今月の表紙:イオンカップ2012世界新体操クラブ選手権 エキシビション アンナ・ベッソノワ選手(ウクライナ)

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2012年11月号 No.613

行事予定

映画DVD鑑賞会「デルス・ウザーラ」

 サモワールで淹れたお茶とお菓子を楽しみながら、ロシア・ユーラシア関連映画を一緒に鑑賞しませんか?
 今回観るのは「デルス・ウザーラ」。シベリアのシホテ・アリン地方の地図製作の命を受けたロシア人探検家アルセーニエフとガイド役のナナイ人猟師デルス・ウザーラの交流を描いた、1975年の黒澤明監督・日本/ソ連合作映画です。お誘い合わせの上、お気軽にご参加ください。(要事前予約)

【日時】11月25日(日)
13:30開場、14:00~16:30 DVD鑑賞
【場所】横浜平和と労働会館5階教室
【参加費】一般500円、会員300円(茶菓子代)
【ご予約・お問い合わせ】神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714 ※電話は12時~18時、日曜祝日休み
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp

神奈川県日ユ協会 クリスマス望年会

 早いもので今年も残すところあと一月半となりました。当協会でも、ゆく年を振り返りながらくる年の幸せを望む「望」年会を行います。皆様奮ってご参加ください!隠し芸の披露や飲食物の持ち寄りも歓迎!

【日時】12月23日(日)15:00~
【場所】横浜平和と労働会館5階教室
【参加費】1,500円
【ご予約・お問い合わせ】神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp

ロシアの新年&クリスマス ヨールカ祭2013

 恒例の新年行事「ヨールカ祭」。会員・生徒の皆さんと在日ユーラシア諸国の方々との親睦を図る最大の機会です。ヨールカ(もみの木)を囲んで、歌や踊りやロシアのご馳走を楽しみながら、みんなで盛大に祝いましょう!

【日時】2013年1月27日(日)13:00~17:00
【場所】横浜平和と労働会館(予定)
【ご予約・お問い合わせ】神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp

活動報告

第60回ロシア語能力検定試験 アンケートに見る受験者の傾向

 10月6日(土)、7日(日)に、第60回試験ロシア語能力検定試験が全国14会場で実施されました。横浜会場では1級3名、2級14名(欠席2名)、3級19名(欠席5名)、4級14名(欠席2名)、計50名の方が受験されました。

 今回も受験者アンケートをお願いしました。 質問項目は以下のとおりです。
(1)ロシア語を何処で学習していますか?(2)検定試験があることを何処で知りましたか?(3)横浜ロシア語教室を知っていましたか?(4)ロシア語をどのように活かそうと思いますか?

(1)の学習場所は、4級の57%が「通学している学校」、3級では42%、2級になると36%です。逆に独習は4級では21%、3級は32%、2級は36%、1級は67%と、級が上がるにつれて独習者の割合が増えていく傾向が読み取れます。

(2)の検定を知ったのは、4級では64%が「学校・先生を通じて」でしたが、3級では「学校・先生」と「ホームページ」が半々、2級、1級では半数以上がホームページを見て知ったと回答しています。

(3)の横浜ロシア語教室については、総じて約半数の方々が既にご存知と回答されましたが、級が上がるにつれて知名度が上がっています。

(4)のロシア語学習の目的は、複数回答ありですが、全体では「仕事」がトップで52%、次いで「個人的な趣味」の46%、3番目が「ロシア人との会話や手紙」で28%でした。級別では球が上がるほど「仕事」の割合が上がり、「趣味」の割合が下がる傾向が見られますが、「ロシア人との会話や手紙」はいずれの級でも3割程度の方が選択されており、学習レベルに関わらずネイティブとの交流を目的とされる方が多いことが分かりました。

(桜井)

好天に恵まれ盛況だったけど、振るわなかったボルシチ
~よこはま国際フェスタ2012報告~

 10月20日(土)21日(日)の2日間にわたって、横浜みなとみらいの象の鼻パークで行われた今年の国際フェスタは、雨で1日流れた去年とは異なり、両日共に好天に恵まれました。

 今年も食販ブースで出店するので、前日からスタッフが協会事務所に集合して、ボルシチやペリメニ、物販品を準備して、当日に備えました。今年はスタッフが少なく、協会を出たときは11時を過ぎていました。

 今年の店の位置は去年とほぼ変わらない、ステージから2番目に近い場所でしたが、1番目のパキスタンの店が、肉などを直火で焼くので、その煙やすすが舞い込んで大変でした。またその店にたびたび行列ができるものだから、お客が吸い取られるような状況になりました。

 また気温が高かったせいもあって、ボルシチの売れ行きが悪く、2日間で去年の1日分にも届かないというありさまでした。その中でも、ボルシチにペリメニを入れた新メニュー、ボルシチペリメニは、たいへんおいしく、売れ行きが悪い中でも、ヒットメニューになりました。またペリメニもボルシチに比べるとよく売れた印象が残りました。

 しかしながら、一番好評だったのがワインでした。カップでの試飲が200円とどこよりも安かったのと気温が高かったせいだと思われます。但し、それでも1日当たりでは去年に比べて特別よく売れたわけではなく、やはりボルシチの売れ行きの悪さのゆえに、良く売れた印象が残ったのです。

 また意外と民芸品も好調でした。もともと多くは並べていなかったのですが、チェブラーシカのぬいぐるみや、マトリョーシカは売り切れました。

 協会活動の展示は、写真などを貼り出すことができず、不十分なものでしたが、それでも並べておいた県連版の機関紙や協会のパンフレットなどは、1日目に無くなってしまい、展示の不十分さを少しは補うものとなったと思われます。

 今年は当日もスタッフが少なく、休憩もままならない状況でした。またロシア人スタッフも来れなかったのですが、店にはそれなりにロシア人が立ち寄ってくれ、数年ぶりに訪れてくれたロシア人もいたりなど、ロシア関係の店としては面目が立ったものと思われます。さらにスタッフがFacebookなどで呼びかけた人たちが訪れたり、スタッフの友人がスタッフとして参加するなど、新しい傾向もみられました。

 準備段階、当日を通していろいろな問題点がありましたが、後日開いた実行委員会で論議し、マニュアルを作成するなど、徐々に改善していきます。

 最後にまとめると、スタッフの参加は準備も含めて延べ20人、食販、物販では、売上高の数字は出しませんが、ボルシチが振るわなかったにもかかわらず、黒字になりました。

 そして、この出店に係わっていただいたみなさん、たいへんご苦労様でした。

(田中)

教室案内

横浜ロシア語教室 第117期 生徒募集中

 第117期ロシア語教室が開講して1ヶ月が経ちましたが、定員まで余裕のあるクラスがほとんどです。途中からでも是非入学をご検討ください。
 入門・初級・中級・上級・応用・会話クラスの他、時間や内容を学ぶ方に合わせた個人レッスンも可能です。
 時間割・内容・料金(会員割引有)等の詳細はホームページをごらんください。受講お申し込み・お問い合わせ先は次の通りです。


日本語教室 生徒募集中 Курсы японского языка

 月曜~金曜、10:00~17:00の間で応相談。1コマ90分。基本的には個人レッスン。同レベル・同時期開始の場合はグループレッスンも可。
 入学金5,250円(会員無料)、受講料1回3,000円。

ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

2012年度後期予定(毎月2回、土曜日開講):前半:10/20、11/10、11/24、12/8、12/22 後半:1/12、1/24 ※2月、3月日程は未定
時間・内容はお問い合わせ下さい。
講師:北川 翔
会場:横浜平和と労働会館5階
会員受講料(1回45分×6回分):3~5名クラス:24,000円、2名クラス:36,000円、1名クラス:60,000円

みなとみらいマトリョミン教室

日程:毎月1回、土曜日開講
2012年度後期予定:10/20, 11/17, 12/15, 1/19, 2/16, 3/16
※2月・3月は変更の可能性もあります。
◆アンサンブルクラス(90分)
13:00~14:30
◆グループレッスン(60分)
Aクラス14:45~15:45(空席1)
Bクラス15:55~16:55(空席2)
入学金:3,000円(継続の方、会員は免除)
受講料:アンサンブル3,500円×6回=21,000円、グループレッスン3,000円×6回=18,000円
会場:横浜平和と労働会館2階
講師:平野 麻里(マトリョミン演奏家、指導者)

組織・財政

組織状況

(2012年10月31日現在)
 年初会員数:221名、10月末会員数:227名。前月比4名増(内訳は10月期ロシア語教室の新入生4名)、年初比6名増。前年同期比5名増。会員拡大目標:250名、年度末まであと23名、毎月12名の純増が必要です。達成を目指し日々努力しましょう。

財政状況

 10月末現在の収入は予算額(1~10月)11,523,333円に対し、実績13,087,074円で113.6%の遂行率です。年間予算の大幅超過達成に向かって年度末まで奮闘しましょう。剰余金は年間目標1,115,600円に対し、決算処理をしていない状況で現在1,003,416円です。残る2ヶ月、着実な努力を重ねましょう。

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2012/10/31
単位:円
摘 要収 入支 出
一般会計1,730,0715,947,145
教育事業7,229,0063,255,433
一般事業4,127,9972,881,080
当期剰余金 1,003,416
合 計13,087,07413,087,074
前年同期(単位:円)2011/10/31
摘 要収 入支 出
一般会計2,085,8394,414,505
教育事業7,703,0752,807,700
一般事業2,806,3201,944,364
当期剰余金 3,428,665
合 計12,595,23412,595,234

貸借対照表 (2012/10/31)
科 目本年10月末残高前年同期残高対前年同期増減
流動資産5,556,6645,358,116198,548
固定資産1,884,7752,340,000▲455,225
資産合計7,441,4397,698,116▲256,677
流動負債000
固定負債000
負債合計000
純資産7,441,4397,698,116▲256,677

 有限会社カチューシャからの部室寄付に伴う贈与税など租税公課283,000円の支払いが発生した為純資産が僅かに減少しましたが協会の実質資産は大幅に増えているので問題ありません。但し、11,12の両月でこの減を回復したいものです。

(柴田)

お勧め商品

★ロシア製2013年カレンダー 各2,500円

カレンダー カレンダー カレンダー
「モスクワ観光」「エルミタージュ美術館」「印象派絵画」等、ロシアの美しい風物の大判カレンダー各種取り揃えました。壁にかければお部屋がロシアの雰囲気に!
当協会5階教室にて展示販売中です。1点ものですのでお早めにどうぞ。

★ウクライナのチョコレート菓子
「フェアリーテイル」(左)130円 「ガリバー」(右)150円

ウクライナのチョコレート菓子
ウエハースサンドチョコ2種。フェアリーテイルは軽い食感、ガリバーはずっしり重め。小腹が空いたらぜひお試しを。

掲載商品の詳細は協会事務所でごらんください。
紙面で紹介しきれなかった素敵な商品もまだまだあります!
当協会ロシア商品通販サイト「うにべるま~ぐ」もぜひご利用ください。

文化・芸能

ユーラシア音楽芸能情報

ユーラシア音楽芸能情報
ユーラシア圏でのLGBT※アーティスト事情(3)

ロシア・トップ10

 現代音楽界をばかり取り上げている本コーナーであるが、今回は古典音楽界へ目を向けてみたい。

 繊細かつ叙情的。あらゆる弱いものに対し深い愛情を注ぎ、その底知れぬ愛情を作品に表わしてきた、リズムと旋律の魔術師。このため世界中に多くのファンがいる、ロシアを代表する偉大な音楽家、チャイコフスキー。存命時に多くの名作を世に残したとして世界中に知られているが、彼もまた両性愛者であったらしい。

(続きを読む)


(MOPA)


映画・演劇

劇団東演×岩手ぶどう座合同公演
「結婚の申込」(A.チェーホフ作)/「めくらぶんど」(川村光夫作)


結婚の申込
 秋田県と県境を接する岩手県西和賀町に本拠を置くぶどう座とのコラボレーションによる今回の公演は、方言演劇の新たな地平を見るものだった。

 喜劇三部作のひとつ「結婚の申込」は、登場人物もロモーフ→番介、チェブコフ→鳶吉、ナターリア→とみえ、と翻案され、鳶吉は羽織袴、とみえはモンペ、番介はあか抜けない洋装といういでたち。和風の家に妙な西洋趣味が交じり合った「成金地主趣味」のコテコテご当地バージョンだ。しかも、本来の目的は求婚なのに、土地の境界線や馬の器量で言い争いが始まり、ほほえましい東北弁は機関銃のような口撃に変わる。原作も舞台はロシアの田舎だから、チェーホフが意図したところはこういうことかな、と思わせる第一幕。

めくらぶんど

 第二幕はぶどう座のオリジナル作品「めくらぶんど」。雪に閉じ込められた山奥の一軒家に、夫を心配して成仏できない妻が幽霊となって帰ってくる。一人息子は南方で戦死し、戻ってきたのは石ころひとつ。独り身となった夫は酒浸りだ。そこに若い酒役人が密造酒の摘発にやってきた。息子が戻ってきたようだと喜ぶ妻。酒のありかを聞き出そうとする役人は、彼らの息子を演出しようとする。そしてついに密造酒を発見。しかし、その酒は妻が毒ブドウをそれと知らず漬け込んだ毒酒「めくらぶんど」だった。役人の本性を見抜いた夫は、試飲しようとする役人にある行動を起こす。人里離れた豪雪地帯に繰り広げられる哀しい戦後を思わせる一方、創立62年というぶどう座の豊かな演劇的発酵が堪能できる作品だった。

(文・滝沢三佐子/写真提供・劇団)


催し物情報

マトリョミンデュエットH.P.Liddell
「マトリョミンの小さな演奏会Vol.4」

日時:12月23日(日)19:00~
場所:名曲喫茶ヴィオロン(阿佐ヶ谷駅より徒歩5分)
チャージ:¥1,000(コーヒー付き)
☆クラシック曲をメインにしっとりとしたクリスマスをマトリョミンとオルゴールで奏でます。
お問い合わせ:helen.liddell71@gmail.com

山之内重美ライブのご案内

当協会会員の歌手・山之内重美さんのライブ。ロシアの歌、日本の歌、なつかしのシャンソン、カンツォーネ…ご一緒に楽しいひとときを過ごしましょう!
日時:11月17日(土)、12月15日(土)以降・毎月第3土曜日 19:30、20:45
場所:カフェ・コンセール デュモン
(みなとみらい線「元町・中華街」駅 3番出口徒歩2分 Tel: 045-641-2968)
料金:3,500円(1ドリンク付き)

フレッシュ名曲コンサート「渾身のチャイコフスキー」

内容:指揮=マルク・ゴレンシュタイン、武田章寛(ヴァイオリニスト)、東京フィルハーモニー交響楽団
ロシアで“最も光り輝く指揮者の一人”と評されるゴレンシュテイン登場!リーズナブルな価格でオーケストラの魅力を味わうチャンス!
とき:12月2日(日)15:00開演
ところ:東大和市民会館ハミングホール
料金:全席指定3,500円

講演会「チェルノブイリから学ぶ~ウクライナの子どもたちは今」

「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワークの吉田由布子さんからのお話。
とき:11月22日(木)18:00~20:00
ところ:参議院議員会館B107(東京都千代田区)
詳細はこちら

キエフ・バレエ「白鳥の湖」(全三幕)

出演:カテリーナ・チェブィキナ(オデット/オディール)、ヤン・バーニャ(ジークフリート王子)、ウクライナ国立歌劇場管弦楽団
とき:2013年1月14日(月・祝)15:00開演
ところ:神奈川県民ホール 料金:S席13,000円、未就学児童入場不可

木から生まれた人形・玩具たち

とき:前期11月23日(金・祝)~12月24日(月・祝)、後期2013年1月2日(水)~1月20日(日)、月曜休館、街頭費が祝日に当たる場合はその翌日。
ところ:横浜人形の家3階 第3展示室
入館料:大人(高校生以上)300円、こども(小中学生)150円
世界各地で作られた木製の人形を展示。
前期にマトリョーシカ28ピース、キルギスの民族人形など。

スポーツ

イオンカップ2012世界新体操クラブ選手権

2012年9月28~30日 東京・国立代々木第一体育館

イオンカップ2012世界新体操クラブ選手権

 五輪メダリストを集めた華やかな美の競演「イオンカップ」は今年も東京にて幕を開けた。ロンドン五輪金メダルのエフゲニヤ・カナエワは欠場したが、代わって注目を集めたのがダリア・ドミトリエワ(19歳)。絶対的な女王カナエワに次ぐ次期エースと目されていたコンダコワに変わって、五輪で見事に銀メダルを獲得したのがこのドミトリエワだった。

Dmitrieva

 ドミトリエワ(写真右)は2008年のイオンカップでジュニア選手として個人総合で優勝、その後は団体メンバーとして活躍したが、個人選手としては決して注目度は高くなかった。ロンドン五輪でコンダコワに代わり出場機会を得ると正に一気にスターダムをかけのぼった。片足を軸にして回転するピボットを得意とし、ロシア伝統の高い技術力と優雅さを兼ね備えた選手だ。イオンカップでもカナエワに代わってそのヒロインの大役を見事に演じ切り、初優勝を飾った。2位にはウクライナのガンナ・リザディノワ、3位にはベラルーシのメリチナ・スタニュータ。

 クラブ対抗戦はロシアのガスプロムが13連覇。ロシアを猛追したベラルーシのディナモ・ミンスクが2位。ジュニア部門ではベラルーシのカチェリーナ・ハルキナ(15歳)が優勝し、ロシアに一矢を報いた。

Halkina Yusifova
(左)ハルキナ(ベラルーシ) (右)ユシフォワ(アゼルバイジャン)

Bravikova ブラヴィコワ(ロシア)

(森 美和)

写真満載!協会スポーツ専門サイト「ユーラシアスポーツ」もごらんください。

ユーラシア通信

バルト諸国縦断旅行記
第2回「エストニア・タリン 中世を今に伝えるバルトの"おもちゃの街"」

タリン
 フィンランドの首都・ヘルシンキからフェリーで2時間半、バルト海を渡った対岸にあるのが、エストニアの首都、タリンです。タリンは中世後期、北ドイツやバルト海沿岸の諸都市が結成した都市同盟「ハンザ同盟」の一員として、デンマーク王国の支配のもとバルト諸国とロシアの貿易の中継地点として発展した都市で、現在のタリンの基礎が築かれたのも、ハンザ同盟の恩恵による繁栄の時代のことです。

 さて、タリンの見どころは、なんといっても周囲わずか2.5kmの城壁に囲まれた旧市街。ゴシック様式の旧市庁舎が立つラエコヤ広場を中心に、外側に向かって放射状に伸びる細い道には中世そのままの建物や教会などが立ち並び、石畳の道も相まって、まさに中世のヨーロッパ都市そのままの雰囲気が漂っています。特筆すべきは、タリン旧市街は完全に観光地化されているわけでも静態保存されているわけでもなく、古い建物が現在もそのままアパートとして利用されていたり、市民の生活が途切れることなく続いていること。往時の活気が伝わってくるのは、日々の営みが続いているからなのかもしれません。

タリン

 旧市街を一望できる展望台に登ると、目の前にはオレンジ色の屋根で統一された建物群が目に飛び込んできます。それを取り囲む城壁には、要所要所にとんがり帽子のような屋根の塔が据え付けられていて、これもまたオレンジ色。まるで積み木かミニチュアのようで、「おもちゃの街」と形容されるのも、思わず納得。「この風景は今も昔も変わっていないのだなあ…」と感慨に耽ることしばし。

 しかし、城壁の外には真新しい大型ショッピングモールや高層ホテルも立っており、着々と経済発展が進んでいることを実感させられます。また、海のほうに目を向ければ、港を出入りする大型フェリーが見えるでしょう。とはいえ、時代が進んで帆船がフェリーになっても、バルト海に開いた玄関口というこの街の立ち位置が、昔も今も変わってはいないことは確かです。

(桜井)

見てきた最近のウラジオストク

ウラジオストク
 9月中旬、横浜港発着のクルーズ船 Legend of the SeasでAPEC首脳会議が終わったばかりのウラジオストクへ行ってきました。ウラジオストクについては、9月15日付の協会機関紙「日本とユーラシア」に堀江則雄さんの詳しい記事が出ていたので、詳細は省きます。この街は最近まで閉鎖都市だったので、ソ連駐在の永かった私にとっては初めの訪問でした。

ウラジオストク

 17日の早朝、ウラジオ港に入港。この日の予定は街の観光でしたが、生憎台風16号が我われを追っかけるように迫っていたので時間がとれず、APECの会場のあったルースキー島までは行けませんでした。

 埠頭のすぐ正面にМОРСКОЙ ВОКЗАЛ(海の駅。横浜の大桟橋にあたる)があり、そこから鉄道線路をまたぐ跨線橋を渡ると、目の前がウラジオストク駅でした。シベリア鉄道の始発駅ですね。

ウラジオストク

 街に出ると、欧風の美しい町並みに混じって近代的な高層ビルが聳えており、活気に溢れた街の息吹が感じられました。通りは自動車の洪水で、ほとんどが日本製の車です。この町が日本の中古車のいいお得意さんだったわけです。そういえば、ロシア革命の頃までこの街に6000人もの日本人が住んでいたそうですから、昔から日本とは深く結ばれていたのですね。

ウラジオストク

 ウラジオストクは、アジア諸国との外交・経済交流に軸足を移し始めたロシアの窓口として、これからも目覚ましく発展するに違いありません。私たちも、もっとこの街との交流を深めるようにしたいものですね。

(藤木)


近くで見つけたかわいいロシア ~チェブラーシカ刺繍キット~

かわいいロシア
 FELISSIMO(フェリシモ)という20~30代女性向けの通販会社の商品に、ロシア語テキストが登場しました。

 メインは12種類のチェブラーシカの刺繍キットで、それにごくごく簡単なロシア語の解説がついたノート(写真右)が付録としてついてきます。一年間毎月届きます。

 宣伝文句は「憧れのキリル文字を刺繍しながら覚えていけるプログラム」。いまや若い人にも携帯電話の顔文字でおなじみのキリル文字をもっと知ってもらえればいいですね。

(前田)

ハバロフスク友好協会連合会視察団の受け入れに関するお願い

2013年4月1日(月)~5日(金)の4泊5日の予定で上記視察団(7名)が当協会との交流及び観光の目的で来浜します。
1. 団員の宿泊を受け入れてくださる方、(1~2名、2~3泊でも可)
2. 通訳、案内をしてくださる方(柴田会長同行)
がおられましたら事務局にご連絡ください。

連絡先は下記の通りです。
Tel/Fax: 045-201-3714
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp

ユーラシア関連記事・写真の投稿、ご意見、ご感想、情報等 大歓迎!

 字数は読み物なら400字~800字程度(長ければ連載で)、案内なら1行~200字以内で。この神奈川県版機関紙「日本とユーラシア」に関するご意見やご感想なども歓迎します。月末締切。投稿は郵便・FAX・Eメールのいずれかでお願いします。宛先は下記の通りです。

(機関紙編集部)

歴史・社会

私の見た中・東欧諸国の現在 (5)チェコ共和国

チェコ共和国
 この国の歴史は近隣諸国の侵略や干渉との戦いの歴史でもある。

 要約すると;9世紀・モラビア帝国成立、10世紀・大モラビア帝国滅亡、ボヘミア王国成立、1620年・ハプスブルク帝国の支配下に、1918年・第一次世界大戦後、チェコスロバキア共和国成立、1938年・ミュンヘン協定により、チェコスロバキア共和国崩壊、1939年・ボヘミア・モラビア地方はドイツの保護領に、1945年・第二次世界大戦後、独立回復、1948年・スターリン的「共産主義」体制確立、1968年・「プラハの春」事件、1989年・民主革命(「ビロード革命」)により偽「共産主義」体制が崩壊、1993年・スロバキアと平和裡に分離・独立という具合である。

チェコ共和国

 私が最初にここを訪れたのは1967年、横浜商工会議所の西田義雄会長(当時)と共に横浜貿易業界のために市場開拓をするためであった。私の第一印象は静寂な、お伽話のような中世のヨーロッパが忽然と目の前に現れたような感じであった。「百塔の街」はその名に恥じず美しかった。第二次世界大戦前、青年時代にここを訪れたことのある西田氏は「当時と殆ど変わっていない」と驚いていた。第二はモスコーと比べて比較にならないような開放感であった。前泊したソ連の重苦しさから開放され、「ホッとした」というのが実感であった。オーストリーとの往き来も自由で、接待の為、ウイーンのStrip-Show劇場に案内されたのは驚きでもあった。

チェコ共和国

 また、日本では有名であった革命作家ユリウス・フチークの「絞首台からのレポート」(岩波文庫)について質問すると誰一人知っていないのも第三の驚きだった。ここではうっかりロシア語で話すと「馬鹿にされるから、英語で話したほうがいい。」と知人に忠告された。人々は私に「昔は、ここは「東欧のパリ」と言われたが今ではロシアの植民地となった。」と嘆いた。私はこれが「社会主義の国」かと建前と本音の違いに驚いた。(続く)

(柴田)

許せない歴史の偽造 ~自由社、育鵬社の歴史教科書~
第二次世界大戦の原因と本質

 第二次大戦の根本的原因について、育鵬社版歴史教科書は一応「世界恐慌と協調外交の行きづまり」と題して深刻な世界恐慌が列強のブロック経済化をもたらし各国の利害関係が鋭く対立したと記しています。また、「恐慌の影響を最も強く受けたのは、米、英、仏(先進資本主義国)のブロックにも入れず、広い植民地を持たなかった日本やドイツ、イタリア(後進資本主義国)といった新興の工業国でした。」とも述べています。第二次世界大戦が米、英、仏の連合国と日、独、伊の枢軸国との戦いになった原因がここにあります。また、日、独、伊がそれぞれ天皇制、ナチズム、ファシズムという凶暴な性格を持っていたのはこれら諸国の資本主義が未発達で封建制度、絶対王政などの遺物を抱えていたからです。

 第二次世界大戦の本質は植民地の獲得と再配分を目指す二つの帝国主義グループ間の戦争でした。一方、当時のソ連にはどうしても戦争をしなければならないような理由はありませんでした。育鵬社版では「資本主義諸国が恐慌に苦しむなか、スターリンの率いるソ連は、共産主義の理論どおりの大恐慌が資本主義社会におこったことに自信を深め、計画経済をおし進めました。もともとの経済水準が低かったこともあり、その成果は着々と上がりました。」と記しています。ソ連はドイツに攻撃された為、第二次世界大戦に参戦しますがこれについては後述します。

 自由社版は戦争の本質や原因には全く触れていません。また、両社版とも執筆者たちは世界大戦の深い原因が高度に発達した世界資本主義の深刻な経済恐慌、生産と消費・生産力と生産関係の矛盾にあることを全く理解していないようです。そして、この大戦があたかも共産主義とファシズムから生じたように問題を歪曲、矮小化しています。

 歴史的事実が示すとおり戦争は暴力による政治問題の解決手段であり、政治問題の根底には常に経済問題があります。このことをしっかり理解しなければ歴史を理解することも、歴史から教訓を学ぶ事もできません。

 野放しの「自由」な帝国主義が存在する限り、さまざまな形態の戦争は避けることができません。

(柴田)