特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙 「日本とユーラシア」
カテリーナ・ビロクール「野の花」(1941年)

今月の表紙
カテリーナ・ビロクール「野の花」(1941年)


行事予定

第12回大自然とハバロフスク市民交流の旅 説明会

ハバロフスクのサマーキャンプ

ロシア極東ハバロフスクで市民レベルのふれあいをしてみませんか?
2010年7月28日(水)~8月2日(月)
新潟空港発―ハバロフスク滞在―成田空港着
ホテル・ホームステイコース 164,000円、ダーチャコース 189,000円(予価)

日時:2010年5月16日(日)14:00~
会場:横浜平和と労働会館5階 参加費:無料
内容:今年度の旅行の説明、昨年の旅行のビデオ鑑賞等
TEL/FAX 045-201-3714 E-Mail eurask2@hotmail.co.jp


チャイとウォッカでロシア人とロシアを語ろう!

日頃感じているロシアのイメージを、直接ロシア人にぶつけてみよう!
一杯ウォッカを飲んで語り合い、二杯ウォッカを飲んで分かち合おう!
ロシア人側を代表して、スレイマンさんとダリヤさんが出席してくれることになっています。
本音でロシアを語り合いましょう!

2010年5月23日(日)14:00~
横浜平和と労働会館5階
2010年1月以降入会の会員・4月入学生徒無料
その他の方700円 持ち寄り大歓迎!
参加お申し込み締切:5月20日(木)

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活動報告

ロシア大使館

ロシア大使館探訪

2010年4月17日(土)
在日ロシア大使館にて

 高校の同級生と読書会を開いており、最近米原万里さんのご本を取り上げた縁から、今回の訪問にメンバー4人で参加。ご対応いただいた Fesyun氏は、とても知的で面白い方でした。

 ロシアの文学状況や村上春樹の人気について伺ったときの答え。

 「いまの日本の若者が『徒然草』を読みますか?」、「春樹の小説は、ロシア人と同じだから面白いそうですが、私は読みません」。

 そして15年間ジャーナリストだったという氏から次々と、「古今和歌集」や「道元の正法眼蔵」とい った日本の古典が挙げられたのには驚きました。続けて、「どこの若者も似てきています。精神生活が淡々となっていく」

 そこで私は米原さんの説を紹介。―ドストエフスキー、トルストイ、チェーホフ…。優れた人たちは文学に向かった。なぜなら伝統的に言論が抑圧されていたことが大きく作用したから。抑圧がなかったら違う分野に行ったかもしれない―という説。

 精神生活が淡々となって文学が似てきたとすれば、文化が画一化され、抑圧が減ってきているからでは、と尋ねると、「そうかもしれません」

ロシア大使館

 「違いがおもしろい」と、日本の伝統文化に関心を持たれる氏。考えてみると私は、ロシアの広大な自然、そして食べ物、文学、音楽、バレエ、歴史、民族など、日本と異なるところに興味を感じ、似ているところに安心しているようです。

 異質なものに出あうとき、自分や自文化を振り返り、問い、いろいろ考えさせられます。多様性こそ豊かさであり、ファストフードのような単一な味ではなく、人生について世界について、より味わい深くしてくれるように思います。次は、ウォトカ入りで、アネクドートについてお話いただけましたら幸いです。

 大使館には、ご多忙のなかご案内いただき、心より感謝申し上げます。

(篠木)


入会の弁と大使館訪問記

ロシア大使館

 簡単に自己紹介をさせてください。北海道の生まれではありますが、海のない札幌で育った私にはロシアと関わる機会はほとんどなく、遠く稚内や函館の「ロシア漁船」のネガティヴな印象しか持っていませんでした。ところが大学受験後、結果発表を待つ間たまたま父親の書架から『カラマーゾフの兄弟』を手に取ったのが転機になりました。漁港の荒々しいロシア人の印象と、ドストエフスキーの深い人間への洞察と感性。そのギャップを不思議に思いながら、導かれるようにロシア語を履修し、ロシア文学を専攻することに決め、09年には約1年間サンクトペテルブルクに留学しました。

 当初のネガティヴな印象がこの学生生活でどう変わったかについては、帰国後もロシアと自分のつながりを絶やしたくない一心で、今回大使館訪問と入会を申し出たことから察していただけるでしょうか。ロシアとロシアの芸術には汲めども尽きぬ、力強く不思議な魅力があります。ただ、常にもどかしく思うことは、日露間のなかなか埋まらない距離です。

ロシア大使館

 今回、まさにペテルブルクの宮殿で目にしたのと同じような豪華なホールで、私よりも日本語のお上手な大使と、終始なごやかに談話する機会を得ましたが、日本人がロシア旅行をする難しさ、日露交流の歩みの遅さに話が及ぶに至って、思わず大きくうなづいてしまったことは残念なことです。

 ロシア芸術やシベリア鉄道に興味をもつ日本の同級生、留学中出会ったジブリのアニメが大好きなロシアの女の子、ユジノサハリンスク生まれで日本製のチョコレートやドラマを気に入っていた友達、彼らの距離を少しでも縮める手伝いをしたいと願っていますが、それをどんな形で実現できるかはいまだ模索中です。

(K)


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教室案内

第112期ロシア語教室 5月スタート入門・会話クラス生徒募集中!

入門、初級、中級、上級、会話 毎週月曜日~土曜日、各コース全15回(一部全17回のクラスあり)。
4月15日より順次開講、生徒募集中。学期途中からの編入学も可能です。

また、5/15(土)12:30-14:00「やさしい会話」、16:00-17:30「入門」クラスも新設予定。講師は須藤アレキサンドラ先生です。こちらも是非ご検討下さい。
各クラス等の詳細は教室ホームページへ。見学・入学をご希望の方は事前に事務局までお問い合わせ下さい。

お申し込み・お問い合わせ:
TEL/FAX 045-201-3714
メール yokohama-rosiago@hotmail.co.jp
教室ホームページ   教室ブログ


第55回ロシア語能力検定試験

日時:2010年5月30日(日)
4級 10:00~  3級 13:00~
横浜会場:横浜平和と労働会館3階


日本語教室 Курсы японского языка 生徒募集中!!

月曜~金曜、10:00~17:00の間、1コマ90分。
基本的には個人レッスン、同レベルで同時期に始める場合はグループレッスンも可。
入学金5,250円(会員は無料)、受講料1回3,000円。
お問合せ先:045-201-3714 (事務局)


ロシア民族楽器 「バラライカ」「ドムラ」教室 5月新学期スタート!


みなとみらいマトリョミン教室 4月開講!


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組織・財政

組織状況

(2009年4月30日現在)
年初会員数:211名、入会者数:22名、退会者数:16名、4月末会員数:217名。
前月比3名増、年初比6名増。 前年同期比22名減。
会員拡大目標:250名(年度末)まであと33名


財政状況

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2010/3/31
単位:円
摘 要収 入支 出
一般会計707,677 (107.2)2,255,385(98.5)
教育事業3,026,284 (129.9)1,074,877(123.9)
一般事業958,113 (131.0)476,001(60.2)
当期剰余金 885,811(389.2)
合 計4,692,074(126.2)4,692,074(126.2)
前年同期(単位:円)2009/3/31
摘 要収 入支 出
一般会計660,270(92.3)2,288,940(101.8)
教育事業2,328,057(86.1)867,686(91.4)
一般事業731,047(64.3)790,366(198.2)
当期剰余金 227,618(▲23.7)
合 計3,719,374(81.6)3,719,374(81.6)

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政治・経済

やっと変わってきたロシア企業の日本製品評価

 ソ連時代から最近までロシアの企業は同じ商品名なら安いものを買う傾向が強かった。

 私の現役時代、例えば日本の乾電池が他国製に比べ2倍長持ちしても、値段が1セントでも安ければ日本製の半分しか持たない他国製を買い付けた。しかし、経済が資本主義化されて以来、数年使った結果、安い他国製品に精度や耐久性に問題があることが解ってくると、「高機能の製品は日本製の方が良い」という認識が広まってきた。ロシアでの日本製工業製品の評価は従来「品質は良いが、価格が高い」という単純なものだった。しかし最近では「品質の割には価格が適切」という認識に変わりつつある。長期的採算性の重要性を次第に理解してきたようで、当然の事ではあるが歓迎すべき事である。

資料:ロシア経済の現状と当面の見通し

ロシア経済の現状と当面の見通し

世界銀行ロシア経済見通し20102011
実質GDP成長率(%)5.0-5.53.5
財政収支(対GDP比、%)-3.00.0
経常収支(十億ドル)3219
資本収支(十億ドル)3050
<参考>  
世界実質GDP成長率(%)2.73.2
単純平均油価(US$/b)76.0076.58
<資料>世界銀行  

(柴田)


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ユーラシア文化

NHK大河ドラマ「坂の上の雲」について(5)

日露戦争の台所事情

 前号で述べたように、日本とロシアを戦わせる為、英国、米国は日本の戦費調達に協力した。

(1)日露戦争の戦費と調達源
 戦争には武器、弾薬等の輸入が必要で、日銀副総裁高橋是清は日本の勝算が低いと見る国際世論の下で外債による戦費調達に苦しんだ。事実、開戦によって日本の既発外債は暴落し、当初計画された1000万ポンドの外債もまったく引き受け手がない状況であった。これは、世界中の投資家が、日本が敗れ資金は回収できないと考えた為である。

 是清はまず渡米したが米国の銀行家からはまったく相手にされず、次に渡英して、額面100ポンドの国債を93ポンドまで値下げし、表面金利6%(実質金利8%)、更に日本の関税収入を抵当とするという屈辱的な好条件で、イギリスの銀行家たちと交渉し、ようやくロンドンでの500万ポンドの外債発行に成功した。直後、再渡米して、ユダヤ人銀行家ジェイコブ・シフと接触し、残額500万ポンドの外債引き受け及び追加融資を獲得した。1904年鴨緑江の作戦で日本が勝利すると、日本債は急騰、第2次から第4次の外債発行で合計10億円超の資金を調達出来た(当時の国家予算は約7億円)。

 日本側の資料で日露戦争関連の軍事費について見てみると、合計19億8612万7000円のうち、78,3%が公債、国庫債券、一時借入金で、残りが税収などである。外国からの公債実収額は6億8959万5000円で、軍事費財源総額の34、7%に相当する。

 開戦前年の12月には、日本銀行には円も含めて、正貨が1億6796万円(1170万英ポンド)しかなかった。

 日本は、ロシアを敵視するユダヤ人シフの奔走によってアメリカやイギリスからの資金調達に成功し、船や武器、また必要な装備を調えることができた。つまり、国際ユダヤの援助がなかったとすれば日本は勝つことができなかった、と云われるほど貴重な援助であった。

(柴田 順吉)


The Story Series

診療所にて(縮約版・後編)

スレイマン・ジャブライロフ

 私は天井の高いクリニックにいる。その天井は仕事に無関心なわけではいが、この高さに合う道具がないから掃除係に高すぎるもので、また上からの目線で患者を見る医療スタッフも天井に快適そうに集まった保菌虫に気付くことができない。長い廊下は広すぎて、順番待ちの患者は、診察室の番号は見えず、医師の患者を呼ぶ声も聞こえにくい。これを解決しようと医師が自動呼出しを使う。つまり彼がボタンを押すことで室の入口にランプが失明させそうな強度な光を放し、同時に火災報知音のようなブザーが鳴る。この紛らわしさが惨事を招きそうだが、クリニックの火災報知の装置は、誰もしらないとは言え、壊れている状態だ。床は乾いた泥跡をかぶっている。床は適当に掃かれるが磨かれていない。去年の診療所のリフォーム予算に高額な項目で織り込まれた床タイルは湿気に弱く、洗うとスケートリンクのような効果がでる。床磨きをした結果、2人の患者と1人の看護婦が滑り転び、近所の接骨院に運ばれ、この事件を誘発した床掃除が最初で最後となっている。

 診療所スタッフの人数は相当なもので、患者一人に対し、療養所スタッフ一人の割合である。大半のメンバーは患者に待ちぼうけさせておきながら、自分たちはティータイムを楽しむ。

 さとう氏は無関心な表情の看護婦に謝っている。彼女は数分前にさとう氏の名前を声が嗄れる程、繰り返し呼び出していたにもかかわらず、彼が遅れた理由にまったく興味持たない。府川氏は無視されたままで、冷たい表情を崩さず、相変わらず舌打ちの連発をしている。待合ホールにいる患者たちは興味深く眺めている。息苦しそうな老婆がゆっくりとベンチから立つ。大きな赤い花柄の黒いスカーフを巻き、重たそうな茶のコートを纏っている。右手を伸ばし、受付の看護婦に指をさしながら、
「府川の順番だよ、待たせるな!」
と叫び、看護婦、そして驚いた顔で振り向いた両氏に言いかける。すると、老婆の裏に座る人たちは様子がいきいきと湧きだしてくる。
「そうだ!さとうは並び直せばいいんだ。今後はちゃんときくだろう!」
と、低い男性の声が、すぐあちらこちらから荒々しく、野次が飛んだ。
「最初の順番通りにやればいいでしょう。じゃないとまた混乱しちゃうわよ」
と緑色のセーターを着た40代の女性が反論。
「なんで時間をとられなきゃいけないの?!」
と若い男性が叫ぶ。彼の近くに座る青年がイヤホーンの音量を上げ、音楽のリズムにひたすら頭を振っている・・・。

 もはや、さとう氏や府川氏だけに留まらず、事態は待合ホール中の一大事と化した。待合ホールはさとう派と府川派に分かれる。府川氏と同じく毎日くる患者が大半の為、彼に見方する者の方が断トツに人が多い。小顔で細身の女性ははにかんでさとう氏のことを正当化しようとするが、皆からあざけられてしまう。

 まだ中立的な立場の私は、両派の不満を浴びせられそうだ。ここではいずれの立場をとらないことは最大な悪行とされている。自分の目立たなさはついに目立ち始め、あちらこちらから鋭い目でみられるようになる。この状況から自分を救うべく、妄想に幕を降ろし、現実に戻る。


 さとう氏の姿は見えない。おそらく手続きを済ませ帰宅した。今、受付窓口は府川氏がいる。舌打ちをし続けている彼は丁寧な看護婦と一緒に用紙を書き込んでいて、さとう氏の再到来を恐れたかのように、ときどき頭も振り返ったりする。待合ホールは変わらず静かに落ち着いている。こちらの人の多くは帰宅したらさとう氏と府川氏を思い出し、家族や友達に話す。私も出来事について話す相手を思い始めた。

(2010年3月)

「診療所にて」ロシア語版(縮約版) (日本語版前編は4月号に掲載)

В клинике (Сокращённый вариант)

 В клнике количество посетителей во много раз превышало норму приёма, на которую была рассчитана архитектура здания и которую могла обслуживать немногочисленная группа медицинских работников. Врачи и медсёстры находились в постоянном движении, натыкаясь друг на друга и на пациентов, но оставались при этом вежливыми и сохраняли внешнее спокойствие.

 "Господин Сато, подойдите к регистрационному окну", - в маленьком пространстве зала ожидания микрофон звучал громко, чтобы ожидающие, большинство из которых были пожилыми людьми со слабым слухом, не волновались пропустить свою очередь.

 -Господин Сато, господин Сато Митио, пройдите к регистрации.

 За стойкой молодая медсестра беспрерывно повторяла объявление и, не зная его в лицо, безнадёжно искала глазами вызываемого пациента среди толпы. Сам господин Сато удобно располагался в двух шагах от стойки регистратуры на одном из мягких стульев, выстроенных в несколько рядов для посетителей. Спокойствие на его лице говорило о том, что он остался довольным сегодняшним приёмом у врача, и теперь его мысли, по-видимому, были заняты темой далёкой от медицины. Оставленная без ответа со стороны господина Сато медсестра, наконец, перешла к следующему в списке ожидаемых.

 Господин Фукава - следующий в списке - несмотря на преклонный возраст, производил впечатление человека энергичного и с крепким здоровьем. Тем не менее, он с давних пор регулярно являлся сюда почти каждый день, и если вначале медперсонал безмолвно и единодушно испытывал граничащее с раздражением непонимание, то теперь, по прошествию многих месяцев господин Фукава стал явлением само собой разумеющемся, и его редкое отсутствие вызывало уже единодушное и безмолвное беспокойство врачей и медсестёр. В этот день он как обычно находился в клинике с самого её открытия и сейчас ожидал своей очереди с завидной энергией, которая в основном уходила на сдерживание не менее сильного нетерпения: перед каждым объявлением он, опасаясь, видимо, что его могут по невнимательности позабыть, наполовину перегибался над регистрационной стойкой в надежде разглядеть своё имя в лежащем за перегородкой списке, рискуя при этом потерять равновесие и грохнуться на регистрационный стол. Увидев, что его очередь, наконец, настала, господин Фукава громко и чётко заявил о своём присутствии удивлённой до полуиспуга медсестре, оставившей объявление озвученным лишь наполовину.

 Тем временем в коридоре появился молодой высокий врач. Перед этим он осматривал господина Сато, и, услышав серию безответных вызовов последнего, забеспокоился. К видимому облегчению обнаружив своего пациента невредимым, юный врач шёпотом - дабы не причинять беспокойство другим присутствующим - поспешил подсказать ему, что тот пропустил свою очередь. Этому господин Сато выразил крайнее удивление и поначалу отказывался верить молодому доктору, но, в конце концов, направился к регистрационной стойке к молчаливому неодобрению господина Фукавы, справедливо дождавшегося своей очереди и вынужденного теперь уступать невнимательному коллеге. Извинившись перед медсестрой и следуя её вежливым указаниям, с виноватой улыбкой господин Сато начал заполнять выданную ему анкету. Он, тем не менее, не удосуживал своим вниманием господина Фукаву, который смотрел на господина Сато холодными глазами и при этом то и дело цокал языком, звук от чего эхом отдавался в глухой тишине зала с внимательно наблюдавшими за происходящим посетителями. Не желая быть свидетелем напряжённой сцены, я попробывал размышлять о других вещах, но энергичные щелчки, издаваемые подобно только что заведённому метроному языком не прощающего ошибок господина Фукавы, постоянно сбивали с мысли и делали всякую попытку сосредоточиться невозможной. Тогда я стал представлять, что происходило бы, имей такая ситуация местом своего действия российскую поликлинику.

 Я в большой поликлинике с высокими потолками - слишком высокими для уборщиков, не утруждающих себя - за неимением не столько энтузиазма, сколько подходящих для такой высоты приборов - чистить их, и слишком высокими для медперсонала, привыкшего смотреть сверху вниз на сидящих в ожидании его компании пациентов и по сему не замечающего благополучно устроившихся наверху мошек, комаров и других потенциальных разносчиков бактерий и микробов. Коридоры длинные и очень широкие, так что ожидающим очереди трудно расслышать голос вызывающего их врача, не говоря уже о том, чтобы разглядеть номер нужного им кабинета, на противоположной стороне от которого они сидят. Чтобы разрешить это неудобство, врачи используют автоматический вызов: нажимают на встроенную в стол своего кабинета кнопку, в результате чего на внешней стене ослепляющим всех светом загорается лампа и раздаётся продолжительный оглушительный звонок, очень похожий на сирену противопожарной системы. В чрезвычайном случае такое сходство может вызвать неправильную реакцию и потерю жизненно важного в таких ситуациях времени, однако пожарная система поликлиники также не работает, хотя никто этого и не знает.

 На полу засохшая грязь - полы только подметают, но не моют, делая это намеренно, поскольку элитная эмалированная плитка, заложенная экзотической суммой в прошлогодний бюджет реконструкции основного фонда, под влиянием влаги даёт эффект ледового катка: после её единственной влажной уборки нескольких пришедших в клинику пациентов и одну медсестру пришлось перевозить в расположенный поблизости травмпункт.

 Количество медперсонала поликлиники внушительно: его соотношение к количеству пациентов не намного уступает аналогичной пропорции курортного санатория. День ото дня большинство врачей и медсестёр, предоставив пациентам очерёдные процедуры, погружены в длительные чайные дискусси об известных только им материях.

 Вот господин Сато извиняется перед пожилой медсестрой с равнодушным выражением сильно накрашеного лица: ей абсолютно безразлично, что стало причиной опоздания господина Сато, хотя минуту назад она по слогам отчаянно выкрикивала на весь зал его имя. Рядом, игнорируемый господином Сато, стоит господин Фукава. Он не спускает ледяного взгляда со своего оппонента, и его щелчки звучат всё громче и отчаяннее.

 Наблюдающие за этим в зале ожидания посетители не остаются в стороне. Тяжело дыша, со своего места медленно поднимается почтенная бабушка. Её голова окутана в длинный платок с большими красными цветами. Горбясь, она вытягивает правую руку с указывающим на господина Фукаву пальцем и, смотря на медсестру, обращается не то к ней, не то к обернувшим свои удивлённые лица Сато и Фукаве:

 - Сейчас же он по списку, что ты его томишь то! Опоздавших не ждут!

 Находящийся за спиной старушки зал заметно оживляется.

 - Правильно! Правильно! Пусть Сато теперь заново в очередь встаёт! Будет знать! - раздаётся низкий мужской голос, тут же подхвачеваемый грубым смехом из глубины зала.

 - Ну нет уж! Пусть уж лучше вернуться к первому. По списку уж. А то потом опять будут впихивать его между нами! - возражает полная сороколетняя женщина в зелёном свитере.

 - Всегда так! Из-за таких время терять приходится, - быстро произносит молодой человек. Сидящий рядом с ним ещё один юноша, с самого прихода отбивавший резкими мотками головы ритм музыки в своих наушниках, повышает громкость и кивает головой ещё сильнее...

 Дело перестаёт быть делом господина Сато и господина Фукавы. Теперь происходящее важно для всех присутствующих и касается их лично. В зале ожидающие раскалываются на два лагеря - очувствующие господину Сато и сторонники господина Фукавы. Последние - идимо, из-за того, что они так же, как и поддерживаемый ими господин, приходят в поликлинику регулярно - оставляют заметное большинство. Молодая худая девушка с маленьким лицом робко пытается оправдать опоздание господина Сато, но её быстро заглушают вспышки мрачных сарказмов...

 Мне необходимо принять чью-то сторону; в противном случае я рискую нагнать на себя гнев обоих сторон - епринятие чьей-либо стороны воспринимается здесь как злодеяние высшей степени. Моё молчание начинает становиться заметным, и я чувствую на себе всё больше недовольных взглядов, требующих ясной идентификации моей позиции. Не желая становиться причиной общего недовольства, я возвращаюсь к происходящему в настоящем времени.

 Господина Сато уже не видно - авершив формальности, он, скорее всего, покинул поликлинику. У регистрационной стойки теперь находился господин Фукава. Всё ещё щёлкая языком, он вместе с учтивой медсестрой аккуратно заполнял анкету и то и дело оглядывался по сторонам, опасаясь, быть может, что господин Сато внезапно объявится вновь, чтобы его потревожить. В зале ожидания было так же тихо и спокойно. Многие из присутствующих здесь, вернувшись домой, возможно, вспомнят господина Сато и господина Фукаву и поделятся своими впечатлениями с близкими или знакомыми. Желая поведать об увиденном, я начал думать, кому рассказать эту историю.

Джабраилов С.
Март, 2010 г.


ユーラシア芸能

t.A.T.u.情報

みんな大好き♪ロシア発世界のスーパーアイドル「t.A.T.u.」関係の情報です。(^^)

・ソロ活動を始めたレーナが5月30日20時から、L.A.の伝説的クラブ「Troubadour」でデビューに向けたプレ・ショーを開催・出演する。このショーで、デビューアルバム収録の歌とt.A.T.u.時代の歌を歌う予定。L.A.在住のファン必見!


ロシア・トップテン

4月第4週のMTVTOP10をお送りします。新曲の嵐、10曲中6曲がチャートイン!
ウクライナから誕生した美人デュオ、Hollywoodの新譜「Кап-кап」が第9位。ユニット名、本家本元に訴えられないか心配ですが、グループによると「美人なのにエロチックなフォトセッションを未だかつて一度もしたことがない、ピュアなデュオ」らしいです。アレーシャとユーリャの歌声も柔らかく聴き心地いいですよ。彼女らの今後の動向にチェック。
続きはブログをご覧下さい

(MOPA)


新刊紹介

『コワレフスカヤ-ロシアの天才女性数学者』

前木祥子著 東洋書店 2010年2月(定価600円+税)

 1850年ロシアで生まれ、1891年スウェーデン、ストックホルムで亡くなった女性数学者ソフィア・ワシーリエヴナ・コワレフスカヤの小伝。

 コワレフスカヤは、日本においては、その自伝的作品が女性解放運動家平塚らいてうの雑誌『青鞜』に野上弥彌子訳で初めて紹介されたことが影響してか、男性中心の学問の世界に挑戦した女性というイメージが強かったが、最近、藤原正彦『天才の栄光と挫折―数学者列伝』(2002、新潮選書)でも取り上げられ、ようやく解析学の分野で多大な貢献をした数学者として注目されてきた。

 世界の数学界では、生誕150年にあたる2000年に大規模なシンポジウムが行われている。

 本書は、数学者コワレフスカヤの生い立ち、偽装結婚を経ての留学とその成果、その後のロシアでの生活、世界最初期の大学講師、ボルダン賞受賞の栄光、そして突然の死までを、年代記的に丁寧に追っている。

 コワレフスカヤのまわりには、19世紀に活躍した著名な作家や数学者、科学者がいた。ドストエフスキーもその一人であり、彼とのやりとりも興味深い。コワレフスカヤの波乱に満ちた豊かな生涯を知ると同時に19世紀のロシアとヨーロッパの一面を窺うこともできる書である。


『CDブック しっかり学ぶロシア語』

前木祥子著、ベレ出版、2004
基礎からきちんと学びたい人のために、文法をわかりやすく、丁寧に説明した入門書。
CDでは、若いモスクワっ子ナターリア・ツァルークさんの正確な発音が聞ける。
(おかげさまで6刷になり、誤植もなおりましたのでお勧めいたします。)

※前木祥子さんは当会会員。本書は当協会でお取次ぎできます。


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何でも掲示板

サモワールスポット

 4月17日(土)に第65回を開催しました。

 今日は4月のいろいろな日から。“день дураков”「4月馬鹿」 “день комоса”「宇宙の日」 “день рождения Ленина”「レーニン誕生日」。 включить дурак(дурочка)は、「馬鹿を演じる」、分からないふりをするみたいな表現だそうです。それから、なぜか“заначка”「へそくり」の話になりました。ロシアでは、へそくりは男性がするものとか。

 軽食は、плов(炊き込み御飯)と、табака(鶏の焼き物)、салад из помидоров(トマトサラダ)。メンバーの方がハバロフスクで入手した専用の合わせ調味料を使ってみました。

 サモワールスポットは、ロシア語学習を基本に、ロシアを楽しむサークルです。詳しくお知りになりたい方は、協会事務局を通してご連絡ください。次回予定は5月15日(土)10時30分すぎからです。

(前田)


二葉亭四迷展

 満開の桜の下、神奈川県立近代文学館で没後100年の二葉亭四迷展が開催されました。その一環として学習院大学名誉教授十川信介氏の記念講演があり、柴田会長とともに参加しました。

 大学では国文学を専攻したので、当然二葉亭四迷の「浮雲」は講義がありました。しかし、講読だけだったので深くは研究することはありませんでした。今回の講演は二葉亭四迷について、本当に深く知ることができました。

 二葉亭四迷はわずか14歳にして陸軍士官学校を受験します。理由は何と、ロシアからの侵略に対して身を挺して国を守るためだった、というのです。ところが、生来の近視と数学の不出来のため、不合格となりました。当時、陸軍は陸戦の主役は大砲であると考え、士官学校では砲兵を重視したのです。砲兵は視力が優れ、かつ照準器の操作や弾着の計算など高度な数学力が必要になります。二葉亭四迷は視力がなく、数学は大の苦手でした。三度受験し、三度とも不合格となり、断念します。

 ところが語学は得意で、フランス語・英語・ロシア語を直接外国人から教わるほどだったのです。軍人をあきらめた二葉亭四迷は得意な語学で教師となります。しかし、日露戦争直前、東京外国語学校教授を辞し、貿易商としてハルビンへ行くのです。そして、旅順と北京を拠点にし、仕事をしました。これは陸軍の密偵としての仕事だったという説があります。実際に、後の日露戦争では二葉亭四迷がいたところは全て激戦地になっています。

 戦後、新聞記者の職を得て、文筆に携わります。その文学活動の中で、次のような考えを持つようになるのです。

 「日本もロシアも、国家としては戦争という悲劇があった。しかし、両国民は戦争を望んではいなかった。日露国民の相互理解には文学が不可欠である」まさに日本ユーラシア協会の「相互理解と親善」という理念と全く同じです。訪ロの際、ペテルブルグで病を得て、帰国の途中船上で死去します。

 最初はロシアを敵視し、最後はロシアを愛した二葉亭四迷。その真の姿を知ることができた有意義な講演でした。

(関戸)


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NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 機関紙編集部
〒231-0062 横浜市中区桜木町3-9 横浜平和と労働会館5階
Fax 045‐201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp

(機関紙編集部)


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催し物情報

エイゼンシュテイン・シネクラブ 4月例会報告
「映画におけるロシア・アヴァンギャルド」

(4月17日 於:文京シビックホール会議室)

 今回は、現在開催中のメイエルホリド展ならびに4月下旬から始まるロトチェンコ&ステパーノワ展にちなみ、ロシア・アヴァンギャルドの作品を鑑賞した。

 上映されたのはいずれもニュープリント版で、『技師プライトの計画』(1918、クレショフ監督)、『チェス狂い』(1925、プドフキン監督)、『悪魔の車輪』(1926、コージェンツェフ、トラウベルグ監督)の3作品。

 1920年代に最盛期を迎えたロシア・アヴァンギャルドであるが、モスクワのクレショフ工房、レニングラードのFEKS(エキセントリック俳優工房)撮影所では作風にかなりの違いがあった。

 講師の井上徹氏によると、ロシア・アヴァンギャルドの特徴として、アメリカニズム、科学技術をテーマに取り入れたものが多い、などが挙げられるということだった。

(滝沢)


あうるすぽっとチェーホフフェスティバル2010
チェーホフ誕生150年『チェーホフ短編集1+2』

(4月18日、4月21日 於:池袋あうるすぽっと)

 2008年上演作品の再演となる『短編集1(「ドラマ」「外国もの」「熊」「タバコの害悪について」「白鳥の歌」「プロポーズ」)』と、今回初演となる『短編集2(「賭け」「物騒な客」「忘れた!!」「彼と彼女」「カメレオン」「魔女」)』を2日間かけて観た。

 一つ一つの作品を独立して演じるのではなく、一つの芝居の中に短編作をいくつも入れ子の構造にしていく複雑な作り。演技者も年齢・性別に関係なくいくつもの役柄を演じる。

 シェークスピアなどを長年演出している山崎清介氏による、新感覚のチェーホフ劇が立ち現れる。それにしても、イギリス演劇とチェーホフの親和性はなんと高いことか。

 公演後行われたアフタートークで、チェーホフ劇に登場する人物像を現代の言葉で言えば「KYな人」または「残念な人」と表現したのは、言いえて妙だった。空気を読まない、才能がありながら夢をかなえられない人物の物語は、人間の滑稽さの最骨頂だ。もっとも、チェーホフの短編は4大戯曲とは異なり、ユーモアもペーソスも非常にわかりやすい。しかし、その底流にあるものは4大戯曲と同じく人間を冷静に観察する視点である。「三人姉妹」をゲラゲラ笑えるイギリス人観客のコメディ感覚をもって演出されたこの作品、チェーホフ誕生150年のイベントを飾るにふさわしいものとなった。

今後の予定

●8月27日(金)-29日(日) M&Oplaysプロデュース「ぷろぽおず」「鎌腹」
●9月1日(水)-7日(火) 流山児★事務所  「櫻の園」
●9月13日(月)-20日 (月・祝)燐光群「現代能楽集 チェーホフ」
●9月30日(木)-10月3日(日) あうるすぽっとプロデュース中野成樹「長短調」(「かもめ」より)
●10月9日(土)-17日(日) 劇団昴「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」
●10月27日(水)-31日(日) MODE「かもめ」
●12月10日(金)-12日(予定) あうるすぽっとプロデュース矢内原美邦「桜の園~いちご新聞から~」(仮題)

問い合わせ:あうるすぽっと 03-5391-0751


ロトチェンコ+ステパーノワ ロシア構成主義のまなざし

とき:4月24日(土)~6月20日(日)10:00~18:00
休館日:毎月第2、第4水曜日
ところ:東京都庭園美術館
料金:一般1100円、大学生880円、小・中・高校生、65歳以上550円


東京バレエ団「オネーギン」割引鑑賞券のご案内

 2010年5月14日、15日、16日(東京文化会館)の公演を、神奈川県日本ユーラシア協会の会員なら特別割引料金(2000円引)で鑑賞できます。まずは当協会事務局まで必要な枚数をお申し込み下さい。

 割引券のお申し込み締め切りは5月12日です。チケット受け取りは当日会場の受付で、お名前を言って代金とお引き換え下さい。


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●取扱商品の詳細は協会事務所、または協会主催オンラインショップ「うにべるま~ぐ」でごらん下さい。

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中世ロシア興亡史講義

第49回 くり返される進軍と敗走

協会サイト内 ロシア興亡史のページ をごらん下さい。

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