今月の表紙:新年あけましておめでとうございます

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2013年1月号 No.615

会長 柴田 順吉

柴田会長
 会員の皆様、協会関係者の皆様!  明けましておめでとうございます。

 昨年度は協会本部の危機的状況を克服する為、木佐森理事長を急遽本部理事長に、柴田会長を本部副理事長に送り出すという予期しなかった事態が起こり、県連の運営には若干の困難が生じました。

 しかし、こうして本部を支えながらも、県連役員、会員の懸命な努力でロシア語、日本語、バラライカ・ドムラ、マトリョミン各教室ともほぼ順調に運営されました。大手自動車メーカーでのロシア語出張講座も好評でした。ヨールカ祭、ハバロフスク旅行、国際フェスタなどの主要年間行事も成功裏に行われました。ハバロフスクではハバロフスク友好協会との交流強化の為の懇談会も行われました。この結果、4月には同会からはじめての視察団8名を横浜に受け入れることになりました。

 ロシア、ウクライナ物品の販売は前年比約40%の大幅増加となり、うにべるま~ぐ(on-line shop)、1F事務所の売店は充実してきました。

 会員数は残念ながらほぼ現状維持に止まりました。

 日本政府が軍国主義復活を志向し、近隣諸国との関係を剣悪化させている中、私たちの草の根の国際友好運動はますます重要な意義を持ってきました。会員拡大には一層の意識的な努力が求められます。

 予算総額目標は103.6%を達成、1997年以来、連続15年の輝かしい前進を遂げました。

 新年度は従来の諸活動を確り固めると共に、内外情勢の進展に相応しい諸活動を創造、発展させましょう。

 また会員数を毎月一人でも必ず増やすよう、綿密な組織計画を立て、点検、遂行しましょう。

 今、世界は疾風怒濤の時代です。そうした中にあって私達は世界に誇る日本国平和憲法と協会の理念(人権、民主主義、平和)を守り、ユーラシア諸国民との友好と世界平和の大道を、ゆるぎない確信を持って進みたいと思います。

行事予定

ロシアの新年&クリスマス ヨールカ祭2013

ヨールカ祭2013
 来る1月27日(日)、恒例の新年行事「ヨールカ祭」が行われます。ロシアのサンタクロース「ジェッドマロース」と孫の雪娘「スネグーロチカ」が登場し、子供たちと遊んでプレゼント。ロシアの音楽や劇など様々な催しや、ロシアのご馳走もお楽しみいただけます。詳しい内容は右のチラシ画像をクリックしてごらんください。

 横浜近辺在住のユーラシア諸国の皆さんと会員・教室生徒の皆さんが親睦を深める最大の機会です。みんなで一緒に楽しく祝いましょう!

 ボランティアスタッフも同時募集中です。前日や当日の準備や片づけをお手伝いいただける方は事務局までお申し出ください。
 皆様のご参加とご協力をお待ちしています!

【日時】2013年1月27日(日)13:00~17:00
【場所】横浜平和と労働会館2,3,5階
【参加費】会員2,000円、一般2,500円、小中学生1,000円、未就学児無料、「ユーラシア」諸国民2,000円
【参加ご予約(1月24日(木)締切)、お問い合わせ】
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会第9回定期総会

【日時】2013年2月24日(日)13:00
【会場】横浜平和と労働会館3階(予定)
【内容】定期総会13:00~(事業計画、決算、予算、役員案承認、質疑応答他)
総会終了後記念講演=講師:徳永晴美氏(ロシア語通訳者、上智大学外国語学部元教授、当協会会員)
【お問い合わせ】
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp

ハバロフスク市民の日本友好訪問ツアー2013企画中!

「すずらんの会」会長ゾーヤさんも来日予定
 先月お知らせした通り、ハバロフスクで日本との親善交流を20年間行い、当協会も毎年夏の旅行でお世話になっている市民団体のメンバーと日本で交流するツアーを今年4月に企画しています。会員の皆様にもご協力をお願い申し上げます。

【企 画】
1.日程
2013年4月1日(月)~5日(金)
2.旅行団メンバー
「すずらんの会」を中心とする6名(女性)
3.旅行スケジュール
●1日目 ハバロフスク→横浜 歓迎夕食会(みなとみらい地区)
●2日目 みなとみらい、山下公園、外人墓地、中華街など 協会訪問
●3日目 三渓園、八景島シーパラダイス、ショッピング(横浜駅周辺)
●4日目 鎌倉(八幡宮、長谷の大仏)、江ノ島 歓送会
●5日目 横浜→ハバロフスク

会員の皆様にお願いしたいこと
A.宿泊の受け入れ
●JR 桜木町駅からの交通の便がよく、夫婦或いは女性のみの家庭
B. 受け入れ資金カンパ
●任意、金額の多寡を問いません
●振込先:
(1)郵便振替 口座番号 00210-9-4922
NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会
(2)【店名】ゆうちょ銀行〇二八(ゼロニハチ)店【店番】028 【口座番号】7815599 【預金種目】普通預金
(3) 横浜銀行本店営業部(普)1301483
日本ユーラシア協会神奈川県連合会
C. 随行者募集
●ロシア語生徒、ロシア人と交流したい方。一日のみでも可。交通費、弁当代実費支給。

★お問い合わせ、お申し込み
神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp

活動報告

手作りと珍しい一品で盛り上がった望年会

 今年最後の行事、望年会が12月23日(日)に行われました。年末の忙しさと、三連休の中日ということもあってか、人数は少な目。それでも7人が集まり、今年一年ご苦労様という事でグラス片手に楽しい語らいの時間を過ごしました。

 今回は5Fが会場だったため、参加者が何等かを持ち寄り、まさに手作りパーティ。その中での圧巻は沖縄の泡盛とチラガーでした。ウォッカならぬ泡盛の乾杯の後、柴田さんが誂えてくれたチラガーが並びました。チラガーとは沖縄名物の豚の面の煮込みです。ミミガーは比較的有名ですが、ミミガーを含めた顔全体の煮込みは初めてという人も。他にもロシア産オイルサーディンが開けられ、グラスが進みました。黒パンも二種類が出されて、それぞれの味見も。

 話題は来年のヨールカ祭や直近の選挙の話まで、多岐にわたりました。いつも歌と楽器を披露してくれる樋口さんも参加してくれました。

 この明るく元気な仲間と一緒に、ぜひヨールカ祭を成功させたいものです。

(関戸)

教室案内

横浜ロシア語教室 第117期 生徒募集中

 入門・初級・中級・上級・応用・会話クラスの他、時間や内容を学ぶ方に合わせた個人レッスンの生徒も募集中。
 時間割・内容・料金(会員割引有)等の詳細はホームページをごらんください。受講お申し込み・お問い合わせ先は次の通りです。


日本語教室 生徒募集中 Курсы японского языка

 教室では現在3名の生徒が学んでいます。
 レッスンは月曜~金曜、10:00~17:00の間で応相談。1コマ90分。基本的には個人レッスン。同レベル・同時期開始の場合はグループレッスンも可。
 入学金5,250円(会員無料)、受講料1回3,000円。

ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

2012年度後期予定(毎月2回、土曜日開講):前半:10/20、11/10、11/24、12/8、12/22 後半:1/12、1/26 2/2、2/16、3/2、3/16
時間・内容はお問い合わせ下さい。
講師:北川 翔
会場:横浜平和と労働会館5階
会員受講料(1回45分×6回分):3~5名クラス:24,000円、2名クラス:36,000円、1名クラス:60,000円

みなとみらいマトリョミン教室

日程:毎月1回、土曜日開講
2012年度後期予定:10/20, 11/17, 12/15, 1/19, 2/16, 3/16
◆アンサンブルクラス(90分)
13:00~14:30
◆グループレッスン(60分)
Aクラス14:45~15:45(空席1)
Bクラス15:55~16:55(空席2)
入学金:3,000円(継続の方、会員は免除)
受講料:アンサンブル3,500円×6回=21,000円、グループレッスン3,000円×6回=18,000円
会場:横浜平和と労働会館2階
講師:平野 麻里(マトリョミン演奏家、指導者)

お勧め商品

ウクライナ ミックスチョコ

ウクライナ ミックスチョコ(6個入り)
350円

ひとくちサイズのさまざまな味のチョコレートを詰め合わせました。気軽な手土産やおやつにご利用ください。

グジェリ柄サモワール3点セット(3L)56,500円

グジェリ柄サモワール3点セット
サモワール、お盆、ティーポットの3点セット。ロシアの有名な焼物「グジェリ」の花柄が施されています。白地に青の絵柄が上品です。

【サモワール】サイズ:サモワール・高さ35cm、最大直径19cm/材質:真鍮/色柄:白、青/コードの色:白/容量:3L/電圧220V、1kw用/製造:ロシア連邦トゥーラ市/蓋、リングは取り外し可 コード付

【ティーポット】サイズ:高さ13.5cm、最大直径11cm/容量:500ml/材質:セラミック(陶器)製/色:白、青、金(表面)、白色(内側)/ロシア製

【お盆】サイズ:45.5×34cm/色:白、青、金/中国製

ウズベキスタン製女性用手編みニット各種
・手袋3,300円・靴下2,500円・部屋履き1,200円

手袋
寒い日が続きます。ウズベキスタンの手編みの手袋や靴下はいかがでしょうか。カシミヤまたはウールで一針ずつ丁寧に編まれた暖かいニット製品です。女性用のSサイズが中心ですが、協会事務所にてお確かめください。 色はグレー、黒、黄色や紫の色糸が入ったものなど。カシミヤの模様編みショールも在庫あり。

組織・財政

組織状況

(2012年12月27日現在)
 年初会員数:221名、12月末会員数:会員数218名(前月比-7名)年初より3名減。
 年間会員数を減らすことは私たちの国際親善・平和の運動を後退させることであり、あってはならないことです。退会の原因には高齢化、他界などやむをえないものもありますが、転居などで連絡先不明になることが少なくありません。
 転居・一時移住・出張による長期不在などの場合は、速やかに事務局までお知らせください。

年末カンパありがとうございました

 この年末、数名の会員の方からご寄付をいただきました。心より御礼申し上げます。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

財政状況

 12月末現在の収入は本年度予算額13,828,000円に対し、実績14,328,434円で103.6%の遂行率です。
 専従理事長が本部理事長兼任という非常事態の下で役職員一同よく努力されたと評価できます。
 剰余金は年間目標1,115,600円に対し、(決算処理をしていない状況で)12/27現在566,059円です。剰余金が予算に比べ減少した理由は(有)カチューシャからの不動産寄付に伴う贈与税、手数料などの支払いによるものです。

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2012/12/27
単位:円
摘 要収 入支 出
一般会計1,947,5716,883,029
教育事業7,840,1363,883,133
一般事業4,540,5362,996,213
当期剰余金 566,059
合 計14,328,43414,328,434
前年同期(単位:円)2011/12/24
摘 要収 入支 出
一般会計2,278,5995,437,083
教育事業8,293,7523,390,452
一般事業3,215,7982,128,787
当期剰余金 2,128,787
合 計13,788,14913,788,149

貸借対照表 (2012/12/27)
科 目本年12月末残高前年同期残高対前年同期増減
流動資産5,119,3074,239,64450,149
固定資産1,884,7751,950,000455,225
資産合計7,004,0826,189,644▲405,076
流動負債000
固定負債000
負債合計000
純資産7,004,0826,189,644▲405,076
(柴田)

文化・芸能

ユーラシア音楽芸能情報

Русская Десятка ロシア・トップ10

ロシア・トップ10
 С Новым Годом!! 銀色ロシアから、TOP10をお送りします。今月号よりMTVだけでなく、他ラジオやテレビ局で放送されたリクエスト、ビデオ、チャートも加えて総合した、より正確なチャートを公表するTophit.ruのRussian Airplay ChartからTOP 10をご紹介していきます。12月第4週のTOP 10 です。

 今月第1位に輝いたのは、Гости из будущего時代からのFANに嬉しい、Еваの新譜「Весь мир на ладони моей」。20世紀末にデビューした時の、あの懐かしい雰囲気を感じさせるメロディと声で首位奪取。おめでとうございます!:-)

(続きはこちらから)

(Tophit.ru, Russia Airplay Chat,12月17~23日/MOPA)


映画・演劇

小林達雄×ミステリヤ・ブッフ プロデュース「スワン・ソング」


11月29日 於:中野・スタジオあくとれ
スワン・ソング

 チェーホフ27歳のころの戯曲「白鳥の歌」は、「熊」「結婚申込」などに比べて上演の機会が少ないものの、チェーホフ独特のアイロニーが詰まった一幕劇である。今回の上演は、「ミステリヤ・ブッフ」というマヤコフスキー×メイエルホリドの作品名を冠した演劇集団により、神秘的な雰囲気に満ちた演出となっていた。

 主人公はかつて名喜劇俳優として名をはせた一人の老人ワシーリー(小林達雄)。芝居がはねた真夜中の小屋で、彼はプロンプターのニキータと出会う。ワシーリーは結婚を申し込んだ女から「舞台を捨ててほしい」と言われたのに、そうできなかった己の失態を嘆きながら、かつての栄光を回想しつつ次々と舞台台詞をつぶやく。もちろん、忘れた台詞はプロンプターがサポートしつつであるが…。

スワン・ソング

 シェークスピア、プーシキン、グリエボードフの名台詞が走馬灯のように現れては消える。今回の演出では、原作にプラスしてチェーホフ四大戯曲の台詞も三人の「幻の女優たち」によってコラージュされ、まるでチェーホフ作品の入れ子細工だ。

 台本・演出の福田光一氏は、この作品をスターリン政権によって殺害されたメイエルホリドに捧げると述べている。リアリズム演劇の代表として演じられることの多いチェーホフを大胆に料理する醍醐味は、実に爽快なものであったろう。

(文・滝沢、写真・小林達雄×ミステリヤ・ブッフ 提供)

クラシック音楽

横須賀に響いたモスクワフィルの音色


モスクワ・フィルハーモニー交響楽団公演
12月9日(日)よこすか芸術劇場

 久しぶりにモスクワフィルを聴いた。

 前回聴いたのはいつだったか?確か指揮者はコンドラシンの後を継いだキタエンコであった。それだけはおぼえている。

 今回の指揮者はユーリー・シーモノフ、初めての指揮者であり、どんな演奏を聴かせてくれるのか非常に楽しみにして横須賀まで足を運んだ。

 会場となった「よこすか芸術劇場」は初めてであるが、期待以上の素晴らしいホールでビックリした。響きはライブすぎす、デッドすぎず、オーケストラの音色を変えることなくダイレクトに客席に届けてくれた。

 この日のプログラムは、チャイコフスキーの「ロミオとジュリエット」「バイオリン協奏曲」、ショスタコーヴィチの「交響曲第5番」という願ってもない名曲揃いでうれしくなってしまった。

 最初の曲である「ロミオとジュリエット」が会場に流れた途端、頭の中に昔聴いたモスクワフィルの音色が鳴り渡った。ああモスクワフィルの音だ!と体が反応し始めた。

 二曲目は大好きなヴァイオリン・コンチェルトである。ソリストのボリソグレブスキーも初めてであるがなかなかのテクニシャンで、これも昔聴いたイリヤ・グルーベルトに似た演奏家に思えた。若々しい演奏を熱演し、オーケストラがこの若き才能を見事にバックアップしてくれた。残念だったのは、この曲を初めて聴く人が多いようで、3楽章で相当の人数の拍手がなされたことであった。確かに初めて聴く人はその様に受け取ってもしかたがない。事実ソリストもオケも馴れっこになっている様で、対応も自然であった。

 終って、本当の拍手が鳴り止まない中、アンコールに応え二曲も弾いてくれた。

 休憩後は、当日最大の聞き物であるショスタコーヴィチの名曲中の名曲、第5シンフォニーである。このオケと指揮者が愛する作曲家のため全力投球をしてくれた。会場の大きさも丁度良く、日本のオケからは決して聴くことのない豊かな音色でホールを満たしてくれた。ムラヴィンスキーの5番とは趣を異にするが、これまたロシア型とも言える音色、音量を伴った名演奏であった。

 指揮者もよほど上手に演奏出来たのか、4曲もの(それも2曲はオケのメンバーをソリストにして)アンコール曲をプレゼントしてくれたのには正直おどろき感激してしまった。友人が東京で聴いた時は、アンコールは2曲だけだと言っていた!

(金子)

催し物情報

劇団だるま座 廃屋のチェーホフシリーズ

とき:2013年1月27日(日)まで
ところ:アトリエだるま座(中央線荻窪駅)
料金:一般2700円、小学生以下1600円、リピーター券2200円、4作品通し8000円
内容:チェーホフの4大戯曲を毎日日替わりで上演。
くわしくは 劇団だるま座のホームページ にて。

ユーラシア通信

子ども向けロシア語教室「ラシンカ」2012年クリスマス会

「ラシンカ」2012年クリスマス会
 ラシンカとは、在日ロシア人の子ども向けのロシア語教室で、横浜にて活動を行っています。

 私は昨年からラシンカのロシア語教室のお手伝いをしていますが、先日12月2日(日)にクリスマス会に行ってきました。先生、子どもたち、ご父母の方々が集まり、子どもたちによる出し物、ゲーム等を行いながら、和気あいあいと楽しみました。

「ラシンカ」

 近年は、日本企業のロシア進出や、日露交流が盛んになったことから、日本人とロシア人の国際結婚も増えています。ラシンカには、日本人とロシア人の間に生まれた子どもたちが多く通っています。親御さんたちには、ロシアにいる親戚とロシア語で話せるようにしたい、という思いがあるようです。

 ラシンカの子どもたちには毎年恒例のヨールカ祭でも出演していただいています。今後も日本とロシアの交流の一環として、ラシンカの活動を応援したいと思います。

(高橋)

バルト諸国縦断旅行記
第3回 ラトヴィア・リガ 活気あふれる商人の町

聖ペテロ教会の塔からのリガ旧市街の展望
聖ペテロ教会の塔からのリガ旧市街の展望

 エストニアの首都・タリンからバスで南に4時間半ほど走ると、ラトヴィアの首都・リガに到着します。とかく混同されがちなバルト三国、学生時代には北から順番に「エ・ラ・リ」、推理作家・エラリー・クイーンの語呂合わせで覚えたものです。

 リガはバルト三国の中心に位置するだけでなく、ハンザ同盟の都市として古くから商業によって発展してきた、バルトの経済の中心地でもあります。

 翌日は朝からリガの旧市街を歩いて回りました。ここも昔は城壁に囲まれていたそうなのですが、商業都市として発展していくにつれ城壁は取り壊され、外側へ向かって街の規模を広げていったとのことです。リガは商業で発展した都市で、それを象徴するかのような建物が旧市街の中心の市庁舎広場にある「ブラックヘッドのギルド」です。商人たちの集会所として1334年に建造されたレンガ造りの建物は、外壁の装飾や天文時計のような凝った仕掛けのおかげで、広場の建物群の中でもひときわ目立っています。

市庁舎広場、ブラックヘッドのギルド
市庁舎広場、ブラックヘッドのギルド

 また、旧市街で必ず足を運んでほしいのが聖ペテロ教会の塔で、尖塔の高さはなんと123mもあります。ここの展望台から眼下を眺めると、中世の建物がびっしりと立ち並ぶリガ旧市街だけでなく、市を二分するダウガヴァ川対岸のホテルやオフィスビル群、テレビ塔などを、360度ぐるっと見ることができます。

 中世の建築群以外でリガの見どころといえるのが、旧市街から少し歩いた場所にあるユーゲント・シュティール様式の建物群です。日本ではアール・ヌーヴォーとして知られる、19世紀末から20世紀初頭にかけて流行した建築様式で、植物のような曲線美や彫像を装飾として取り入れた優美な建物が、リガ市内の一角に集まっています。リガのユーゲント・シュティール様式建築の旗手は、ロシア映画ファンなら知らない人はいないセルゲイ・エイゼンシュテイン監督の父親、ミハイル・エイゼンシュテイン。中・東欧の建築はどこも同じようでつまらない、という声も聞かれますが、リガに来ればその考えは一変することでしょう。エイゼンシュテインが設計した建物が集まるアルベルタ通りの家々は、どれも個性的なものばかりで、写真を撮っているとなかなか足が前に進まないほど。ソ連時代には荒れ放題になっていたそうですが、独立後には修復も進み、今ではリガ繁栄の時代を感じさせる観光名所になりました。

 歩いているだけで歴史の変化を体感できるリガの街、先進的で快活な空気が感じられるこの街を、皆さんもぜひ訪れてみてください。

(桜井)


「ムルマンスクでオーロラを観てから帰国したい」
~冒険家・渡辺大剛さん交通事故死~

冒険家・渡辺大剛さん
 日本人最年少22歳で7大陸最高峰制覇した有名な冒険家・渡辺大剛(わたなべ はるひさ)さん(※写真左)が、ユーラシア横断自転車旅行をしている最中亡くなりました。事故が起きたのは、ムルマンスク州南部カンダラクシャ市から南へ30km行った幹線道路M-18上で、26日午前10時(日本時間午後3時)頃。12月30日現在入った情報では、遺体はムルマンスクへ搬送され、在モスクワ日本大使館から代表者が29日晩遅くに現地入りし、31日早朝には遺体とともにモスクワへ戻ったそうです。

フョードル・コニュホフ
 ペトロザボーツクで取材を受けた際は、7大陸最高峰登頂制覇ということで、露初登頂者の名前で「日本のフョードル・コニュホフ」(※写真右)と称され、驚きと大歓迎を持って紹介されました。カレリアに入るまで誰一人彼の名を知りませんでしたが、この紹介で州内にたちまち広まり、特に終着点のムルマンスク市民は大喜びしました。

 しかし、ムルマンスク州南部カンダラクシャ市から南へ30km行った地点で、ゼレノゴルスク町の元町長、ボリス・ロジャンスキー容疑者が運転していた日本車に追突され、ほぼ即死。現場は雪で路肩が狭く、1日中暗い極夜シーズン中。しかも行き交う車で舞い上がった粉雪により視界が不明瞭。ロジャンスキー容疑者の前方を走っていた乗用車は、悪条件下でもランプを灯して走行中の渡辺さんに気づき車線変更しましたが、ロジャンスキー容疑者は全く気づかず、前方不注意で追突。28日に実況見分、29日に起訴されました。

 14日はペトロザボーツクへ寄り、17-18日には同共和国のメドヴェジヤゴルスクとセゲジャの間を走行してたとか。ロシアの道路交通はワーストレベル。終着点のムルマンスクまで300km程だったのに、お会いできたかもしれないのに、すごく残念です。

 ご冥福をお祈りします。

(MOPA/ムルマンスク)

投稿歓迎!

 ユーラシア関連記事、写真、本紙に関するご意見・ご感想など歓迎します。記事は1記事800字以内を目安にお願いします。紙面の都合により若干編集する場合、分割して掲載する場合がありますがご了承ください。ペンネームでの掲載・肩書をご希望の場合はお書き添えください。特に記載のない場合はフルネーム(WEB版では苗字のみ)で掲載させていただきます。締切は毎月末になります。投稿はEメール・郵便・FAXのいずれかで。宛先は下記の通りです。

(機関紙編集部)

歴史・社会

私の見た中・東欧諸国の現在(6)チェコ共和国

 アウシュビッツ視察の後、バスで263Km走ってブルノーで一泊。翌朝、122km離れた世界遺産テルチ歴史地区を見学。ここには城と、良質の保存がなされているルネサンス様式の長い中心地があります。テルチは14世紀半ばに建設され、古代ローマ式の聖霊塔が既に存在していたほど古い町です。町の城壁と聖母教会は、ゴシック建築です。テルチは1945年まではドイツ語人口の多い土地柄でしたが最近ではその比率は下がっています。

 テルチ見学後更に107km離れた世界遺産の町チェスキー・クロムロフを訪れました。ここはチェコ・南ボヘミア州の小さな都です。クルムロフ城を含む優れた建築物と歴史的文化財で知られ、クルムロフは「川の湾曲部の湿地帯」を意味しています。

 湾曲した澄み切った清流に調和した実に美しい町です。

旧市街
 この日は強行軍でお城や旧市街を見学したあと、更に178km離れたプラハに行きアンデルスホテルという超一流のホテルに泊りました。私が今まで泊ったホテルの中で一番贅沢なもので玄関、応接間、仕事部屋、会議室まで付いていました。「社会主義」時代には考えられなかったようなものでした。

 翌日は昔懐かしいプラハ城、旧市街(Staro-Mesta)などを見て回りました。プラハの町は私が仕事をしていた1970年代とは比較にならないほど大勢の観光客で活気がありました。

 国民一人当たりGDPは20,690米ドル(2011年)と東欧では比較的に高く、経済成長率はEC諸国が殆どマイナスである中、ポーランドと並んで例外的に1.9%(2011年)のプラス成長です。.

 物価上昇率は年率1.9%、失業率は6.7%(ILOベース)です。これはチェコがユーロを導入すれば新自由主義の弱肉強食に巻き込まれると判断し、.通貨チェコ・コルナ(Kc)を維持して、通貨主権を守り自主独立路線を貫いた為で、時の首相の判断は高く評価され、銅像も建てられています。TPPが論議されている現在、他山の石とすべきだと思います。

(柴田)

許せない歴史の偽造~自由社、育鵬社の歴史教科書~

 育鵬社の教科書はそのまとめ(p.246)で次のように記しています。

「わが国は過去の歴史を通じて、国民が一体感をもち続け、勤勉に、礼節を重んじてくるなかで、さまざまな困難を克服し、世界でもまれな安全で豊かな国をつくってきました。これからもすぐれた国民性を発揮して国内の問題を解決するとともに、世界の人々から信頼され、感謝されるような国際貢献に努めていくことが求められています。」

 (1)「国民が一体感を持ち続け」と言うのは「万世一系のわが大日本帝国」という戦前の歴史教科書とそっくりです。大化の改新、武家政治の成立、明治維新など日本の歴史上の重大な出来事はいずれもそれまでの古い社会制度を崩壊させ、新しい社会を造るための国を二分しての大きな戦いでした。

 今でも原発、TPP、憲法、基地問題、消費税などをめぐって国内には大きな矛盾・対立があります。矛盾があってこそ社会の進歩や発展があり、それが歴史の客観的法則なのです。

 (2)「世界でもまれな安全で豊かな国をつくってきました」というのも安全神話です。

 1894年の日清戦争以来、日露戦争、第一次世界大戦、対露干渉戦争、日中戦争、第二次世界大戦と1945年までの半世紀余りにわたって侵略戦争を行い、何千万の死傷者と膨大な精神的、物質的損害を出してきた国が何で「安全で豊かな国」などと言えるでしょうか?

 今でもこの国は冷戦終結で販路を失った米国原子力潜水艦の原子炉「平和」利用に端を発した原子力発電に、福島であれほどの大事故があったにも拘わらず、こだわり続けています。

 この国が戦後60年余り平和だったのは過去の戦争を深刻に反省し制定された平和憲法を国民がしっかり守ってきたからなのです。

 育鵬社の教科書は「2006年、安倍晋三内閣のときに教育基本法が改正され、(中略)また憲法改正のための国民投票法の制定や防衛庁の省(への)昇格を行った。」、「外交には(中略)このような姿勢が必要です。」と説いています。この教科書の真の目的は米軍とともに海外で戦争のできる国を造ることにあり、そのために若者を侵略的歴史観で教育することにあるのです。

おわり

(柴田)