今月の表紙:オランダの紫陽花

特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙「日本とユーラシア」

2012年8月号 No.610

行事予定

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会創立50周年記念イベント
9月末開催

【目的】神奈川県連設立50周年を記念し、県連の創立から現在までを振り返り、将来を展望すること。半世紀の歴史の中で、日本ユーラシア協会の理念である「相互理解と親善」をどのように実践してきたか、今後どのようにつなげていくかを明らかにし、協会全体の道しるべとなる。

【日程】2012年9月30日(日)13:00
【会場】横浜市従会館4F講堂
【内容】基調講演 柴田順吉会長/記念講演 未定/交流ブース(案)(1)手作りルパシカ (2)料理 (3)マトリョーシカ絵付け (4)バラライカ (5)マトリョミン (6)ロシア民謡 (7)サモワール (8)物産・談話

ハバロフスク旅行へ行ってきます

 旅行説明会や旅のロシア語講座などの準備を済ませ、いよいよ8月13日(月)~8月17日(金)、ロシア極東・ハバロフスク市への旅行に行ってまいります。きっと楽しい思い出ができることでしょう。今回は行かれなかった方も、来年はぜひご参加ください。。

第60回ロシア語能力検定試験 申込受付開始

【日程】10月6日(土)=4級、2級 10月7日(日)=3級、1級
【横浜会場】横浜平和と労働会館3階
【検定料】4級7,000円、3級~1級8,000円(税込)
【申込期間】8月1日(水)~9月15日(土)
【申込方法】
●インターネット、コンビニ端末でのお申し込み=こちらのホームページをご参照ください。
●窓口でのお申し込み
8月1日~9月15日の間に、窓口にある「申込書」にご記入のうえ、検定料(現金)を添えてお申し込みください。
※8月11日(土)~19日(日)は横浜会場受付窓口(神奈川県日本ユーラシア協会事務所)は夏休みとなります。
その間は他の方法・窓口でお申し込みください。
試験の詳細は検定試験のホームページへ。

活動報告

第14回 大河アムール・ハバロフスク市民交流の旅 事前交流会

 7月29日(日)午後2時から、平和と労働会館5階で、「第14回・大河アムール・ハバロフスク市民交流の旅」の参加者のための事前交流会を行いました。

 当初の参加確認ではスタッフを含めて5人と、全体16名の1/3で、事前交流会としては内容が不十分なものになるのではと危惧されましたが、ふたをあけてみると、旅行参加者9人に加えて、高校生の参加者の母親と祖母が付き添いとして見え、司会の関戸さんを入れて12人が参加し、その心配はなくなりました。

 柴田会長がこの旅行の意義を話し、田中事務局長が旅行の日程を説明しました。

 参加者からはいろいろな質問が出、またオケアンキャンプ場で行うことの分担についてもほぼ決まり、充実した事前交流会になりました。

 事前交流会に出席できなかった参加者のうち、4人についても、8月4日と5日に行われた、旅行参加者のためのロシア語講座の機会に、日程の詳細を伝えることができました。

 このロシア語講座は、ロシア語の知識がない参加者の要望にこたえたもので、マリーナ先生と長谷川先生に協力していただき、2日間で延べ6名が受講しました。このうち2人が全く初めてで、一人が大学時代に第3外国語として学習して以来の年輩の方です。

 来期の入門コースの受講が期待されます。

教室案内

第117期10月開講 横浜ロシア語教室

水曜・土曜昼入門クラス、ウクライナ語クラス開設!

 10月13日(土)より第117期ロシア語教室が開講します。
 初心者のための入門クラスを水曜昼・土曜昼に、久しぶりの試みとしてウクライナ語入門クラスを火曜昼に新設予定です。
 来期よりNHKテレビやラジオでおなじみのO・ピスクノーワ先生が平日昼のレッスンを受け持つことになりました。公開講座も担当しますのでぜひご参加ください。
 また、初級・中級・上級・応用・会話の既存各種クラスも生徒募集中です。時間割・内容・料金(会員割引有)等の詳細はホームページをごらんください。
 受講お申し込み・お問い合わせ先は次の通りです。


会員無料!初心者歓迎!第117期公開講座

◆9/8(土)13:30-14:30「ロシア語入門体験」講師:福間加容
◆9/15(土)13:30-14:30 「ウクライナ語ってどんな言葉?」講師:オクサーナ・ピスクノーワ
◆9/15(土)15:00-16:00「やさしいロシア語」講師:オクサーナ・ピスクノーワ
※詳細はホームページをごらんください。

日本語教室 生徒募集中 Курсы японского языка

 月曜~金曜、10:00~17:00の間で応相談。1コマ90分。基本的には個人レッスン。同レベル・同時期開始の場合はグループレッスンも可。
 入学金5,250円(会員無料)、受講料1回3,000円。

ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

2012年度前期予定(毎月2回、土曜日開講):
前半 4/7, 4/21, 5/5, 5/19, 6/2, 6/16
後半 7/7, 7/21, 8/4, 8/18, 9/1, 9/15

生徒募集クラス:
15:00~15:45(バラライカ上級)、17:00~17:45(ドムラ初級)、18:00~18:45(バラライカ初級)
講師:北川 翔
会場:横浜平和と労働会館5階

会員受講料(1回45分×6回分):
3~5名クラス:24,000円(1回4,000円)、2名クラス:36,000円(1回6,000円)、1名クラス:60,000円(1回10,000円)
※途中入学の方は終了回数分を値引きします。

みなとみらいマトリョミン教室

日程:毎月1回、土曜日開講
2012年度前期予定:4/21, 5/19, 6/16, 7/21, 8/18, 9/15 発表会:8/26(日)
アンサンブルクラス(90分)13:00~14:30
グループレッスン(60分)Aクラス14:45~15:45、Bクラス15:55~16:55
入学金:3,000円(継続の方、会員は免除)
受講料:アンサンブル3,500円×6回=21,000円
グループレッスン3,000円×6回=18,000円
※途中入学の方は終了回数分を値引きします。
会場:横浜平和と労働会館2階または3階
講師:平野 麻里(マトリョミン演奏家、指導者)

組織・財政

組織状況

(2012年7月31日現在)  年初会員数:221名、7月末会員数:222名。前月比6名増。前年同期と同数。
 会員拡大目標:250名(年度末)まであと28名、毎月6名の純増で達成可能。
 いつでも、何処でも、誰にでも入会の呼びかけをしましょう。行事の時には忘れずに!

財政状況

 一般会計、教育事業とも前年比で後退、事業収入は増加していますが旅行預かり金を差し引くとほぼ前年度並み。逆に、支出は全ての事業で前年度を上回り、当期剰余金はマイナスに転じました。
 下記の貸借対照表の通り財産の状況は健全性を保っているので資金繰りに問題はありませんが、今後は夏枯れの7~8月でも赤字が発生しないよう事業、財政計画を検討、改善する工夫が必要です。

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2012/7/31
単位:円
摘 要収 入支 出
一般会計1,204,8284,185,623
教育事業4,311,5762,485,843
一般事業3,107,4302,348,094
当期剰余金 ▲395,726
合 計8,623,8348,623,834
前年同期(単位:円)2011/7/31
摘 要収 入支 出
一般会計1,625,0402,970,607
教育事業4,463,4202,267,600
一般事業2,273,7441,467,658
当期剰余金 1,656,339
合 計8,362,2048,362,204

貸借対照表 (2012/7/31)
科 目本年7月末残高前年同期残高対前年同期増減
流動資産4,157,5223,585,790571,732
固定資産1,884,7752,340,000▲455,225
資産合計6,042,2975,925,790116,507
流動負債000
固定負債000
負債合計000
純資産6,042,2975,925,790116,507
(柴田)

お勧め商品

ロシアのベビー人形 1,220円

ロシアのベビー人形
本当にロシアから赤ちゃんがやって来たような、とてもリアリティのある顔だちです。
17cm 服の色・赤、白
ロシア・アガニョーク社(モスクワ)製

文化・芸能

ユーラシア音楽芸能情報

ユーラシア圏でのLGBT※アーティスト事情

ユーラシア圏でのLGBTアーティスト事情

 ウクライナとポーランド共催のサッカー欧州大会EURO-2012で湧き上がっていた6月30日。休暇で長期滞在していたウクライナのスワトワ市の夜更け。アンティークなテレビをつけると、キエフ市の独立広場で行なわれた大々的なコンサートが生放送で映し出された。ステージをよく見ると、英国のビッグアーティスト、エルトン・ジョンではないか!黒地スーツに散りばめられたラメ、右耳朶につけた耳飾りが眩しい。YAMAHAのグランドピアノを奏でながら、数々のヒットナンバーを軽快に歌っていた。観客はただただ彼の名曲に酔いしれていた。力強い彼の姿に協調し身体を揺らしていた。

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(MOPA)

音 楽

ウズベキスタンに於けるクラシック音楽の発展 (8)


国立ナボイ・オペラ・バレエ劇場

D・オフチンニコフ

 60~70年代において、ウズベキスタンの作曲家が芸術的に一番成功したのは、交響曲のジャンルである。このジャンルで成功した作品の例として、交響学的物語―アクバーロフ(1972年)、第3、第4交響曲―タディーエフ(1972、1975年)がある。他のジャンルの成功例としては、声楽付交響詩、“イスタディム”―N・ザキーロフ(1973年)、オラトリオ、“ガラバ”(勝利)―ユダーコフ(1975年)、チェロ協奏曲―S・ジャリール(1975年)、ピアノの為の24の前奏曲とフーガ―ムーシェリ(1975年)、ピアノ組曲“古代ブハラの城壁”―D・サイダミーノフ(1975年)がある。

 劇場音楽の分野としては、オペラ“決闘”―N・ザキーロフ(1975年)、“不滅”―U・ムサーエフ(1974年)、バレエ“伝説の谷”(1977年)、“ソグディアナから来たレオパルド”(注)―アクバーロフ(1977年)がある。

 ウズベキスタンの作曲家は、ウズベクの民謡のみならず、共和国に住む他の民族(タジク人、タタール人、朝鮮人、ウイグル人、ロシア人)の民謡にも関心を注いいだ。その例としてタジク―タジキスタンソビエト共和国の国家の作曲家でもあるユダーコフ、タタール―Ya・シェルフェディーノフ、朝鮮―パク・エンディーナ、ウイグル―Sha・シャイマルダーノフ、ロシア―A・A・ベルリン、R・D・ヴィリザーノフ、B・I・ゼイドゥマンの作品がある。

 ムーシェリ、F・M・ヤコフ-ヤノフスキー等、多くのロシア人作曲家がウズベクのテーマによる作品を作曲した。多くの、舞台音楽、交響曲、室内楽作品、ロマンス(歌曲)さらに、カラカルパキスタンの作曲家―A・ハリモフ、N・ムハメディーノフその他による歌謡がある。

(訳・一杉 次郎/タシケント)

催し物情報

「国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展」コラボレーション企画
19世紀 ロシアブックフェア

Bunkamura(渋谷) 8月4日(土)~10月8日(月・祝)
お問い合わせ:ナディッフモダン(Bunkamura B1F)
TEL. 03-3477-9134(10:00-21:00)

 レーピンがロシア・リアリズムの旗手として活躍した19世紀後半。文学では ドストエフスキー、トルストイ、ツルゲーネフといった文豪たちが、音楽ではムソルグスキーらロシア5人組と呼ばれる作曲家集団が活躍しました。

 Bunkamuraブックショップ「ナディッフモダン」では、文豪たちの名作から、幻の雑誌「季刊 ソヴェート文学」、ロシアのディープな世界を紹介する「ユーラシアブックレット」まで、ロシア ブックフェアを開催し、文化という視点から、後に多くの影響を与えた19世紀 ロシアの歴史を紐解きます。

※「レーピン展」についてはこちらのサイトをごらんください。

のげやまトラの日 ~トラの森のお話~

日時 :2012年8月26日(日) 19:30~
場所: 野毛山動物園 ひだまり広場
内容:アムールトラの棲むタイガの森を中心に、アムールトラの現状や生息地について写真や実物を見せながら紹介します。
お問い合わせ:横浜市立野毛山動物園(横浜市西区老松町63-10 TEL 045-231-1307)

オペラシアターこんにゃく座 林光追悼公演
オペラ 森は生きている

日時 :2012年9月6日(木)~17日(月・祝)
場所: 俳優座劇場(都営地下鉄・東京メトロ六本木駅)
原作=サムイル・マルシャーク、台本・作曲=林光、演出=大石哲史
ユーラシア協会割引あります!お申込みの際に「ユーラシア協会の会員です」とお伝えください。
会員割引料金:おとな5,500円→5,000円、おとなペア10,000円→9,000円、おとな&こどもペア8,000円→7,500円
お問い合わせ・お申し込み:こんにゃく座 TEL044-930-1720(受付時間10時~18時)
インターネットでのチケットお申込みはこちら(会員の方は「ユーラシア協会」と備考欄にお書き添えください。)

ユーラシア通信

スレイマンの和蘭に於ける一考察 3.アジサイ

アジサイ  オランダでは、植物は地元の人々に愛されており、街の建築デザインとして重要な役割を果たしている。住宅と一体化した花、植物を通して、間違いなく四季を伺うことができる。自然で華やかな豊富な種類の植物の中でも、普遍的だが驚くべき種類は、アジサイである。アジア固有のこの植物が現在ヨーロッパに生息するのは、自然ではなく人間に起因する。

 18世紀末、英国の自然科学者ジョゼフ・バンクスが同国にアジサイを持ち帰り、続いて1830年にドイツの医師且つ自然科学者であるフランツ・フォン・シーボルトにより日本からオランダへこの植物がもたらされた。シーボルトは医者としてオランダ軍に勤務しながら、鎖国の時代、長崎の出島で約7年間暮らしていた。彼は自分を高く評価してくれた日本で、西洋人として初めて西洋医学を伝授した。医学の教授、実践意外にも、彼自身が深く興味を持っていた日本の動植物について細かい研究を行った。しかし、スパイの罪で1829年日本より追放された。とりわけ、来日以来寝食を共にした妻クスモト・タキとその娘イネを日本に残していかねばならなかった。彼は妻を「オ・タク・サン」と呼んでおり、それは彼が日本からオランダへ持ち帰ったアジサイの一種「オタクサ (Hydrangea Otaksa)」の由来である。後に彼の娘は日本初の女性医師となった。

 日本では、シーボルトの功績を長崎のシーボルト記念館とシーボルト大学で見ることができる。オランダでは、ライデンにある国立民族博物館に彼の著作と研究が展示されている。尚、彼の死後140年経った今日、彼の功績の中で最も卓越した遺産と彼自身の愛は、シーボルトの母国オランダのあらゆる街角で目にする「オタクサ」の中で生き続けている。

 そして日本と同じようにオランダでもアジサイが雨を欲しがっています。

アジサイ アジサイ

(ジャブライロフ・スレイマン/アムステルダム)

ユーラシア関連記事・写真の投稿、ご意見、ご感想、情報等 大歓迎!

 字数は読み物なら400字~800字程度(長ければ連載で)、案内なら1行~200字以内で。この神奈川県版機関紙「日本とユーラシア」に関するご意見やご感想なども歓迎します。月末締切。投稿は郵便・FAX・Eメールのいずれかでお願いします。宛先は下記の通りです。

(機関紙編集部)

歴史・社会

許せない歴史の偽造 ~自由社、育鵬社の歴史教科書~
ロシア革命について(2)

〔十一月革命〕
 三月革命後,ソビエトは戦争の継続に同調したが,1917年4月ボルシェビキの指導者レーニンが亡命先のスイスから帰国,戦争の中止と社会主義革命の断行を指示した。「パンと平和と土地を」とうったえるボルシェビキは人々の支持を集め,首都とモスクワのソビエトで優勢となり,11月7日武装して決起し臨時政府をたおした。翌日,レーニンが指揮するソビエトが権力をにぎり,戦争の中止・地主制の廃止・労働者の生産管理・ロシア内諸民族の自決権を宣言。さらに1918年1月には,ボルシェビキがソビエトから反対派をおい出して,独裁を行い,社会主義化をすすめ,赤軍をつくって国の内外の反革命軍とたたかった。レーニンははじめ,ヨーロッパ各国にも革命がひろがると期待したが実現しなかった。1922年12月,ロシアなど4つのソビエト共和国からなるソビエト社会主義共和国連邦の成立が宣言された。

 「学研キッズネット」のロシア革命に関する記述は以上の通りである。

 ここにはロシアの労働者・農民が皇帝を頂点とする封建的な地主階級の専制政治を倒して、労農政権を樹立したことが明確に書かれている。

 山川出版の〔山川日本史〕では「連合国の一員だったロシアでは、1917年3月、ロシア革命がおこって帝政はたおれ、同年11月にはレーニンの指導により、世界最初の社会主義政権(ソヴィエト政権)が誕生し、翌年、ドイツおよびオーストリアと単独講和をむすんだ。」と記されている。

 自由社、育鵬社の教科書は革命を「暴動」と称しているが、「暴動」の契機が「血の日曜日事件」のようなロマノフ王朝の武力による、非武装の労働者・市民に対する、4,000人にものぼる死者を出した残虐な弾圧であったことには一言も触れていない。 これは白を黒と言いくるめるものである。 

(柴田)

私の見た中・東欧諸国の現在(4)
ポーランド・オシフィエンチム(アウシュビッツ)

歴史を記憶しようとしないものは、再びその途を行く ユダヤ人やポーランド人市民、ロシア人捕虜などが焼却のため貨車で運び込まれた収容所の入り口

「歴史を記憶しようとしないものは、再びその途を行く」
―ジョージ・サンタヤナ(スペインの終身市民、哲学者)

 2012年4月27日、クラクフから64Km程のオシフィエンチム(イディッシュ語、ドイツ語名はアウシュビッツ)を訪れ、世界遺産のアウシュビッツ強制収容所を見学した。案内は「アウシュビッツ博物館案内」(凱風社)の著者として知られる現地在住の中谷剛氏にお願いした。この紙面では収容所の全容を紹介することは出来ないので、読者の皆様には是非この本をお読みになるよう強くお勧めする。非常に優れた案内書である。

人間焼却炉

 私が実際にこの収容所を見て感じたのはその目的の残忍さ、規模の大きさ、保存・展示されている資料の膨大で生々しかったことだった。「戦争の惨禍を忘れてはならない!」と訴えているようであった。

 この収容所で殺された人の数は未だにはっきりしていないが「100万人を遥かに超える数」という事である。

集合トイレ

 殺した人達の所持品の大部分はドイツ人が再利用する為に貨車で各地に送り出された。また終戦時、証拠隠滅のため焼却されたものもある。それでもなお此処には;男性用衣服246,820着、婦人用衣服836,225着、子供用衣服115,063着などが残されている。1942年10月のナチの秘密指令書には「クリスマスを迎えるにあたって、アウシュビッツやルブリンの収容所倉庫からドイツ市民25万人分の衣服や日常生活用品を供出するように」と記されている。

収容された人達のトランク

 殺す前に女性から刈り取られた髪の毛1,850kgが展示されていた。ソ連軍による開放時7,000kg発見されたものの一部である。ドイツの衣料品会社や絨毯工場へ売られ糸や靴下などに加工されたとのこと。

 ナチスは収容者を騙し「東方の地に移住して貰う」といって財産を鞄につめて持参させ、それを没収した。鞄には収容者の番号や氏名が記されている。

―続く―

(柴田)