特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙 「日本とユーラシア」
今月の表紙:世界ジュニアフィギュアスケート選手権 アイスダンス優勝 モニコ・ハリャービン組(ロシア)
今月の表紙:世界ジュニアフィギュアスケート選手権
アイスダンス優勝 モニコ・ハリャービン組(ロシア)
行事予定

シリーズ・ロシアの現在第2弾
経済講演会「ロシアの国家予算」

前回の講演

ロシア経済の過去・現在・未来を、国家予算の視点から解き明かす。

【内容】
1.国家予算の変遷 2.国家予算の内容
3.税制改革 4.経済成長

2011年4月23日(土)15:30~17:30
横浜平和と労働会館2階 神奈川音楽センター
講師:スレイマン・ジャブライロフ(当協会理事、モスクワ国立国際関係大学 国際経済・金融専攻)
参加費:一般1,000円、会員500円


グルジア料理教室

日時:2011年5月22日(日)13:30~17:00
会場:横浜市青少年交流センター(ふりーふらっと野毛山) 2階料理室
参加費:会員2,500円 一般3,000円
定員:20名(お申し込み先着順)
メニュー:豆とトマトのサラダ、ハルチョ(グルジアの代表的なスープ)、ハチャプリ(チーズ入りパン)、グルジア風ケバブ(予定)
持ち物:エプロン、ふきん、余った場合の持ち帰り用容器

お問い合わせ・お申し込み: NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会事務局
Tel/Fax: 045-201-3714
E-mail: eurask2@hotmail.co.jp


2011年度 第57回ロシア語能力検定 公開試験

試験日程:2011年5月29日(日)
4級 10:00~11:30 1.文法、2.露文和訳、3.和文露訳 11:30~ 4.テクストの朗読(録音)
3級 13:00~15:00 1.文法、2.露文和訳、3.和文露訳 15:00~15:15 4.聴取 15:20~ 5.テクストの朗読(録音)

受付期間:4月1日(金)~5月20日(金)
検定料:4級 7,000円、3級 8,000円

※受験希望者は、検定料を添えて下記へお申し込み下さい。郵送の場合は現金書留封筒に申込書と検定料を同封の上、「検定受験」と朱書して下さい。

〒231-0062 横浜市中区桜木町3-9
横浜平和と労働会館5階
NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会

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活動報告

平和の大切さとこれからの生活を考えた旅



♪見よ アムールに波白く
 シベリアの風たてば
 木々そよぐ河の辺に
 波さかまきて溢れくる
 水豊かに流る♪

 ハバロフスクの旅から戻ってきても、この歌声が耳元で聞こえてきます。

 3度目の正直(夢実現)で、ついにハバロフスクへの旅が実現しました。

 1度目は、2年前に夫が交通事故にあい、夫の退院予定の1日前に義母が亡くなった時です。ハバロフスクへの旅を断念しました。

 昨年は、私の両親を介護するために同居を始めたので、行くことはできませんでした。

 今年も両親の介護はあったのですが、37年間働いて退職ということもあり、自分への“ごほうび”にこの旅に参加しようと決心しました。決心すれば、私の思いが伝わり、周囲は、温かく支援の手を差しのべてくれました。娘が仕事の休暇をとって快く留守番を引き受けてくれました。

 この「決心」のおかげで、ハバロフスクの旅からたくさんのすてきなお土産を持ち帰ることができました。

 退職してから介護中心の生活になっていた私に とって、“生きる希望”を得ることのできた旅になりました。

ホームステイ

 ホームステイでお世話になったご家族は、両親と子ども2人のマンション暮らしをされていたお宅でした。マンションは、かなり老朽化していましたが、部屋は、気持ちよく整理整頓されていました。予定が変更になり、急きょ私達二人が、ホームステイさせていただくことになったのに、ラリーサさん家族は、笑顔を絶やすことがありませんでした。息子のマキシム君は、キャンプで不在でしたが、ダンスの公演で来日したことのある11歳の娘さんが、民族衣装で、ラリーサさんの夫と向かえてくださいました。

 一言もロシア語の話せない私でしたが、林さん、木佐森さんの堪能な通訳で、ロシアの生活についてたくさんの話を聞くことができました。ロシアの社会体制が変わってからの暮らしぶりについて、下の階に住んでおられる夫のご両親からもお話を伺うことができました。年金や教育については、私にとって身近なことだったので、ラリーサさんの手作りのおいしいロシアの家庭料理をいただきながら、興味深く耳を傾けました。そして、ご夫婦が編集された二人のお子さんのビデオから、大切に大切に子育てされているお子さんへの愛情を感じました。国の違いはあっても温かい家庭生活を築いていこうという前向きさから平和の大切さを考えさせられました。

 それは、オケアンキャンプに参加したことで、“平和の大切さ”をより深くしました。

ホームステイ

 200余名のロシアの子ども達が、私達を拍手と笑顔で迎えてくれたのです。子ども達と挨拶する手から温かさと希望が伝わってきました。一緒に遊びながら、日本の子どもとかわらない人なつこさが感じられました。これも、平和だからできることなんだと平和であることの喜びに感謝しました。そして、また子ども達ともう一度一緒に暮らしたいという願いがふくらみました。ハバロフスクで、子ども達の笑顔に出会えたことは、介護だけでないこれからの生活を考えるチャンスを私に与えてくれました。

 そして、こうしたチャンスを見つけられたのは、何よりも一緒にハバロフスクへ旅した仲間です。仲間のおかげで、5泊6日のハバロフスクの旅は、私の新しい出発のきっかけになりました。

(赤井 恵子)

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教室案内

第114期ロシア語教室 4月開講!

第114期時間割

入門~上級、月曜~土曜。各クラス全15回。個人レッスンのご相談にも応じます。各クラス等の詳細は教室ホームページをごらん下さい。曜日・時間・講師は変更される可能性もありますので、見学・入学をご希望の方は事前に事務局までお問い合わせ下さい。

お申し込み・お問い合わせ:
TEL/FAX 045-201-3714
メール yokohama-rosiago@hotmail.co.jp

教室ホームページ   教室ブログ



ロシア語公開講座

春のロシア語公開講座開かれる


 3月26日(土)横浜ロシア語教室恒例、春の公開講座が開催されました。初めてロシア語を勉強する方のための講座「ロシア語入門」ロシア語の基礎を学んだ方のやさしい会話クラス「やさしいロシア語会話」の2コースです。


ロシア語公開講座

 講師は当協会ロシア語講師須藤アレキサンドラ先生。当日、「入門」コースには11名の参加があり先生の指導の下АБВと教室いっぱいに声を張り上げ熱心に取り組んでいました。又、「会話」コースには6名が参加。そのほとんどの方が当協会の入門クラスを受講された方で、和気あいあいの中にもスキルアップを目指す意気込みが見られました。

 受講生最年少は中学2年生。遠くは山梨県からの参加者でした。

(梅津)


日本語教室 Курсы японского языка 生徒募集中!!

現在大橋先生、加田先生、多田先生、渡辺先生が教えておられます。生徒は4名です。 この2月から、新中学一年生のM君が週に3~4回通い、春期講習のように頑張っています。

月曜~金曜、10:00~17:00の間、1コマ90分。
基本的には個人レッスン、同レベルで同時期に始める場合はグループレッスンも可。
入学金5,250円(会員は無料)、受講料1回3,000円。
お問合せ先:045-201-3714 (事務局)



ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室

毎月2回、土曜日開講
予定(2011年度前期)
前半:5月7日、5月21日、6月4日、6月11日、7月2日、7月16日
後半:8月6日、8月20日、9月10日、9月24日
時間帯:
Bクラス 14:00~14:45(バラライカ上級)
Cクラス 15:00~15:45(ドムラ初級)
Dクラス 16:00~16:45(バラライカ初級)
講師:北川 翔(2008年・第7回国際ロシア民族楽器コンクール「ベロゴーリエ杯」バラライカ部門第1位)
会場:横浜平和と労働会館5階
受講料:(今期から少し値下げしました)
3~5名のクラス: 会員30,000円(1回5,000円)
2名のクラス:会員48,000円(1回8,000円)
1名のクラス:会員66,000円(1回11,000円)
※半期3ヶ月、1回45分×6回分。

お申し込み・お問い合わせ
balalaika_domra@yahoo.co.jp
Tel/Fax 045-201-3714


みなとみらいマトリョミン教室 4月新学期開講

日程:毎月1回、土曜日開講/4月16日、5月21日、6月18日、7月16日、8月20日
アンサンブルクラス(90分)13:00~14:30
グループレッスンクラス(120分)14:45~16:45
入学金:3,000円(継続の方、会員は免除)
受講料:
アンサンブル 3,500円×5回=17,500円
グループレッスン 3,000円×5回=15,000円
※初めての方も歓迎。楽器をお持ちでない方は授業時間内のみ借りられます。
会場:横浜平和と労働会館2階 音楽センター
講師:平野 麻里 (マトリョミン演奏家、指導者 マトリョミングレード1級)

お申し込み・お問い合わせ
minatomirai_matoryomin@yahoo.co.jp
Tel/Fax 045-201-3714

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政治・経済

東日本大震災とロシアの反響

●メドベージェフ大統領の発言

大統領は3月28日、日本で救助作業にあたった隊員らと会見した中で、「日本との関係は、すべてがうまくいっているとはいえず、意見が食い違っている問題もあるものの、このような状況の際の優先課題は、我々の隣国、パートナーを助けるということだ。」と述べた。

●29日モスクワでスヴェトラノフ記念ロシア国立交響楽団による東日本大震災被災者救援チャリティー・コンサートが催された。

このコンサートでは日本人に深く愛されているチャイコフスキーの作品が演奏され、収益は、在ロシア日本大使館が開設している特別口座に振り込まれた。ある音楽家は「われわれが日本人を助けるのは当たり前のことだ。」と述べた。

●ロシア国営原子力企業「ロスアトム」社会評議会のメンバー、ウラジーミル・クズネツォフ教授談

「2号機では、原子炉の底で溶解が生じており、放射性物質がおそらく土壌にしみ込み、海に流れ込む可能性がある。
 最大の脅威と思われているのは、プルトニウムが外に出る事だ。
 しかし最も恐ろしいのは、プルトニウムを洗い流す事だ。プルトニウムが発電所の敷地内ばかりでなく敷地外に運ばれ広がってしまうからだ。海に入り、波に運ばれてゆく。魚の体内に入ったり、どこか別の所に沈殿し溜まったりするだろうが、それは誰にも分からない。
 放射能雲はすでに、放射性ヨードのアイソトープの一部を世界中に運んでしまった。実際、そうしたものは、アラスカやオーストラリア、スペインにも達し、フランスで確認された。
 しかし夏までには通常、雲は動きを反対の方向に変える。もしそれまでに、事故処理が間に合わなかったら、深刻な危険を被るのは日本本土と南北朝鮮だ。放射性ヨードのアイソトープを含んだ雲が、ロシア極東に押し流されてくる可能性もありうる。」

(柴田)


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組織・財政

組織状況

(2011年3月31日現在)

 年初会員数:220名、入会者数:2名、退会者数:8名、3月31日現在会員数:214名。年初比6名減。前年同期比7名増。入会者数より退会者数が多い状況が今年になってから3箇月続いています。

 年度末目標数は250名です。会員の総意である決定事項は必ずやり遂げる立場で、目標に向かって一日、一日新入会員の積極的な勧誘に細心の注意を払いましょう。

 退会者数を念頭に入れると今年度残り9箇月で35名{毎月4名}の純増は大いなる努力を必要とします。漠然と拡大に取り組むのではなく、役員会で事業ごとの年間拡大計画を立て、入会対象者を挙げ、勧誘するなど具体策を決め、取り組むことが大切です。



財政状況

 昨年度に比べ、事業総額は1.7%減、当期剰余金は339,671円の減となりました。
 東日本大震災による臨時休業の影響などがありますが、これを克服して年間予算を達成するよう努めましょう。

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2011/3/31
単位:円
摘 要収 入支 出
一般会計366,9541,322,566
教育事業1,514,568852,170
一般事業720,893648,237
当期剰余金 ▲220,558
合 計2,602,4152,602,415
前年同期(単位:円)2010/3/31
摘 要収 入支 出
一般会計428,0741,238,664
教育事業1,358,447834,956
一般事業859,343453,131
当期剰余金 119,113
合 計2,645,8642,645,864

(柴田)

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文化&スポーツ

ユーラシア芸能

●マシーナ・ヴレーメニ、東日本大震災チャリティコンサート開催!

●ユーロヴィジョン2011 ロシアからはアレクセイ・ヴァラビヨフが出場決定!

●ファーブリカ・ズヴョーズド 再始動!

詳細は協会ブログ「ロシア芸能」カテゴリーで。



映画・演劇

劇団東演第136回公演
モスクワ・ユーゴザーパド劇場 ヴァレリー・ベリャコービッチ演出
「ハムレット」

3月17日(於:東京・本多劇場)

ハムレット Photo by 根岸ふじ枝

「To be or not to be」という有名な台詞がとても重く感じられた。余震への不安や不便な交通機関の乱れを乗り越え「行くか行かざるべきか」という命題は、ハムレットの苦悩そのものだ。しかし劇団は、地震発生当日に初日を迎えたにもかかわらず、「演るか演らざるべきか」という命題に「演る」という答えを出した。それならば私も行くべきだと考え、千秋楽の舞台へ足を運んだ。

「ハムレット」は、ユーゴザーパド劇場(以下Ю・З劇場)がエジンバラ演劇祭で高い評価を受けた、いわば国際的出世作。1990年には来日公演を行ない、故V・アヴィーロフ氏演じる異形のハムレットと、ペレストロイカ期のロック・ミュージックに乗った斬新な演出で注目を集めた。

ハムレット Photo by 根岸ふじ枝

 1993年から続けられている劇団東演とのコラボレーションでは、Ю・З劇場の芸術監督兼人民功労俳優でもあるベリャコービッチ氏が翻案・脚本・兄殺しのクローディアス役をこなし、同劇場の若手俳優がレアティーズ役とオフィーリア役(東演の女優とのダブルキャスト)で来日、衣装や照明といった舞台美術もЮ・З劇場が担当した。セットや小道具がシンプルなだけに、照明と音楽が背景として大きな役割を持ち、登場人物の衣装には伸縮性の素材が共通して使われている。そのせいか、東演の公演であるが、Ю・З劇場のステージがそのまま東京でよみがえったような錯覚に襲われた。ロシア人の台詞はロシア語のままで字幕もない。しかし、フォローする日本語の台詞によって細かい内容も落とすことなく観客に伝わる。日本語の脚本も、さまざまなニュアンスのことばを使い分け、呪文のように繰り返される。

 Ю・З劇場独特のエネルギッシュさとスピード感に加え、日本的な無常観・虚無感が交錯し、オフィーリアの発狂と溺死、親友同士であるハムレットとレアティーズの決闘シーンは観る者を圧倒する。日本とロシアという異なる文化の劇団が、シェークスピア劇という、これまた異なる文化の演目に取り組んだ今回の公演。日本での大地震という共通体験を通し、想像以上にすばらしい舞台芸術に昇華できたとのではないだろうか。

(文・滝沢三佐子/Photo by 根岸ふじ枝)



書評・案内

ロシアの大人の部屋
―自分らしく暮らしを楽しむロシア女性の雑貨とインテリア―
(辰巳出版)

 先日、ロシアのインテリアをテーマにした素敵な本が出版されました。著者は、『ロシアに学ぶ週末術-ダーチャのある暮らし』(WAVE出版)をお書きになった、豊田菜穂子さん。ロシアでの現地取材へ出発される前に協会事務所でお話を伺い、この本の出版を心待ちにしておりました。

 社会主義体制下では知ることの出来なかったロシアの暮らしぶり、時代の移り変わりを垣間見ることが出来る一冊です。さらに女性の部屋にスポットを当てているのも興味深いと思いました。20歳から90歳という幅広い年齢層の、様々な肩書の女性が暮らす、個性あふれるお部屋がたくさん写真付きで登場します。ミックスカルチャー、芸術家の部屋、ノスタルジアなど、お部屋のテイスト別に分けられているので、読みやすい構成となっていますし、ロシア女性の暮らし術などお得な情報も付いているので、自分の部屋の模様替えのヒントも頂けそうです。〈ロシアテイストのインテリア雑貨が購入できる日本のショップ〉というページには、【うにべるま~ぐ】も紹介されています。皆さんもぜひ一度手に取り、ロシアの温もりの空間を覗いてみてはいかがでしょうか。

(田邊)

 ※当協会事務所でも販売中!定価1,600円+税


ロシア絵本カレンダー2012

ロシア国立極東人文大学の学生イラストレーター達による昔話、民話を題材にしたニューアヴァンギャルド絵本カレンダー。一部1,500円。お問い合わせ・購入お申し込みは(有)プラスワンまで。
Tel: 06-6426-1337 (担当:堀) E-mail: hga24601@bai.ne.jp



The Story Series

メンタルホスピタルへの手紙(縮約版)

スレイマン・ジャブライロフ 作
ファンキージャネット 訳

 《13日目》

 今朝、公園に出かけてきた。人混みの街、ごみのリサイクルで造られた建築物から遠く離れて過ごしたかった。公園の入口まで既に200mの地点から、折り畳み式テント、食糧、化粧品、ペット、子供を詰め込んだ車が徐々に混雑し始めていた。明らかに、公園は市民の最もお気に入りの1つだ。彼らはアウトドアが大好き。その次に好きなのはマイカーだ。それ故、濃厚な灰色の排気ガスが公園の入口付近を覆い尽くし、これに僕は錯乱する頭痛へと反応する。地雷設置区域を横断するかのように、公園案内図に釘付けの人混みからやっとのことでフラストレーションを抑制し、抜け出すことができた。

 公園の奥に大きな芝生広場を発見し、そこで横になろうと思った。真夏の湿気が車の排気ガスと混ざり、限界を超えた暑さに加え、公園中を覆い尽くす車のエンジンのフューズで、自然を演出する舞台装置の中にいると感じてしまう。休むための木陰を探し始めたが、各々木の周辺には携帯に夢中になっている母親、新聞を読みふける父親達に既に占領されていた。彼らの子供、又そうでない子供は両親から自由になった喜びで飛び跳ね、あるいは泣いている子もいた。僕は空いた場所を求めて何度も広い敷地を歩いて回ったが、見つけることができなかった。歩いていると、老夫婦がベンチに袋を敷いて座っている光景を目にした。彼らはうちわで扇ぎ、新聞を横に置きながら、目の前を通り過ぎる僕を見つめ、彼らから遠ざかると、老夫婦は調子を取り戻したかのように、子供、孫、天気、もちろん芸能人を話題にした打ち解けた会話を再開するのだ。

 僕は歩き疲れ、乾いた湿気と冷たい暑さに屈服し、敷地の端に座った。大きな芝生の広場は、自己満足している市民を乗せた壊れたメリーゴーランドのようだ。その地面はスポンジのように柔らかい。手入れされた芝生には虫がいない。立派な社会人、彼らの子孫にとって場所を快適にする為、有毒な薬剤がまかれている。1組のカップルがその上を歩いている。それぞれ家庭を持っているが、その事実をお互い知っていながら触れない方が都合好く、又この日出張と嘘つかれて家に残された彼らの家族も同様に、真実を知りながら何も尋ねないのだ。この調和は不便さと複雑さを回避する為にとれているが、二人の姿は無意識に嘘にまみれた毒々しい空気を放ち、僕は余計頭痛がひどくなった。頭の中で、彼らの足音が激しく轟く。僕はカップルから目を背け、今度は小さな孫に説教している老婆が目に飛び込んできた。孫は玩具を買うためのお金を要求しているが、老婆はそれを拒否し、“濡れ手で粟の如く、人は苦労せずして物を手に入れることはできない”という若い頃の教訓を例にしながら賢い出費と倹約の重要性を真剣に講義している。少女は注意深く耳を傾けては、首を縦に振っている。もちろん、老婆は自ら発する言葉に間違えはないと必死に信じている。彼女と彼女のような年金受給者は、自分の今日の裕福な生活が、もはや彼らのように老後を迎えることができない孫達の奪われてしまった将来に基づいていることを知らない。

 至る所から子供の叫び声と笑い声が聞こえてくる。時々こうした声は、大量の水が下水管に流れる音に似ている。その笑い声は毒にさらされている。彼らの目は、狂気のようだ。彼らの保護者も狂気だ。公園も狂気だ。木の枝にカラスがとまっている。カラスたちは落ち着いていて良い。彼らは忠実だ。彼らだけが僕を分かる。

***

 友人よ、この街では新しい日を迎える度に、前の日よりも僕にとって過ごすことが更に大変になっていく。市民に囲まれていると、実際1人でいる時よりも孤独に感じる。街の笑い声と騒音は、僕に苦痛とアレルギーを引き起こす。ネオンの光は僕を影に追いやる。

 病院がこうした素晴らしい機会を与えてくれた時、医者が楽観的過ぎたのだ。今となっては、僕は慢性的な病気で回復の望みがないと分かった。しかし悲しくはない。それは君と病室の仲間にもうすぐ会えるからだ。君にお願いがあるんだ。もし差し支えなければ、病院スタッフにできるだけ早く僕を迎えに来てもらえるように頼んでくれないか。僕は、昔ながらのレシピで作られたケーキを下町で買ったので病院に持っていく。皆に充分足りる大きさだ。又、フルちゃんに花を持っていくつもりだ。花は鉢植えにしよう。彼女が鉢から地面に植えかえられるように。きっと花を成長させ、よく面倒を見てくれるだろう。枯れる心配はない。

― 完 ― 

(2010年7月)



ユーラシア通信

リペツク便り (2)ロシアの春

 こんにちは。リペツクからロシアの春をお伝えします。

 ロシアでも、東北地方の大震災については発生直後から連日トップニュースで報道され、日露史上初めてロシアの救援隊が180名も災害援助に参加しました。隣国でありながら「今回が初めて」というのには少し驚きましたが、北方領土問題で緊張していた日露関係改善のきっかけになったようですし、これから日露が本当の「隣国」となっていくことに期待したいと思います。

 日本はまだまだ震災の真っただ中ですが、3月は、ロシアの人々にとっては待ち焦がれた『春』の訪れを祝う日々です。

マースレニッツァ

 最初は『マースレニッツァ』。長い冬の終わりと春の到来を祝うお祭りで、今年は3月6日にロシア各地で行われました。リペツクでも何カ所かの広 場で木登り競争などのイベントがあり、大勢の人が焼き立てのブリヌィやシャシリクを食べながら楽しみました。

 この頃から花屋には大量のチューリップが並び始めました。チューリップはロシアでも春を象徴する花のようで、ホテル入口の飾り花や国際婦人デーのポスターなどこの時期はあらゆるところでチューリップを目にました。

 3月8日は『国際婦人デー』。N.Y.の婦人運動が発端だそうですが、日本ではあまり知られていませんね。ロシア周辺各国では盛大で、祝日になっています。テレビではプーチン首相が全ロシア女性に向けて「女性はおばあさんに至るまで全て素晴らしい!」とメッセージを出していました。男性は身近な女性に花束やチョコレ―トなどの贈り物をします。普段は女性にバラを贈ることが多いですが、この日の主役はやはりチューリップ。

 今年は7日を振替休日にして6・7・8日と3連休で、まだ雪の残る中、春を迎える喜びが溢れたお休みでした。

 そして間もなく3月27日に冬時間から夏時間に替わり、ロシアの長い冬が終わります。

(堀江 美恵)

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何でも掲示板

【日本ユーラシア協会本部からのお願い】
 東日本大震災被災地への義援金募集

 去る3月11日(金)の未曾有の大地震と巨大津波により被災された皆様、特に、日本ユーラシア協会岩手県連、宮城県連、青森支部、福島支部、茨城県支部、山形などの被災地県連・支部・会員の皆様への、激励、救援、義援金募金等を全国の会員の皆様にお願い申し上げます。

 本部への義援金の送付は、以下の金融機関にお振込みくださいますよう、お願い致します。

1.ゆうちょ銀行(会費納入用口座)
郵便振替口座: 00190-6-71351
名義: 日本ユーラシア協会
★通信欄に「東日本東北大震災募金」と明記して下さい

2.都市銀行(募金専用口座)
銀行名 みずほ銀行 経堂支店
店番号:736 普通預金口座
口座番号:0596521
名義:日本ユーラシア協会



今夏のハバロフスク旅行 実施危ぶまれる

今年も恒例の「大自然とハバロフスク市民交流の旅」を企画していましたが、東日本大震災に伴うウラジオストク航空の運休・減便により、予定の変更を余儀なくされ、延期または中止の可能性も出てきました。詳細は後日お知らせいたします。



ユーラシア関連記事・写真の投稿、ご意見、ご感想、情報等 大歓迎!

字数は読み物なら400字程度(長ければ連載で)、案内なら1行~200字以内でお願いします。
また、この神奈川県版機関紙「日本とユーラシア」に関するご意見やご感想なども歓迎します。
締切は毎月第3または第4土曜日(月末土曜日に開かれる協会理事会の1週間前)です。
投稿は郵便・FAX・Eメールのいずれかで。宛先は下記の通り。

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 機関紙編集部
〒231-0062 横浜市中区桜木町3-9 横浜平和と労働会館5階
Fax 045‐201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

(機関紙編集部)

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催し物情報

チェルノブイリ25周年 命・自然
広河隆一 最新現地報告&チャリティーコンサート

とき:4月23日(土) 14:00
ところ:牛込箪笥区民ホール
料金:全席自由、一般前売り2500円、当日3000円


チェルノブイリ写真展

4月14日(火)~4月19日(木)12:00~19:00
ところ:早稲田奉仕園スコットホールギャラリー
問合せ:チェルノブイリ子ども基金
03-5228-2680


バラライカ・ドムラ&アコーディオン 第1回 合同発表会

2011年5月8日(日)15:00開演
R’sアートコート 新宿区大久保1-9-10(労音会館)
入場料500円(講師演奏あり)
講師:北川翔(バラライカ)、大田智美(アコーディオン)
伴奏:大田智美、長尾和彦(ギター)
北川翔・大田智美門下生の発表会。当協会バラライカ・ドムラ教室の生徒も出演します!日頃の練習の成果を是非お聴きください。


パーヴェル・ネルセシアン ピアノリサイタル

2011年5月14日(土) 午後7時開演
東京文化会館小ホール(JR上野駅公園口前)
演目:チャイコフスキー「四季」全曲/ベートーヴェン ピアノソナタ第32番/スクリャービン ピア所ソナタ第10番 詩曲「炎に向かって」 他
一般3500円 会員3000円 学生2500円
当協会事務所でもチケット取扱い中!


前進座創立八十周年記念 五月国立劇場公演

2011年5月12日(木)~24日(火)
東京・三宅坂 国立劇場 大劇場
演目:「唐茄子屋」「創立八十周年記念 口上」「秋葉権現廻船噺」
特等席11,000円、一等席9,800円、二等席4,000円、三等席2,500円
お問い合わせ:前進座 東京営業所 TEL 0422-49-2811


田中正也 ピアノリサイタル 「魔法のピアニッシモ」

~エリーゼのためにから超絶技巧練習曲まで 楽しいお話とともに~
2011年6月26日(日)14:00~
前売3,000円、当日3,500円
プログラム:ベートーヴェン「エリーゼのために」、ショパン「小犬のワルツ」、プロコフィエフ「束の間の幻影 Op.22より」 リスト「ラ・カンパネラ」他
※先着5名様にチケットプレゼント!ご希望の方は事務局(木佐森)までご連絡下さい。

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お勧め商品

ホフロマ調サモワール3点セット 52,500円

ロシアの有名な民芸品・ホフロマ塗りを施した苺柄のクラシカルなセット。



銀色サモワール3点セット 49,800円

優美な銀色のサモワール・ティーポット・トレイの3点セット。



木炭式サモワール 5L  60,000円

昔ながらの貴重な木炭式サモワール。庭やアウトドアでの使用をお勧めします。



●取扱商品の詳細は協会事務所、または協会主催オンラインショップ「うにべるま~ぐ」でごらん下さい。



4月1日~9月15日の全品売上の5%を震災義援金として寄付します

 NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会は、2011年4月1日(金)より9月15日(木)までの「うにべるま~ぐ」取り扱い全商品の売上の5%を、3月11日の東日本大震災の被害を受けた方々への義援金として、日本赤十字社(予定)を通じて寄付することを決定いたしました。

 被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。


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中世ロシア興亡史講義

第60回 アンドレイ・ボゴリュブスキー(統治1169-1174)の青年時代~キエフ大公国からウラジーミル大公国へ~

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