率(%)
流動資産7,156,8626,331,143825,71911.54
固定資産9,604,7759,604,77500.00
資産合計16,761,63715,935,918825,7194.93
流動負債1220122100.00
固定負債0000.00
負債合計1220122100.00
純資産16,761,51515,935,918825,5974.93

 財政も依然として縮小均衡です。何とか黒字を保っていますが、3か月で前年度比64.8万円の減収。収支とも全ての項目でマイナス、合計では24.3%の激減。私の記憶では1997年以来初めての厳しい状況です。

(柴田)

7月以降、会費一部改定
ジュニア・シニア・身障者会費 月額600円に

 3月21日の定期総会にて、第2号議案「ジュニア・シニア・身障者会員の会費を、現行の月額300円または400円から、月額600円に改定すること」が承認されました。

 消費税値上げを機に諸経費が値上がりし、毎月会員に配布している機関紙の経費が上記会員の会費を上回るという問題が発生しており、2015年度は据え置きとしましたが、同年春に送料がこれまでの2倍に値上がりするという予期せぬ事態を迎え、この先も物価の上昇や会員の高齢化に伴うシニア会員の増加が見込まれるため、やむなく改定に至ったものです。何卒ご理解くださいますよう、切にお願い申し上げます。

 2016年3月請求分(2016年6月まで)の会費については、旧会費の月額300円(ジュニア)または400円(シニア・身障者)とし、次回6月の請求分(2016年7月以降)より改定後の会費・月額600円になります。

 尚、満75歳以上はシニア会員となりますので、これまで普通会員の会費800円を納めており満75歳の誕生日月を迎えられた場合は、速やかに協会事務局までお申し出ください。また、その他会員の種類が変わった方も、こちらの会費一覧表をご参照の上、事務局までお知らせください。よろしくお願い申し上げます。

(事務局)

お勧め商品

イースターエッグ用 彩色フィルム 7枚組252円/6枚組216円/5枚組180円/バラ売り1枚36円(税込)

イースターエッグ彩色 復活祭に欠かせないイースターエッグの彩色が簡単にできる絵付きフィルム。
ゆで卵にかぶせて熱湯に漬ければ出来上がります。
今年は5月1日がロシア正教のパスハ(復活祭)です。
ロシアの文化を手軽に体験してみませんか?
※協会事務所のみでの販売になります。

 イースターエッグ

イースターエッグ用 彩色フィルム  イースターエッグ用 彩色フィルム

使い方
1. フィルムを模様の境目に沿って1個分ずつ切り離します。
2. フィルムを開き、あらかじめゆでておいた卵(殻付き)にかぶせます。
3. 90~100℃の熱湯に3~5分間浸します。
※フィルムがずれないように、卵をお玉などに載せてから鍋の熱湯にゆっくり沈めてください。
※お子様が熱いお湯でやけどをしないよう、大人の方がそばについて注意してください。
※このフィルムは50℃以下の場所で保管してください。

文化・芸能

ユーラシア音楽芸能情報

Русская Десятка ロシア・トップ10

ロシア・トップ10  根雪も溶け出し明るい時間が長くなったロシアから、3月第4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中7曲が新曲という春嵐が吹き荒れています!
 つい先月までM.E.G. とN.E.R.A.K とのコラボ «Я верю в любовь»(愛を信じている)がTOP10入りしていたのに、今月違う曲で5位に登場してしまった、大人気ユニット・ヴィンターシュの新曲«Немного рекламы»(コマーシャルを少し)が来ました。コケティッシュな容姿と歌声でFANを魅了するユリアナの新曲«Внеорбитные»(軌道外)が4位にランクイン。
 «Красивая жизнь»(麗しき人生)」«Манхэттен»(マンハッタン)などが大ヒットしたバンデロスの新曲«ЧБ»(白黒)が3位に入りました。
 ヨールカの新曲«Грею счастье»(幸せを温めてる)が4ヶ月連続1位!根強い支持が続いています。おめでとうございまーす!:-)

(チャート詳細と全文はこちらから)

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart 2016年3月21~27日/MOPA)

映画・演劇

てがみ座 第12回公演 「対岸の永遠」
(長田育惠・作、上村聡史・演出)

3月17日 於:東京・目白 シアター風姿花伝

「対岸の永遠」  物語のモチーフは1972年にアメリカに追放され、ノーベル文学賞を受賞したユダヤ人詩人ヨシフ・ブロツキーという。日本の劇作家による、ロシアが舞台の戯曲ということで興味をもって観劇した。

 1999年のサンクトペテルブルグ。ソ連崩壊後の混乱した社会の中で、翻訳の仕事で食いつなぐシングルマザー・エレナは娘、アル中の新しいパートナーとともに暮らしている。壁が半分焼け落ちたようなエレナの部屋はコムナルカ(いわゆるシェアルーム)になっており、同居人は薬物中毒の青年やチェチェン出身の娼婦など一癖もふた癖もありそうな面々。ある日、ソ連崩壊後に玉の輿に乗ったエレナの友人が部屋の立ち退きを要求する。家族の家を手放すわけにはいかないと怒るエレナ。そこへユリウスという青年がアメリカから来訪する。亡命したエレナの父、アンドレイの手紙と遺品を届けにきたのだ。父に捨てられたと思っているエレナは、断固として引き取りを拒否。ところがエレナの部屋に、時々アンドレイの幽霊が現れるようになり当時の事を語りだす。

 ロシアのコムナルカ住人をリアルに再現している点がすごい。だが最も魅力的なのはやはり半海一晃演じる父・アンドレイ。写真でおなじみのブロツキーとは違う、とぼけた軽い感じで、飄々とした演技に引き込まれる。娘を心底気遣う優しい父は無言のまま娘の前から姿を消した。そして手紙の中で「私を許すな」とまで書いた。父を長年憎んだエレナが、父のことを受け入れ認めていく過程がとても丁寧に描かれ、心の機微を追う戯曲の作りは日本的だなあと感じさせられた。

 気になる点もあった。アンドレイがコーカサスを越えて国外へ出るシーンで、彼と親しくなる地元の女がロシア兵に殺される。アパート爆破テロが発生し、復讐におびえるチェチェン人娼婦がパニックに陥る場面などがそうだ。現在にも影を落とす民族問題だが、1990年代末と2000年代に入ってからのコーカサス民族問題は性質が違う。観衆に誤った印象を与えるのではと危惧する場面である。

 てがみ座は、主宰の劇作家とは別に、演出家を外から招くという劇団である。作家・演出家・役者の間には緊張関係と信頼関係という難しいバランスを強いられる。この日は役者によるアフタートークがあり、座員も客演者もこのおかげで毎回新鮮な舞台になるのだと話していた。演出が変われば内容も変わる。再演を含めて、この作品の本当のロングランを期待したい。

(文:滝沢 三佐子/写真・沖美帆)

ユーラシア通信

第7回ダーチャ会議&千葉ダーチャ見学報告

 3月7~8日にかけて、千葉の高田造園さんの「千葉ダーチャ」に行ってきました。

 目的はNPOダーチャサポートの主要メンバーによる全国会議と、現地の見学です。

 短い時間でしたが、全員が今の世の中の現状を知った上でどうすべきかを真剣に考えていることを再確認でき、また組織としての具体的な展開についても多くを語れた場になりました。

 メンバーは7日夕方から現地入りして、美味しい手作りの夕食を頂いたあとは酒を飲みながら、お互いの経験などを語り合いました。

 翌日には、「夢未来いなか塾」代表で「二本松ダーチャ」を運営されている田口茂さんや、「NPOちばやま」の中村真也さんにも合流して頂いて、まず敷地内を見学。

野趣あふれる屋外の風呂  僕がここに来るのは2度めで、一度目の時にはまだ小屋がひとつ建ったばかりの時でしたが、今回は「NPOちばやま」さんの小屋も含めてもう3棟になっていて、風呂場もできていました。

 ここの「板倉づくり」の「Dacha小屋」はとっても素晴らしいもので、快適に暮らせてしかも非常に安価です。

 この夏までには活動地のひとつ山梨の「五風十雨農場」にも建てられます。

 小屋の後は敷地の見学…高田さんの解説つきなので、もう「講座」と同じでものすごく勉強になりました!

 そして以前はほとんど整備ができていなかった林地の部分も、とても同じ場所とは思えないほど素晴らしい場所に生まれ変わりつつありました。

 見学のあとの会議では、各活動地の現状報告と、ダーチャサポートの今後の活動について活発な意見交換を行ないました。

 席上出てきたのは…
 ◎環境整備活動の実施、◎自給と環境整備関連のワークショップやプログラムの実施、◎きらめき工房の各活動地への導入、◎入会者募集と会報の発行・HPの充実、◎板倉の家のキット販売、◎竹林整備と竹炭販売…などなどです。

 ご参加の皆様遠いところ本当にありがとうございました!

 そして喜んで場所をご提供くださって、食事を始めいろんな面でお世話になった「地球防衛隊」(高田さんとスタッフの石井さん、竹内さんが自分たちのことをこう呼んでいました)のみなさん、本当に有難うございました~ (^_^)/

高草 俊和(NPOダーチャサポート理事長)

★ここが変わった!8年ぶりのウラジオストク 第2回


ウラジオストク市内・鉄道駅周辺

 2012年のロシアAPECを契機に、街全体がきれいに生まれ変わった!という雰囲気はなく、拍子抜けしてしまいました。

(1) 路面電車がなくなった!
 1959年にこの地を訪れた、時のソ連書記長フルシチョフは、「ウラジオストクを極東のサンフランシスコにする!」との言葉を口にしたそうですが、かつてはウラジオストクもサンフランシスコ同様、海の見える坂道を路面電車が走る光景が名物の1つになっていました。しかし、経済発展により車の保有台数が右肩上がりに増え、渋滞問題が慢性化したため、路面電車は廃止されてしまいました。

ウラジオストク市内 (2) 意外と街の雰囲気は変わっていない!
 短期間に巨大な橋を2つも作ってしまったウラジオストク、街中もさぞ綺麗になっているのだろう…と思っていたのですが、意外にも、街中はそれほど変わった印象を受けず、建物のくすんだ壁や錆びた屋根などは以前と同じであったことに驚くと同時に、少しほっとしてしまったのも事実です。

カフェ 「ウフ トゥイ ブリン!」 (3) おしゃれな飲食店が増えた!
 かつてロシアのレストランといえば、学生食堂のような「スタローバヤ」(大衆食堂)や、飾り気のないカフェ(食堂)、あるいは午後8時くらいになると大音量の音楽が流れ始める、昭和のダンスホールのようなギラギラした「レストラン」しかない、どちらかというと「野暮ったい」イメージがありました。ところが今回の旅では、おしゃれなカフェやレストラン、雰囲気のいいバーがあちこちにあり、これにはモスクワ留学経験のある他の青年会員も、「極東ロシアがこんなに発展しているとは思わなかった!」と驚いていました。
 しかも、ただ外装や内装が綺麗で洗練されているというだけでなく、料理も凝っていて、以前のような大味でなくとても繊細で、手放しで「美味しい!」と思えるものを出してくるのです。ロシア料理は脂っこくて大雑把だからちょっと苦手…そんなイメージでやってきた旅行者は、いい意味で度肝を抜かれることでしょう!

カフェ 「ウフ トゥイ ブリン!」
カフェ 「ウフ トゥイ ブリン!」 カフェ 「ウフ トゥイ ブリン!」

レストラン「セルフィー」
 レストラン「セルフィー」  レストラン「セルフィー」

(桜井)

★ 会員ブログ紹介 「ロシアの言葉が聞こえる…」

チェブラーシカ  チェブラーシカを中心に、ロシア語のアニメーションやドラマ、映画などについて綴っているロシア語教室の生徒さんのブログを紹介します。

 藤木ゆりこ「ロシアの言葉が聞こえる…」

 劇中に出てくるロシア語フレーズを題材に、その背景やドラマ内容などの気になるところをピックアップ。
 テレビ放送などの情報もリンクされていますので、興味のある方は是非チェックしてください。

投稿歓迎!

 「日本とユーラシア」神奈川県版は会員みんなで作る機関紙です。もっと面白くしたい方、新しい企画を思いついた方、協会や機関紙について感想や意見のある方は、読むだけでなくぜひ投稿してください。

 ユーラシア関連ネタなら文章でも写真でも絵でも、ジャンルを問わず何でもOK。

 ただし全てボランティアで、自分のオリジナル、または権利者の許可を得たもの、著作権法に触れないものをお願いします。ペンネームや注意事項があればそれも忘れずに。

 文章は1記事800字以内が目安で、長ければ編集・分割して掲載する場合もあります。

 担当者に忘れられない限りボツになることもほとんどないので、今のうちがチャンスかも?

 原稿はメールやFAXや郵便で下記へ送ってください。締切は毎月末で、翌月15日頃に発行されます。投稿をお待ちしています!

(機関紙編集部)

歴史・社会

太平洋戦争の遠因となった日露戦争
(1)今に残るその大きな影響

 NHK大河ドラマ「坂の上の雲」の原作者司馬遼太郎は日露戦争をロシアからは侵略戦争、日本からは祖国防衛戦争であり、この時代を「これほど楽天的な時代は無い」と称えています。

 NHKは「この作品に込められたメッセージは、日本がこれから向かうべき道を考える上で大きなヒントを与えてくれるに違いありません。」としています。

 私も含め日本人の多くが子供の時から歴史や修身の教科書などで「大勝利した日露戦争」をそのように教え込まれてきました。

 しかし、同じ作家でも当時を生きた人たちの多くは違った見方をしています。

与謝野晶子  与謝野晶子は弟の出征に際して次のように詠いました。

「あゝおとうとよ、君を泣く 君死にたまふことなかれ
末に生まれし君なれば 親のなさけはまさりしも
親は刃をにぎらせて 人を殺せとをしへしや
人を殺して死ねよとて 二十四までをそだてしや

堺の街のあきびとの 旧家をほこるあるじにて
親の名を継ぐ君なれば
君死にたまふことなかれ 旅順の城はほろぶとも
ほろびずとても何事ぞ 君は知らじな、
あきびとの 家のおきてに無かりけり

君死にたまふことなかれ すめらみことは戦ひに
おほみずから出でまさね かたみに人の血を流し
獣の道で死ねよとは 死ぬるを人のほまれとは おほみこころのふかければ
もとよりいかで思されむ

あゝおとうとよ戦ひに 君死にたまふことなかれ すぎにし秋を父ぎみに
おくれたまへる母ぎみは なげきの中にいたましく わが子を召され、家を守り
安しときける大御代も 母のしら髪はまさりぬる

暖簾のかげに伏して泣く あえかにわかき新妻を 君わするるや、思へるや
十月も添はで 別れたる 少女ごころを思ひみよ この世ひとりの君ならで
ああまた誰をたのむべき 君死にたまふことなかれ」

 夏目漱石は次のように書いています。

「日本程借金を拵(こしら)えて、貧乏震いをしている国はありゃしない。此(この)借金が君、何時になったら返せると思うか。そりゃ外債位は返せるだろう。けれども、それ許(ばか)りが借金ぢゃありゃしない。日本は西洋から借金でもしなければ、到底立ち行かない国だ。それでいて、一等国を以て任じている。そうして、無理にも一等国の仲間入りをしようとする。だから、あらゆる方向に向かって奥行(おくゆき)を削って、一等国丈(だけ)の間口を張(は)っちまった。なまじい張れるから、なお悲惨なものだ。牛と競争をする蛙と同じ事で、もう君、腹が裂けるよ。其(その)影響はみんな我々個人の上に反射しているから見給(みたま)へ。斯う西洋の圧迫を受けている国民は、頭に余裕がないから、碌(ろく)な仕事は出来ない。悉(ことごと)く切り詰めた教育で、そうして目の廻る程こき使はれるから、揃って神経衰弱になっちまう。話をして見給(みたま)へ大抵は馬鹿だから。自分の事と、自分の今日の、只今の事より外に、何も考えてやしない。考えられない程疲労しているんだから仕方がない。精神の困憊(こんぱい)と、身体の衰弱とは不幸にして伴っている。のみならず、道徳の敗退も一所に来ている。日本国中何所(どこ)を見渡したって、輝いてる断面は一寸四方も無いじゃないか。悉く暗黒だ。」
(夏目漱石「それから」より)

~次号に続く~

(柴田)