今月の表紙:ハバロフスク・ウスペンスキー大聖堂

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2013年7月号 No.621

行事予定

第15回 大河アムール・ハバロフスク市民交流の旅

大河アムール・ハバロフスク市民交流の旅
 2013年8月6日(火)~8月11日(日)、第15回大河アムール・ハバロフスク市民交流の旅を実施します。ロシア極東・ハバロフスク市での大河アムール遊覧、市民の家庭訪問あるいはダーチャ生活体験、子供たちのオケアンキャンプ場訪問、現地市民団体との文化交流会を予定。どうぞお楽しみに!

8・15を考える集い
映画「きけ、わだつみの声 Last Friends」DVD上映会

きけ、わだつみの声
 今年も8月15日がやってきます。今年は学徒出陣70年。多くの学徒がペンを捨てノートを捨て、銃や操縦桿を握ることになり、その多くが戦死しました。そのことを考える集いとして映画『きけ、わだつみの声 Last Friends』(1995年、出目昌伸監督、織田裕二ほか出演)DVD上映会を企画しました。
 70年前、20歳を少し過ぎたばかりの若者が戦争をどのように考え、どのような行動をとったのか、今の若い人たちにもぜひ見てほしいと思います。

きけ、わだつみの声
【日時】 2013年8月18日(日)14:00~(30分前開場)
【会場】 横浜平和と労働会館5階
【参加費】会員無料、非会員300円
【お申し込み・お問い合せ】
■ 8月9日(金)15時まで Tel/Fax: 045-201-3714 E-mail: eurask2@hotmail.co.jp(神奈川県日本ユーラシア協会)
■ 8月9日(金)15時 ~ 8月11日(日) 受付休み
■ 8月12日(月)~ 8月17日(土) Tel: 080-6700-5301(関戸)
【当日連絡先】Tel: 080-6700-5301(関戸)

 なお、10月27日(日)には1950年版の映画『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』(関川秀雄監督、伊豆肇ほか出演)のDVD上映会も企画しています。この映画に出演された河崎保さんを招いての講演も行います。詳細は次号にて。

夏休みのお知らせ

期間:2013年8月10日(土)~17日(土)
※上記日程は協会事務所は完全休業(17日はマトリョミン・ドムラ教室のみ開講)、8月5日(月)~9日(金)は12時~15時の時短営業となります。事務所にご用の方はご注意ください。

これからの行事予定

【2013年】
●10月19日(土)、20日(日) よこはま国際フェスタ
●11月3日(日) ロシア人墓地調査
●11月30日(土) 会館まつり
【2014年】
●1月26日 ヨールカ祭
※予定は変更される場合があります。

活動報告

旅行説明会は「沖縄決戦」上映会に

 6月23日(日)は第二回旅行説明会。ところが、説明会への参加者は一人もいませんでした。残念ながら、説明会は流会となりました。

 けれども、この日6月23日は「沖縄慰霊の日」です。関戸は説明会の後に平和について考えてもらえたらと思って、この沖縄戦を描いた映画『沖縄決戦』(1971年)のビデオを持参していました。ちょうどその直前の平友連の会議の際にこのことを伝えていたので、日朝協会から事務局長の小黒さんが来られました。

 そこで、旅行説明会は上映会に早変わり。参加者は小黒さんのほか、田中さんと関戸だけでしたが、上映を行いました。映画は事実を下敷きにしたドキュメンタリータッチで、2時間半の上映時間が短く感じられるほど内容は濃いものでした。

 未見の方のために内容には深く触れませんが、沖縄戦の悲劇が本当にわかりました。特に、衝撃的だったのは沖縄住民の集団自決のシーンです。手榴弾を囲んで家族が自決するのですが、爆発で死にきれなかったものは棍棒でお互いの頭を殴り、殺しあったのです。また、泣いて逃げ回る子供の首を鎌で切り落とし、自らも鎌で首を切り自決する父親の描写もありました。こんな悲惨なことがあるでしょうか。

 それはすべて無知ゆえの悲劇です。「アメリカ軍に捕まれば、男は戦車で轢き殺される。女は乱暴されて殺される」と思わされていたからです。何しろ相手は「鬼畜」米英なのですから。

 こんな悲惨な戦争は二度と繰り返してはいけません。そのことを痛切に感じた上映会でした。

(関戸)

教室案内

横浜ロシア語教室 第118期 生徒募集中

 入門・初級・中級・上級・応用・会話クラス開講中。
 3クラス・各30分まで見学無料。時間割・内容・料金(会員割引有)等の詳細は教室ホームページをごらんください。
 受講お申し込み・お問い合わせ先は次の通りです。


補習サークル創設!「ロシア語寺子屋」

 欠席した授業の課題や日頃の授業・宿題・独習でわからない点の補習が受けられます! 当教室講師のサポートつき。
 次回は7月28日(日)13:30~15:30に行います。当教室生徒限定、定員8名、要事前予約。お申し込みは事務局まで。

日本語教室 生徒募集中 Курсы японского языка

 ウクライナ、ウズベキスタン、ロシア出身の生徒が水・木曜日に受講中。
 月曜~金曜、10:00~17:00の間で応相談。1コマ90分。同レベル・同時期開始の場合はグループレッスンも可。
 入学金5,250円(会員無料)、受講料1回3,000円。お申し込みは事務局まで。

ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

2013年度前期予定
(前半)3/30, 4/20, 5/11, 5/18, 6/1, 6/15
(後半)7/6, 7/20, 8/3, 8/17, 9/7, 9/21
生徒募集クラス
17:00~17:45 ドムラ初級
18:00~18:45 バラライカ初級

講師:北川 翔(バラライカ奏者、北川記念ロシア民族楽器オーケストラ主宰)
会場:横浜平和と労働会館5階
会員受講料(1回45分×6回分):3~5名クラス:24,000円、2名クラス:36,000円、1名クラス:54,000円

みなとみらいマトリョミン教室

 マトリョミンは他のどんな楽器とも違う、触らないで弾くという不思議な奏法がとても面白い楽器です。
 ワンフレーズ弾くぐらいなら触れたその日からでもOK。
 可愛さ、不思議さ、ロシアっぽさなどもさることながら、楽器としてのポテンシャルも非常に高く、弾く人の内面を如実に映し出します。
 会社や友人同士の集まりに持って行くと、話題性もパフォーマンス性も抜群で、注目の的です。
 一度、教室に遊びにいらっしゃいませんか。見学、体験も大歓迎です。

日程:毎月1回、土曜日開講

2013年度前期予定:4/20, 5/18, 6/15, 7/13, 8/17, 9/21
◆アンサンブルクラス(90分) 13:00~14:30
◆グループレッスン 暫定Aクラス(90分)14:40~16:10、Bクラス 開講待ち
※Bクラスはあと1名のお申し込みで開講可能です。空席についてはお問い合わせください。
※Bクラス開講決定後のレッスン時間は下記の通りになります。
Aクラス 14:45~15:45 (満席)
Bクラス 15:55~16:55 (空席3)
入学金:3,000円(継続の方、休学1年以内の方、当協会会員は免除)
受講料:アンサンブル3,500円×6回=21,000円、グループレッスン3,000円×6回=18,000円
会場:横浜平和と労働会館2階 神奈川音楽センター 音楽ホール
講師:平野 麻里(マトリョミン演奏家、指導者)

組織・財政

組織状況

(2013年6月30日現在)
 年初会員数:218名、年初来入会者40名、退会者数18名、実増22名、6月末会員数240名。前月比:4名増。
 2013年度の会員拡大目標は実増10名ですから半期で2.2倍、目標を超過達成しています。引き続き気を引き締めて会員の拡大を図ると共に、夢ゆめ大量退会など出さぬよう有意義で楽しい創意ある活動を繰り広げましょう。

(柴田)

財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2013/6/30
単位:円
摘 要収 入支 出
一般会計951,8003,738,526
教育事業4,565,9502,092,210
一般事業2,091,0231,720,810
当期剰余金 57,227
合 計7,608,7737,608,773
前年同期(単位:円)2012/6/30
摘 要収 入支 出
一般会計1,055,9433,718,598
教育事業3,961,7762,102,345
一般事業2,483,4991,604,453
当期剰余金 76,013
合 計7,501,4097,501,409

 1~6月の収入総額は前年比微増、ロシア語収入は堅調ですが一般会計収入、一般事業収入とも前年度を下回っているのが気になります。
 当期剰余金も前年度を下まわる57,227円、全体としては収支すれすれの低空飛行の観があります。
 一般会計収入、一般事業収入の減収、全体としての停滞状況の主原因は木佐森理事長の本部転出後、後任専従者が欠員のままであることです。具体策を講ずる必要があります。

貸借対照表 (2013/6/30)
科 目本年6月末残高前年同期残高対前年同期増減
流動資産5,232,8974,629,261603,636
固定資産1,884,7751,884,7750
資産合計7,117,6726,514,036391,162
流動負債000
固定負債000
負債合計000
純資産7,117,6726,514,036603,636

協会の純資産は前年同期比約60万円増加し、負債はゼロです。これは専従者欠員にもかかわらず現事務局職員が奮闘していることを示しています。

(柴田)


お勧め商品

テーブルビートの酢漬け

テーブルビートの酢漬け 630円(税込)

カットしたビーツを塩、砂糖、酢酸で漬けました。サラダはもちろん、ボルシチにもご利用ください。
内容量:530グラム
原産国:ロシア
原材料:テーブルビート、漬け原材料(塩、砂糖、オールスパイス)、酸味料(酢酸)
賞味期限:2015年4月26日
保存方法:直射日光を避けて保存してください

チェリージャム

チェリージャム 650円(税込)

砂糖と果実のみを使用したロシアの伝統的なチェリージャムです。
内容量 : 325 グラム
原産国:ロシア
原材料:チェリー、砂糖

ヘーゼルナッツチョコレート「ロイヤルアワード」 120円(税込)

ヘーゼルナッツチョコレート
ウェハースとミルクチョコレートとローストヘーゼルナッツの香ばしさが絶妙にマッチ。
日本では見かけないタイプの珍しいチョコレートバーです。ウクライナ製。

※賞味期限が9月のためお安くなっています。協会事務所でのみ販売中。この機会にぜひお試しください。

文化・芸能

ユーラシア音楽芸能情報

Русская Десятка ロシア・トップ10

ロシア・トップ10
 蒸し暑い真夏のロシアから、6月第4週のRussia Airplay Chart TOP10をお送りします。10曲中4曲が初登場の波乱ぶり。1曲が返り咲き!
 第1位に輝いたのは、またニューシャの"Наедине"(独り)でした。3月オンエア、一時期はグラードゥスィに蹴落とされましたが2ヶ月連続でトップを守り抜きました。ニューシャ強し!おめでとうございます!:-)

(チャート詳細と全文はこちらから)

(Tophit.ru, Russia Airplay Chart、6月17~23日/MOPA)

ユーラシア圏でのLGBT※アーティスト事情(6)疑惑の人々

LGBT団体とアンチLGBT団体による激しい衝突
 6月11日、露下院議会で「未成年に対する同性愛の宣伝を禁じる法案」が可決された。露ではLGBTを「非伝統的な性的嗜好」という表現がなされるが、未成年者に対し喧伝を阻止することで多感な年頃の未成年者の情緒や性知識を守ろうという狙い。大統領の署名がされれば、法律は施行される。我々にとって懐かしい、お騒がせデュオ・タトゥーの活動のような事が今後あったら、犯罪になってしまうわけだ。LadyGAGAもElton JohnもQUEENもコンサート開催が難しくなる。この知らせを受け、議会外でLGBT団体とアンチLGBT団体による激しい衝突があり、10名ぐらい逮捕された。(写真、朝日デジタルより)

(続きを読む)

(MOPA)

映画・演劇

知られざるリトアニア映画の世界 アルトゥラス・バリーサス特集

アルトゥラス・バリーサス
(於:渋谷UPLINK)

 本邦初公開となるリトアニア映画を紹介したシリーズ第1回。アルトゥラス・バリーサスは、前衛映画のパイオニアとして活動し、音楽・古書のコレクター、前衛バンド「I.V.T.K.Y.G.Y.G」(and everything what is beautiful is beautifulという意味なのだそうだ)のリードボーカルとして活躍した奇才。2005年に51歳で没したが、今なおアートシーンへの影響を与え続けている。今回は1970年から84年までに制作された40本の作品から、主要作品を含む短編11本が紹介された。

 ソ連時代のリトアニアも表現の自由がなかった時代。そんな中作られたバリーサスの映画は、映画という表現手段に自由への活路と当局への挑戦が込められ、ときに上映禁止処分を食らっている。ほとんどの作品は台詞がなく、挿入される音楽(彼のコレクションによる)と辛らつな皮肉、マニキュアでテープをつなぎ合わせたという斬新な編集が爆発的なエネルギーを感じさせる。特に「He is wanted」(1980)は、ひょんなことから指名手配を受けてしまったバリーサスが、女装しながら街中を逃げ回るという不条理さが痛快。

 リトアニア大使館からワインの差し入れなどもあったりして、なかなか面白い企画だった。

(滝沢)

ロシア文化フェスティバル2013「ロシア文化人講演会」
マイヤ・コバヒゼ講演会「現代ロシア演劇における新しい傾向」

6月24日 於:東京ノーヴィ・レパートリーシアター劇場内

マイヤ・コバヒゼ講演会
 講師を務めるマイヤ・コバヒゼ女史は、演劇研究家・評論家というだけでなく、元ロシア連邦文化映画庁現代芸術局長など要職を歴任し、祖父・父がグルジアの名優、娘がボリショイ劇場のプリマ、ネリ・コバヒゼというすごい家系の人である。にもかかわらず、非常に気さくな人柄で講演会のみならず、その後に開催された交流会でも言葉の壁を越えて来場者と親しく交流した。

 今回は聴衆のほとんどが劇団関係者ということで、テーマの中心はスタニスラフスキー・システムによるロシア演劇教育だった。ソ連時代から、ロシア演劇教育は他国に見ない独創的なものであったが、その基礎はスタニスラフスキー・システムであると女史は力説。現在、演劇のプロを養成する高等教育機関は、劇団付属の演劇学校と4年制のアカデミー(旧ГИТИСなど演劇大学)の2系統があるが、どちらも伝統を保持しながら斬新さも追求し、世界に影響を与えているという。

 演劇学校の競争率の高さは驚くべきものがあるが、コバヒゼ女史によるといわゆる早期教育やアマチュア演劇経験者よりも、まっさらな状態で入学してくる方がよいそうだ。なぜなら、入学後それまで身につけていた「くせ」を修正する必要が生じるからだという。「役を生きる」ことを目標とするスタニスラフスキー・システムにとって、「紋切型」の演技は好ましくないのである。

マイヤ・コバヒゼ講演会
 演劇大学での教育目標はスタニスラフスキー・システムを徹底的に習得することだ。1年次にはさまざまなシチュエーションで相手との「交流と反応」が自然に行えるよう訓練する。2年次から簡単な「役」を導入したエチュードを行い、その状況での「役」になりきることを学ぶ。3年次以上になると卒業公演を目標とした訓練に移るという。

 現在モスクワだけでも約200の劇団がある。それぞれが劇場をもちレパートリーシステムの中で日々しのぎを削っている。世界的な演劇フェスティバルも多く、劇場が日常生活に溶け込んでいる。今回、ロシア演劇の最新事情は時間の関係で聞くことができなかったが、ロシアの演劇教育のすごさを実感した講演だった。

(滝沢)

ユーラシア通信

事務局からのお願い

 協会費は年4回、3月・6月・9月・12月に、お申し出がない限り入会当時の区分で請求させていただいています。
 会員の種類(下表参照)が変わった方は、その都度事務局までお申し出ください。
 尚、協会規約により、過去にご納入いただいた会費の払い戻しはできませんがご了承ください。

会員の種類適用基準金額(月額)
普通会員下記以外の方800円
団体会員団体・法人一口 1,000円
二口(2,000円)以上
家族会員普通・シニア・学生・身障者会員の
配偶者、同居の親、子、兄弟
350円
シニア会員75歳以上400円
学生会員大学・専門学校生600円
ジュニア会員高校生以下300円
身障者会員身体障害者手帳をお持ちの方400円

会費のお支払い先はこちらをご参照ください。

投稿歓迎!

 ユーラシア関連記事、写真、本紙に関するご意見・ご感想など歓迎します。記事は1記事800字以内を目安にお願いします。紙面の都合により若干編集する場合、分割して掲載する場合がありますがご了承ください。ペンネームでの掲載・肩書をご希望の場合はお書き添えください。特に記載のない場合はフルネーム(WEB版では苗字のみ)で掲載させていただきます。締切は毎月末になります。投稿はEメール・郵便・FAXのいずれかで。宛先は下記の通りです。

(機関紙編集部)

催し物情報

マトリョミン合奏でギネス世界記録TMに挑戦!
7月20日(土)、ネットで生配信

 今年はマトリョミンが量産開始されてから10年。これを記念し、ギネス世界記録にマトリョミン合奏で挑みます。
 今回の挑戦で記録認定されると、世界初の樹立となります。記録達成のためのボーダーは250名。およそ275名の奏者で挑みます。
 この挑戦の様子をUstreamのプラットフォームにて7月20日当日10:30よりインターネット生配信されます。
 みなとみらいマトリョミン教室の受講生のみなさんも参加されます。ぜひこの挑戦の瞬間をご覧ください。

Mandarin Electron TV on Ustream
*一時的に回線がダウンしたり、見苦しい品質になってしまう可能性があることをご了承ください。

演奏会「語りとテルミンで紡ぐ《アグニの神》」

世界最古の電子楽器テルミンを歌や踊りとともに演奏。
とき:7月21日 16~18時
ところ:建長寺方丈(鎌倉市)
料金:前売り3000円(別途拝観料300円が必要)
申し込み・問合せ:彩企画 080-5436-0828

モンタージュ理論を生み出した男―レフ・クレショフ傑作選

ロシア帝国からソビエト連邦へと体制が移りあらゆるものが変化した、激動の1910~20年代のロシア。
芸術でもロシア・アバンギャルドという新しいムーブメントが生まれた時代に、映画においてその先頭にたったレフ・クレショフは、モンタージュ理論を打ち立て、現代映画の基礎を築き上げた。
今回は次の3作品が公開される。
伝説の奇天烈コメディー『ボリシェヴィキの国におけるウェスト氏の異常な冒険』(1924年)
異色のサスペンスドラマにしてクレショフ自身が認める最高傑作『掟によって』(1926年)
戦乱を舞台にした道化師達の人間ドラマ『二人のブルディ』(1929年)

とき:8月17日(土)よりレイトショー
ところ:渋谷 ユーロスペース2
問合せ:03-3461-0211

歴史・社会

日露領土問題の歴史(4)

松前家5世・初代藩主松前慶廣像(松前町・阿吽寺所蔵)
 蠣崎慶廣は天正19年(1591年)、南部地方で九戸政実の乱*が起きると、豊臣秀吉の命により国侍(国侍=地方の侍)として多数のアイヌ人を動員して討伐軍へ参加、戦勝後、文禄2年1月(1593年)には肥前国名護屋城に兵を率いて赴き、朝鮮出兵前の秀吉に謁見しました。

 秀吉は「狄(てき)*の千島の屋形**が遠路遥々参陣してきたことは朝鮮征伐の成功の兆しである」と喜び、従四位下・右近衛権少将に任じようとしましたが、慶廣はこれを固辞し、代わりに蝦夷での徴税などを認める朱印状***を求め、秀吉はこれを認めるとともに彼を志摩守に任じました。慶廣は朱印状を領民に示し、且つ、これをアイヌ語に訳し、アイヌ人に「自分の命令に背くと秀吉が10万の兵で征伐に来るぞ」と威嚇し、全蝦夷地(樺太、北海道)の支配を確立したのです。

慶廣は慶長3年8月秀吉が死去し、天下が家康のものに成りかけると同4年11月大阪城で家康に謁見し、蝦夷地図と家譜を献呈し、姓を蠣崎から松前*に改姓しました。

 徳川幕府が江戸に開かれると、大名、小名の論功行賞、改廃が行われました。その中で、同9年正月27日松前慶廣に宛て徳川家康からの黒印状*が発せられました。

松前家5世・初代藩主松前慶廣像(松前町・阿吽寺所蔵)

(次号に続く/柴田 順吉)