特定非営利活動法人神奈川県日本ユーラシア協会機関紙 「日本とユーラシア」
2009年新春・凍結したアムール河の上の人々

今月の表紙
2009年新春・凍結したアムール河の上の人々


行事予定

第5回定期総会

2009年2月22日(日)13:00~17:00
横浜平和と労働会館3階
内容:事業計画、決算、予算、2009年度役員案の承認、質疑応答他 参加費無料
総会記念行事
1.電子楽器「マトリョミン」 コンサート 14:45~ 無料
2.講演会 「横浜外人墓地のロシア人墓碑」 15:20~
講師:沢田 和彦(埼玉大学教授) 参加費700円
3.懇親会 17:30頃~ 台湾小皿料理「阿里山」にて
会費・各自実費負担
※準備の都合上、参加される方は前日までに事務局までご連絡下さい。
TEL/FAX045-201-3714
メール eurask2@hotmail.co.jp


2009東北・信越・関東ブロック研修会

本部機関紙既報の通り下記により研修会が開かれます。
時:3月28日(土)13:00~ 29日(日)12:00~
所:上越新幹線「越後湯沢」駅下車徒歩3分「新ゆざわ莊」
参加費(宿泊費含む):10,000円の処、全額協会負担。
交通費:自己負担(乗用車相乗りで格安にゆく方法もあります。残枠1名分限り)
研修内容(予定):1)協会の歴史
2)ロシアの政治・経済、文化・芸術
3)ロシア語の普及と授業の改革
4)友好運動の課題と展望(研修会には必ず出席が必要です)
参加定員:5名(2月2日現在4名受付済み)
宿泊予約のため、参加ご希望の方は2月末日までに事務局にお申し込み下さい。


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活動報告

ロシアの新年とクリスマスを祝う「ヨールカ祭」

ヨールカ祭

 2007年・2008年と不参加だったヨールカ祭、今年は盛り返すつもりで参加しました。

 今年はとにかく、近年にないほどの参加者が集まりました。直前の実行委員会では会場の変更を検討したほどです。結局は、例年通り平和と労働会館の2F・3F・5Fの使用でしたが、会場は満員御礼となりました。時間前に人が集まり始め、開会の午後1時には入りきれない人がエレベーター前にあふれました。

ヨールカ祭

 司会の竹村さんの開会宣言で始まり、悪性「ソ連」A型のインフルエンザで欠席した柴田理事長に代わり、木佐森副理事長が挨拶を行ないました。そして、来客のヴィクトリアさんが日本語とロシア語で乾杯。その後はしばし、手作りのロシア料理(ボルシチ・「外套を着たニシン」・蕎麦のカーシャ・人参のサラダ・ブリヌイなど)に舌鼓を打ち、歓談の時を過ごしました。

 関戸は、2Fのアトラクション会場を担当。子供たちのヨールカの遊びを一緒に行ないました。子供たちにはジェットマローズからのプレゼントも。

ヨールカ祭

 それからは、皆さんお待ちかねのコンサート。まずはマトリョミン教室の講師・受講生のアンサンブル。ソロとアンサンブルでおなじみの曲が奏でられました。初めて参加された方の中からは、マトリョミンについて質問も寄せられ、受講の希望も出されました。是非、参加してほしいものです。

 次は、山之内重美さんの歌声。3曲の後には、アンコールの要望にこたえてくださり、もう1曲。歌の合間には、歌の背景やロシアについて、いろいろと語ってくださいました。

ヨールカ祭

 そして、マリーナ・ルザエヴァさんの歌。ヨールカに寄せての歌でした。いつも思うのですが、音楽関係の記事は文字だけなので、その場の感動を美味く伝えることが出来ません。

 最後に飛び入りで、タシケントから一時帰国した一杉次郎さんの歌と如月弥生さんのドムラ。会場の皆さんと一緒に声を合わせてロシア民謡を歌いました。

 楽しいアトラクションの後は、ビンゴで終了。

 関戸は新潟へ帰るので、2次会は途中で退散しましたが、多くの参加者が集まり、その場で入会者が出るほど楽しく盛り上がったヨールカ祭となりました。開港150年の今年にふさわしい新年の集いとなったと思います。

(関戸)


2008年夏 ハバロフスクへの旅“ハバロフスクは近かった”

 戦後60余年、ハバロフスクは暗雲のように私の心に垂れ下がっていた。日本が第2次世界大戦に敗れ、スターリンの強制移住、流刑の占領政策により65万人とも言える日本兵士が極寒のシベリア抑留され、厳しい労働と極寒、栄養失調のため6万人が命をおとした。その歴史のメッカ、赤軍司令部のあったところであったからだ。

 今回の旅の目的は2つあった。(1)2年前から学習しているロシア語を実地に使ってみること(2)現在私が研究している「戦争と民族の国際的移住―サハリン島を中心にして」の情報収集することであった。

 ハバロフスクの旅行会社アイリス・ツアーのガイド役を務めるマリーナさん。南北に美しい白樺、楡の街路樹の続くムラヴィヨフ・アムールスキー通り(ハバロフスクの創立者名)、カールマルクス通り、東西にはロシアの著名な作家の名をつけたプーシキン通り、ゴーゴリ通り、トルストイ通り、ツルゲーネフ通り等、この街の中央には未だレーニンは尊敬されているレーニン広場あり、レーニン像が立つ。それと対照的なのはアムール川へ下ったところにある2001年に昔の設計図をもとに再建されたという美しい聖母昇天大聖堂。ハバロフスクの都市計画は整然として文化的、教育的である。この国ではロシア文学史上最高の詩人と称せられ、近代文章語を確立したプーシキンの像が多くの大学に立っているという。

 ハバロフスク市内に第16収容所の支部があったため、日本人抑留者の建てた診療所、極東公務員アカデミー、第3市立病院、コンサートホール、船舶改修・商業施設、3階建てのアパート群等があちこちにある。
 ガリーナ・ポタワ調査 ハバロフスク総領事館
 私はその戦跡を少しでも見たいとかねがね思っていた。

 8月14日(木)午後ハバロフスク郷土博物館を訪問し、Nicolai Ruban館長に会った。私は1957年、冷戦下東京で開催されたユネスコ・日本国内委員会主催の「東西文化価値国際シンポジウム」にソ連から代表として出席した、アムール川流域で大規模探検調査を何回も行ったシベリアの英雄の称号をもつ考古学・民族学者、オクラドニコフ・アレクセイ・プロバブリッチ博士の写真を持参していた。館長は「今年10月が丁度オクラドニコフ博士の生誕100周年にあたり記念事業が行われるので、この写真は大変貴重なもので、展覧会にぜひ展示させていただく」と大変喜ばれた。私は思わぬところで長年待っていた一枚の写真が役立ったことを喜んでいる。

 帰国の日、8月15日は終戦記念日だった。ハバロフスク空港への途中、この地で亡くなった日本軍捕虜の墓地を訪ね花束を捧げた。そこにはたった310人だけの兵士のお墓しかなく、しかも名前もなく草叢のなかに空を向いて眠っている。この様子を見ると戦争のむごさと悲しみがこみ上げてくるばかりだった。なかに陸軍中将秋山直之1946年自決というのもあった。

 ハバロフスクで感じたことは広大なロシア領土と多民族国家における領土保全と開発の伝統は民族の強制移住、強制労働、流刑ではなかったのか?かつてソ連という社会主義国家があった。この社会主義国家は70年を経て、1991年末、社会主義を乗り越えて社会民主主義国家へと変貌し、ソ連邦を構成した15の民族国家へと解体した。東西冷戦構造も終焉した。そのため第2次世界大戦(この国では大祖国戦争と言う)を勝利に導いたスターリン像もスターリン通りも存在しないのか。私は勇気を持って、歴史、事実の真実に向き合いたい。

 ロシアは日本海、宗谷海峡をはさんで世界で一番近いヨーロッパの国である。心理的には日本人はロシア人よりも遠い国である。それは先ず新潟空港、ハバロフスク空港で感じた。私もそうだった。少しロシア語を学び、使えるようになってその距離はぐんと近くなった。幾人かのいい友人も出来た。私はこれを今後の人生の生きがいと楽しみにしたい。

 参考資料 (1)ヴィクトル・カルポフ著 長勢了治訳「スターリンの捕虜たち―シベリア抑留―ソ連機密資料が語る全容」(2001年北海道新聞社) (2)長谷川毅著「暗闘、スターリン、トルーマンと日本降伏」(2006、中央公論社) (3)ソルジェニーツィン著 木村浩訳「収容所群島(6)」(1977、新潮社)

(山口)


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教室案内

横浜ロシア語教室 第110期 開講準備中

月曜~土曜、入門・初級・中級・会話、各90分クラス。
最少開講人数2名、定員4名。お申し込み先着順。
受講料:入門50,000円(一般55,000円)、初級・中級・会話52,100円(一般57,100円)、全15回。
お申し込み方法:氏名、受講クラス、連絡先電話番号・メールアドレスを事務局までお知らせ下さい。
連絡先:TEL/FAX 045-201-3714、
メールyokohama-rosiago@hotmail.co.jp
※横浜ロシア語教室ホームページ www.rosiago.org もご覧下さい。


第53回ロシア語能力検定試験 5月に開催

2009年から3,4級の試験は年二回(春・秋)行うことになりました。
1、2級は秋のみの開催となります。
次回・第53回試験は5月31日(日)に開催されます。奮ってご参加下さい。


日本語教室 Курсы японского языка ボランティア講師募集中!

月曜~金曜、10:00~17:00の間、1コマ90分(受講生の都合により60分の場合もあり)。基本的には個人レッスン、同レベルで同時期に始める場合はグループレッスンも可。
入学金5,250円(会員は無料)、受講料1回3,000円。
お問合せ先:045-201-3714 (事務局)


マトリョミンアンサンブル、ヨールカ祭で演奏

ヨールカ祭で演奏するマトリョミンアンサンブル

 今回のヨールカ祭では、アンサンブルクラスが結成されて、初めての発表の場となりました。いろいろなアクシデントがあり、いつもより少ない人数ではありましたが、無事に演奏することができました。講師・平野麻里先生が「ロシアより愛をこめて」「大きな古時計」「少年時代」、「星に願いを」「メモリー」を生徒のソロで演奏。そして、クリスマスにちなんだ曲として「きよしこの夜」と「ふるさと」「コンドルは飛んでゆく」の3曲をアンサンブルで披露しました。若い方もたくさん来ていただき、不思議な音を出すマトリョーシカに皆さん釘付けでしたね!それぞれの音が見事に溶け合いひとつになったとき、聴いてくださった皆様の心に残るものがあれば幸いです。

 今期は2月でレッスンはひとまず終了しますが、来期春から開講準備中です。今回興味を持っていただけた方、ぜひ私たちと一緒にマトリョミンを演奏してみませんか?お問い合わせお待ちしております。

(世話人)

※みなとみらいマトリョミン教室Cクラス(15:50~16:50)2名の空きができました。
残る2月28日(土)1回のみでも参加できます。
受講希望者はTEL/FAX045-201-3714(協会事務局)、
または minatomirai_matoryomin@yahoo.co.jp (世話人)へ。


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組織・財政

組織状況 (2009年1月末)

 年初会員数:230名、入会者数:2名、退会者数:1名、12月末会員数:231名。


財政状況 (1月末)

NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会2009/1/31
単位:円
摘 要収 入支 出
一般会計122,585451,343
教育事業39,395208,930
一般事業342,025194,011
当期剰余金▲ 350,279 
合 計854,284854,284

 概 況

 2009年初頭の財政はきわめて厳しいものとなりました。この表は過去3年間の実績との比較です。

 2006200720082009
総収入1,131,729796,625832,946504,005
総支出1,054,5551,355,596596,256854,284
収支差額77,174▲558,971236,690▲350,279

 収入は2006年度との対比では実に55%、昨年度との対比でも40%の減少です。 内訳は下記の通りです。;

 2008年1月2009年1月前年対比
一般会計192,478.-122,585.-(63%)
教育事業242,040.-39,395.-(16%)
一般事業398,428.-342,025.-(85%)

これは過去に前例のない激しい落ち込みです。 特に教育事業の後退が深刻に懸念されます。 第1四半期中の挽回を目指し、早急な原因究明と迅速な対策が必要です。

(柴田)


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今月のお勧め商品

電気式サモワール(銀色) \39,000

サモワールの生産地として歴史のあるトゥーラの製品。横から見ると楕円形で、湯を沸かす部分がやや寸の詰まった丸い形なのが特徴です。置く場所を選ばないオーソドックスな銀色・凹凸加工付き。
詳細は上記リンク先ページをごらん下さい。


マトリョーシカピンブローチ 特価 \390

マトリョーシカの人形が5つ下がったピンブローチです。ストールやマフラーやバッグのアクセントに。気軽なプレゼントにもお勧めです。色柄は数十種類から選べます。協会事務所でご覧下さい。


●取扱商品の詳細は協会事務所、または協会主催オンラインショップ「うにべるま~ぐ」でごらん下さい。


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何でも掲示板

皆様、年賀状をありがとうございました

 今年も皆様から年賀状をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。今年もよろしくお願いします。


田所俊一・アイサ一家とご両親

田所俊一・アイサ一家とご両親が横浜へ

1月19日(月)、当協会元ドムラ講師で現在淡路島在住の田所アイサさんのご両親が、ロシア連邦カルムイキア共和国から来日、田所一家、柴田さん、樋口さんと横浜観光をしました。アイサさんのお父さんは音楽学校の校長先生で、民族楽器バヤンの名手です。


訃報

協会創立以来の会員で元経済委員長の柏木利雄氏が昨年末逝去されました。謹んでお悔やみ申し上げます。


ロシア語初級者のロシアひとり旅+観劇日記(2)

 モスクワの名所旧跡をまわるにはメトロ-地下鉄が便利。安い、早い、広範囲。改札から出ない限り17ルーブル(50~70円)で乗り放題。電車の本数が多い(そのせいか時刻表はない)。庶民の味方のメトロだが、初心者にとって乗車券を入手した後の次なる問題はどうやって目的の駅で降りるかだ。まずは路線図で確認すれば大丈夫だと思ったが、駅をスキップする場合もあった(駅が閉鎖された時など)。電車がホームに到着しても駅名の表示は見えない。「次は○○駅」という放送に頼るしかないが、たまに間違って、いい直しをすることもある。各種表示や放送は当然ロシア語だけである。これら各種情報から駅を推定して降りる。駅毎に装飾が異なるので、慣れてくるとなんとなく分るようになった。

ユーゴ・ザーパド劇場外観

 ユーゴザーパド劇場はモスクワ中心部から南西約20kmにある。メトロで15~20分ほど。もより駅から劇場へ行くための目印なし。方向も分らないので地図だけではたどり着くのは少々難しい。最初はメール友達(モスクワ在住の大学生)につれて行ってもらった。雪の降る中、歩くこと15分。レンガ作り風の劇場に到着。感慨ひとしお。日本にもファンが多く、この日も関西から演劇留学に来ている人と劇場で知り合った。ここの舞台はリハーサル室サイズ。客席は傾斜が大きいので見やすい。

 まずゴーゴリ原作の“結婚Женитьба”を見た。下級官吏と商人の娘が、仲介屋に結婚相手を斡旋される話。娘役は<今いくよくるよ>のくるよサン似。服の趣味もそっくり。ワンピース姿がかわいい。時に美しい。しかも男優。全員が出ずっぱりで、隙のない練り上げられた構成。それぞれがはまり役。普通の演出では物足りなくなる。最初から客が笑う体制で待ち構えているのを感じる。爆笑の渦。寄席やお笑いの客席を思わせる。90分高密度、ロシア語の言葉あそび満載の作品だが、ストーリーさえ知っていれば初めての人でもお勧めだ。

ユーゴザーパド劇場の舞台(鏡を立てている)

 日を変えてユーゴザーパド2本目はドラキュラДракула。ブラム・ストーカー原作の吸血鬼物。ドラキュラがかつて失った恋人を渇望する話になっている。ヒロインの婚約者役は、映画等ではやわな二枚目であることが多いのだが、ここでは黒ひげ危機一発の人形を思わせる役者が演じる。タキシードより縞々シャツにアイパッチの海賊姿が似合いそう。決してスマートではなくミスキャストかと思いきや、芝居が進むにつれ芸達者で魅力的なのがわかる。役者たちは中国雑技段のような軟体系の技、パントマイムなどを駆使した演技。舞台に張り巡らせた鏡の効果を十二分に生かした演出。特に鏡に映った白いドレスの女達の登場場面は美しい悪夢のよう。

 翌日から夏の夜の夢、マクベスなどのこの劇団得意のシェイクスピア物が続く。後ろ髪を引かれながら、次の街に移動。予習をしてから、また来たい。

ユーゴ・ザーパド劇場情報
Театр на Юго-Западе
Москва, проспект Вернадского, дом 125

もより駅 Юго-Запад

(濱田)


極東放浪記 ・2009冬

ハバロフスク

1)ハバロフスクへ

 「冬のロシア」そう聞いただけで普通の日本人なら「寒い」、「行きたくない」、「なんか怖そう」などマイナスイメージを持ってしまうと思う。しかし人はこの地にも住んでおり、厳しい環境ながらも生活を楽しむ術を現地の人々は心得ているはずである。それを知ることによって日本人とロシア人お互いの理解と親睦が進むものと私は考えている。

 私の場合、ロシアは4回目、冬に行くのは2回目である。行く場所は決まってハバロフスクである。何故か…。あまり金持ちではないのでモスクワ方面にはあまり頻繁に行けないこともあるが、極東の街はなぜか日本人を引きつけるものがあるように感じており、特にハバロフスクは何回も足を運んでみたくなる街である。(もっともガールフレンドに会いに行くという目的もあるが…。)

ハバロフスク

 今回も前回同様正月休みを利用して丸々1週間行くことにしたが、今回はハバロフスクだけでなくウラジオストックにも寄ることにした。飛行機が週に月曜日と金曜日の2往復というのは結構つらいものがあり、休みが長い場合は結構休みに「ロス」が出ることがある。このため今回は月曜日にハバロフスクに行き、日曜日にウラジオストックから帰る方法をとった。この計画を立てた段階ではとんでもない展開が待ち受けているとは思わなかった。

 出発当日の12月29日、少し早めに起きた私はテレビをつけながら準備をしていたが、テレビからただならぬ情報が流れてきた。それは「システムトラブルですべての新幹線が運転を見合わせている」というものであった。新潟で飛行機に乗れなければすべてが水の泡。焦った私は出発予定を繰り上げてすぐに新潟へ向かった。本来であれば戸塚から東京へ出て上越新幹線に乗るのであるが、戸塚から「湘南新宿ライン」でまず行けるところまで行き、様子を見ることにした。「湘南新宿ライン」が使える戸塚に住んでいたのは不幸中の幸いかもしれなかった。熊谷のあたりでまだ全然新幹線が動いてないという情報が入ったため、籠原から普通に乗り換えて高崎に向かった。(この間、意外と時間がかかる。)高崎に着いてようやく新幹線が少しずつ動き始め、30分後には来るとの情報が入ったため、高崎から新幹線に乗ることにした。ちなみにこれに乗れないと次はどうなるかわからないとの事だったので強引に乗ることにしたが、人間の考えることは皆同じらしく、人々が殺到。ぎゅうぎゅう詰め状態を通り越し、ぺちゃんこ状態でなんとか乗っているという状態であった。新潟に着き、人込みから解放された時生きていることを実感してしまった。家を7時半に出てから6時間余(しかも「運よく」途中で新幹線に乗って)。普通ならありえない…。

 ***

 なんとか新潟に着いた私は腹ごしらえをした後、空港に向かった。駅から空港行きのバスは比較的本数も多く、乗ってしまえば30分ほどで着いてしまうので新潟に着いてからは結構時間の余裕はあった。ただ余裕はあっても大きなスーツケースを持ったまま彷徨するわけにはいかないので、空港で手続きを終わらせてからゆっくりすることにした。

 空港での時間も結構すぎるのが速く感じられ、すぐに搭乗、離陸となった。昼間のこともあり、もうひと波乱ありそうな不安を抱えてはいたが、何とか無事にハバロフスクの空港に着陸できた。

ハバロフスク

 外へ出たとたんに感じた肌を刺すようなそれでいて澄み切った冷たい空気…。ようやくハバロフスクについたことを実感した。昼間の苦労が報われた瞬間だった。「さあ今日は早く寝るぞ」と思っていたもののふと見ると入国審査ゲートで人が全く動いていない。日本のように詳しい「アナウンス」は無かったが、どうやら入国審査に使うコンピューター端末がすべて故障していたようであった。ゲートは1つを除き閉鎖され、係員がホストコンピューターの係員と電話連絡でパスポートやビザの情報をやり取りし、手続きを行っていた。

 待たされること2時間半…。何とか手続きは無事終了し、荷物も無事受け取ったが、タクシーは頼んでないし、この時間バスもなさそうだしどうしようかと考えていたところ親切な日本人が、「知り合いが迎えに来るのでよかったら一緒に」と誘ってくれた。お言葉に甘えアムールホテルまで送っていただいた。ホテルに着いてしまうと後はもういつものことで要領は分かっているのでさっさとチェックインを済ませ、部屋に入った。

 29日の夜…。カウントダウンの嵐の前の静けさというやつか、とても静かな夜だった。波乱の一日の終わり…。明日のことはとりあえず起きてから考えよう…。

(つづく)

(棚田)


映画「アンナへの手紙」評

 アムネスティ・フィルムフェスティバル(2009年1月17日、18日 新橋)にて、『アンナへの手紙』(2007 スイス)が上映されました。

 本作は欺瞞に満ちたチェチェン戦争の批判に人生を注ぎ、暗殺されたロシアのジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤを追ったドキュメンタリーです。

 政権ぐるみで自国民を虐待し、軍人が不正利得を享受しているという救いがたい状況を訴える彼女の報道記事は世界的な注目を浴びながらも、「対テロ戦争」というロシア政府の建前により政治的にほとんど黙殺されているのですが、アンナと記者仲間の生身の声に接すると、彼女の報道は危険を省みない真実の報道であり、プーチン政権への痛烈な一撃だったのだと改めて感じさせられます。

 ノーヴァヤ・ガゼータ紙で、彼女がチェチェン戦争の記事を執筆するようになったいきさつは、元から特別な関心をチェチェンに抱いていたからではなく、彼女が新米で一般的なモスクワ女性だったために、メジャーな報道機関とは異なる一般市民の目から視たチェチェンの取材が出来るのではないかと編集長が期待したからでした。

 同編集長によれば、入社したての頃のアンナは快活でよく笑い、冗談をいう女性だったが、チェチェン取材を開始してからは様子が一変し、ほとんど笑わなくなり、深刻な表情で物思いに沈むことが多くなったそうです。

 映画の冒頭で、モスクワの街路樹の間を歩きながらアンナは「自分が今、ここで生きていられるのは奇跡だ。何者かによって生かされているという実感がある」と語っています。彼女の著書を凌ぐような情報が得られるわけではないのですが、存命だった頃のさりげない言葉や表情が、社会から隔絶された地域での戦争犯罪に対峙した人間の苦悩と権力との対決の決意を問わず語りに聞かせてくれるという意味で貴重な映画だと思います。

(n)


ロシア映画フリーペーパー「クールトカ」

 以前当協会のロシア語教室で学んでいた会員の牧野大輔さんがロシア映画のフリーペーパーを作成しました。

 2007年秋から2008年1月下旬までの4ヶ月間、モスクワで封切される映画をすべて観て、そのなかから気に入った作品について紹介しています。日本ではなかなか観る機会のない映画評が満載!

 協会事務所にも置いてありますので、興味のある方は是非ご一読下さい。


国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア

4月4日(土)~6月7日(日)
Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷)
当日一般 1400円 問合せ/同ミュージアム 03-3477-9413


投稿歓迎!

ユーラシア(旧ソ連)関連の催し物情報、見聞記、感想文、各分野の現状報告・考察、当協会に関するご意見・ご要望・ご指摘等をお寄せ下さい。 字数は1行~800字程度が目安です。紙面等の都合により、編集・分割掲載させていただく場合、掲載できない場合もありますがご了承下さい。 締切は掲載号の前月の末日です。2009年3月号(15日発行)なら2月末までに届けば間に合います。

【原稿送付・持参先】
NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 機関紙編集部
〒231-0062 横浜市中区桜木町3-9 横浜平和と労働会館5階
Fax 045-201-3714
E-mail eurask2@hotmail.co.jp


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ロシア芸能

t.A.T.u.情報

タトゥ

みんな大好き♪ロシア発世界のスーパーアイドル「t.A.T.u.」関係の情報です。(^^)
先月下旬に3rdアルバムを発表し、MTV RMA 2008などに出場して、過密スケジュールの彼女たちの今後に注目

1)メディア情報 昨年「220」のビデオクリップをMTVで公開、GOODビデオクリップを決める投票に協力するように、みんなにお願いしました。 結果、投票数は実に20万票を越えました。みんな、応援どうもありがとう![090111]

2)ロシアの雑誌「ルースキー・レポルテル」新刊号に、「t.A.T.u.にビッグインタビュー」内容を少しずつ紹介! [080321]

***

Q.あなたは驚かせることが好きですか?私は「ある日ネヴゾーロフはこう言いました・・・・。」って既にレーナに質問しました。

ネヴゾーロフって誰?

Q.テレビジャーナリストです。番組の中で、「t.A.T.u.は悪習にパラサイト(寄生)している」とそんな風に言いました。

人間らしい分かりやすい言葉で説明してください。それはつまり何ですか?

Q.うーん・・・つまり、t.A.T.u.は注意を惹きつけるためのジェスチャーをしている、と。

何も特別なことなければ作為もないわ。私達は、世界に存在するテーマに、そして私達を取り巻くテーマに触れているの。けど残念なことに、人々はそんなテーマに注意を向けない。人々は生きているし、「ああ、コレ全部くだらんわ!」と考える。でもTシャツになにか書くことに値することだし、人々はすぐに考え込むわ。正直言えば、わたしたちが見せてきたものは、全部はっきり目に見えてわかるものだし、みんなにとって知られているもので、特別なものはなにもないの。

Q.「220」のビデオクリップを見てどうでした?

身体中鳥肌が立ったわ。

Q.どうして評判ある作詞家のではなく、あなたのFANの言葉の歌を歌うことにしたのですか?

私達アーティストは、アーティストとして存在している限られた人である、ということを理解しなければならない。私達には、私達を信じているFANがいて、かれらの注意は私達にとってとても貴重なの。FANもまた人であって、歌によせる言葉を書くこともできる。この歌詞を書いてくれた少女は全てを得たわ。つまり歌はヒットした。それに何によってより悪くなる?でもまあ、作詞家や作曲家といった錚々たる人たちだってみな、心の中に大事なものをもたらすわ。俳優になる修行を20年しても、俳優になれないかもしれない。才能は貴方の中に燃え続けなければならない。

Q.ユーリャ、あなたはスター病ではない?

スター病だって言われているわ。私自身気づかなかった。多分スター病はわたしにあって、あらわれるんだわ。まっぴら!なによりも普通の人間として残っている必要があるから。正しいわよね?

(次号がインタビュー最終回です)

(MOPA)


РУССКАЯ ДЕСЯТКА (ロシア・トップ10)

ロシア・トップ10

1月最終週のチャートを紹介します。10曲中4曲が初ランクイン!

「アンチ豪華絢爛」をユニット共通の哲学し、懐かしのポップメロディとコミカルな詞で人気上昇中のヒップホップユニット、Quest

Pistolsの新譜「クレートカ」が初登場10位に。

MTVのドラマ「クループ(Клуб:クラブと言う意味)」から彗星の如く誕生したセクシータレント、ナスチャ・ザダロージュナヤの新譜「わたしはもう信じたくない」は第9位にランクイン。(思うのですが、ザダロージュナヤはMTVではいつもトップ10入りするのに、他局のチャートにはinしないのはなぜだろう・・・MTVの情報操作か?なーんて。)

第6位には、日本でも知られるグリュコーザ。前回バスタと共に「Город дорог」でロングチャートinしたツェントルが、新譜で初登場第4位と大健闘。

チャート内の曲殆どは先月にもinしていて、上位ではキュートなマキシムと、紅顔の美青年ラーザレフ&売れまくりヒップホッパー・チマチー、ポップス界イチのモテ男・ビランの熾烈な争いを繰り広げていました。しかし、今月第1位になったのは、ビランの「Lonely」。ユーロビジョン開催権をロシアにもたらし、ロシア美女達のハートを掴み続ける、運ツキまくり男がやっぱりかっさらって行ったゾ!

ザダロージュナヤの公式HP

1. Дмитрий Билан/Lonely
ドミトリー・ビラン 「孤独」

2. МакSим/Лучшая Ночь
マキシム 「よりいい夜」

3. Сергей Лазарев&Тимати/Lazerboy
セルゲイ・ラーザレフ&チマチ 「レーザーボーイ」

4. Сentr /Ночь
ツェントル 「夜」

5. Банд'Эрос/Адьос!
バンデロス 「じゃあね!」

6. Глюк'Oza/Дочка
グリュコーザ 「娘」

7. Настя Задорожная/Я больше не хочу верить
ナスチャ・ザダロージュナヤ 「わたしはもう信じたくない」

8. Дискотека Авария/Отцы
ディスコテーカ・アヴァーリア 「父さん達」

9. Тимати&Mario Winans/Forever
チマチ&マリオ・ワイナンズ 「永遠に」

10. Quest Pistols/Клетка
クエスト・ピストルズ 「檻カゴ」

(MTV、1月26日付)

(MOPA)


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ユーラシアスポーツ

2009 フィギュアスケートロシア国内選手権

2008年12月25日~28日
タタルスタン共和国カザン市

 GPシリーズ第6戦NHK杯は、今年30周年を迎える記念大会となった。

 今年の国内選手権はカザンシティにて行われた。厳しい寒さの中、会場には子供達を初めたくさんのフィギュアファンが集まっていた。

ドムニナ・シャバリン組

 アイスダンスでは優勝候補のドムニナ・シャバリン組が欠場ではあったが、会場には彼らのバナーが飾られていた。絶対的な人気と技で魅せるホフロワ・ノビツキー組が、2位以下を20点以上も引き離す得点差での優勝となった。2位にはフリーダンスでの「フラメンコ」で素晴らしい演技をしたリュブレバ・シェーファー組。またNHK杯でも来日してくれたゴルシェコバ・ブチコフ組が3位となった。

アデリーナ・ソトニコバ

 女子ではまさかの結果となった。シニアの選手達を押さえ、なんと弱冠12歳のアデリーナ・ソトニコバ、エリザベータ・チュクタミシェーバが1、2位を独占した。まだ幼さは残るものの、3回転-3回転のコンビネーションを正確に決め、観客を魅了する演技力を兼ね備えた、これからロシア女子の救世主になるであろう二人であった。

セルゲイ・ヴォロノフ

 男子は、セルゲイ・ヴォロノフが情熱的なタンゴで2連覇を果たした。また昨年Jr世界選手権にて2位となったアルチョーム・ボロドュリンが多少のミスはあったものの2位となった。初優勝を目指していたアンドレイ・ルタイはジャンプミスが響き3位となった。

川口・スミルノフ組

 ペアでは「kawaguchi」の声援が湧き上がる中、川口・スミルノフ組がフリーで安定感のある演技を見せ、2年連続の優勝となった。2位となったムホルトバ・トランコフ組は優勝を狙っていたものの、グランプリファイナルで食中毒に見舞われたトランコフが6キロも体重が落ち、調整不足となってしまった。この二組の闘いはバンクーバーオリンピックまで続くことだろう。

(宗和 美幸)


新体操 カナエワが日ロ文化交流親善大使に就任

カナエワ

 ロシアへ日本にカルチャーを伝えるプロジェクト、Japan Premium Project -ArtsEvents- のアンバサダー(親善大使)に、ロシアの新体操選手エフゲニア・カナエワが就任し、その発表イベントが東京・竹芝客船「ヴァンテアン号」にて行われた。

 Japan Premium Project とは、近年活発化する日ロ間の相互文化交流を背景に、観光やファッション、文化、テクノロジーなどを題材として、「日本」をよりロシアに広めていこうという目的のプロジェクト。今後はロシアにて日本食の提供や展示、販売、日本人アーティストのライブ、アニメなど幅広く企画していく予定という。

カナエワと浜口京子

 この日のカナエワは着物姿で登場。来日経験の豊富なカナエワにとって、日本は一番好きな国。「人の温かさや習慣、特に正確で、気を使うところが好き」と親日家ぶりをアピール。ロシアへ日本の文化を伝える役に抜擢され、「日本の観光や文化が、ロシアの人にとってより身近になるよう祈っている」とコメントした。

カナエワ

 ゲストで登場した、女子レスリング北京銅メダリスト浜口京子も、「初めての世界選手権がモスクワだったのでロシアは思い出深い場所。歴史ある建物が興味深い。ボルシチも好き。」とロシアへの印象を語った。

 また、父・アニマル浜口自作の曲だという「宝の山」を着物姿で熱唱し、緊張をほぐす効果があるとカナエワに伝授、最後はお決まりの「気合だ !」で会場を沸かせた。

 カナエワはこの後ヴァンテアン号の一日船長にも就任、船長服に身を包み、操舵室でポーズを決めた。


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政治・経済

世界経済危機とロシアの為替相場、消費者物価の動向

為替・物価はこの1年間に劇的な変化を遂げた。

日本に一番近いロシアの都市ユジノサハリンスクを例に取ろう。(北海道サハリン事務所情報による)

昨年8月11日、私たちがハバロフスク旅行に向かった日には\100で20.00Rに両替した。

それが12月22日にはなんと29.93Rに下がったのである。1Rは5円から3.3円(66%)になった。

同時期、1US$は23.07Rから26.93Rとなった。1Rは4.3セントから3.7セント(86%)になった。

Rubleが$に対して下がり、$が¥に対して下がった。

他方、平均賃金は24,171.80Rから、32,324.00R(134%)に大きく上がった。

08年1月と09年1月の個々の物価の変化を見てみよう。(単位:R)

コカコーラ0.5 l(ロシア)28>55、Asahi-Super-Dry(日本)334ml 75>82、ウオッカ0.5 l(サハリン)240>330、馬鈴薯1kg 20>40, 牛乳1 l(サハリン)34>36, パン1斤(サハリン)26>34、カップラーメン(韓国)19>25、米(中国)1kg 70>65, 砂糖1kg 28>37,卵10個(サハリン)45>65、豚肉1kg 360>420, 鶏肉1kg 95>90, 洗濯洗剤450g(ロシア)36>60, 電気料金1KWH 2.03>2.25, バス料金(市内均一)10>16、ガソリン1l 21.5>22.8, ヘアカット400>600、航空券(Mow=ユジノサハリンスク往復)12,600>15,790. 

中国元の急落で中国産の米だけが値下がりし、中ロ貿易の拡大を示唆し興味深い。

ロシア人、特に金持ちはソ連崩壊時の経済混乱から学習し、ルーブルを信用せず、貯めた金は$(極東に多い)やユーロ(欧露に多い)で持っている。貧乏人ほどルーブル下落の影響が大きい。

賃金にも貧富の格差が開いている。経済危機の結果は失業、インフレで貧しい人々を直撃している。

(S)


ムルマンスク便り

>世界経済危機とロシアの為替相場、消費者物価の動向
>他方、平均賃金は24,171.80Rから、32,324.00R(134%)に大きく上がった。

17,934R(2007)→22,308R(2008)(昨年比1.3倍)
やっぱりムルは貧しい....。

>08年1月と09年1月の個々の物価の変化を見てみよう。(単位:R)

馬鈴薯1kg 20>40 →ムル22R
牛乳1 l(サハリン)34>36 →ムル30R
米(中国)1kg 70>65 →ムル45R(!)
砂糖1kg 28>37 →ムル23R
卵10個(サハリン)45>65 →ムル40R
やっぱりムルは貧しい....。

>賃金にも貧富の格差が開いている。経済危機の結果は失業、インフレで貧しい人々を直撃している。

il||li _| ̄|○ il||li ← とても貧しい人・MOPA。
ムル在住、職業日本語教師。
モスクワ・サンクト・極東は、異国家。
日本は、異惑星。

(MOPA)


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中世ロシア興亡史講義

第34回 若き獅子ウラジーミル・モノマフ

協会サイト内 ロシア興亡史のページ をごらん下さい。

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